Krush 10.25 後楽園ホール:バンタム級王座決定戦 黒川瑛斗「リングは自分の人生の鏡」×白幡裕星「ここで逃してしまったら自分はそこまで」|元K-1王者・朝久泰央「自分が今求めているのはKrush」×龍華「噛ませ犬にはならない」
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Krush.166(10月25日(金)後楽園ホール)に出場する黒川瑛斗、白幡裕星、朝久泰央、龍華の4選手のインタビューがK-1 GROUPから届いた。
第9試合 メインイベント 第9代Krushバンタム級(53kg)王座決定トーナメント・決勝戦 3分3R(延長1R)
黒川瑛斗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
白幡裕星(K-1ジム総本部チームペガサス/元KNOCK OUT-RED&ムエタイオープン・スーパーフライ級王者)
池田幸司が階級アップのため返上したKrushバンタム級王座を懸けたトーナメント。4選手が参加し、7月の後楽園大会で準決勝が行われ、今大会での決勝で王者が決まる。
黒川は8戦6勝(2KO)1敗1分の20歳、構えはサウスポー。3月のKrushで鵜澤悠也に2R KO勝ち。7月のトーナメント一回戦では林佑哉と対戦し、下馬評を覆し1R KO勝ちした。
白幡は22戦16勝(1KO)5敗1分の21歳。構えはサウスポー。肘有り・首相撲制限無しのルールで2団体で王者になり、昨年からK-1 GROUPに参戦。2戦目で壬生狼一輝に判定負けしたが、それ以外4試合は勝利。昨年12月には元プロボクシング日本王者の小浦翼に判定勝ち。7月のトーナメント一回戦は峯大樹の計量失格により不戦勝となっていた。
第8試合 セミファイナル ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
朝久泰央[たいおう](朝久道場/元K-1ライト級王者)
龍華(ザウルスプロモーション/K-1甲子園2019&2020 -65kg優勝)
朝久兄弟の弟・泰央は27戦18勝(4KO)9敗の26歳。21年7月、地元・K-1福岡大会でゴンナパーに延長判定で勝利し、第5代K-1ライト級王者となる。ここまで7連勝だったが、22年2月の与座優貴とのノンタイトル戦で延長判定負け。この試合での怪我で1年休養し、昨年3月の与座とのベルトを懸けての再戦でも判定負けした。さらに1年半のブランクを経て、19年11月の西元也史戦以来5年ぶりのKrushのリングから再始動する。
対する龍華は14戦10勝(6KO)4敗の22歳。19・20年のK-1甲子園を連覇し、19~21年はK-1 GROUPのプロで8連勝。昨年は7月に篠原悠人に判定負けしたが、11月に岩﨑悠斗をKO。3月のRISEで対抗戦には新鋭対決枠に選ばれ、陽勇[ひゅう]に判定負け。今年は6月のKrushで歩夢に判定勝ちしたところ、前K-1王者の泰央との試合というビッグチャンスが舞い込んできた。
黒川瑛斗「リングは自分の人生の鏡」
―― 試合が近づいて来ましたが、追い込みはそろそろ切り上げた感じですか?
黒川 今日(17日木曜)で終わりました。
―― 練習の仕上がりはいかがですか?
黒川 まあ、いい感じかなと。バッチリはまったかなと思います。
―― その上で、改めてどういう試合にしたいと思っていますか?
黒川 今回、トーナメント決勝だし、タイトルもかかってる試合ということなんですけど、だからこそというか、分かりやすい試合で、アイツがチャンピオンになったんだなっていうのをしっかり見てる人に分からせるような試合をできればなと思ってます。
―― どういう勝ち方で?
黒川 もうそこは成り行きに任せてというか、時の流れで来るんじゃないかなと思ってます。
―― ここ2試合、初黒星の後は2試合連続でKO勝利していますが、そこに関しては?
黒川 簡単に言えば、気づいたことが多かったのかなと。負けというのをしっかり受け止められたというか、負けて自分と向き合った結果というか、それを乗り越えた先に結果として、「進化」ではないですけど、成長があったのかなと思います。特に、意識じゃないですかね。倒すということに対しての。
―― 確かにそれまではKOがなかったですよね。
黒川 そうですね。ダウンを取って勝つとかは多かったですけど、実際KOにはつながらないような試合ばっかりしてたので。そういうところにも、負けてからしっかり向き合えたかなと思います。
―― 前回の準決勝は対戦相手の変更もありましたが、KOで決勝に駒を進められて、かなりいい流れなのでは?
黒川 そうなんですかね? 世間的にはそうなるのかもしれないですけど、僕は別にそんな流れとか意識してないというか、一つ一つが時の運とか流れだと思ってるので、その流れはまた試合中に作っていこうかなと思ってます。
―― 対戦相手の白幡裕星選手について、一番警戒しなきゃいけない点はどこだと思っていますか?
黒川 やっぱりペースを作っていくのがうまい選手なので、そういう展開にさせないのが一番かなと。相手のペースにさせないことですね。
―― それは、先手を取っていくという感じですか?
黒川 いや、先手ってわけではないですね。ペースを握らせないということです。
―― 勝てばチャンピオンという試合です。改めてそこへの気持ちというのはいかがですか?
黒川 特に何もないですね。別に勝ったらチャンピオンとか、ベルト1つ前という気持ちはそんなになくて。ただ白幡選手と試合をして、その結果としてベルトがついてくるかな、ぐらいな感じで。白幡裕星という選手と試合をできるっていうことに対しての高揚感の方が大きいかなという感じです。
―― ベルトへの意欲はそこまで……という感じですか?
黒川 いやまあ、別に自分がベルトを巻けるような選手であれば巻いてると思いますし、ベルトを獲れる選手、獲れない選手というのは明確にいると思ってるので、自分がどっちなのかというのは後から分かるんじゃないかなと。それを別に、「巻きたい!」とか「獲りたい!」とか思っても、獲れるようなもんでもないですし。それはもう、本当に後に分かることなので、そこは自分でも楽しみだなという感じですね。
―― タイトルマッチを控えた選手には、「自分がベルトを巻いているところを想像したりしてますか?」という質問をよくするんです。実際、「想像する」という選手も多いんですが、その感じでは、黒川選手は想像していない?
黒川 逆に、ベルトを巻くつもりがなくて格闘技をやってるなら、やめた方がいいと僕は思ってますし。それは大前提としてなので、みんな巻きたいだろうし、チャンピオンになりたいと思ってみんなやってると思うんですよね。ただその中で、なれる選手となれない選手は現実的にいるので、あとはもう自分がどっちの選手なんだろうっていうワクワクの方が大きいです。
―― 実際の試合で勝ちを引き寄せるのに一番必要なものは何だと思っていますか?
黒川 全てじゃないですかね。本当に普段の、1分1秒からの生き方というのがリングでは全部出ると思うので。僕は、リングは自分の人生の鏡だと思ってるので。それが出るかなと。生き様というか。チャンスが来た場面を気づけるか気づけないか、とかもそうですし。そこ勝つ、勝たないに影響してくると思うので、まあ、全てが出るんじゃないかなと思いますね。
―― もう一つの要素として、まだ試合順が発表になってないですが、間違いなくメインになると思います。メインイベントということに関しては何かありますか?
黒川 やっぱりKrushのメインイベンターがやることは一つだと思うので。まあ、言葉にするのも野暮かなというぐらいですね。
―― では、タイトルマッチだったりメインだったりっていうことをことさらに言うまでもなく、背負っていると。
黒川 こうなることを考えてプロでやってきたので、それを、1回負けたりとか、自分の想像した通りにはいってないかもしれないですけど、別にこれを考えてなきゃプロにはなってないですし。このタイミングで、決勝という形でタイトルが懸かっててというのは巡り合わせだと思ってるので。あとはもう、自分だけだと思ってるので。自分を出せたら結果もついてくると思ってますし、自信もありますし。もうここまで来たらシンプルでいいかなと。
―― そういう境地なんですね。
黒川 そうですね。別に感情に踊らされる必要もないというか。あとはシンプルでいいのかなと思います。
―― 基本的にそういう性格なんですか?
黒川 けっこうそうですね。いろいろ思い描いたとしても、大事なのは目の前の現実だと思ってるので。理想っていうのは、実力が伴っている人間にしか見えないというか、実力のある人間に、後に起こる現実というものが理想だと思ってますね。ただ「こうなりたい」って言うのは、別に理想でも何でもないなと思ってるので、目の前、目の前を集中していけば、なるようになってると思ってるので、僕は。そういう思考なのかなというのはありますね。
―― 失礼ですが、20歳でその境地というのはなかなか……(笑)。
黒川 いやいや(笑)。そうなんですかね、分かんないですけど。僕はこういう意識というか、人生なんてなるようにしかならないと思ってるので。みながみんな、なりたいこととか、思い描いたことってのはあると思うんですけど、ほとんどの人がそうはいかないわけじゃないですか。でもやっぱり目の前のことを一生懸命やっていたら、いちいち挫折したり、1回1回気持ちが折れるということもないと思うので、目の前の結果、目の前の結果に集中していく方がいいんじゃないかなと、僕は思ってますね。
―― そうやってやってきたと。
黒川 はい。だから今回は別にそれを出すだけですし、自分を出せればなと思ってます。
―― 今回、タイトルマッチとかメインイベントということでのプレッシャーみたいなものもないですか?
黒川 プレッシャーは普段もないですし、別に今回は特にないというか。タイトルマッチだからって、守りに入る選手もよく見ますけど、別に今の僕は何者でもないですし、ここで勝ってこそ何者かになれると思ってるので、別に守りに入る必要もないですし、失うものがないのに失うものがある気になってるというのも意味が分からないので、普通にいつも通りの自分の試合をして、その日にその結果が出るので、それが楽しみというか、自分でも「どうなってるんだろうな」というワクワクを感じるだけかなと。自分の試合をすれば、それがそういう結果になると思ってるので、気負いとかも別にないというか、いつも通りの試合に対しての緊張感とか高揚感とかという感じですね。
―― では最後に、改めて今回の試合にに対しての“決意”を教えていただけますか?
黒川 前回、前々回、KOで勝ってきてますけど、今回は想像を超えるような、もっと衝撃を与えるようなものを見せられると思うので、大いに楽しみにしてもらえればなと思ってます。
―― 分かりました。ありがとうございました!
白幡裕星「ここで逃してしまったら、自分はそこまで」
―― この取材がちょうど試合の1週間前になりますが、追い込みはそろそろ終わる頃ですか?
白幡 そうですね。今日(18日金曜)で終わる感じです。今ジムから帰って、この後夜にフィジカルをやって終わりです。
―― ここまでの練習の手応えとか出来はいかがですか?
白幡 たぶん、今回は過去イチ練習したと思うんですよ。もう本当に体が壊れるぐらい、壊れる寸前ぐらいまでやったなっていう、今思えばそんな感じですね。周りのみんなも止めるぐらいやったので。なんか自分でブレーキかけられなくて……それはあんまりよくないんですけど、ジムの代表からも「もうこれぐらいにしとけ」って言われるぐらいやったので、自信はあります。
―― その中で一番やってきたのはどういうことですか?
白幡 一番やってきたのは実戦ですかね。今回は相手がサウスポーなので、サウスポーの練習パートナーを4人用意したんです。ジムにいる後輩と、他にも出稽古で来てもらったりして、サウスポーの選手とはすごく実戦的な練習を積みました。
―― かなりバッチリっぽいですね。
白幡 はい、バッチリな気がします。
―― これまで、対サウスポーはどうだったんですか?
白幡 サウスポーは苦手ではないんですけど、やっぱりオーソドックスの方がやりやすいと思うのは、たぶん、サウスポーの相手と練習する機会があんまりなかったからかなとは思います。自分のイメージは間違ってないですけど、それを完璧にするまでの練習の機会があまりなかったのかなと。そこを、この2ヵ月半ですごく埋められました。
―― 過去イチ練習したというのは、やはりこの試合にタイトルが懸かっているというのが大きい?
白幡 タイトルというより、今は本当に対相手というところを重視していて、本当にこの試合に勝つことだけを考えて時間を費やしてきたというか、本当にメチャクチャ練習しました。
―― それだけやった上で、どういう試合にしたいですか?
白幡 一方的な試合にしたいです。タイトルが懸かってるからいい試合とか、そういう熱い試合をたぶんみんな見たいと思うんですけど、そこまでさせない技術の差を見せたいですね。自分が一方的にやって終わるという試合にしたいです。
―― それって、早い時間で倒すとか、そういうことを意味していますか?
白幡 早い時間でも倒せる技とかも用意して、それも意識しています。ただ、相手も練習してないわけではないと思うので、気持ちのぶつかり合いみたいになった時に、差が開いてるのかというのを見せてやろうかなと思います。長い時間になっても自分は勝つし、早い時間でも自分が勝つし、という感じです。
―― もともとK-1 GROUPに参戦し始めた時点から、自分の技術力、周囲との差にはかなり自信があったのでは?
白幡 そうですね。技術と練習量に関してはすごく自信がありました。でもムエタイ上がりだったので、近い距離での攻防とかがまだ完璧ではなかったんですけど、ここ最近はそこも徹底できているというか。試合で見せてないので分からないと思うんですけど、自分の中では手応えがあります。
―― その意味でも、ここでKrushのタイトルを獲得するというのは、その一つの証明にはなると。
白幡 そうですね。むしろ、ここで獲れなきゃ終わりだと思ってます。ここで獲るヤツが上に上がると思うので。なので、ここで逃してしまったら、自分はそこまでという感じですね。
―― ただ、まだK-1 GROUPではKOがないですよね。そこをすごく求められるリングだと思うんですが、そこに関しては?
白幡 そこはすごく意識してますね。「倒さなくてもいいやん」って思ってたら、選手としても上がっていかないと思うので、倒すということはずっと意識してます。そこは自分に甘えずに、お客さんはそこを見たいと思うので、そこを目指しています。
―― そのために、特に意識して強化しているところは?
白幡 フィジカルトレーニングをやるようにしました。フィジカルは効果が出るのにけっこう時間かかる、最低でも半年はかかるって言われたので、3月ぐらいからやり始めました。
―― 今はちょうど半年が経ったところですが、練習の中でフィジカルが生きて変わってきたと感じるところはありますか?
白幡 今思えば、あんまり体では負けなくなったかなと思います。53kgの中では、たぶん体で負けることはないかなと思いますね。
―― そうすると、攻撃も出しやすくなったり?
白幡 そうですね、よりアグレッシブになったというか。今までは体で負けて下がっちゃったりする部分もあったんですけど、そこで一歩踏ん張れるようになったかなとは思います。
―― 改めて、ここで勝てばKrushチャンピオンということに関しては、どういう気持ちですか?
白幡 今はチャンピオンになるためにやってるというよりは、ここまで積み重ねてきた努力を証明したいという気持ちが大きくて。本当に勝ち負けで大きく変わると思うので。それはどの試合もそうなんですけどね。今は勝ちというものをすごく意識していて、タイトルマッチだからどうという感情ではないですね。
―― ただ、勝った時についてくるものが大きいわけじゃないですか。証明として分かりやすいですし。
白幡 はい。別にベルトが欲しくないとかっていうわけではなくて。今までチャンピオンになった試合とかは、リベンジした試合もあったし、もう本当に死に物狂いで努力してきた結果がチャンピオンだったっていう感じだったので。今、そこのマインドに持っていけたのはけっこうデカいかもしれないですね。ただ「ベルトが欲しい」だけじゃ、たぶん届かないと思うので。近く見えて遠いと思うので、ベルトのことはもういったん置いて、この試合に勝つことだけを考えてきた感じです。
―― ということは逆に、タイトルマッチだからというプレッシャーもそんなにはない?
白幡 プレッシャーはないですね。青コーナーだし、挑戦者だと思ってるので。もう本当に、1秒も気を抜かず獲りにいこうかなと思ってます。結果的にいいものが見せられればいいかなと思っていて、あとは本当にやるだけだと思ってるので。
―― では最後に、改めて今回の試合への“決意”を教えていただけますか?
白幡 自分の中ではここまでの格闘人生、順風満帆には進んできていないと思ってるんですけど、
もう1回こうやって、努力していれば一番になれるというところを見せたいし、自分でもそれを証明したいと思っています。相手どうこうよりも自分との戦いだと思ってるので、しっかり勝って、その先はそれから考えたいと思います。
―― 分かりました。ありがとうございました!
朝久泰央「自分が今求めているのはKrushだなと思ってKrushを選んだ」
―― 9月8日のカード発表会見の時には、朝久選手の発言がかなり話題になりましたが、反響はいかがでしたか?
朝久 会見の発言もそうだし、「朝久、Krushに出るんだ」っていう、そっちの反響も大きかったですね。K-1ファンの方からはKrushに出ることへの意見が多かったですけど、やっぱり格闘技ファン全体からは、ONEに行ったヤツらに対していろいろ発言したので、そっちの方が反響が大きかったかもしれないですね。でもどちらも同じぐらい反響がありました。
―― もちろん、今回Krushに出るということ自体にも驚きましたが、あの発言に至った気持ちの強さにも驚かされました。そこが今はモチベーションの一つになっている感じですか?
朝久 そうですね。やっぱり試合がない期間はずっとそれを起爆剤としてやってきたというか。やっぱり自分が元K-1チャンピオンだという立場もありますし、K-1 GROUPで戦う人間として、自分のいるところが最強じゃないといけないと思ってますし、やっぱりK-1が立ち技最強でなければいけないと思っているので、そう考えた時に、「THE MATCH」で負けた選手に限って、すぐ他団体に行ってK-1のことをいろいろ言ったりしてるのを見ると、何なんだという気持ちにはなるんですよね。もちろん、本気で戦った結果だから、勝ち負けがあるのは当然なんですけど……「自分はK-1時代に幻を見ていた」みたいなことを言っている記事なんかも見ると、「お前、何言ってんだ」って率直に思いました。これまで「K-1最高!」って言ってきた人間が、「K-1は幻だった」って言ってるのは、K-1を応援してくれたファンに対しても失礼だと思います。もちろんK-1の看板としてやってきたことは分かりますけど、それはその時の話で、今は恥をさらしてよそに行った外敵だと思ってます。彼だけに限らず、K-1を腐してファイトマネーがどうだとか、「やっぱりONEが最高だ」とか言ってるヤツら全員に対して、思ったことをぶつけた感じですね。
―― そういう思いを持って復帰する以上は、今度は自分が「K-1が最高の舞台であり最強であるということを示していかなきゃいけないことになりますよね。
朝久 その通りだと思います。こうして「K-1が最強でなければいけない」と言いながらも、自分はKrushでの復帰戦を選びました。元K-1チャンピオンという肩書きがある以上は、大会側としてもK-1の大会へのオファーを考えていたと思うんですけど、やっぱり自分の格闘技の始まりはKrushだと思ってますし、宮田プロデューサーには、「俺は復帰戦をKrushでやりたいです」と伝えたんですね。宮田さんからは「えっ、K-1で考えてたんだけど……」みたいな感じでビックリはされたんですけど、自分はK-1であってもどこのリングであっても一番は一番だし、そういう自信というか誇りがあります。だからK-1のリングだからこうとか、Krushだからこうじゃなくて、自分が一番であることを改めて証明していくために、より多くの人に見せていきたいと思ってるんです。
―― なるほど。
朝久 そしてKrushって、K-1とはまた違った熱量があるじゃないですか。だからそういったところで、自分が今求めているのはKrushだなと思って、Krushを選ばせていただきました。
―― このところ、Krushのリングにも大分変化が出てきたと思います。欠場期間中、そのあたりはどう見ていましたか?
朝久 自分も純粋にKrushファンとして、5年近く、Krushのリングには上がってなかったですけど、その時もKrushは毎月欠かさず見てましたし、ケガしていた間もずっと会場で見ていたんですけど、最近はより熱が増したなというか。荒削りな、荒々しい戦いがKrushで多く見れるようになったので、Krushもまた熱い舞台に戻ってきたなというのは感じていました。
―― その変化の原因って何だと思いますか?
朝久 選手1人1人の気持ちが変わってきてるんじゃないですかね。勝って「K-1で試合したいです」とかそういった選手がいるうちは、KrushがK-1の下という見方をみんなも正直してたと思いますけど、やっぱり稲垣柊選手であったり、Krushとして強さを見せたいという、Krush愛のあるチャンピオンがいてこそ、Krushが確立された大会になってきたなと思ったんですね。
―― もしかしたらファンの中には、今回は復帰戦だからKrushで慣らし運転をしようとしているんだろうと思う人もいるかもしれませんが、それは違うということですね。
朝久 違いますね。今回は復帰戦だからKrushで、次はK-1かと思ってる人も多いと思いますけど、自分は本当に、ケガが治って万全であれば世界で一番強いと思っているので、だからKrushという、自分の出たいリングを選んだというだけなんです。今回、もちろん勝つつもりですけど、その後も引き続きKrushに出たいなと思っていますし、K-1でももちろんベルトを取り返すことを一番に考えているので。やり返すということも考えつつ、KrushだったりK-1だったり世界の団体だったり、自分が戦いたいなと思うところがあれば、本当にどのリングでもあるやろうと思っています。K-1チャンピオンだった時から、後楽園ホールとかKrushで試合をしたいというのはずっと伝えていたことなので。
―― Krushのリングで、Krushらしい試合をしたいということですね。
朝久 それももちろんなんですけど、朝久泰央らしい試合を見せたいですね。
―― それがイコール、Krushらしい試合になるということですか。
朝久 本当にそうだと思います。見合ってテクニックを競うのも、もちろん玄人の人からしたら面白いかもしれないですけど、テクニックとか強さとかもありつつ、何よりKrushでは破壊力が大事だと思ってるので、そういったところを見せられるのは自分の戦いかなと思ってます。Krushらしい戦いであって、朝久泰央らしい戦い、両方ですね。
―― 復帰に向けて練習している中では、どういったところに力を入れていましたか?
朝久 本当に全体的なところというか、人間力というか。格闘技一筋でずっとやってきて、約2年半近く、ケガとかでどれだけ練習しても試合に出ることすらできない状態があって、なおかついろんな憶測とかで誹謗中傷とかも考えられないぐらいの数が来てたんですよ。他の選手だったら本当にもう自殺するか引退してたぐらいにひどかったので、そういったところでその人間力が鍛えられたというか。持って行き場のない努力の行き先というか、そういったところでずっと追い込んでいたというか、追い込まれたというか。そういう面で、人間力という部分でも強くなりましたし、みんなは「与座とあれだけやれたのは朝久だからだ」って言うけど、正直、自分の右拳が粉々の状態で、逆に与座はあれだけやれたとしか思ってないんですよ。そういったところも含めて、治ってからの圧倒的な強さというか、朝久泰央の絶対的な強さを見せたいっていうのがあります。もしまたケガで手が使えなくなっても、やっぱりそれでも朝久が一番強いなという力を見せる鍛錬はしてきました。治ったらもっと強いと思ってるので、そういったところで「朝久はヤバいな」という肉体的な強さと、さっきお伝えした精神的な強さと、どっちも本当に研ぎ澄ましたというレベルじゃないぐらい、鍛え上げてきたと思ってます。
―― 今回、久々のリングに向けて、溜め込んでいるパワーは相当なものですね。
朝久 そうですね。自分は発言とかもけっこう強気な部分があるので、「ナメてんじゃないの?」って思うかもしれないですけど、「逆にナメてるのはどっちだ」と思ってて。自分は、相手の龍華選手はもちろんとても強い選手だと思ってるんですけど、龍華選手にしろ、ONEの誰かにしろ、本当に誰が来ても、結果は自分の圧勝だと思ってるので、そういった強さを見せる意気込みというか、覚悟というか魂が違うと思ってるんですよね、ハッキリ言って。気合は入ってますね。
―― 改めて、対龍華選手という点では、どう考えていますか?
朝久 自分が離れていた間もずっとKのリングだったり、いろんなところで見ていて、本当に強い選手だと思っています。もちろん、今は「こいつが敵だ!」と思ってガーッと集中してる部分はあるんですけど……自分は、応援してくれる人ももちろんたくさんいますけど、周り中敵だらけみたいな状態だと思ってるんですよね。今回の自分の発言によって、武尊ファンだったり野杁ファンだったりいろんな他団体のファンとかは、「朝久、何言ってんの?」みたいな意見もあると思います。そういったところも含めて、今回の敵は、龍華選手はもちろんですけど、そういった周りの人も敵だと思ってるので。ただ純粋に、龍華選手は本当にいい敵だと思いますね。強いですし、華もあるし。
―― では最後に、改めてこの試合への“決意”をいただけますか?
朝久 朝久泰央の圧倒的な強さを見せます。復帰戦だからとか、そういった考えじゃなしに、圧倒的で、本当に絶対的な強さを見せたいです。
―― 分かりました。ありがとうございました!
龍華「復帰戦の噛ませ犬にはならない」
―― 試合まで1週間(取材日は18日金曜)ですが、追い込みはもう終わったところですか?
龍華 本来ならそうなんですけど、今回はもうちょっとやろうかなっていう形で、土曜までで終わりですね。
―― 普段と違うのは、何か理由があるんですか?
龍華 いや、普段は土曜日の試合が多いじゃないですか。それの名残りじゃないですけど、何となく土曜までという感じで(笑)。
―― ここまでの練習の手応えや出来はどうですか?
龍華 今はもう疲労も溜まって、減量も終盤ですし、めっちゃキツいですけど、感覚的には、自分の中でも周りの人たちの中でも、いい感じかなと思います。
―― 今回は元チャンピオンの朝久泰央選手との対戦ですが、そこに向けての対策はどれぐらいできましたか?
龍華 対策っていう対策は立てずに、自分の能力を上げる練習が中心でしたね。ここだけは警戒するっていうところだけやった感じで。だからそんなに朝久選手に対してメチャメチャ対策しての練習をしたかって言われると、そうでもないと思います。
―― 自分の力を伸ばすという点で、一番重点を置いたのはどういうところですか?
龍華 全体的にという感じですかね。強い相手というのは分かっていて、そこで一つだけ伸ばしても意味がないと思うので、全体的にレベルアップするような練習をしました。
―― 昨年からKrushでの試合が続いてきましたが、そこで元K-1チャンピオンと組まれるということになりました。そのあたり、どう感じていますか?
朝久 「復帰戦の噛ませ犬にはならないぞ」とは思ってます。自分も何だかんだ、そこそこ試合もしてますし、プロでも長い年月やってきたので、「復帰戦にちょうどいい相手」と思われるのはシャクなんですよね。相手は1年半ぶりぐらいの復帰戦なので、ただのおいしい噛ませ犬にはならないぞと思います。
―― 逆に龍華選手にとってはおいしい相手でもあるし、K-1に出続けていたとしても、元チャンピオンと組まれる機会ってそう多くはないじゃないですか。だから巡り合わせでチャンスを掴んだと言えるのでは?
龍華 それはあると思いますね。K-1 GROUPにはランキングがない分、相手に元チャンピオンっていう肩書きがあるので、ここをしっかり勝ってそこを超えていければ、ベルトも近づいてくるのかなと思います。
―― ところで少し時間が経ちましたが、カード発表会見の席では朝久選手がすごく強い発言を連発していましたが、あれはどう思っていましたか?
龍華 聞いていて、団体への愛が本当に人一倍強いなと思いましたね。あんまりないことなのでビックリはしましたけど。
―― 朝久選手は直接ストレートに言うタイプだから分かりやすいですが、龍華選手もここまでK-1 GROUP一筋だし、かなり愛はあるのでは?
龍華 もともと、K-1に出たいということで空手もやめさせてもらって、こうして出るようになりましたし、団体愛はあるのかなとは思います。
―― 今回はどういう試合をして、どう勝ちたいですか?
龍華 みんな簡単に「KOする」っていつも言いますけど、今回は特に簡単にKOできる試合だとは自分の中で思ってないです。ゴンナパー選手も与座優貴選手も、倒せてはいないじゃないですか。だから簡単に「KOする」とは言わないですけど、ここで自分がKOで勝てたら、自分の価値が一気に上がると思うんですよね。だから食らいついてでも勝ちにいって、その中でも倒しての勝ちを狙っていきます。
―― 今回の試合は発表された時点からかなり話題にもなっていますが、周囲からの反響もすごいんじゃないですか?
龍華 そうですね。「朝久、マジか!」みたいな反応が多かったですね。でもやっぱり格闘技ファンの人たちからは「これは朝久だろう」みたいなのが多かったので、「ナメんなよ」って感じで燃えてますね。勝って当たり前という試合より、負けるだろうって思われている方が、自分としても「やってやろう!」みたいになります。初めてK-1の大会に出て弘輝選手と試合した時も、その頃は弘輝選手が勢いに乗っていて、「こいつは負けるだろう」みたいなコメントが多かったんですけど、その時も覆してるので。やっぱり覆したいですね、そういうのは。
―― その時のことを思い出しても、改めて燃えてきそうですね。
龍華 やっぱりここを覆すか覆さないかで、だいぶ変わると思います。ここを勝ち切れるかどうかで、またベルトへの道が遠ざかるか近くなるかが変わると思います。
―― 先ほどから龍華選手の口から出てくる「ベルト」という言葉は、あくまでK-1のベルトですか?
龍華 K-1のベルトがほしいですけど、今はとにかくベルトがほしいので、Krushでも組まれた方をやっていくという形になると思います。そこを考えても、今回勝つか負けるかで、かなり変わってくると思うので、いい勝ち方をしたいです。
―― では最後に、今回の試合に向けての今回の試合に対しての“決意”を教えていただけますか?
龍華 今回の試合に向けて、やれることは全部やってきているという手応えがあって、試合まであと少し、全力でやっていって、必ず勝ちます!
―― 分かりました。ありがとうございました!
対戦カード
第9試合 メインイベント 第9代Krushバンタム級(53kg)王座決定トーナメント・決勝戦 3分3R(延長1R)
黒川瑛斗(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
白幡裕星(K-1ジム総本部チームペガサス/元KNOCK OUT-RED&ムエタイオープン・スーパーフライ級王者)
第8試合 セミファイナル ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
朝久泰央[たいおう](朝久道場/元K-1ライト級王者)
龍華(ザウルスプロモーション/K-1甲子園2019&2020 -65kg優勝)
第7試合 フライ級(51kg) 3分3R(延長1R)
長野 翔[かける](K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
安尾瑠輝[りゅうき](K-1ジム心斎橋チームレパード/DEEP☆KICK -51kg王者)
~休憩~
第6試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
心直[しんた](REON Fighting Sports GYM/元KNOCK OUT-REDスーパーフライ級王者)
林 佑哉(K-1ジム大宮チームレオン/ジャパンカップキックボクシング&RKSバンタム級王者)
第5試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
昇也(士魂村上塾/元Bigbang&MA日本スーパーライト級王者)
竜義[りゅうぎ](VAINQUEUR GYM/元Dream Gateウェルター級王者)
第4試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
健介(Jay’s Box)
蘭丸(team AKATSUKI)
第3試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
水津空良[そら](team NOVA)※優弥道場から所属変更
寺島 想[こころ](AX GYM/K-1カレッジ2020 -60kg優勝)
第2試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
保井広輝(WARRIOR OSAKA)
白幡太陽(FLYSKY GYM/Tmile Gym)
第1試合 フライ級(51kg) 3分3R(延長1R)
上遠野寧吾[かとうの ねいご](POWER OF DREAM)
大平 龍(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)※KICK SPARKから所属変更
プレリミナリーファイト第3試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R
渚(K-1ジム五反田チームキングス)
龍生[りゅうき](ALONZA ABLAZE)
プレリミナリーファイト第2試合 ミドル級(75kg) 3分3R
戦熊[たくま](team ALL-WIN/ジャパンカップキックボクシング・ミドル級王者)※森拓馬 改め
山根武夫(K-1ジム川口TEAM SIRIUS)
プレリミナリーファイト第1試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R
小島卓也(優弥道場)
太田 黎[れい](真闘会/K-1カレッジ2022 -55kg優勝)
概要
大会名 Krush.166
日時 2024年10月25日(金) 開場・17:00 プレリミナリーファイト開始・未定 本戦開始・18:00
会場 後楽園ホール
中継 ABEMA(生放送)
チケット料金 SRS席 20,000円 RS席 15,000円 S席 10,000円 A席 7,000円 ※当日券500円アップ ※小学生からチケットが必要
チケット販売 K-1.CLUB イープラス ローソンチケット グッドルーザー 出場選手・所属ジム
お問い合わせ グッドルーザー 03-6450-5470 https://www.k-1.co.jp/krush/