パンクラス 11.12 ニューピア(レポ):40歳 松本光史、連敗2でストップ。井村塁、矢澤諒に逆転一本勝ち。Road To UFCでSASUKEをKOしたキム・サンウォン、パンクラス初戦で完勝。三宅輝砂が一本勝ち。重田ホノカ、ライカ圧倒し端貴代の王座に接近
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PANCRASE 338/339
2023年11月12日(日) 東京・ニューピアホール
PANCRASE 339(夜)
40歳になった松本光史、連敗2でストップ
第8試合 メインイベント ライト級 5分3R
○松本光史(M PLATIC/4位、元修斗世界同級王者)
×西尾真輔(宇留野道場/9位、ネオブラッドトーナメント2022同級優勝)
判定3-0 (大藪30-27/山崎30-27/梅木30-27)
松本は昨年9月のライト級暫定王者決定戦でアキラにTKO負け。4月大会では計量で1ポンドオーバーしたヌルジャノフ・ルスタムベックと対戦し、2R KO負けを喫し2連敗中だ。7月12日には40歳になった。
西尾はZSTでキャリアを積んだ後、昨年からパンクラスに参戦。芳賀ビラル海にKO勝ちし、平信一に一本負けし、最近では3月にDARANIに1R TKO勝ちしている。
1R、スタンドでパンチ主体の攻防が続いた後、中盤、松本がタックルで倒し、ハーフガードで押さえる。終盤もハーフをキープしてから、サイド、上四方に移り、最後はパウンドをまとめて終える。松本はパワーで勝る西尾を手堅く押さえるような試合運びだ。
2R、松本が西尾を金網に押し込むと、西尾はギロチンを狙いながら引き込むが、松本は頭を引き抜き、ハーフで押さえる。このラウンドも最後にサイドに移行し、鉄槌を時折当て主導権を維持する。
3R、松本が右フックを当て、西尾のパンチに合わせてタックルを仕掛け、またも倒して押さえる。終盤、松本は西尾のブリッジに合わせてバックマウントを奪い、足4の字ロックでしっかり捕獲し、パウンドを時折当て、最後は裸絞めを仕掛けて終了する。松本が3Rともポイントを取り判定勝ちし、連敗脱出に成功した。
井村塁、矢澤諒の打撃に苦しむも逆転一本勝ち
第7試合 コーメインイベント バンタム級 5分3R
○井村 塁(ALMA FIGHT GYM PUGNUS/2位、ネオブラッドトーナメント2020同級優勝)
×矢澤 諒(パンクラスイズム横浜/6位)
1R 1’10” 裸絞め
井村は20年ネオブラMVP。21年末から中島太一、TSUNEのベテラン勢に連敗後、平田丈二、佐久間健太に連勝し、今年4月には元修斗環太平洋バンタム級王者の石井逸人に判定勝ちした。だが9月の立川大会ではNexus同級王者の河村泰博のダースチョークで秒殺一本負けした。
矢澤は昨年10月から今年4月の半年で、漆間將生、木本海人、ジェイク・ムラタを3連続1R KOし、バンタム級4位まで浮上したが、9月の立川大会では笹晋久に判定負けした。井村も矢澤も2か月弱の間隔で早速再起戦が用意され、井村が上位ランカーの強さを示す。
1R、矢澤は開始すぐに前に出て、右ストレートを当てて先手を取り、パンチラッシュで井村を後退させる。井村が片足タックルで矢澤を捕まえるが、矢澤は片足立ちのまま切り続けて突き放すことに成功する。矢澤はガムシャラにパンチを振い、左右のフックを当て、井村にダメージを蓄積させる。だが矢澤のラッシュの勢いが少しずつ落ちて来ると、井村は左フックを当て返してから、またも片足タックルを仕掛け、今度は簡単にテイクダウンに成功する。矢澤は金網際で立って脱出しようとしたが、背中を向けてしまうと、井村がバックマウントを取り、裸絞めを極めてタップを奪い、逆転勝ちに成功した。マイクを持った井村は「来年、楽しみにしてください」とアピールした。
ROAD TO UFCから帰還の丸山数馬が判定勝ち
第6試合 ライト級 5分3R
×平 信一(綱島柔術/ZST/9位、元ZST同級王者)
○丸山数馬(Tri.H studio/ネオブラッドトーナメント2015ウェルター級優勝)
判定0-3 (大藪28-29/荒牧28-29/中島28-29)
平と丸山は21年6月に対戦し、丸山が判定勝ちしている。その後、平は粕谷優介に敗れたが3勝1敗で、昨年10月の西尾真輔戦、今年3月の余勇利戦と2連勝中だ。
丸山は平戦の次の伊良波心戦でも勝利して3連勝とし、ランキングにも入っていた。昨年3月、カナダのBTCでメインイベントに登場したが、地元カナダの選手に判定負け。5月のROAD TO UFCではキム・サンウクに1Rダースチョークで一本負け。海外で2連敗し、パンクラスに戻って再浮上を図る一戦となる。
1R、丸山は平を長時間金網に押し込んでテイクダウンを狙う。終盤、平が抜けて片足タックルを仕掛けるが、丸山は耐える。離れると、平が右フックを当てたが、またも丸山が押し込み、最後はタックルでのテイクダウンや右カーフキックで攻めて終える。記者採点もジャッジ3者も丸山。
2R、開始すぐのパンチの打ち合いで、平が右フックを当ててダウンを奪う。平は金網際でハーフで押さえ、立たれてもすぐに肩で抱え上げて倒して、またも上になる。平は押さえ続け、終盤、丸山に立たれても、しがみついて押し込む等して主導権を維持する。記者採点もジャッジ3者も平。
五分で迎えた3Rだが、攻め疲れの見えて来た平に対し、丸山が開始すぐにタックルを仕掛けて倒し、金網際でコントロールを続ける。サイドバッグから鉄槌を当てる場面も。立たれても丸山が倒し、終盤にはサイドを奪う。丸山はハーフで押さえるなどして優位を維持し終了。記者採点もジャッジ3者も丸山。合計28-29で丸山。丸山が判定勝ちし、ライト級ランキング復帰が確実となった。
第5試合 ミドル級 5分3R
○佐藤龍汰朗(坂口道場一族/1位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
×荒井勇二(暁道場)
判定3-0 (山崎30-27/中島30-27/荒牧30-26)
第4試合 フェザー級 5分3R
×糸川義人(TURNING POINT MMA/10位、ネオブラッドトーナメント2022同級優勝)
○岡田拓真(リバーサルジム横浜グランドスラム)
判定0-3 (山崎28-29/荒牧27-30/大藪28-29)
元キックボクサー濱田巧、1年ぶり復帰戦でさらに進化見せ判定勝ち
第3試合 フライ級 5分3R
○濱田 巧(パラエストラ柏/7位、ネオブラッドトーナメント2022同級優勝)
×大塚智貴(CAVE/9位、ネオブラッドトーナメント2021ストロー級優勝)
判定3-0 (山崎30-27/中島30-27/大藪30-27)
濱田は元キックボクサーで20試合以上戦い、21年9月にはKNOCK OUTで花岡竜と王座を争い判定負けした経験もある。MMAに転向すると名門のパラエストラ千葉ネットワーク入り。昨年のパンクラスのネオブラッド・トーナメントでプロデビューし、フライ級で2勝して優勝した。その後、左膝の手術を経て今回復帰した。
試合は濱田がMMAへの適応度をより高めた姿を見せる内容に。1R、ローの蹴り合いの後、大塚がタックルを仕掛けるが、濱田はすぐ返して上になる。打撃戦では濱田が右のカーフを的確にヒットする。終盤、大塚がタックルを仕掛けるが、これも濱田が潰して上になる。スタンドに戻り、大塚が引き込みながらギロチンを仕掛けるが、濱田は防御して外すと、最後はハーフから肩固めを狙って終える。記者採点は僅差だが濱田。
2R、濱田はまたも右のカーフキックをヒットし、大塚がスイッチする場面も。濱田は左フックも当てるが、中盤には自らタックルを仕掛けて倒し、金網際で押さえる。終盤、濱田がバックマウントを取り、裸絞めを狙い続けて終える。記者採点は濱田。
3R、劣勢の大塚が開始すぐから片足タックルを仕掛ける。大塚はスクランブルの攻防の後に下になり、腕をつかんで足を登らせようとするが、濱田は対処して、体をくっつけて押さえ込む。中盤過ぎから濱田はハーフから肩固めを狙う。残り1分、大塚が返して上になるが、濱田は金網際で座った状態で大塚を抱え、最後はギロチンを極め、マウントポジションに移行してからも絞め上げ、最後にすっぽ抜けても右肘を連打して圧倒する形で終了する。記者採点は濱田。合計30-27で濱田。ジャッジ3者も同じ採点で濱田を支持し、濱田が判定勝ち。今後のフライ級上位勢との戦いが楽しみだ。
第2試合 バンタム級 5分3R
×平岡将英(KRAZY BEE/ネオブラッドトーナメント2019同級優勝)
○谷内晴柾(BLUE DOG GYM)
判定1-2 (荒牧28-29/中島28-29/大藪29-28)
第1試合 プレリミナリーファイト ストロー級 5分3R
○米山唯人(サツキジム横浜)
×織部修也(CAVE)
1R 3’58” TKO (レフェリーストップ:右膝蹴り)
PANCRASE 338(昼)
三宅輝砂が前回の借り返す失神一本勝ち
第8試合 メインイベント フェザー級 5分3R
○三宅輝砂[きさ](ZOOMER/8位、ネオブラッドトーナメント2021同級優勝)
×櫻井裕康(NEVER QUIT)
2R 4’52” 裸絞め
三宅は21年のネオブラッドトーナメント優勝後、亀井晨佑、田村一聖に連敗したが、昨年10月の品川大会では小森真誉をKO。今年3月にはフェザー級1位の中田大貴と対戦し、2R終了間際にギロチンで落とされ敗れたものの、打撃・寝技ともに一進一退の攻防を繰り広げ、素質の高さを印象付けた。対する櫻井はMMA 4勝1敗の29歳。20年7月のパンクラスで風間敏臣に勝利後、怪我により長期欠場し、今回復帰した。
試合は三宅の一方的な展開に。1R、サウスポーで前に出る櫻井に対し、三宅が序盤から右ストレート、ボディストレート、インロー、三日月蹴りを的確にヒットし続け主導権を維持する。終盤、櫻井はタックルから押し込んで打開を図るが、三宅は耐えて終える。記者採点は三宅。
2R、三宅が変わらず右インロー、ボディストレート等をヒットする。ローをもらうと櫻井はフラつく場面が目立つように。終盤、三宅がタックルを仕掛け、金網際でバックコントロールしながら崩し、バックマウントで捕獲すると、裸絞めを極め、落ちたところで小池レフェリーがストップした。
マイクを持った三宅は「前回失神しちゃったんで、今回失神で借りを返せてよかったです。自信無かったんですけど、この勝ちで自信つけれるよう、もっと練習頑張るんで、応援お願いします」とアピールした。
Road To UFCでSASUKEをKOしたキム・サンウォン、パンクラス初戦で完勝
第7試合 コーメインイベント フェザー級 5分3R
×名田英平(コブラ会/7位、ネオブラッドトーナメント2019同級優勝)
○キム・サンウォン[Kim Sang Won](韓国/コリアントップチーム)
判定0-3 (大藪27-30/山崎27-30/荒牧27-30)
サンウォンはパンクラス初参戦。MMA戦績17戦10勝6敗1分の30歳。韓国のDouble Gのフェザー級王座を獲得した実績がある。20年のグアムでの試合では伊藤空也にTKO勝ちし、昨年11月のグアムでの試合ではGRACHANライト級王者の原口伸にKO負け。今年5月のRoad To UFCフェザー級一回戦では、修斗世界フェザー級王者のSASUKEを2R右フックでKOした。準決勝では昨年RTUでSASUKEと松嶋こよみを下したイー・ジャーに判定負けしている。対する名田はここ2年、狩野優、透暉鷹に連敗した後、3月に糸川義人に勝ったが、7月にRyoに敗れ、王座戦線から一歩後退している。
1R、体格で勝るサンウォンが左ジャブのフェイントから左のテンカオを名田の顔に当ててダウンさせる。サンウォンは上になるが、名田は立つと、首投げで倒して上を取り返す。だがサンウォンは立ち、最後は突き放して終える。記者採点はサンウォン。
2R、名田が右ミドルを当てた後、パンチと膝で前に出るが、サンウォンがタックルを合わせて倒す。サンウォンはハーフガードからパスガードと肩固めのプレッシャーをかける。中盤、サンウォンはバックマウントを奪い、名田が立ってもすぐ倒し、金網際でコントロールを続ける。最後、スタンドに戻るが、名田は反撃できず終わる。記者採点はサンウォン。
3R、名田は左ボディを当て、挽回の糸口をつかみかけるが、右フックを放つと、サンウォンはそのタイミングで組み付き、またも倒して金網際でコントロールする。終盤、名田が立っても、ケージレスリングでコントロールし、またも倒してバックを取り、最後は裸絞めを狙い、スタンドに戻って終わる。記者採点はサンウォン。合計27-30でサンウォン。ジャッジ3者も同じ採点でサンウォンが完勝した。
サンウォンはマイクを持つと「まだ未熟ですが、パンクラスという素晴らしい大会に呼んでいただき感謝しています。周りの皆さんに感謝しています」と謙虚に話した後、日本語で「生ビールください」と話し、観客を笑わせた。フェザー級ランキング入りが確実で、今後レギュラー参戦すれば、新王者・新居すぐるら上位勢にとって大きな脅威となるだろう。
重田ホノカ、デビュー3連勝。端貴代のフライ級王座に近づく
第6試合 女子フライ級 5分3R
×ライカ(RIGHT THING ACADEMY/1位)
○重田ホノカ(パラエストラ柏)
判定0-3 (大藪26-30/梅木27-30/荒牧27-30)
重田は柔道をベースとし、3月のパンクラスのアマ大会で勝利後、4月の立川大会でプロデビューし、高本千代に判定勝ち。7月の品川大会ではソン・ヘユンに1R腕十字で一本勝ちした。10月10日で二十歳になったばかりだ。今回、47歳のベテラン・ライカとの試合でも素質の高さを発揮する。
重田のセコンドには浅倉カンナ、征矢貴がつく。1R、重田がサウスポーからの左ミドルを当ててから、タックルでテイクダウンを奪い、金網際で押さえ、パウンドを何発も当てる。最後、ライカは背中を向けてパウンドを浴び防戦一方の状態が30秒ほど続く。強打の累積数は多いものの、散発になりがちなせいもあってか、寶田レフェリーはストップせず終わる。記者採点は8-10で重田。
2Rも重田が序盤からタックルで倒し、金網際で押さえ、マウントとバックマウントを行き来し、パウンドを度々当て、裸絞めも狙って圧倒する。記者採点は8-10で重田。
3R、ライカはパンチを振うが、軽い当たりが続く。重田はタックルで捕まえると、ジャーマンスープレックスを2発決め、バックマウントを奪ってキープする。残り1分、ようやくライカが向き直すが、すぐに重田はバックを取り返し、最後は腕十字でクラッチを切って終える。記者採点は9-10で重田。合計25-30で重田。ジャッジ3者は3~4点差で重田を支持し、重田が判定勝ちした。重田はプロ3連勝でランキング1位入りを確実にし、フライ級王者・端貴代への挑戦が確実となった。
第5試合 ストロー級 5分3R
○リトル(HIDE’S KICK/5位)
×寺岡拓永(ROAD MMA GYM/7位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
判定2-1 (山崎29-28/梅木27-30/荒牧29-28)
第4試合 バンタム級 5分3R
○高城光弘(リバーサルジム横浜グランドスラム/8位)
×平田丈二(闇愚羅/9位)
判定3-0 (山崎30-27/梅木30-27/大藪30-27)
第3試合 フライ級 5分3R
○萩原幸太郎(パラエストラ八王子)
×前田浩平(GRABAKA)
判定3-0 (山崎29-28/中島29-28/大藪29-28)
※前田が計量1.25kgオーバーし58.4kg契約で試合実施
プレリムで鈴木悠斗、金澤臣人が快勝
第2試合 プレリミナリーファイト ライト級 5分3R
○鈴木悠斗(パラエストラ八王子)
×上田智大(パラエストラ広島)
1R 0’57” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
鈴木は高校3年生。7月大会でプロデビューし判定勝ちし今回2戦目。開始すぐから前に出て、金網に詰めてパンチを連打する。上田が首相撲からの膝蹴りで抵抗するが、鈴木はもがいて左ボディを当てると、上田がダウンし、鈴木がパウンドを連打すると、レフェリーがストップした。
第1試合 プレリミナリーファイト フライ級 5分3R
×饒平名知靖[よへな ちせい](K太郎道場)
○金澤臣人[おみと](リバーサルジム横浜グランドスラム)
1R 1’10” 裸絞め
1R、序盤の打撃戦で、金澤がサウスポーにスイッチしてからの左ストレートを当て、オーソドックスに戻して左フックをヒット。後ろにフラついた饒平名に右のテンカオで襲い掛かると、着地せずそのままオンブになって、裸絞めを極めて一本勝ちした。プロ2戦目で初勝利とは思えないほどの見事なコンビネーションだった。