UFC 12.7 ラスベガス(レポ):朝倉海、UFCデビュー戦はフライ級王者パントージャに2R裸絞めでタップアウト負け
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
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UFC 310: Pantoja vs. Asakura
2024年12月7日(土/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス:T-モバイルアリーナ
レポート:井原芳徳 中継:U-NEXT
第14試合 メインイベント UFCフライ級チャンピオンシップ 5分5R
○アレシャンドレ・パントージャ[アレクサンドル・パントーハ](ブラジル/アメリカン・トップチーム/王者)
×朝倉 海[かい](JAPAN TOP TEAM/挑戦者、元RIZINバンタム級王者、元THE OUTSIDER 55-60kg級王者)
2R 2’05” 裸絞め
※パントージャが3度目の防衛
パントージャは34歳。MMA戦績33戦28勝(8KO/10一本)5敗、UFC戦績15戦12勝(2KO/4一本)3敗。16年のUFCのトライアウト・TUFの準決勝で扇久保博正に敗れたが、17年からUFCに参戦すると、佐々木憂流迦らに勝利。21年からマネル・ケイプ、ブランドン・ロイバル、アレックス・ペレスに3連勝し、昨年7月にブランドン・モレノに判定勝ちし、フライ級王者となる。12月にロイバルに判定勝ちし初防衛。5月にはスティーブ・エルセグに判定勝ちし2度目の防衛をしている。現在6連勝中で、フィニッシュ勝利は裸絞め、右フックが多い。過去5敗は全て判定によるものだ。
朝倉兄弟の弟・海は愛知出身の31歳。兄の未来とともにTHE OUTSIDERで頭角を現し、17年12月からRIZINに参戦し16戦13勝(8KO)3敗。19年8月の5戦目で堀口恭司の相手に抜てきされると68秒KO勝ちして一気に名を上げる。同年大晦日のマネル・ケイプとのバンタム級王座決定戦では2R TKO負けしたが、ケイプがUFC参戦のために返上した同王座を懸けての20年8月の扇久保博正戦で1R TKO勝ちしベルトを巻く。だが20年大晦日の堀口との再戦で1R TKO負けし、初防衛に失敗。21年はバンタム級日本GPに出場し、大晦日の決勝まで進み、扇久保と再戦したが判定負けした。22年7月のヤン・ジヨン戦の直前に右拳を負傷。昨年5月の1年半ぶりの試合で元谷友貴に3R KO勝ち。7月のフアン・アーチュレッタとのバンタム級王者決定戦の前に左膝の靭帯を損傷し欠場したが、大晦日の仕切り直し戦で2R TKO勝ちし、王座奪還を果たした。
海は今年に入り、UFCとの契約交渉を進め、6月に契約を発表。8月にパントージャ戦が決まると、タイで約1か月の合宿を行い、米国から寝技の練習パートナーを呼び寄せていたが、10月から12月に延びた。フライ級での戦いは17年6月の韓国のROAD FC以来7年半ぶりとなる上、初の米国での減量、ルールへの対応も課題となる。海が今回勝てばアジア人男性初・日本人初のUFC王者となる。
海の入場テーマ曲の冒頭には、RIZINのテーマ曲とレニー・ハート氏のアナウンスが数十秒織り込まれ、RIZINから乗り込むことをアピールする。海は笑顔を見せながら花道を歩く。セコンドには打撃コーチのエリー・ケーリッシュ氏、レスリングコーチのビリー・ビゲロウ氏、柔術家の石黒翔也、そして兄の朝倉未来がつく。
1R、開始すぐからパントージャが右カーフを当てて前に出ると、海は近距離で右飛び膝を放つが、パントージャは胸で受けてそのまま片足タックルを仕掛けて倒す。海はすぐ立ち、離れるが、パントージャはすぐに前に詰めて、金網際に追い詰め、左フックを当て、海をひるませて組み倒す。海は金網を背にして立つが、パントージャは引き続き組み付いて倒し、中央付近で上で押さえる。海はその先を許さず、中盤、海はスタンドに戻す。海はスイッチを織り交ぜつつ左インロー、右ボディストレートを当て、左テンカオを胸に当てると、少しパントージャが顔をしかめる。だがパントージャはすぐ持ち直して、プレッシャーを強める。終盤、パントージャは左ストレートを当て、海の左ハイをブロックしてから右ミドルを返す。パントージャは右カーフ、ミドル、左ストレートと散らして着実に当て続ける。海は攻撃が減ってしまう。海は最後、飛び膝を出すが、パントージャの前蹴りで突き放される。パントージャは手数が上回った状態で終える。記者採点はパントージャ。
2R、パントージャは開始すぐ、じりじり前に詰め、左ジャブを当て、金網際に海を下がらせる。パントージャは左フックを振いつつ組み付いて、足を掛けて倒し、立った海の背中に飛び乗る。パントージャは振り落とされても、右足だけ海の胴体に巻きつけ、金網際でオンブを狙い続ける。しばらく海は防御したが、パントージャは海を動かさせてから、背中に飛び乗って、そのままグラウンドに持ち込み、オクタゴンの中央付近でバックキープする。パントージャは足4の字ロックで捕獲したまま、裸絞めを極め、海はタップ。ジェイソン・ハーゾグ・レフェリーがストップし、パントージャの一本勝ちとなった。
1R中盤までは危ない場面もあったパントージャだが、プレッシャーを強めてからはペースを握り、2Rは元々の差が明確な寝技できっちり仕留め完勝し、3度目の防衛に成功した。勝利者インタビューでパントージャは「UFCのレベルは高い。ここに来る日本人(チャンピオン)が私のベルトを奪えると思うか?いいえ。日本に行って防衛し、彼のやりたいことを何でもやりたい。朝倉は非常にタフな戦士で、誰もが彼のクレイジーなハイライトを見た。でも、そんなことは関係ない。オクタゴンがロックされたら、ここは私の町、私の都市だ。アメリカン・トップ・チームはタフなチームだ。堀口恭司らチームメイト全員に感謝したい。どれだけハードでも、努力し続けろ。仕事が2つ、3つ必要でも関係ない。夢の人生を手に入れろ。彼は引退したが…デミトリアス・ジョンソン、私はここのGOAT(=最強)だ。自分がGOATだと証明したいなら、戻ってきてくれ」とアピールした。パントージャはパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトに選ばれ5万ドル(約750万円)のボーナスを獲得している。
ラフモノフ、19連勝しウェルター級王座挑戦へ
第13試合 コーメインイベント ウェルター級 5分5R
○シャフカト・ラフモノフ(3位)
×イアン・マシャド・ギャリー(7位)
判定3-0 (48-47/48-47/48-47)
ウズベキスタン出身のラフモノフは18戦全てフィニッシュ勝利・UFC 6戦全勝、アイルランド出身のギャリーは15戦全勝・UFC 8戦全勝。ラフモノフはフロリダのキルクリフFC在籍で、ギャリーも21~23年に在籍していた。
1R、ラフモノフが序盤から両脇を差して押し込み、執拗にテイクダウンを狙うが倒せない。残り40秒、離れると、ラフモノフが右フックを当て、最後は組み合って終わる。記者採点はラフモノフ。
2R、ギャリーが先に金網に押し込むが、ラフモノフはすぐに押し返す。なかなか倒せず膠着し、最後またも離れ、ラフモノフが右のバックハンドブローを軽くだが当てる。記者採点はラフモノフ。
3R、打撃戦が続き、お互い目立つヒットはないが、若干ギャリーの手数が上回る。中盤、ラフモノフが組んで押し込む。終盤、膠着するとブレイクがかかる。ギャリーが左ハイ、ミドルを当て、若干ヒットが上回る状態で終える。記者採点はギャリー。ギャリーはファウルカップに異常があったようで、インターバル中に一旦スパッツを脱いで対応する。
4R、スタンドの攻防が続き、中盤、ラフモノフが片足タックルから首を抱えてテイクダウンを奪う。ラフモノフは上からパウンドを当てる。終盤、ギャリーが立っても、ラフモノフがしがみつく。離れると、ラフモノフがタックルでまた倒して上になって終える。記者採点はラフモノフ。
5R、ラフモノフがタックルを仕掛けるが、ギャリーは耐えると、もつれた状態からギャリーがバックマウントを取ることに成功する。ギャリーは裸絞めを狙うが、やや強引で、ラフモノフはアゴを引いて防御する。ラフモノフは体をひねって上になり難を逃れる。終盤、ギャリーはクロスガードを解かず下になり続け、返して上になろうとしたが、ラフモノフはトップキープする。残り1分、ギャリーが足のクロスを解除し、立って金網際で組み合う状態となる。最後、ギャリーが離れて回転肘を当てるが、すぐブザーが鳴る。すると両者は抱き合い称え合う。記者採点はギャリー。合計48-47でラフモノフ。ジャッジ3者もラフモノフを支持し、ラフモノフが判定勝ちした。
試合後、ラフモノフは客席にいるウェルター級王者にベラル・ムハマッドにオクタゴンに上がるよう呼びかけ、両者が対戦を承諾した。
第12試合 ヘビー級 5分3R
○シリル・ガーン(2位、元暫定王者)
×アレクサンドル・ヴォルコフ(3位)
判定2-1 (29–28/28–29/29–28)
第11試合 フェザー級 5分3R
○ブライス・ミッチェル(13位)
×クロン・グレイシー
3R 0’39” KO (スラム→グラウンド肘打ち)
第10試合 フェザー級 5分3R
×クロン・グレイシー
ネイト・ ランドウェア
○チェ・ドゥホ
3R 3’21” TKO (レフェリーストップ:グラウンド肘打ち)
第9試合 ライトヘビー級 5分3R
○ドミニク・レイエス(12位)
×アンソニー・スミス(13位)
2R 4’46” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチと肘打ち)
第8試合 ウェルター級 5分3R
○ビセンテ・ルーケ(14位)
×テンバ・ゴリンボ
1R 0’52” アナコンダチョーク
第7試合 フェザー級 5分3R
○モフサル・イヴロイエフ(5位)
×アルジャメイン・スターリング(9位)
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
第6試合 ウェルター級 5分3R
×ランディ・ブラウン
○ブライアン・バトル
判定1-2 (28–29/29–28/29–28)
※バトルが計量4ポンドーバー
第5試合 195ポンド(88.45kg)契約 5分3R
×クリス・ワイドマン(元ミドル級王者)
○エリク・アンダース
2R 4’51” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
第4試合 フライ級 5分3R
×コーディ・ダーデン(14位)
○ジョシュア・ヴァン
判定0-3 (28-29/26-30/27-30)
第3試合 ウェルター級 5分3R
○マイケル・キエーサ
×マックス・グリフィン
3R 1’56” 裸絞め
第2試合 ライト級 5分3R
×クレイ・グイダ
○チェイス・フーパー
1R 3’41” 腕ひしぎ十字固め
第1試合 ヘビー級 5分3R
○ケネディ・ンゼチュク
×ルーカス・ブジェスキー
1R 4:51″ TKO (レフェリーストップ:左右フック連打→グラウンドパンチ)