パンクラス 12.24 横浜武道館(レポ/前半):平田直樹、亀井晨佑に判定勝ちしフェザー級上位進出へ。高橋遼伍×キム・サンウォンは負傷判定ドロー。Ryo、逆転一本勝ち「最後の1秒まであきらめちゃいけないってことなんだよ」
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PANCRASE 340 ~PANCRASE 30周年記念大会 Vol.2~
2023年12月24日(日)神奈川・横浜武道館
レポート:井原芳徳
写真:KEISUKE TAKAZAWA(FIGHT GRAPH)(リングサイド)、井原芳徳(スタンド)
※第9試合以降の後半戦は別記事に掲載します。
平田直樹、亀井晨佑を寝技で圧倒し判定勝ちしフェザー級上位進出へ
第8試合 フェザー級 5分3R
×亀井晨佑[しんすけ](パラエストラ八王子/2位、ネオブラッドトーナメント2018同級優勝)
○平田直樹(トライフォース柔術アカデミー/5位)※フリーから所属変更
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
9月の立川大会のメインイベントでは第10代フェザー級王者決定戦が行われ、亀井は新居すぐるを打撃で苦しめたものの、タックルで倒されると、ヘッドシザースを極められ一本負けし、王座奪取とはならなかった。
平田樹の兄・直樹はDEEPや海外大会での経験を経て今年からパンクラスに参戦し3連勝中で、4月に渡辺謙明に、7月に糸川義人にフィニッシュ勝利すると、9月大会では遠藤来生に判定勝ちしている。
試合は平田の組み技スキルが存分に発揮される展開に。1R、亀井が距離を取って蹴りを打ち続けるが、平田が左ミドルをすくってからタックルを仕掛け、金網に押し込む。中盤には平田が倒して、ハーフでガッチリと押さえてからマウントに移行する。終盤、平田はハーフに戻る。残り1分を切ると、亀井が立つが、平田は飛びついてギロチンを仕掛けて終える。
2R、またも平田は亀井の打撃に対処しつつ、序盤からテイクダウンに成功する。平田はハーフで押さえ続けると、残り30秒を切ってからバックを奪い、裸絞めを狙い、最後は肘を落として終える。
3Rも平田が序盤から押し込んで倒し、グラウンドコントロールを続けると、最後は腕十字を狙い、亀井が防御して終了。平田が3Rともポイントを取り完勝し、来年の王座挑戦に大きく前進した。
高橋遼伍×キム・サンウォンの好カードは3R負傷判定ドロー
第7試合 フェザー級 5分3R
△高橋遼伍(KRAZY BEE/元修斗環太平洋王者)
△キム・サンウォン(韓国/コリアントップチーム/8位、元Double G王者)
3R 負傷判定1-1 (梅木28-30/荒牧30-28/出口29-29)
(24年1月15日追記)審議の結果、サンウォンの3R TKO勝ちに変更となった。詳細はこちらの記事参照)
高橋は34歳。11年にプロMMAデビューし、16年11月に平川智也にKO勝ちし修斗環太平洋フェザー級王座を獲得。17年10月に青井人に判定勝ちし初防衛した。膝の手術のため18年4月に王座を返上。19年5月の復帰後、1試合だけ修斗で試合をしたが、6試合ONEで戦い、ONEでは2勝4敗。昨年3月のアミール・カーン戦、10月のオ・ホテク戦と、得意のカーフキックを効かせたが、不可解な裁定で判定1-2で敗れる試合が続いていた。今回1年ぶりの試合でパンクラスに初登場する。
サンウォンはMMA戦績18戦11勝6敗1分の30歳。韓国のDouble Gのフェザー級王座を獲得した実績があり、20年のグアムでの試合では伊藤空也にTKO勝ち。今年5月のRoad To UFCフェザー級一回戦では、修斗世界フェザー級王者のSASUKEを2R右フックでKOした。準決勝では昨年RTUでSASUKEと松嶋こよみに勝った実績のあるイー・ジャーに判定負けした。11月12日のニューピア大会でパンクラスに初参戦すると、当時フェザー級7位の名田英平を打撃でもグラウンドでも圧倒して判定勝ちした。約1か月間隔で再びパンクラスに登場した。
両者ノーランカーのため、試合順はこの位置だが、海外で実績のある選手同士の好カードだった。しかし試合は不完全燃焼な決着となってしまう。
1R、サンウォンが右ストレートを当てる場面もあるが、高橋が右カーフ、フック等、ヒット数でやや上回る印象だ。記者採点は高橋だが、ジャッジは2者が高橋、1者がサンウォンと割れる。
2R、サンウォンが序盤に左ジャブ、右ストレートを当てていると、高橋は右まぶたをカットして出血する。だが高橋も中盤までヒット数ではほぼ五分を維持し、最後はパンチのヒットを増やして巻き返す。記者採点はサンウォン。ジャッジは1者が高橋、2者がサンウォンと割れる。
3R、開始すぐ、高橋の右まぶたのドクターチェックが入り、ストップがかかってしまう。梅木良則審判部長はマイクを持つと「1Rの偶発的なバッティングで高橋選手が右目を負傷し、その後の試合展開で悪化し、ドクターが続行不可能と判断しました。アクシデントによるドクターストップで、ここまでの内容で判定します」と説明した。その結果、三者三様のドローとなった。記者採点は3R目は10-10のイーブンで合計29-29でイーブン。
Ryo、逆転一本勝ち「最後の1秒まであきらめちゃいけないってことなんだよ」
第6試合 フェザー級 5分3R
○Ryo(グランドスラム/RINGS/6位、元THE OUTSIDER 70-75kg級王者)
×栁川唯人(K-PLACE/11位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
3R 0’33” 腕ひしぎ十字固め
Ryoは20年にパンクラス参戦以降は3連勝し、21年9月からは中田大貴、岩本達彦、遠藤来生、田村一聖相手に4連敗を喫したが、今年7月のニューピア大会では名田英平に判定勝ちした。
栁川は23歳。プロ4戦4勝(1KO/3一本)。昨年10月にNEXUSでプロデビューし2連勝後、今年はパンクラスに参戦しネオブラッド・トーナメント・フェザー級にエントリーする。一回戦はわずか50秒でスラムでKO勝ちし、決勝は90秒腕十字で一本勝ちし優勝しランキング入り。早速パンクラス恒例、ネオブラ優勝者への上位ランカーとのご褒美マッチが用意された。
試合は大会前半のベストバウトと言っていい劇的な展開に。1R、柳川がRyoを金網に押し込んで肘を当て、首投げで倒し、終盤には右ハイでダウンを奪い、パウンドで追い詰める場面も作り、優位に試合を運ぶ。
2R、中盤までRyoがバック肘を当て、テイクダウンを奪ってバックも奪い、先手を取るが、中盤以降は柳川がバックを奪い返して挽回する。一進一退の激戦となり、ジャッジは割れる。
3R、開始すぐに柳川が、Ryoを股の下から抱え上げて倒す。だがRyoはトップキープさせずにすぐ脱出すると、すぐに柳川の腕をつかんで、腕十字を仕掛けると、これがガッチリと極まり、見事逆転一本勝ちに成功した。
Ryoはマイクと持つと「日本の格闘技はパンクラスが一番なんです。それを証明したいんです。皆さん応援してください」「みなさんに言いたいのは最後の1秒まであきらめちゃいけないってことなんだよ」とアピールし、観客の拍手を浴びた。退場時にはケージサイドで観戦していた前田日明リングス代表の元にRyoが歩み寄り勝利を報告した。
サロハイディノフがパンクラス参戦2連勝
第5試合 フライ級 5分3R
○ムハンマド・サロハイディノフ(タジキスタン/カトランジム/5位、IMMAF 2022 世界選手権フライ級優勝)
×松井斗輝(パラエストラ柏/8位)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
サロハイディノフはパンクラスも協力しているIMMAFアマチュアMMA世界大会で優勝経験もある22歳。中央アジアのタジキスタン出身で、レスリング能力と豊富なスタミナが強み。9月のパンクラスがプロデビュー戦だったが、フライ級5位の秋葉太樹を圧倒して2R TKO勝ちし、素質の高さを印象づけた。
松井は24歳。兵庫出身で子供の時にグローブ空手を始め、中学からはボクシングを習い、国体で3位入賞。大学時代に見たRIZINでの朝倉兄弟の活躍に影響を受けMMA転向を決意し、大学を中退してパラエストラ千葉ネットワーク(CNW)に加入。21年にプロデビューしGRACHANで4連勝後、今年からパンクラスに上がり、3月に佐々木亮太を、7月に大塚智貴に勝利し、プロ6連勝中だ。
1R、サロハイディノフがタックルでのテイクダウンを繰り返し主導権を握る。その先の攻めは少ないが、松井は目立つ攻撃が返せない。
2R、サロハイディノフが序盤からタックルで倒すが、ここでも松井が先の攻めを許さずスタンドに戻す。サロハイディノフは疲れが見え
始め、タックルが不発となり、下がり気味になるが、随所で左右のフックを当てて印象を作る。
3R、インターバルで体力回復したサロハイディノフは、テイクダウンを繰り返し、立たれてもコントロールを続け主導権を維持し、点差を広げ判定勝ちした。
美木航、近藤有己をグラウンドで完封
第4試合 71.5kg契約 5分3R
×近藤有己(パンクラスイズム横浜/元ミドル級・ライトヘビー級・無差別級王者)
○美木 航(NATURAL9)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
近藤は48歳。93年のパンクラス旗揚げ直後にパンクラスに入門し96年にデビュー。その年から鈴木みのる、セーム・シュルト、フランク・シャムロックに勝利し、ゼロ年代には菊田早苗らGRABAKA勢やジョシュ・バーネットらと好勝負を繰り広げ、PRIDEではヴァンダレイ・シウバやダン・ヘンダーソンとも戦った。パンクラスでは2010年までに3階級で王座を獲得。その後はウェルター級での戦いが中心となり、19年以降は年1~2試合ペースながらも戦い続けてきた。最近のパンクラスでは昨年4月に鈴木一史に判定勝ち。今年7月のニューピア大会では佐藤豪則相手に3Rに挽回するも判定負けしている。今回はライト級に近い71.5kg契約で出場する。
美木は43歳。宇野薫、岡見勇信らを輩出した和術慧舟會東京本部出身。04年にデビューし、修斗や慧舟會主催大会に出場。12年11月の矢地祐介との修斗環太平洋フェザー級王者決定戦では判定負け。16年4月の修斗での青井人戦で引き分けて以降は試合をしていなかったが、復帰を目指し、2年前から練習を再開していた。
1R、近藤のパンチのタイミングで、美木がタックルを仕掛けて倒して上になる。美木が最後までハーフで押さえ続けて終える。
2Rも開始すぐに美木がタックルで倒して上になる。美木は押さえ続け、時折パウンドや肘を当て主導権を維持する。
3R、またも美木がテイクダウンを奪うと、中盤にはバックマウントを奪い、その後もトップをキープし、点差を広げ判定勝ちした
第3試合 バンタム級 5分3R
○田嶋 椋(OOTA DOJO/5位・元暫定王者、ネオブラッド・トーナメント2022同級優勝&MVP)
×笹 晋久(パラエストラ柏/6位、修斗2017同級新人王)
判定3-0 (山崎29-28/出口29-28/大藪29-28)
田嶋は24歳。21年のネオブラッドトーナメントでプロデビューし準決勝で風間敏臣に1R一本負け。以降は5連勝し、昨年12月の横浜大会ではTSUNEに4R TKO勝ちしバンタム級暫定王者となったが、今年4月の正規王者・中島太一との王座統一戦では5Rともポイントを取られ判定負けした。
笹は33歳。17~18年は修斗を主戦場とし、1年半のブランク後はDEEPで4戦し3勝1敗。昨年からのHEAT、GLADIATORでの試合を経て、今年4月にパンクラスに初参戦したが、田中路教に判定負け。9月大会ではバンタム級4位の矢澤諒を組み主体の展開で圧倒し判定勝ちしランクインした。
1R、田嶋が押し込み、打撃戦でやや優位に進め、ポイントを先取する。笹もテイクダウンを奪うがトップキープに留まる。
2R、序盤に田嶋は笹に倒されるが、すぐ返して上からパウンドをまとめて印象を作る。だが中盤以降、笹が金網際で田嶋を押さえ続け、田嶋は返せず、印象を悪くする。ジャッジは2名が田嶋、1名が笹と割れる。
3Rも金網際での組み合う時間が長くなるが、笹は組み際に膝を当てる場面も。笹に3Rにつけたジャッジもいたが、逆転にはつながらず、田嶋の判定勝ちとなった。
第2試合 ウェルター級 5分3R
×川中孝浩(BRAVE/元GRAND王者)
○佐藤生虎[しょうご](UNITED GYM TOKYO)
1R 1’21” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
川中は33歳。10年度のDEEPフューチャーキングトーナメントで優勝し、11年にDEEPでデビューし、14年以降はGRACHANを主戦場にする。21年11月のRIZIN TRIGGERではストラッサー起一に一本負け。昨年は5月のGRACHANで長岡弘樹に判定勝ちしGRANDウェルター級王座を獲得。12月には過去DEEPで敗れている渡辺良知に膝十字固めで一本勝ちしリベンジした。現役キャリアの後期にさしかかり、新たなチャレンジを求めてGRAND王座を返上。9月大会でパンクラスに初参戦したが、押忍マン洸太の右ハイで1R KO負けしていた。
佐藤は30歳。柔道をベースとし、中村K太郎率いるUNITED GYM TOKYOに所属する。7月のデビュー戦で伊藤丈皓に61秒TKO勝ちすると、9月大会のプレリミナリーでは渡邉ショーンを左ストレートからのパウンドでわずか35秒で粉砕し、3戦目で経験豊富な川中の相手に抜てきされた。
1R、スタンドの打撃戦で、両者サウスポーで構え、佐藤が左ストレートをクリーンヒットしダウンを奪う。佐藤は上になると、パウンドを当て続けてフィニッシュした。マイクを持った佐藤は「来年ベルト取りに行くんで応援よろしくお願いします」とアピールした。
第1試合 プレリミナリーファイト フライ級 5分3R
○眞藤源太(KINGCRAFT)
×梅原規祥[みさき](リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
1R 1’51” 裸絞め