UFC 11.16 ニューヨーク(レポ):ジョン・ジョーンズ、ミオシッチを3Rバックスピンキックで仕留めヘビー級王座初防衛。チャールズ・オリベイラ、チャンドラーを圧倒し判定勝ちで返り討ち
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UFC 309: Jones vs. Miocic
2024年11月16日(土/現地時間)米国ニューヨーク州ニューヨーク:マディソンスクエアガーデン
レポート:井原芳徳
ジョン・ジョーンズ、ミオシッチを3Rバックスピンキックで仕留めヘビー級王座初防衛
第12試合 メインイベント UFCヘビー級チャンピオンシップ 5分5R
○ジョン・ジョーンズ(王者、元ライトヘビー級王者)
×スティペ・ミオシッチ(8位、元王者)
3R 4’29” TKO (レフェリーストップ:左バックスピンキック→グラウンドパンチ)
※ジョーンズが初防衛
ジョーンズは37歳。20年2月にドミニク・レイエスに判定勝ちし、ライトヘビー級王座を防衛し、ジョルジュ・サンピエールを抜いてUFC王座戦最多勝利数14を記録したが、翌日に飲酒運転等で逮捕された。21年には車両破壊等の罪で逮捕。22年3月にはヘビー級に階級を上げ、シリル・ガーンとの王者決定戦で1Rフロントチョークで一本勝ちし2階級制覇を達成。昨年11月のUFC 295でミオシッチを相手に防衛戦を予定していたが、胸筋の負傷により欠場した。同大会では暫定王者決定戦が組まれ、トム・アスピナルがセルゲイ・パブロビッチを1R KOした。王座統一戦が計画されたが、ジョーンズはミオシッチとの仕切り直し戦を優先し、アスピナルは今年7月、カーティス・ブレイズを1R KOし初防衛した。今回、ジョーンズの希望通り、ミオシッチとの防衛戦が組まれた。
ミオシッチは42歳。18年~20年のダニエル・コーミエとの3連戦の後、21年3月のフランシス・ガヌーとのヘビー級王座防衛戦で2R KO負け。昨年11月にジョーンズとの王座戦が流れ、3年8カ月ぶりの試合となる。
1R、ジョーンズがサウスポーで構えてプレッシャーをかけ、左の三日月蹴り、インローを当てる。2発目の三日月でミオシッチは表情をゆがめ、前に出てパンチを振うが、ジョーンズは回って軽々とかわす。すると中盤、ジョーンズは前蹴りを放ちながら前に出ると、大外刈りで倒す。ジョーンズはハーフで押さえ、左の肘を度々当てる。残り1分、ジョーンズはミオシッチの両足のガードの中に入るが、逆側にパスガードし、サイドから右肘を連打して終える。ミオシッチは左頬をカットする。ジョーンズが圧倒したラウンドで、ジャッジは2者が10-8とつける。
2R、ジョーンズはスイッチも織り交ぜながら前に出て、左の三日月蹴り、右の関節蹴り、膝蹴り等を随所で当てて主導権を維持する。長期戦も想定し、無理に追撃せず、休みながら攻めている様子だ。時折ミオシッチがパンチを振って前に出るが、ジョーンズはかわし続ける。記者採点はジョーンズ。ジャッジは2者が順当にジョーンズにつけたが、デレク・クリアリー氏は意外にもミオシッチにつける。
3R、ジョーンズは左三日月蹴りを当て、中盤には左ジャブと右ストレートをクリーンヒットし、ミオシッチは後退する。ミオシッチは時折パンチを振って前に出るが、相変わらずジョーンズにかわされる。すると終盤、ジョーンズは左ミドルを当ててミオシッチを金網際まで後退させると、左のバックスピンキックをレバーにクリーンヒット。ダウンしたミオシッチにジョーンズがパウンドをまとめたところで、ハーブ・ディーン・レフェリーがストップした。
ジョーンズは勝利者インタビューで、暫定王者のアスピナルとの王座統一戦について聞かれたが「デイナ・ホワイト代表に任せる」とだけコメント。ケージを出ると、オクタゴンサイドで観戦していたドナルド・トランプ大統領にチャンピオンベルトを持たせて談笑した。ジョーンズは今大会のファイトオブザナイトの3選手にうちの1人にも選ばれた。敗れたミオシッチは引退を表明している。
チャールズ・オリベイラ、チャンドラーを圧倒し返り討ち
第11試合 コーメインイベント ライト級 5分5R
○チャールズ・オリベイラ(2位、元王者)
×マイケル・チャンドラー(7位、元ベラトール王者)
判定3-0 (49–46/49–46/49–45)
オリベイラは22年10月のライト級王座決定戦でイスラム・マカチェフに2R肩固めで一本負けし、連勝が11でストップ。昨年6月にベニール・ダリウシュに1R TKO勝ちしたが、今年4月のUFC 300ではアルマン・ツァルキヤンに判定1-2で惜敗した。
チャンドラーは21年5月のライト級王座決定戦でオリベイラに2R TKO負け。続くジャスティン・ゲイジー戦でも判定負けし、22年5月にトニー・ファーガソンをKOし連敗を止めたが、22年11月にダスティン・ポワリエに裸絞めで敗れた。今年6月にウェルター級でコナー・マクレガーと戦う予定だったが、マクレガーの怪我が理由で中止となっていた。
3年半ぶりの再戦はオリベイラの圧勝に。1R、オリベイラがタックルを仕掛け倒す。チャンドラーは倒れ際に金網の上のクッション部分をつかむ反則を犯したため、オリベイラは綺麗に上になれず、ハーフとマウントの中間の不安定なポジションとなってしまう。チャンドラーには減点を科してもいいぐらいの反則だった。オリベイラは少しずつ体を動かして、ハーフで密着して肩固めを狙う。するとチャンドラーは今度は金網をガッチリつかんで返そうとする反則を犯す。オリベイラは上で押さえ続け終わる。
2R、オリベイラが前に出て左ストレートを当てると、チャンドラーはスリップする。オリベイラはプレッシャーを強め、チャンドラーは左右に動いて逃げ続ける。オリベイラは左ハイ、右アッパー、組んでの膝を立て続けに当てる。中盤過ぎ、オリベイラはタックルを仕掛け、すぐにマウントを奪う。オリベイラは肘とパウンドを当て、11月のルール改正で認められるようになった90度の肘打ちも絡めてチャンドラーを追い詰める。ジャッジは3者ともオリベイラで、1者は10-8とする。
3R、オリベイラがプレッシャーをかけ、右肘、アッパー、飛び膝等を当て続け、チャンドラーを圧倒する。中盤、オリベイラはまたもタックルから抱え上げて倒し、今度はそのままバックマウントを奪い、足4の字ロックで捕獲する。終盤、オリベイラはパウンドを当て、裸絞めを繰り返し狙い、チャンドラーは必死に防御を続ける。
4R、オリベイラは変わらず打撃でチャンドラーを追い詰め、中盤には背後から組み付いて、そのままグラウンドに引きずり込み、バックマウントで捕まえる。終盤、オリベイラは3R同様に裸絞めで追い詰める。ここまで4Rともオリベイラがポイントを取る。
5R、後の無いチャンドラーが前に出て右ストレートを当てると、オリベイラは左目も気にしつつひるむ。オリベイラは組んで倒そうとしたが、力が入らず、チャンドラーが潰して上になり、形勢逆転する。チャンドラーがパウンドを当てると、場内はUSAコールに包まれる。下になったオリベイラはしがみついて追撃を封じつつ、足を登らせて三角絞めを狙い、チャンドラーが外すとスタンドに戻す。終盤、チャンドラーは手を振って挑発したが、オリベイラは突きあわずタックルを仕掛けて倒し、バックを奪う。チャンドラーは立ち上がり、飛び上がって後ろに倒れてオリベイラを背中からマットに叩きつける攻撃を2度繰り返し、観客を沸かせるが、オリベイラは外れずバックキープして終える。チャンドラーがポイントを取り返すに留まり、オリベイラが大差の判定勝ちで返り討ちを果たした。
オクタゴンでのインタビューで、オリベイラは「チャンドラーを尊敬している。次の相手?誰とでもやる」とコメント。完敗のチャンドラーは「アメリカのパワーを出し切った。マクレガーとやりたい」と話し、ケージを降りると、トランプ大統領と握手した。この一戦は今大会のファイトオブザナイトに選ばれている。
ニッカルは打撃戦で攻めあぐね判定勝ち。連続フィニッシュ勝利が6でストップ
第10試合 ミドル級 5分3R
○ボー・ニッカル
×ポール・クレイグ
判定3-0 (30–27/30–27/30–27)
ニッカルは28歳。U-23レスリング世界選手権2019優勝者で、22年にMMAデビューし6戦6勝(2KO/4一本)。昨年3月からUFCに上がり3連勝中で、4月のUFC 300のメインカードの冒頭に登場し、コーディ・ブランデージに2R裸絞めで一本勝ちしている。
クレイグは36歳。16年からUFCに上がり、19年9月から22年3月まで6戦負けなしだったが、以降は5戦1勝4敗と苦戦している。
1R、ニッカルはサウスポー、クレイグはオーソドックスで、どちらもスイッチを織り交ぜる。お互い蹴りを出し、パンチも絡めるが、攻撃が少ないうえ、強打が出ない状態が続く。終盤、少しニッカルの左右のフックが目立つようになるが、クリーンヒットとはならず、クレイグも右ミドルを返し、はっきりした差はつけさせない。ジャッジは3者ともニッカルにつけたが、割れていても不思議ではない。中継画面に表示されるXのポストの採点も割れている。
2Rも同様に、両者見合って、なかなか強打の打てない状態が続く。顔面へのパンチはニッカル、ボディへのミドルはクレイグという構図は変わらず。1Rよりもニッカルのヒットが目立つが、まだ差は乏しい。ジャッジは3者ともニッカルにつけたが、割れてもおかしくない。
3Rも見合う状態が続き、ブーイングが場内に大きく響くように。すると中盤過ぎ、ニッカルが左フックを当て、圧を強めて積極性を増すようになるが、その先が続かない。クレイグも強打はもらわないが攻めあぐねたまま終了。場内は大ブーイングに包まれる。ジャッジは3者ともニッカルにつけ、ニッカルが判定勝ちしたが、連続フィニッシュ勝利が6でストップした。
第9試合 女子フライ級 5分3R
○ビビアン・アラウジョ(9位、元パンクラス女子ストロー級王者)
×カリーニ・シウバ(11位)
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
第8試合 165ポンド契約 5分3R
○マウリシオ・ルフィ
×ハメス・ヨントップ
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
※ヨントップが165ポンドのリミットを1.2ポンドオーバー。ルフィにファイトマネーの20%を譲渡
第7試合 バンタム級 5分3R
×ジョナサン・マルチネス(13位)
○マーカス・マギー
判定0-3 (29–28/29–28/29–28)
第6試合 ライト級 5分3R
○ジム・ミラー
×デイモン・ジャクソン
1R 2’44” フロントチョーク
第5試合 ライト級 5分3R
○デビッド・オナマ
×ロベルト・ロメロ
判定3-0 (30–27/30–27/30–27)
第4試合 ヘビー級 5分3R
○マルチン・ティブラ(9位)
×ジョナタ・ジニス
2R 5’00” TKO (ドクターストップ)
第3試合 ウェルター級 5分3R
×ミッキー・ガル
○ラミズ・ブラヒマイ
1R 2’55” KO (右フック)
第2試合 ウェルター級 5分3R
×バジル・ハフェズ
○オーバン・エリオット
3R 0’40” KO(右フック)
第1試合 女子フライ級 5分3R
×ヴェロニカ・ハーディー
○エドゥアーダ・モウラ
判定0-3 (27-30/28-29/28-29)