Krush 11.16 後楽園ホール(レポ):里見柚己、アーロン・クラークとの打ち合い制し判定勝ち。松谷綺、オーストラリアの選手を1R KOし「菅原美優選手、逃げていないでやってください」。池内紀子もKO勝ち
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Krush.167
2024年11月16日(土)東京・後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
里見柚己、アーロン・クラークとの打ち合い制し判定勝ち
第9試合 メインイベント ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○里見柚己[ゆずき](team NOVA/元Krushライト級王者)
×アーロン・クラーク[Aaron Clarke](アイルランド/ソーマ・ファイトクラブ/ISKAアイルランド・ライト級(61kg)王者、CAGE LEGACYスーパーフェザー級(59kg)王者)
判定3-0 (豊永29-26/箱崎30-26/梅木29-26)
里見は26歳。昨年6月に大沢文也に判定勝ちしKrushライト級王座を獲得。9月のK-1では伊藤健人に2R KO負けし、今年2月のKrushでのベルトを懸けての再戦では、わずか38秒でKO負けした。8月のKrushでは元ジャパンキック王者で初参戦の永澤サムエル聖光を1R右フックでKOしている。
クラークは30戦25勝(14KO)5敗の25歳。昨年6月のK-1横浜大会で初来日し、与座優貴とのノンタイトル戦で判定負け。それから1年4カ月の間に11試合を重ね再来日した。
1R、里見がサウスポーで構え、左の三日月、ボディフックを随所でヒットする。クラークも右三日月蹴り、ストレートを返すが、、里見の手数が上回る状態が続く。すると終盤、クラークが逆転を狙ってか?左右のパンチを振るって前に出て来たところで、里見はジャブに近い形で右フックを合わせてダウンを奪う。
2R、里見は左ボディ、ローを随所で当て続け、手数多く攻めるが、クラークは打たれ強く、前に出続けガムシャラにパンチを振るい、右ストレートを随所で当てる。里見はひるまないものの、鼻と口から出血し苦しそうだ。記者採点はイーブンとしたがクラークについても不思議ではなく、ジャッジ3者のうち2者もクラークにつける。
3Rもクラークがパンチを振るって前に出るが、里見は下がりながらも、右フックを放って倒す。右手で払うような倒し方でスリップにも見えたが、中野深月レフェリーはダウンを宣告し、クラークは不満を示す。その後も里見は攻め続け、度々マットに手を振るジェスチャーをして打ち合いをクラークに呼びかける。最後は里見が雄たけびをあげつつ、パンチラッシュで追い詰め、会場を沸かせて終了。倒せなかったものの点差を広げ、里見が判定勝ちした。
マイクを持った里見は「倒せず実力不足でした。でも男を見せたんじゃないですかね。たくさんの応援感謝しています。来年ライト級トップ行くんで応援お願いします」とアピールした。
Krushの宮田充プロデューサーは大会後の総括で「里見選手はさっき倒せなくてすみませんと言っていましたけど、非常にいいメインイベントでした。強いクラーク相手にお客さんを沸かせていい仕事ができたと思います。クラークも頑張ったし、3度目の来日もあると思います」とコメントした。
松谷綺、オーストリアの選手を1R KO勝ちし「菅原美優選手、逃げていないでやってください」
第8試合 セミファイナル 女子アトム級(45kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○松谷 綺[きら](ALONZA ABLAZE/Krush女子アトム級王者)
×ガブリエル・デ・ラモス[Gabrielle De Ramos](オーストラリア/Muay U)
1R 1’48” KO (右膝蹴り)
※デ・ラモスが計量150gオーバーし減点1、ファイトマネーの20%を松谷に譲渡。タイトルマッチからノンタイトル戦に変更。
松谷は13戦10勝1敗2分の21歳。22年6月の初代K-1女子アトム級王座決定トーナメント準決勝で菅原に判定負けしてプロ初黒星を喫したが、以降は5連勝。昨年7月には元K-1女子アトム級王者のパヤーフォンに延長判定勝ちした。11月には奥脇奈々に判定勝ちしKrush女子アトム級王者となる。7月のK-1ではチョン・ユジョンからダウンを奪い判定勝ちした。
デ・ラモスは初来日、戦績8戦6勝2敗の24歳。フィリピン出身でオーストラリア在住。松谷よりも6センチ背が高い158cm。
当初、この一戦はノンタイトル戦と発表されていたが、9月のカード発表記者会見で松谷が防衛戦への変更を希望し、主催者が両陣営と協議し、防衛戦として行われることが正式決定した。だが前日計量でデ・ラモスが150gオーバーし、ノンタイトル戦に戻った。松谷の希望によりグローブハンデ無しで行われる。
試合は短時間決着に。1R、デ・ラモスは重心を低く構え、パンチ狙いの様子だが、松谷はスピーディーな動きでプレッシャーをかけ続ける。中盤から松谷は蹴りを上下に散らして、次第に蹴り数を上げると、右の三日月蹴りを効かせ、左ローを散らしつつ、左のミドルにつなげて動きを止めると、右膝蹴りをボディにクリーンヒット。デ・ラモスがダウンすると、うずくまったまま動けず、松谷のKO勝ちとなった。松谷は14戦目で初のKO勝ちに大喜びしていた。
マイクを持った松谷は「KOできてうれしいです。ここで満足せずK-1のベルトを取りたいです。菅原選手、逃げていないでやってください」と話し、K-1同級王者の菅原美優を挑発した。続けて松谷は「女子つまらないと言われているんですけど、今日、女子(4試合)全試合KOしたと思うんですけど、どうでしたか?来年とかに女子大会をまた組んでいただけたらうれしいです。宮田さんお願いします」とアピールした。
バックステージでのインタビューでも松谷は菅原について「はっきりして欲しいですし、逃げんなよって感じです」と話し、女子大会については「女子みんなKOで、期待に応えられたと思うし、自分がKrushもK-1も引っ張っていきたいし、女子選手が増えてきて、面白い試合ができると思うので、女子選手だけに注目が集まる女子大会を来年是非開催してもらえたらと思っています」と話した。
宮田プロデューサーは「どんどん言ったほうがいいですね。ああいう場面で言える子と言えない子がいますけど、既成事実を作るのは大事です」と、松谷の自己主張を高く評価した。菅原についての言及はなかったが、女子大会については「これはやりたいですね。先にやると決めて、何を乗っけていって、どうやったらできるか、知恵を絞ります。赤字にせず黒字にして、2回、3回と続けていけるようにします。こういうのはノリが大事なんで。松谷選手も言ったように今日は女子4試合ともKO勝ちで、みんないい勝ち方しましたし、女子選手も増えてきていますし、(元Krush女子アトム級王者の)高梨knuckle美穂選手も来年復帰できるとのことなので、女子だけの大会をやれる流れを作りたいです」と、実現に意欲を示した。
池内紀子が2R KO勝ち
第7試合 女子フライ級(52kg)(ノンタイトル戦) 3分3R(延長1R)
○池内紀子(POWER OF DREAM/Krush女子フライ級王者)
×チェ・ウンジ[Choi EunJi](韓国/テグ・フェアレスジム/MAX FC女子バンタム級(52kg)王者)
2R 2’19” KO (右フック)
池内は25歳。21年3月にデビューし、22年6月のK-1女子大会でARINAに延長判定勝ち。昨年6月のKrushでの1年ぶりの試合では、麻央から右フックでダウンを奪って判定勝ち。今年1月の第6代Krush女子フライ級王座決定トーナメント決勝戦で麻央と再戦し延長判定勝ちしている。7戦7勝で今回初の国際戦だ。
ウンジは18戦8勝10敗の30歳。身長170cmの池内に対し163cmと小さい。18~19年に日本のMMA大会でKINGレイナとセラと戦い敗れている。その後は韓国のキック大会MAX FCで王者となり、今年3月には朱里GSBに判定勝ちしている。
1R、池内が序盤から圧力をかけ、顔面狙いの右膝蹴りをクリーンヒットし、ウンジをひるませる。その後は池内が左右の膝、ボディ、右ストレート、左ジャブ等で一方的に攻め続ける。記者採点は池内。
2Rも池内が前に出て、左右のフックを当ててウンジを圧倒すると、終盤、コーナーに詰めての右フック2連打でフラつかせたところで、豊永レフェリーがダウンを宣告し、ダメージの大きさを見てストップをかけた。
マイクを持った池内は「KOしたけどダメダメでした。もっと頑張ります。ファイヤー」とアピール。「ファイヤー」について池内は「PODの気合の入れ方です。練習の時にファイヤーって言います。これからも使っていきたいです」とバックステージで笑顔を見せながら説明していた。
永澤サムエル聖光、K-1 GROUP 2戦目で初白星
第6試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×瓦田脩二(K-1ジム総本部チームペガサス/元Krushライト級王者)
○永澤サムエル聖光[きよみつ](林商店/WMOインターナショナル・ライト級王者、元WBCムエタイ日本統一&ジャパンキック同級王者)
判定0-3 (山根28-30/三浦28-30/中野29-30)
瓦田は21年9月、Krushライト級王座決定トーナメントを制しベルトを巻いたが、以降は大沢文也に敗れてベルトを失う等4連敗。昨年10月に故郷福岡のKPKBで久々の勝利をあげたが、今年1月のKrushでは児玉兼慎に3R KO負けしている。永澤は6月にジャパンキックのビクトリージムを離れ、8月にKrushに初参戦したが、里見柚己に1R KO負けしていた。
1R、永澤が前に出続け、パンチを振るいつつ左ローを多用する。リーチで勝る瓦田は、回って距離を取りつつ、左の前蹴りや左右のボディ、右ストレート等を随所で当て、手数ではやや上の状態で進める。記者採点はイーブンでジャッジもイーブンだが瓦田についても不思議ではない。
だが2R、永澤が執拗に左ローを瓦田の前足と奥足に当てていると、中盤から効き目を発揮し、瓦田が真っすぐ下がりがちに。永澤は左ボディ等のパンチを絡め、瓦田を追い詰める。記者採点は永澤。
3R、永澤は執拗に左ローを当て、左右のボディも絡め、終盤には顔面へのパンチも増やし、最後まで攻勢をキープし終了する。記者採点は永澤。合計28-30で永澤。ジャッジ3者も永澤を支持し、永澤が判定勝ちでK-1 GROUP初白星をもぎ取った。
第5試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×岩﨑悠斗(サイガジム/元J-NETWORKスーパーライト級王者、元S-BATTLE KICKライト級王者)
○川﨑聖亮朗[しんいちろう](HIGHSPEED GYM)
判定0-3 (箱崎26-27/三浦26-28/中野26-28)
1R、終盤に岩﨑はノーガードで挑発していたが、川﨑の左フックをもらいダウンする。だが最後、岩﨑が右ハイでダウンを奪い返し、ポイントを五分にする。
ところが2R、序盤に川﨑が左フックでダウンを奪う。岩﨑はすぐ持ち直すが、今回は反撃のダウンを奪えない。
3R、岩﨑も必死に前に出るが、川﨑が随所で左フックを当て、反撃を封じ判定勝ちした。
第4試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
○松本篤人(バンゲリングベイ・スピリット)
×斉藤雄太(K-1ジム五反田チームキングス)
判定3-0 (箱崎30-28/山根30-28/中野30-27)
第3試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
○愛瑠斗[えると](健成會)
×鵜澤悠也(RIKI GYM)
4R 1’12” KO (左ハイキック)
3R 判定1-1 (豊永30-29/山根29-30/モランド30-30)
第2試合 フライ級(51kg) 3分3R(延長1R)
×石郷慶人(K-1ジム福岡チームbeginning/KPKBインターナショナル・フライ級王者)
○海凪[みなぎ](team NOVA)
判定0-3 (豊永27-30/西村27-30/金子27-29)
※石郷が計量950gオーバーし減点1、グローブハンデ、ファイトマネーの20%を松谷に譲渡
※2R右フックで石郷に1ダウン
アマボクシング強豪・木村萌那、キックデビュー戦は1R KO勝ち
第1試合 女子フライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
○木村萌那[もな](K-1ジム目黒TEAM TIGER/全日本アマボクシング選手権2020女子バンタム級準優勝)
×荻原 愛(ONESIDE KICKBOXING GYM)
1R 1’32” KO (左ストレート)
木村は岐阜出身の23歳。4歳からフルコンタクト空手を習い、JKJO全日本ジュニア空手道選手権大会で7度優勝。小学4年生からボクシングも始め、日本大学時代には全日本アマボクシング選手権2020女子バンタム級準優勝、2022年女子ボクシング世界選手権出場といった実績がある。大学時代にK-1ジム目黒でトレーナーのアルバイトをしており、内田康弘代表から誘われ、今回のキックデビューにつながった。
1R、木村がサウスポーで構え、片足立ちでステップして右前蹴りのフェイントをかけつつ距離を取り、スピードのある左ストレートを当ててダウンを奪う。木村はさらに右ストレートを当てひるませ、左右のパンチを振る中で右フックを当て2ダウン目を奪うと、豊永レフェリーがストップした。
マイクを持った木村は「“もなワールド”どうでしたか?でも、こんなもんじゃないんで。もっと強くなって戻ってきます」とアピールした。
プレリミナリーファイト第3試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R
○遥心[はると](K-1ジム総本部チームペガサス/K-1カレッジ2023 -60kg優勝)
×近藤壮真(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
2R 1’42” KO (3ダウン:左カーフキック)
プレリミナリーファイト第2試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R
×光佑[こうすけ](ウィラサクレック・フェアテックス三ノ輪)
○内田竜斗(チーム・タイガーホーク/K-1カレッジ2021 -55kg優勝)
判定0-2 (27-30/29-29/29-30)
プレリミナリーファイト第1試合 女子フライ級(52kg) 2分3R
○こすず(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
×足立麻衣子(ONESIDE KICKBOXING GYM)
1R 1’06” TKO (コーナーストップ:パンチ連打)