パンクラス 9.29 立川(レポ):雑賀ヤン坊達也、久米鷹介に2R TKO勝ちでリベンジしライト級王座初防衛。ソルト、藤野恵実に判定勝ちし女子ストロー級王座初防衛。佐藤生虎、押忍マン洸太に3R TKO勝ちしウェルター級王者に
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PANCRASE 347
2024年9月29日(日) 東京・立川ステージガーデン
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)PANCRASE
雑賀ヤン坊達也、久米鷹介に2R TKO勝ちでリベンジしライト級王座初防衛
第15試合 メインイベント キング・オブ・パンクラス・チャンピオンシップ ライト級 5分5R
○雑賀 ヤン坊 達也(DOBUITA/王者)
×久米鷹介(ALIVE/1位、元王者)
2R 0’27” TKO (レフェリーストップ:左フック→グラウンドパンチ)
※雑賀が初防衛
雑賀は34歳。ライト級暫定王者だった21年12月、正規王者の久米との王座統一戦では、1Rに雑賀がダウンを奪ったが、2Rに腕十字を極められ一本負けしている。
その後の雑賀はパンクラスで松岡嵩志とシュウジ・ヤマウチに1R TKO勝ち。昨年4月のRIZINではアリ・アブドゥルカリコフに1R KO負け。12月のパンクラス横浜大会でのライト級王者挑戦者決定戦では、1位の粕谷優介に判定勝ちすると、今年3月の王座戦ではアキラを1R右ハイでKOし王座を獲得した。5月19日のRoad To UFC上海大会での非トーナメント戦ではキ・ウォンビンと激しい打撃戦を繰り広げた末に2RにTKO負けしている。
久米は39歳。上記のとおり21年12月に雑賀に勝利り3度目の防衛を果たし、それから約1年半のブランクを経て、昨年4月にアキラに判定1-2で惜敗し王座から陥落した。今年4月の再起戦では1位の粕谷優介と対戦し、バックマウントからパウンドを当てる等“久米地獄”健在を示し判定勝ちし、王座奪還のチャンスにつなげた。(※調印式での両選手の談話はこちらの記事参照)
再戦も2R決着に。1R、雑賀が中央に立ち、久米は素早く外側でステップし、右フックをヒットする。さらに久米は片足タックルを仕掛け、金網際で倒そうとする。一旦倒しかけるが、すぐに雑賀は立つ。中盤、久米は再び押し込んでから、足を掛けて倒し、上からパウンドを当てる。しかしここでもすぐに雑賀は立ち上がり、対応力の向上を印象付ける。終盤も久米が倒して上から押さえるが、雑賀は金網を背にして座った状態を維持し、久米にその先の攻めを許さない。記者採点もジャッジ3名も久米。
2R、久米は1R同様に距離を取って細かくステップしてから、左ハイの奇襲を仕掛ける。だが長身の雑賀はブロックする。両者の右フックが交錯すると、雑賀が素早く左右のフックを連続で振う中で、左を久米のアゴにクリーンヒット。久米はダウンし、雑賀が鉄槌を連打したところで、レフェリーがストップした。
ベルトを巻きマイクを持った雑賀は「今日は泣かないように気を付けます」と話したが涙を浮かべ「久米さんに負けてから、格闘技真剣にやるようになって、あそこから全部変わってきました。そんな久米さんにリスペクトを込めて、全力で挑みました。久米さんありがとうございます。これで久米さんとは1勝1敗です。ヤン坊 vs. 久米 3、待ってます。またやりましょう」と感謝の言葉を述べ、最後に「俺がヤン坊だ」と絶叫して大会を締めくくった。
ソルト、藤野恵実に判定勝ちし女子ストロー級王座初防衛
第14試合 コーメインイベント クイーン・オブ・パンクラス・チャンピオンシップ 女子ストロー級 5分5R
○ソルト(マルスジム/パンクラス王者、修斗同級世界7位)
×藤野恵実(JAPAN TOP TEAM/パンクラス1位・元王者、修斗同級世界王者)
判定3-0 (大藪49-46/山崎48-47/太田50-45)
※ソルトが初防衛
最近は修斗等に上がっていたソルトと藤野が、パンクラスに戻ってベルトを争う。
ソルトは33歳。22年1月に修斗でデビューし3戦1勝2敗した後、22年末にパンクラスに初参戦し、当時の女子ストロー級王者・KARENに判定勝ち、昨年4月の再戦でも判定勝ちしパンクラスのベルトを獲得した。6月の地元札幌でのRIZINでは大島沙緒里に76秒一本負け。12月の修斗では韓国のホ・ジュギョンに1R KO勝ちしたが、5月の修斗では中国のハイライ・ウーシャアモーに判定1-2で惜敗している。
藤野は43歳。22年3月にKARENに敗れ女子ストロー級王座から陥落し、昨年4月にエジナ・トラキナスに判定負けして以降は修斗に上がっていた。修斗でのインフィニティリーグで3勝1分3フィニッシュ勝利で優勝すると、5月の杉本恵との初代修斗世界女子ストロー級チャンピオン決定戦で3R TKO勝ちし2団体制覇を達成した。今回パンクラスに戻りベルト奪還と同時2団体制覇を目指す。(※調印式での両選手の談話はこちらの記事参照)
1R、両者見合う状態が続き慎重だが、長身のソルトが軽快に動き、随所で右ストレート、ミドル、左ジャブを的確に当てる。藤野が右フックを当てる場面もあるが、空振りが多い。記者採点はソルト。ジャッジ3者もソルトにつける。藤野は左まぶたが腫れており、インターバル中にドクターチェックが入るが再開する。
2R、藤野は序盤から組み付いてソルトを押し込むが、テイクダウンにつなげられない。中盤過ぎに離れると、ソルトがステップで距離を取りつつパンチを当てる。終盤、またも藤野が押し込むと、離れ際に左右のパンチを当てて好印象を作る。ソルトは距離を取り、右ローをヒット。最後はソルトがスイッチを繰り返してから右のバックハンドブローを当てるが、藤野も右フックを返して挽回する。記者採点は迷ったが藤野。ジャッジも割れ、1名が藤野、2名がソルトにつける。ソルトも右まぶたを腫らすように。
3R、ソルトが藤野を押し込むと、藤野はギロチンを狙うが極まらない。中盤、離れると、ソルトは細かくステップするが、藤野が回って距離を取り打たせずにいると、終盤に入り、藤野が右フックを当てる。藤野はそのままソルトを金網に押し込むが、その先にはつなられない。記者採点は僅差だが藤野。ジャッジは割れ、2名が藤野、1名がソルトにつける。
4R、藤野は前に出て、片足タックルから押し込むが、ソルトは膝を当ててから突き放す。中盤も藤野が押し込むが、これもソルトが膝を当てつつ突き放す。終盤、ソルトは距離を取ると、左ジャブのヒットを増やし、右テンカオや左前蹴りも当て、ようやく打撃の勘所をつかんだ様子。ソルトはさらに右のバックハンドブローも当てる。金網際での組んだ展開でも、ソルトが膝蹴りを連打し、優位を維持する。記者採点はソルト。ジャッジ3者もソルトにつける。
5R、ソルトが距離を取り左右の蹴りを当てる。藤野は押し込み、押し返されてからもギロチンを狙う。だが極めには至らず、ソルトは離れ際に左膝蹴りを当てる。終盤、ソルトは変わらず左膝を当て、距離を取って左ジャブを随所で当て、打撃で主導権を維持して終える。記者採点はソルト。ジャッジ3者もソルトにつける。記者採点合計は48-47でソルト。ジャッジ3者もソルトを支持し、ソルトが判定勝ちし、王座初防衛に成功した。
チャンピオンベルトを巻きマイクを持ったソルトは「ベルトを手にしてから凄いプレッシャーと重圧が強くて、必死に練習してきました。まだ手放したくないんで、これからも必死に練習します。また応援していただけたらうれしいです」と話した。
佐藤生虎、押忍マン洸太に3R TKO勝ちしウェルター級王者に
第13試合 キング・オブ・パンクラス・チャンピオンシップ(第17代王者決定戦) ウェルター級 5分5R
×押忍マン洸太((DESTINY JIU-JITSU/1位)
○佐藤生虎[しょうご](UNITED GYM TOKYO/4位)
3R 0’30” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※佐藤が王者に
ウェルター級では住村竜市朗が昨年12月の横浜武道館大会で林源平に5R TKO勝ちし王座を奪取したが、7月2日付のランキングで王座返上が発表され、今回第17代王者を決める試合が組まれた。
押忍マンは31歳。高校まで剣道を習い、卒業後にMMAに転向し、アマチュアで14戦経験後、20年にプロデビュー。昨年9月に川中孝浩に1R右ハイキックでKO勝ちし、同大会のベストKO賞を獲得。今年2月のRIZIN佐賀大会では元パンクラス&DEEPウェルター級王者の阿部大治に95秒でKO負け。5月のパンクラスでは元王者の村山暁洋を相手に手堅い試合運びを繰り広げ、キャリア初の判定決着となり、白星をもぎ取ると「今日は勝つことを優先しました。これが新しい自分のスタイルなんで」とマイクで話していた。
佐藤も31歳。MMA 4戦全勝。柔道をベースとし、中村K太郎率いるUNITED GYM TOKYOに所属する。昨年7月のデビュー戦から3戦連続で1分半以内でKO勝ちしており、12月には川中を粉砕。4月の立川大会では長岡弘樹と3Rの死闘を繰り広げ判定勝ちし、大会のベストバウト賞に選ばれた。
押忍マンも佐藤も短時間決着が印象的な選手だったが、揃って前回の試合では、40代のベテラン勢相手に3Rフルに戦い抜く経験をしており、5R制のチャンピオンシップでどう活きるか。(※調印式での両選手の談話はこちらの記事参照)
1R、押忍マンがサウスポーからの左ミドルを放つと、佐藤は蹴り足をつかんでからパンチを連打し前に出るが、押忍マンはかわすと、逆に左フックを当てて佐藤をダウンさせる。すぐに押忍マンは上からパウンドを連打するが、佐藤は下からしがみついて追撃を封じて耐える。佐藤は左まぶたをカットしている。終盤、押忍マンはハーフに移り、肩固めを狙い、パウンドと肘を当て主導権を維持する。記者採点は押忍マン。
2R、押忍マンが右テンカオを当てると、佐藤はそのまま押し倒すが、すぐに押忍マンは下からタックルを仕掛けて倒し返し、またも金網際でハーフガードで押さえる。膠着状態が続き、終盤、押忍マンはパウンドを連打するが、その隙に佐藤は脱出に成功する。佐藤は前に出るが、バッティングとなり一時中断する。その後は両者見合ったまま終える。佐藤は次のラウンドに備え体力を温存していたか?記者採点は押忍マン。
すると3R、佐藤は序盤から圧を強め、金網際に詰めて左ストレートを連打すると、押忍マンはガードしていたが、隙間から被弾してしまいダウンする。押忍マンはタックルでしがみついて防御しようとしたが、佐藤は潰してパウンドを連打する。後頭部にも当たったため、小池レフェリーが注意するが、押忍マンはこの後亀の状態で防戦一方になり、佐藤がパウンドを当て続けたところでレフェリーがストップした。
ベルトを巻いてマイクを持った佐藤は「これからも勝ち続けるんで応援をお願いします」とアピールした。
天弥、葛西和希を1R KOしライト級王座挑戦権獲得
第12試合 次期挑戦者決定戦 ライト級 5分3R
×葛西和希(マッハ道場/3位)
○天弥(和術慧舟會HEARTS/5位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
1R 4’58” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
雑賀×久米のライト級チャンピオンシップと同じ大会で、次期挑戦者決定戦が組まれた。葛西も天弥もここ1年、成長ぶりを印象付けている選手たちだ。
葛西は13戦10勝3敗の28歳。昨年4月に粕谷優介に判定負けしたが、9月に松岡嵩志に判定勝ちし、今年2月の大阪大会では木村俊也を左ジャブ主体で追い詰め2R TKO勝ちし、5月には丸山数馬相手に膝蹴りを駆使しつつ2R裸絞めで一本勝ちし3連勝中だ。丸山に勝利後マイクを持った葛西は「次、久米さんか天弥君、空いてるほうと試合したいです」とアピールしていた。
天弥は4戦3勝1敗の20歳。構えはサウスポー。極真空手をベースとし、昨年3月にプロデビュー。1敗はグラウンド状態の相手の頭部へぼ膝蹴りによる反則負けで、フィニッシュ勝利目前だった。8月に木村裕斗に29秒でTKO勝ち。今年3月には元修斗世界同級王者の松本光史をパウンド連打でフィニッシュ寸前まで追い詰め判定勝ちしている。
1R、葛西は左ジャブ、インロー、右カーフを当て、序盤の手数は上。天弥はオーソドックス主体で時折サウスポーに切り替え、序盤は攻撃が少なかったが、中盤に入ると右のカーフを当てるように。天弥が右フックを振うと、葛西は組み付き、天弥を金網際に押し込む。葛西は細かく膝を当てるが、なかなかその先につなげられず、終盤、右肘を振ってから離れる。
すると天弥は待ってましたとばかりに前に出て、サウスポーに切り替えると、左ミドルをヒットする。天弥はすぐにオーソドックスに戻すが、左ミドルを葛西の右腕に2連打すると、葛西のガードが下がるように。すると天弥は左ボディのフェイントからの右ストレートをクリーンヒット。ダウンした葛西に、天弥が上からパウンドを当て続け、最後はバックマウントから右のパウンドを当て続けたところで、梅田レフェリーがストップした。
ライト級王座挑戦権を獲得した天弥は「メイン、どっちが勝とうと、年内やってくれなきゃ、盛り上がらないでしょ、ライト級」とアピールした。
SARAMI、組みで差をみせイェリンに判定勝ち
第11試合 女子アトム級(ノンタイトル戦) 5分3R
○SARAMI(整体北西/王者、修斗女子スーパーアトム級(50kg)世界3位・元王者)※パンクラスイズム横浜から所属変更
×ホン・イェリン[Hong Yerin](韓国/DKジム)
判定3-0 (太田30-27/山崎30-27/荒牧30-27)
SARAMIは34歳。DEEP JEWELSでは富松恵美、前澤智、黒部三奈らと王座戦線でしのぎを削る。ONEのトライアウト出場を経て、20年からは修斗を主戦場とし、21年11月には黒部に勝利し修斗女子世界スーパーアトム級王者に。22年はRIZINで浅倉カンナに敗れ、ラーラ・フォントーラに判定勝ち。昨年5月の修斗で渡辺彩華に2R KO負けし王座陥落する。12月の横浜大会でパンクラスに初参戦し初代女子アトム級王者決定トーナメント一回戦でジェニー・ファンに判定勝ち。今年3月の立川大会での決勝では沙弥子を右フックでわずか48秒でTKO勝ちし2団体制覇を果たした。7月9日には自身のXでパンクラスイズム横浜から離れることを発表していた。新たな所属先となっている「整体北西」は格闘家が多く通う東京・中野の整体院だ。
イェリンは8戦4勝4敗の22歳。キックボクシングをベースとし、19年のパンクラスでのMMAデビュー戦で沙弥子に判定負け。以降は韓国の大会で試合を重ね、昨年2月のブラックコンバットでは大島沙緒里に一本負け。その後一度引退を考えたが、4月のパンクラスで復帰し、ストロー級で同級元王者のKARENと対戦し判定負けした。今回は本来の階級であるアトム級に落とし、現王者との試合が組まれた。
1R、SARAMIは金網に押し込んで右膝、肘を的確に当てて主導権を握る。中盤過ぎ、投げの打ち合いになるが、SARAMIは潰してマウントを奪う。イェリンが暴れると、SARAMIは一旦ハーフに戻り、バックを取る。SARAMIは裸絞め、腕十字を狙う。これらは失敗したが、イェリンの追撃を封じて終える。
2R、イェリンはプレッシャーをかけて素早く動き、右フック、インローを随所で的確に当てる。中盤、SARAMIは右フックをお返しするが、その先につなげられず、イェリンが引き続きパンチと蹴りを当て続ける。だが終盤、パンチの打ち合いの後、SARAMIは胴タックルを仕掛けてテイクダウンに成功する。SARAMIはハーフで押さえ、肩固めのプレッシャーをかけながらパスガードし、右のパウンドを連打し、追い詰めかけて終える。
3R、SARAMIは序盤からタックルを仕掛けて押し込み、中盤には足を掛けて倒し、すぐに上四方で押さえる。終盤、SARAMIはサイドで押さえ続け、ハーフに切り替えてからも随所でパウンドを当て、主導権をキープして終える。SARAMIが3Rともポイントを取り判定勝ちした。
キルギスから初参戦のウルル、バンタム級1位の井村塁を75秒KO
第10試合 バンタム級 5分3R
×井村 塁(ALMA FIGHT GYM PUGNUS/1位、ネオブラッドトーナメント2020同級優勝)
○カリベク・アルジクル ウルル[Kalybek Arzykul Uulu](キルギス/Olymp Gym Bishkek)
1R 1’15” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
井村は25歳。昨年9月大会では河村泰博に1R開始早々にギロチンを極められ一本負け。11月の再起戦では矢澤諒に1R開始早々に裸絞めで一本勝ち。今年3月の立川大会では田嶋椋に判定勝ちし1位に浮上している。次期挑戦者の位置にいるが、王者・透暉鷹(ときたか)がRoad to UFC参戦中のため、今回は海外の選手との試合が組まれた。井村はプロ15戦目にして初の国際戦だ。
アルジクルはMMA 11戦10勝(4KO/4一本)1敗の22歳。同じ中央アジア勢ではタジキスタン人のムハンマド・サロハイディノフが、7月のパンクラス3戦目でフライ級王者の伊藤盛一郎に挑戦した。アルジクルがバンタム級において同様の存在になる予感をさせる試合に。
1R、ウルルはオーソドックスで構え、サウスポーの井村に対し、近い間合いからでも高い角度で足を上げ、右ハイを放ってくる。井村が左インローを放てば、ウルルはかわしてすぐさま右ローを当てる。さらにウルルは左ジャブを振りつつ、右ミドルを強打すると、井村の体が流れる。ウルルはパンチを振りながら組み付くと、ミドルのダメージが残る井村を首相撲で捕まえ、頭を下げさせ、膝蹴りをヒットする。ひるむ井村にパンチと膝を連打する、怒涛の攻めで追い詰める。
井村は片足タックルでしがみついて押し込み、追撃を封じるが、ウルルが井村の側頭部に右肘を当てると、井村は力の抜けてうつぶせ気味に。ウルルは背後で押さえながら左のパウンドを当て続け、鶴和レフェリーがストップした。
マイクを持ったウルルは「パンクラスはレベルが高く素晴らしいです。またパンクラスで試合がしたいです」と話した。
粕谷優介、RTU出場経験者ソンチャンを1R KO
第9試合 ライト級 5分3R
○粕谷優介(CROWN/2位)
×ホン・ソンチャン[Hong SungChan](韓国/コリアントップチーム/8位)
1R 1’36” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
粕谷は34歳。11年の修斗新人王で、UFCでの2戦を経験後、17年からパンクラスに参戦。19年9月のライト級暫定王者決定戦でサドゥロエフ・ソリホンに敗れ、22年4月以降は3連勝していたが、昨年12月のライト級王者挑戦者決定戦では雑賀ヤン坊達也に判定負け。4月の立川大会では久米鷹介に判定負けし2連敗中だ。
ソンチャンも34歳。15戦10勝3敗2無効試合。昨年5月、ROAD TO UFCライト級一回戦でロン・ジュに1R KO負け。4月の立川大会でパンクラスに初参戦し、当時7位の松岡嵩志に判定勝ちしランキング入りした。
試合は粕谷の完勝に。1R、粕谷がサウスポーで構え、距離を取りつつ、左ミドル、ストレート、インロー、ボディストレートを当てる。ソンチャンの右ストレートもスウェー、ブロックで対処する。すると粕谷は左右の前蹴りを当ててから、左ハイをクリーンヒット。続けて粕谷は左ボディも当ててソンチャンを金網際まで下がらせ、左右のストレートを連打してダウンさせると、パウンドで追撃したところで小池レフェリーがストップした。
マイクを持った粕谷は「ちょっと自分でもビックリ。グラップラーなのに」と戸惑いつつ「皆さん、生きてたら、色々あると思うんですけど、頑張りましょう」と話して涙ぐんだ。次戦へのアピールは無かったが、怖さはしっかり印象付ける試合内容だった。
渡邉史佳、デビュー3戦で1位浮上確実に
第8試合 女子フライ級 5分3R
×端 貴代(和術慧舟會AKZA/1位・元王者)
○渡邉史佳(FIGHTER’S FLOW/3位)
判定0-3 (山崎27-30/太田27-30/松井27-30)
端は46歳。21年10月の女子フライ級暫定王者決定戦でNØRIに判定勝ち。その後、シッジ・ホッシャの王座返上で端が正規王者となる、昨年4月の初防衛戦でNØRIに判定勝ち。3月の2度目の防衛戦では重田ホノカに判定負け。さらにドーピング検査の結果、重田と共に興奮剤の陽性反応が出て、80日間の出場停止、ファイトマネーの10%返却のペナルティが科されていた。
渡邉は24歳。昨年3月のライカ戦でプロデビューし判定負けしたが、今年3月の2戦目ではNØRIに判定勝ちしランキング入りしていた。
1R、端が前に出るが、渡邉はステップで距離を取り、右ストレートを的確に当てる。端が組み付くが、渡邉は押し込んで右膝を当てる。離れるとその後も渡邉が右ロー、ストレートを的確に当て続け、端を苦しめる。
2R、渡邉は開始すぐに右のスーパーマンパンチを当てると、さらに右ストレートを当て、端をダウンさせる。渡邉は上になるが、端は追撃を封じる。スタンドに戻り、端は片足タックルで押し込むが、渡邉は耐える。終盤、渡邉は左フックで端からまたもダウンを奪うが、追撃できず、疲れが溜まって来た様子。逆に端はタックルを繰り返し、粘り強さを印象付ける。
3R、渡邉は変わらずパンチを当て続け主導権を維持する。端は倒れないが、タックルに行けず、流れを変えられない。最後、端がタックルで倒すが、すぐ渡邉は立ち、負けん気の強さを印象付け終了する。3Rとも渡邉がポイントを取り判定勝ちした。1位の端に勝ったためランキング1位にアップするのは確実だろう。
KAREN、トラキナスのサブミッションに手を焼くも判定勝ち
第7試合 女子ストロー級 5分3R
○KAREN(THE BLACKBELT JAPAN/2位・元王者、修斗世界5位)
×エジナ・トラキナス(ブラジル/ホシャ・トップチーム)
判定3-0 (山崎29-28/太田29-28/松井29-28)
KARENは21歳。昨年4月にソルトに判定負けし女子ストロー級王座から陥落。9月の再起戦では高本千代に判定勝ち。昨年12月には修斗に初参戦し、パク・ソヨンに1R TKO勝ちした。今年4月の立川大会ではホン・イェリンを相手にテイクダウン・グラウンドコントロールで成長を見せ判定勝ちし3連勝中だ。
トラキナスは18年にパンクラスに初参戦しライカに判定負け。19年9月、女子ストロー級暫定王者決定トーナメント1回戦で藤野恵実と対戦したが、1Rに藤野をパンチで攻めたトラキナスが右手首を負傷し、2R開始時にドクターストップがかかり、不完全決着に終わっていた。その後はブラジルの大会に上がり続け、昨年4月に4年半ぶりにパンクラスに参戦し、藤野に判定勝ちしている。その後はブラジルでの昨年9月、今年6月の試合で判定負けしている。パンクラスから1年離れたためランキング圏外となったが、ランカー相当の実力者なのは間違いない。
試合はトラキナスのサブミッションにKARENが手を焼くも、着実にポイントを稼ぐ展開に。1R、スタンドで見合う状態が続き、お互い慎重だったが、中盤過ぎからトラキナスの左ジャブ、ミドル等の攻撃が当たり出す。終盤、打開を狙ってか?KARENがタックルを仕掛けると、トラキナスは下がって金網を背にしながらギロチンチョークを極める。KARENは苦しそうな表情を浮かべるが、ギリギリでポイントをズラし、最後まで耐えて終える。記者採点はトラキナス。
2Rも見合う状態が続き、中盤、またもKARENがタックルを仕掛けると、トラキナスはギロチンで迎撃するが、KARENはハーフで押さえ、1Rよりも浅い状態を維持する。終盤、ギロチンが外れると、KARENは肩固めを狙う。最後、KARENは上から押さえ続け、肘をコツコツ当てて、印象を作って終える。記者採点はKAREN。
3R、KARENが右ストレートを振ってから、詰めて金網に押し込み、テイクダウンを奪う。KARENは金網際で押さえ続ける。トラキナスは下から腕十字を狙うが、KARENは密着して防御する。残り40秒、ようやくKARENが外すと、少しパウンドを当てる。最後、トラキナスが下から再び腕十字を狙るが、ここでも極まらず終える。記者採点はKAREN。合計29-28でKAREN。ジャッジ3者も同じ採点で、KARENが判定勝ちした。
第6試合 フェザー級 5分3R
×糸川義人(TURNING POINT MMA/11位、ネオブラッドトーナメント2022同級優勝)
○栁川唯人(K-PLACE/12位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
判定0-3 (大藪27-30/中島27-30/廖27-30)
第5試合 ストロー級 5分3R
×野田遼介(ALLIANCE/7位)
○船田侃志[かんじ](和術慧舟會HEARTS/8位、ネオブラッドトーナメント2024同級優勝)
判定0-3 (大藪28-29/中島28-29/廖27-30)
第4試合 バンタム級 5分3R
○安藤武尊[ほたか](和術慧舟會AKZA)
×ギレルメ・ナカガワ[Guilherme Nakagawa](ブラジル/ボンサイ柔術)
判定2-1 (山崎29-28/太田29-28/廖28-29)
第3試合 第30回ネオブラッドトーナメント・フライ級決勝戦 5分3R
×岸田宙大[ひろと](パンクラス大阪稲垣組)
○山崎蒼空[そら](マッハ道場)
判定0-3 (山崎28-29/太田28-29/渋谷28-29)
第2試合 フライ級 5分3R
○時田隆成(トライフォース東中野)
×齋藤桜貴[るき](暁道場)
判定3-0 (大藪29-27/中島29-27/渋谷29-27)
第1試合 バンタム級 5分3R
×友寄龍太(パラエストラ西東京)
○渡邉泰斗(サツキジム横浜)
3R 2’21” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)