Road To UFC 5.19 上海(レポ):透暉鷹、韓国の選手を寝技で圧倒し初戦突破。野瀬翔平、元DEEP王者ユ・スヨンとの寝技勝負の末に判定負け。雑賀“ヤン坊”達也、元GLADIATOR王者キ・ウォンビンに逆転KO負け。小崎連、中国の選手に判定負け
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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Road To UFC Season 3 – Episode 3,4
2024年5月19日(日)中国・上海:UFCパフォーマンス・インスティチュート
レポート:井原芳徳
UFCとの試合出場契約を争うアジアの選手による予選トーナメント「Road To UFC (RTU) Season 3」。4階級で争われ、各階級8選手ずつが参加し、一回戦は上海にて2日間に渡って開催された。18日の初日は男子フェザー級、女子ストロー級の試合が行われ、原口伸、河名マスト、本野美樹が初戦を突破した。(本野は不戦勝)
19日の2日目は男子のフライ級、バンタム級の一回戦が行われた。フライ級の松井斗輝[とうき](THE BLACKBELT JAPAN/パンクラス・フライ級8位)は計量6ポンド(2.7kg)オーバーで失格となった。バンタム級には野瀬翔平、小崎連、透暉鷹(ときたか)の3選手が日本から参戦した。またライト級の非トーナメント戦には雑賀“ヤン坊”達也が出場した。
透暉鷹、韓国の選手を寝技で圧倒し初戦突破
Road To UFC Season 3 男子バンタム級 一回戦 5分3R
×キム・キュサン(韓国)
○[中西]透暉鷹[ときたか](ISHITSUNA MMA/パンクラス・バンタム級王者・元同フェザー級王者)
判定0-3 (27-30/27-30/28-29)
透暉鷹は27歳。MMA 14戦11勝(1KO/5一本)3敗。17年にMMAデビューし、20年からパンクラスを主戦場とし、22年7月、フェザー級暫定王者決定戦で亀井晨佑に4R裸絞めで一本勝ち。昨年に入り両肘の手術をし、ISAOの返上で正規王者となっていたが、バンタム級に転向するため8月に王座を返上。12月のバンタム級初戦で同級王者決定戦が用意されると、Fighting NEXUS王者の河村泰博に1R終盤肩固めを極め一本勝ちし、2階級制覇を達成した。
キュサンは19~21年にONEに参戦し4戦1勝3敗で、藤沢彰博に1R KO勝ちしたが、若松佑弥には1R KO負けしている。その後はタイとカザフスタンで勝利している。
1R、透暉鷹が中央で構え、長身のキュサンが回って距離を取る打撃戦が続く。お互い慎重でヒットが少ない。すると終盤、透暉鷹は片足タックルを仕掛け、一発でテイクダウンに成功し、中央付近で上から押さえる。猪木アリ状態となり、キュサンが立つが、すぐ透暉鷹は追いかけて組み付き、首投げで倒す。すぐスタンドに戻るが、透暉鷹は距離を取り優位を維持する。記者採点は透暉鷹だが、右カーフを少し当てわずかに打撃は優位だったキュサンにつく恐れはある。
2R、透暉鷹はパンチを連打して前に出てから、タックルを仕掛け、またもテイクダウンに成功する。透暉鷹はハーフガードで押さえ続ける。透暉鷹はその先になかなか持ち込めないが、キュサンも防戦一方。残り1分を切り、透暉鷹は肩固めも狙いつつ、パウンドも少し当てる。記者採点は透暉鷹。
3R、またも透暉鷹がタックルで倒し、今度は序盤からバックマウントを奪うことに成功する。透暉鷹は足4の字ロックで終盤になっても背後から捕獲し続けるが、その先には持ち込めないまま終了する。記者採点は透暉鷹。合計27-30で透暉鷹。ジャッジ3者も透暉鷹を支持し、透暉鷹が判定勝ちでRTU初戦を突破した。
勝利者インタビューで透暉鷹は「思った通りに行かなくて悔しいです。うまくいかなかったです。負けれないのが大きかったんですけど、プロとして失格なんで、2回戦はUFCに行けると証明する試合をしたいんで応援してください。すみませんでした」と反省の弁を述べた。さらに透暉鷹は「中国人がUFCに行けるようにっていうトーナメントだと思っているんですけど、絶対に自分が(行きます)。バンタム級の日本人が自分しかいなくなっちゃってるんで、日本背負って、パンクラスの名の恥じないように(戦います)。必ずUFCと契約できる試合を、勝ち取るだけじゃなくて、内容もしっかり(伴うよう)、次の試合までに出直してくるんで、よろしくお願いします」と話した。準決勝ではバーエゴン・ジェライスー(中国)と対戦する。
Road To UFC Season 3 男子バンタム級 一回戦 5分3R
○バーエゴン・ジェライスー(中国)
×カンタラージ・アガーサ(中国)
2R 4’25” 裸絞め
野瀬翔平、元DEEP王者ユ・スヨンとの寝技勝負の末に判定負け
Road To UFC Season 3 男子バンタム級 一回戦 5分3R
○ユ・スヨン(韓国/元DEEPバンタム級王者、BLACK COMBAT 3階級制覇王者)
×野瀬翔平(マスタージャパン福岡/修斗バンタム級世界5位)
判定3-0 30-27/30-27/29-28)
野瀬は26歳。修斗を主戦場にしつつ、一昨年と昨年のRoad To UFCに参戦し、今回3度目の挑戦となる。22年度の一回戦は対戦相手が1R序盤に右膝を負傷しTKO勝ちし、準決勝では優勝者の中村倫也に1R KO負けした。23年度は一回戦でシャオ・ロン(中国)に判定1-2で惜敗した。今年2月の地元福岡大会でRIZINに初参戦すると、瀧澤謙太に2R TKO勝ちし「僕の組技はRIZINの上位勢、チャンピオンにも通じると思っています」とアピールしていたが、Road To UFC 3度目の挑戦の機会が巡って来た。
スヨンは28歳。2020年にzeus FC、22年にBLACK COMBAT初代ライト級、さらにNaiza FCでも王者となり3団体を制覇。さらにBLACK COMBAT初代フェザー級でも王者となった。適正階級はバンタム級で、昨年9月のDEEPでのDEEP & BLACK COMBATバンタム級ダブルタイトルマッチではDEEP王者の石司晃一に1R TKO勝ちし、2本のベルトを獲得した。RTU参戦が決まると、3月末にDEEPの王座を返上した。
試合はグラップリング主体の攻防に。1R、野瀬は開始すぐから前に出て押し込んでテイクダウンを奪い、バックマウントを取るが、下に落ちながら腕十字を狙うと失敗する。スヨンはすぐにバックを取り返し、足4の字ロックでしっかり捕獲し、手堅い試合運びをする。中盤、ロックが解けるが、変わらずスヨンは背後からコントロールし、再びバックマウントで捕まえてポジションキープする。終盤、脱出した野瀬がバックを取りかけるが、スヨンは対処し、今度はハーフで押さえ、主導権を維持する。記者採点はスヨン。
2R、スヨンがタックルを仕掛けると、野瀬はギロチンチョークを仕掛けて迎撃するが、スヨンは防御して外し、ハーフガードで押さえる。中盤過ぎには野瀬の立とうとする動きに合わせて、スヨンがバックマウントを奪うことに成功する。脱出した野瀬は残り1分を切り、下からオモプラッタとアンクルロックを仕掛けようとするが、スヨンは極めさせず防御し続け終える。記者採点はスヨン。
3R、ポイント的に後の無い野瀬だが、変わらず寝技勝負を狙い、序盤からタックルを仕掛けてスヨンを押し込む。野瀬の左膝蹴りがローブローとなると一時中断し、1分ほどでブレイクした状態で再開する。中盤、野瀬はタックルから抱え上げて倒し、場内を湧かせるが、すぐにスヨンは立つ。その後も野瀬はタックルを繰り返すが、終盤、スヨンが足を掛けて倒して、ハーフで押さえる。スヨンはブレイクされないよう、随所でパウンドを当てたりポジションを動かしたりして時間を稼ぎ、最後は立って猪木アリ状態になって終了する。記者採点はスヨン。合計30-27でスヨン。ジャッジ3者もスヨンを支持し、スヨンが判定勝ちした。野瀬は3度目のRTUも途中敗退で終わった。
小崎連、中国人選手の寝技に手を焼き判定負け
Road To UFC Season 3 男子バンタム級 一回戦 5分3R
○ダーエミィスウ・ザウパースー(中国)
×小崎 連[おざき れん](リバーサルジム久喜WINGS)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
小崎はMMA 8戦6勝(5KO)無敗2分の22歳。地元埼玉の花咲徳栄高校の野球部の寮生活の時に見たRIZIN等のMMAの試合に刺激を受け、MMAに転向。DEEPフューチャーキングトーナメント2021フェザー級で優勝し、KROSS×OVERとDEEPに並行参戦しており、3月のDEEP後楽園大会では力也に1R TKO勝ち。DEEPバンタム級タイトル戦線への今後の浮上の期待がされる中、早くもRoad To UFC出場というビッグチャンスが訪れた。
ザウパースーは中国・新疆ウイグル自治区出身の24歳で、昨年のRTUシーズン2に上がり、一回戦は突破したが、準決勝でイ・チャンホ(韓国)に敗れ、今年再挑戦する。
1R、小崎が開始すぐから軽快に左右にステップしつつ、右ストレート主体でパンチを的確に当て続けて主導権を握る。すると小崎のパンチのタイミングで、ザウパースーはタックルを仕掛けて倒し、金網際で押さえる。ザウパースーは背後からしがみついてコントロールを続ける。ザウパースーが投げに失敗すると離れ、打撃勝負に戻る。終盤、小崎が右ストレートを当てると、ザウパースーはダウンするが、すぐに立つ。その後も小崎が的確にパンチを当て主導権を維持する。記者採点は小崎。
2R、ザウパースーはタックルを仕掛けて倒すと、すぐさまバックを取るが、小崎は脱出する。だがまたもザウパースーは押し込み、終盤にはテイクダウンに成功する。ザウパースーは金網際でバックを取りつつ裸絞めを極め、首元に腕が入ったが、小崎は間一髪で逃れてスタンドに戻す。しかし最後もザウパースーが倒して押さえ続け、反撃を許さない。記者採点はザウパースー。
3R、またもザウパースーはタックルで倒し、立たれても小崎にしがみついて押さえつけコントロールする。2Rのように無理に抱え上げたりせず、手堅く攻め、小崎の反撃を封じる。最後、ザウパースーがバックからパウンドを連打して終了する。記者採点はザウパースー。合計29-28でザウパースー。ジャッジ3者もザウパースーを支持し、ザウパースーが判定勝ちした。小崎はプロ9戦目で初黒星を喫した。
パンクラス王者・雑賀“ヤン坊”達也、元GLADIATOR王者のキ・ウォンビンに逆転KO負け
非トーナメント戦 ライト級 5分3R
○キ・ウォンビン(韓国/元GLADIATORライト級王者)
×雑賀“ヤン坊”達也(DOBUITA/パンクラス・ライト級王者)
2R 0’51” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
雑賀はMMA 15戦11勝(10KO)4敗の33歳。20年9月に林源平を1R KOしパンクラス・ライト級暫定王者となるが、21年12月の久米との王座統一戦で一本負け。その後はパンクラスで松岡嵩志とシュウジ・ヤマウチに1R TKO勝ち。昨年4月のRIZINではアリ・アブドゥルカリコフに1R KO負け。12月のパンクラス横浜大会でのライト級王者挑戦者決定戦では、1位の粕谷優介に判定勝ちすると、今年3月の王座戦ではアキラを1R右ハイでKOし王座を獲得した。今年のRTUのライト級はトーナメントが無く、ワンマッチでの参戦となった。
ウォンビンは元GLADIATORライト級王者で、22年のRTUでは一回戦で鹿志村仁之介に1R KO勝ちしたが、準決勝でKO負け。昨年5月のRTUでは後頭部打撃の反則で敗れている。
1R、雑賀が序盤から伸びのある右ストレートを当ててウォンビンをひるませると、パンチの連打につなげてウォンビンをダウンさせる。スタンドに戻ってからも、雑賀が右ストレートを当てるが、ウォンビンは組みついて押し込んで休む。雑賀が払い腰で倒すが、すぐウォンビンは立ち、再び雑賀を金網に押し込む。ウォンビンはテイクダウンを奪うと、金網際で押さえ続ける。終盤、雑賀が立つが、変わらずウォンビンは組み付いて離さない。残り1分を切り、離れると、雑賀がパンチを振うが、雑になってしまい、既に回復したウォンビンがカウンターで右のストレートを連打して挽回する。
雑賀はスタミナも消耗しており、口が開き、最後は金網を背にしてウォンビンのパンチをもらい続けて終わる。コーナーに戻る雑賀はフラついている。記者採点はウォンビンだが割れても不思議ではない。
2R、流れは完全にウォンビンで、開始すぐからパンチを当て続けて雑賀を苦しめ、最後は金網に詰めてパンチを当て続けたところでレフェリーがストップした。
Road To UFC 5.18 上海(レポ):原口伸&河名マスト、レスリング駆使しフェザー級一回戦で判定勝ち。安藤達也、9年ぶりRTUは判定負け。本野美樹は不戦勝