パンクラス 4.29 立川ステージガーデン(レポ):黒澤亮平、KO勝ちでストロー級暫定王座獲得し「若林、出てこいよ」。“地獄”健在の久米鷹介、粕谷優介に判定勝ち。佐藤生虎、44歳長岡弘樹との死闘制し大会ベストバウト。KAREN、成長見せ判定勝ち
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PANCRASE 342 – PANCRASE 30周年記念大会 Vol.4
2024年4月29日(月/祝) 東京・立川ステージガーデン
レポート:井原芳徳
黒澤亮平、リトルをKOしストロー級暫定王座獲得し「若林、出てこいよ」
第12試合 メインイベント パンクラス・ストロー級暫定王者決定戦 5分5R
○黒澤亮平(THE BLACKBELT JAPAN/2位、元修斗同級世界王者)※パラエストラ松戸から所属先名称変更
×リトル(HIDE’S KICK!/4位)
2R 3’17” KO (右ストレート)
※黒澤が暫定王者に
パンクラス・ストロー級王座は第3代王者の山北渓人がONEに専念するため昨年5月に返上して以降空位となっていたが、今回は正規王者ではなく暫定王者の決定戦が組まれた。
元修斗世界同級王者の黒澤は昨年7月からパンクラスに初参戦し、小林了平に1R KO勝ちすると、9月の2戦目では王座挑戦経験のある2位の八田亮に判定勝ちし、4位から2位にアップした。リトルは14年からパンクラスに上がり、昨年は3月に植松洋貴と引き分けたが、11月には寺岡拓永に判定2-1で勝利している。
3月21日のカード発表記者会見で、黒澤は“暫定”王者決定戦となることについて「僕は不満があって、それは1位(=若林耕平)が腑抜けなんで仕方ないんですけど、だからこそリトル選手とタイトルマッチ決まったのはすごいうれしいなと思ってます。なのでこの試合、僕の中では、勝った方が正規(王者)、その選手が防衛するなら防衛戦、っていう勝手な気持ちではあります」と不満を述べていた。
試合は黒澤の完勝に。1R、開始早々から黒澤が左ジャブ、右ストレートを立て続けに当てる。リトルは押され気味であるが倒れると、タックルを仕掛けて追撃を逃れようとする、黒澤はタックルを切りながらリトルの背後に回り、金網際の場所で倒してバックマウントを奪い、パウンドを時折当てる。中盤、黒澤はバックキープし、終盤、リトルが立っても押し込む。離れると、前に出るリトルから黒澤が距離を取りつつ、左ジャブをヒットする。残り30秒、リトルのタックルを潰し、黒澤は上になると、パウンドを当て、主導権を維持して終える。
2R、リトルの片足タックルを黒澤は切り、打撃戦で左ジャブを的確に当て続ける。リトルもパンチで応戦するが空振りが続き、次第に口が開き、早くもしんどそうな様子を見せる。中盤も黒澤は距離を取り左ジャブを随所でヒット。すると終盤、黒澤は左右のボディフックの連打でリトルを下がらせてから、右ストレートをクリーンヒット。リトルは大の字で倒れ、黒澤のKO勝ちとなった。
暫定王者のベルトを巻いた黒澤は「僕、格闘技が大好きで、辞めようと思ったこともあったんですけど、辞められず続けています。だから『今はできない』と何回も断って来た奴のせいで、このベルトが暫定王座なことにムカついています。若林、出てこいよ」とアピールし、1位の若林との正規の王座戦を希望した。
なお、黒澤はチャンピオンシップの勝者ボーナス、今回のベストフィニッシュ賞のボーナスをダブルで獲得している。
久米鷹介、王座陥落から1年後の再起戦は粕谷優介に判定勝ち
第11試合 コーメインイベント ライト級 5分3R
×粕谷優介(CROWN/1位)
○久米鷹介(ALIVE/3位、元王者)
判定0-3 (大藪27-30/山崎27-30/中島27-30)
粕谷はUFCでの2戦を経験後、17年からパンクラスに参戦。19年9月のライト級暫定王者決定戦でサドゥロエフ・ソリホンに敗れ、22年4月以降は3連勝していたが、昨年12月のライト級王者挑戦者決定戦では雑賀ヤン坊達也に判定負けした。雑賀は3月31日の立川大会で王者・アキラを1R KOしてベルトを獲得すると、5月の上海でのRoad To UFCでのキ・ウォンビン(韓国/元GLADIATORライト級王者)との非トーナメント戦という大チャンスにつなげている。
対する久米は昨年4月の立川大会でのライト級王座統一戦で、当時暫定王者だったアキラに判定1-2で惜敗して以来の再起戦となる。3月のカード発表会見で、久米は「前回からもう1年近く空くんですけども、その間も練習はずっとできました。試合が決まりそうなシーンもありながらでしたけど、逆に決まらないことで、冷静に自分の技術だったり、体に向かい合うことができました」と話しており、今回も衰え知らずの“久米地獄”を見せることに。
1R、粕谷がサウスポー、久米がオーソドックスで構え、久米が詰めて左のショートアッパーを当て、左の前足狙いのカーフも当てる。粕谷も詰めてワンツーで右フックを返し、左ミドルも当てる。均衡状態が続いたが、終盤、久米は右の三日月蹴りを当ててから、左脇を差した状態で粕谷を金網に押し込む。粕谷も抵抗して倒させないが、久米が随所で右のパンチも当て、主導権を維持する。久米がポイントを先取する。
2R、久米はまたも押し込み、両脇を差して膝を当てる。粕谷が体を入れ替えようとしても、すぐに押し返す。終盤、膠着すると高本レフェリーがブレイクするが、1分を切り、久米が右の三日月蹴りを当てると、少し粕谷が苦しそうな様子で後退した隙を逃さず、久米がタックルを仕掛けてテイクダウンに成功する。下になった粕谷は足を効かせて脱出を図るが、久米は反応して背後に回り込み、バックマウントからパウンドを当て続けて追い詰める。途中まで粕谷も粘ったが、終わってみれば久米のラウンドに。
3R、久米はワンツーのパンチを放ってからタックルを仕掛け、倒せなければすぐに見切をつけて離れる。後の無い粕谷も前に出て来るが、久米は回って距離を取ってから、片足タックルを仕掛ける。これで倒せなかったが、粕谷を金網際まで下がらせることに成功すると、久米はすぐさま両足タックルを仕掛け、今度はテイクダウンに成功する。中盤、久米は金網際でトップキープし、背後に回り込む。終盤、粕谷は立って離れると、待ってましたとばかりにパンチを振うが、逆に久米が左フックを当てて粕谷をひるませる。粕谷はタックルで追撃を封じ、今度は金網際でトップキープし、ようやく流れを変えることに成功し、パウンドを少し当てるが、ダメージは多く与えきれず、久米が逃げ切る形で終える。記者採点は久米。ジャッジ3者も久米を支持する。3Rとも久米がポイントを取り判定勝ちした。
マイクを持った久米は「ヤン坊選手、Road To UFCで勝ってきてください」と王者にエールを送り、「もうちょっとがんばりたいです。自分のことを心配してくれる方々が多いと思うんで」と話すと涙を流し「みんなのおかげで続けることができていると思います。ありがとうございます」と感謝の言葉を続けた。
佐藤生虎、長岡弘樹との大会ベストバウトの死闘制す
第10試合 ウェルター級 5分3R
○佐藤生虎[しょうご](UNITED GYM TOKYO/5位)
×長岡弘樹(DOBUITA/元GRANDウェルター級王者)
判定3-0 (大藪29-28/荒牧29-28/中島29-28)
佐藤は30歳。柔道をベースとし、中村K太郎率いるUNITED GYM TOKYOに所属する。昨年7月のデビュー戦から3戦連続で1分半以内でKO勝ちしており、12月の横浜武道館大会では元GRANDウェルター級王者でRIZIN参戦経験もある川中孝浩をサウスポーからの左ストレートでダウンさせると、パウンドラッシュで粉砕した。
長岡は01年にパンクラスでデビューした44歳のベテラン。22年12月、6年ぶりにパンクラスに上がり村山暁洋に判定負けし、昨年3月には髙橋攻誠に判定負けしている。
新鋭対ベテランの一戦は、ベテランの長岡の粘りが光る好勝負に。1R、両者サウスポーで構え、佐藤が左フックを振り続けて倒しにかかる。中盤、金網際での押し合いになり、離れれば佐藤が左フックを当てる。終盤、佐藤は右ジャブを絡めつつ、左フックも度々当てる。長岡も右ジャブを返し、被弾しても首を振って「効いていない」と言わんばかりのアピールをするが、佐藤は首相撲の展開から、離れ際に右肘と左フックを連打し、さらにダメージを与える。記者採点は佐藤。
2Rは一進一退の展開に。佐藤がパンチの連打で詰めるが、長岡は金網際で対処し、中盤、タックルを仕掛け、片足タックルから足をすくって倒し、背後から制して挽回する。佐藤は立つと、長岡が背後に回る動きをかわしつつ、アームロックを仕掛けて、そのまま倒してグラウンドでバックを取り主導権を奪い返す。だが長岡はその先を許さず、スタンドに戻し、金網に押し込み、またも片足タックルから倒して上に。長岡はハーフで押さえ、パウンドを当て、主導権を維持する。記者採点は長岡。
五分で迎えた3R、長岡が佐藤を押し込むが、佐藤は離れ際に左肘を当て、パンチの連打につなげる。それでもしつこく長岡は組み付き、佐藤はパンチと肘を当てるが、長岡は耐える。終盤、どちらも消耗が激しい中でも、長岡はタックルを仕掛けるが、佐藤は耐えて突き放し、最後は両者ノーガードでパンチを打ち合い、場内を沸かせて終える、記者採点は佐藤。合計29-28で佐藤。ジャッジ3者も佐藤を支持し、佐藤が判定勝ちした。
マイクを渡された佐藤は「めっちゃしんどいっす。勝って良かったっす。また応援お願いします」とだけ話しリングを降りた。なお、この試合は今大会のベストバウト賞に選ばれ、パンクラスから賞金が授与されている。
KAREN、テイクダウン&コントロールで成長見せ判定勝ち
第9試合 女子ストロー級 5分3R
○KAREN(THE BLACKBELT JAPAN/2位・元王者、修斗世界4位)※パラエストラ柏から所属先名称変更
×ホン・イェリン[Hong Yerin](韓国/DKジム)
判定3-0 (出口30-27/荒牧30-27/中島30-27)
KARENは22年12月にソルトに判定負けし、昨年4月のソルトとの再戦でも判定負けし女子ストロー級王座から陥落した。9月の再起戦では高本千代に判定勝ち。昨年12月には修斗に初参戦し、パク・ソヨンに1R TKO勝ちした。今回の相手も韓国の選手となった。
イェリンはMMA 7戦4勝3敗の21歳。キックボクシングをベースとし、19年のパンクラスでのMMAデビュー戦で沙弥子に判定負け。以降は韓国の大会で試合を重ね、昨年2月のブラックコンバットではDEEP王者の大島沙緒里を迎え撃ち一本負けしている。その後一度引退を考えたが、今回約1年ぶりに復帰した。
試合はKARENが今のジムに移籍後1年の成長を示す内容に。1R、スタンドでケージ中央付近で打撃戦が続き、中盤過ぎからイェリンがKARENを金網に押し込むが、終盤にKARENが押し返すと、足へのタックルを仕掛けて倒す。イェリンは下から三角絞め、腕十字を狙うが、KARENは対処して極めの形に入らせず、時折鉄槌と肘を当てる。記者採点は僅差だがテイクダウンとトップキープとパウンドで印象付けたKAREN。ジャッジ3名ともKARENにつける。
2Rも打撃戦の後、中盤の段階でKARENがタックルを仕掛けテイクダウンに成功する。KARENはセコンドの鶴屋浩氏、浅倉カンナの近くのケージ際で押さえ続け、アドバイスを聞きながら、パウンドや肘やボディへの膝で攻め続ける。記者採点もジャッジ3者もKAREN。
3R、KARENは序盤から片足タックルで倒して上になり、ハーフで押さえながら右肘を当てる。中盤、KARENは右手でイェリンの腕を抱え、防御しにくい形にしつつ、ハーフバックの状態から左のパウンドを強打する。終盤、KARENは後ろから制し、右手でのパウンドを連打するように。イェリンは耐えながら下から足関を狙うが、KARENは対処しながらパウンドを当て続ける。最後はKARENはバックマウントを奪い、裸絞めを狙って追い詰めて終える。記者採点もジャッジ3者もKAREN。合計30-27でKARENが判定勝ちした。勝ち名乗りを受けたKARENはTeam DATE時代から変わらないポーズで浅倉と重田ホノカと共に記念撮影した。
RTU出場経験者のホン・ソンチャンが初のパンクラスで白星
第8試合 ライト級 5分3R
×松岡嵩志(パンクラスイズム横浜/7位)
○ホン・ソンチャン[Hong Sungchan](韓国/コリアントップチーム)
判定0-3 (出口28-29/荒牧27-30/松井28-29)
松岡は昨年4月大会で岡野裕城に判定勝ちしたが、9月大会では岡野のマッハ道場の後輩・葛西和希に判定負けした。今回キャリア初の国際戦だ。ソンチャンはMMA 14戦9勝(3KO/1一本)3敗2無効試合の34歳。昨年5月、ROAD TOUFCライト級一回戦でロン・ジュに1R KO負けしたが、初のパンクラスで実力の高さを示す。
1R、ソンチャンが開始すぐから松岡を金網に押し込む展開を繰り返し主導権を握るが、その先のパンチやテイクダウンには持ち込めない。終盤、松岡は離れると、ソンチャンのプレッシャーをかわしつつ、右のカーフを連打するが、まだソンチャンをひるませるほどにはならず、最後は金網際で組み合って終わる。記者採点は僅差だがソンチャン。ジャッジは割れ、1者が松岡、2者がソンチャンにつける。
2R、ソンチャンは序盤からテイクダウンを奪い、立たれても金網に押し込む。松岡が押し込む側になる場面もあるが短く、ソンチャンが長時間押し込む。終盤にはソンチャンがテイクダウンを奪い、主導権を維持する。記者採点もジャッジ3名もソンチャン。
3R、ソンチャンが随所でパンチを当て、押し込んで主導権を維持する。中盤過ぎから、松岡も打合いでパンチを返し、右カーフを当てていると、ソンチャンもしんどそうになる。終盤、松岡は左フック、ジャブを当てるが、残り1分を切り、ソンチャンがタックルでテイクダウンを奪う。松岡は立つが、ソンチャンに押し込まれ続け終了する。記者採点は僅差だがソンチャン。ジャッジは割れ、1者が松岡、3者がソンチャンにつける。合計27-30でソンチャン。ジャッジ3者もソンチャンを支持し、ソンチャンが判定勝ちした。
44歳の砂辺光久、フライ級での復帰戦は前田浩平に完敗
第7試合 フライ級 5分3R
×砂辺光久(reversaL Gym OKINAWA CROSS×LINE/元パンクラス・ストロー級・フライ級・スーパーフライ級王者)
○前田浩平(GRABAKA)
判定0-3 (出口27-30/太田27-30/松井27-30)
44歳のベテラン砂辺は、19年7月に北方大地にTKO負けし、ストロー級王座から陥落して以来、5年ぶりのパンクラス出場。その後はRIZINで前田吉朗、中務修良に敗れ、約2年ぶりの試合となる。前田は28歳。昨年3月に今井健斗に判定勝ちしたが、7月にジョセフ・カマチョに、11月に萩原幸太郎に判定負けし2連敗中だ。
砂辺は今回、1階級上のフライ級で出場したが、若い前田のパワーとスピードに苦戦することに。1R、序盤から前田がサウスポーからの左ミドルを当てると、砂辺の右ミドルをつかんで倒して上になり先手を取る。中盤、前田は一旦立って、パウンドを振りつつパスガードし、サイドを取ってから肩固めを仕掛ける。砂辺が対処すれば、前田は背後に回り、立たれても後ろからしがみつく。残り1分を切り、砂辺が押し返すが、前田が足を掛けて倒し、金網際でがぶって押さえ、パウンドを連打して終える。
2R、前田が左ミドルを当ててから組み付き、1分足らずでテイクダウンに成功する。前田は立たれても背後でしがみつき、砂辺のお株を奪うかのようにジャーマン気味に投げ、グラウンドでバックマウントをキープする。終盤、前田は裸絞めを狙い、パウンドを当て、主導権を維持する。前田に8-10がついても不思議ではないぐらいの内容に。
3R、砂辺は前に出て、右フック、飛び膝を放つ場面もあるが、前田はかわし、自分の左右のフックをしっかり当てる。最後は前田がタックルで倒し、上で押さえ、反撃を封じて終える。前田が3Rともポイント取り判定勝ちした。
第6試合 ストロー級 5分3R
○寺岡拓永(ROAD MMA GYM/7位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
×氏原魁星(ボンサイ柔術)
判定3-0 (山崎29-28/太田29-28/松井29-28)
第5試合 フェザー級 5分3R
○糸川義人(TURNING POINT MMA/13位、ネオブラッドトーナメント2022同級優勝)
×櫻井裕康(NEVER QUIT)
判定3-0 (山崎30-27/太田30-27/大藪30-27)
第4試合 バンタム級 5分3R
×坂本瑞氣(RIGHT THING ACADEMY)
○谷内晴柾(BLUE DOG GYM)
2R 1’55” TKO (レフェリーストップ:グラウンドでの肘打ち連打)
【プレリミナリーファイト】
第3試合 第30回ネオブラッドトーナメント フライ級 2回戦 5分3R
○饒平名知靖[よへな ちせい](K太郎道場)
×名久井悠成(ANSWER FIGHT)
判定3-0 (荒牧30-27/中島30-27/大藪30-27)
第2試合 第30回ネオブラッドトーナメント フライ級 2回戦 5分3R
○山崎蒼空[そら](マッハ道場)
×AXEL RYOTA(ロータス世田谷)
2R 0’22” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
第1試合 フライ級 5分3R
○田中亮祐(UNITED GYM CHIBA)
×齋藤桜貴 (暁道場)
2R 0’56” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)