Road To UFC 5.18 上海(レポ):原口伸&河名マスト、レスリング駆使しフェザー級一回戦で判定勝ち。安藤達也、9年ぶりRTUは判定負け。本野美樹は不戦勝
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
センチャイムエタイジム錦糸町
最強のムエタイで最高の“美Body”を目指す!初心者の方、女性の方、大歓迎。見学無料!
Road To UFC Season 3 – Episode 1,2
2024年5月18日(土)中国・上海:UFCパフォーマンス・インスティチュート
レポート:井原芳徳
UFCとの試合出場契約を争うアジアの選手による予選トーナメント「Road To UFC (RTU) Season 3」が開幕した。
これまでのRTUでの日本勢は、22年度のシーズン1でバンタム級優勝の中村倫也、準優勝の風間敏臣、23年度のシーズン2でフライ級優勝の鶴屋怜がUFCと契約している。
これまでの年同様に4階級・各8人で争われるが、今年は初めて女子のトーナメントもストロー級で行われる。一回戦は5月18日・19日に中国・上海のUFCパフォーマンス・インスティチュートにて開催され、準決勝・決勝の日程・開催地は後日発表される。今年のトーナメントには日本勢が全8名エントリーした。シーズン1は8人、2は7人だった。トーナメントの無い階級のワンマッチも組まれている。

SHANGHAI, CHINA – MAY 17: Miki Motono of Japan poses on the scale during the Road to UFC 3 weigh-in at Sheraton Four Points Hotel on May 17, 2024 in Shanghai, China. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
初日は男子フェザー級、女子ストロー級のトーナメント一回戦が行われた。男子フェザー級は修斗の安藤達也、GRACHANの原口伸、GLADIATORの河名マストの3王者が揃い踏みした。女子ストロー級ではホアン・フェイル(中国)が前日の公式計量で0.7ポンドオーバーしたため失格となり、対戦相手の本野美樹(AACC/元DEEP JEWELSストロー級暫定王者)は試合をせずに準決勝に進んでいる。
原口伸、レスリング駆使し完勝「これがつまらないなら相手は逃げてください」

SHANGHAI, CHINA – MAY 17: Shin Haraguchi of Japan poses on the scale during the Road to UFC 3 weigh-in at Sheraton Four Points Hotel on May 17, 2024 in Shanghai, China. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
Road To UFC Season 3 男子フェザー級 一回戦 5分3R
○原口 伸[しん](BRAVE/GRACHANライト級王者)
×ホン・ジュニョン(韓国)
判定3-0 (30-27/30-27/30-25)
原口伸はRIZINにも参戦している原口央の弟で25歳。9戦7勝(5KO/4一本)1敗1無効試合。国士舘大学時代の19年、レスリング天皇杯フリー70kg級で優勝。21年にMMAデビューし、22年5月のGRACHANで植田豊に判定勝ちしGRACHANライト級暫定王者となり、8月に正規王者に認定。昨年2月に小谷直之に1R TKO勝ちして初防衛した。昨年のRTUシーズン2ではライト級一回戦でウィンドリ・パティリマ(インドネシア)に2R TKO勝ち。準決勝の相手・バテボラティ・バハテボラ(中国)が前日計量でオーバーしたため失格となり、パク・ジェヒョン(韓国)に判定勝ちした。今年2月の決勝ではロン・チュー(中国)に3R裸絞めで一本負けし、プロ9戦目で初黒星を喫するとともに、優勝を逃した。今年はフェザー級に階級を下げて再挑戦する。
ジュニョンは22年のRTUシーズン1の一回戦で松嶋こよみに敗れたが判定1-2の接戦を繰り広げた実力者で、その後は韓国のAFCで2試合とも1R勝利し、伸と同じくRTUに再挑戦する立場だ。

SHANGHAI, CHINA – MAY 18: (L-R) Shin Haraguchi of Japan punches JunYoung Hong of South Korea in a featherweight fight during the Road to UFC 3 event at the UFC Performance Institute on May 18, 2024 in Shanghai, China. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
試合は伸がベースのレスリング主体で手堅く勝利をおさめることに。1R、伸はサウスポーで距離を取り、片足タックルで倒し、金網際で押さえる。ジュニョンが立って終盤には突き放すが、伸は頭を下げてのタックルのフェイントからの左フックでダウンを奪う。伸は再び金網際で押さえ、時折パウンドを当てて終える。記者採点は伸。
2R、伸は開始すぐ、片足タックルで倒し、金網際で押さえる。立たれてもすぐ組み付き、倒す展開を繰り返す。その先のパウンドは乏しく、サブミッションにもつなげられないが、コントロールを続け、ジュニョンに反撃の糸口を見せない。記者採点は伸。
3Rも伸が倒してから金網際で押さえてコントロールを続け、最後はパウンドをまとめて終了する。記者採点は伸。合計30-27で伸。ジャッジ3者も伸を支持し、伸が判定勝ちした。
勝利者インタビューで伸は「去年、色んな理由があってライト級で参戦しましたが、フェザー級が適正階級なので、絶対優勝する気持ちで臨みました」「僕の得意な試合運びで、見ている人は辛いと思うんですけど、やってる僕はあんまりキツくなくて、これがつまらないなら相手は逃げてくださいという感じです」と強気に語り、次戦については「もうちょっと打撃を出そうと思ったんですけど、レスリング便りになったんで、スクランブル多めのレスリングをいっぱい使いたいです」と話した。伸は準決勝では、安藤達也を下したズー・カンジエと対戦する。

SHANGHAI, CHINA – MAY 18: Shin Haraguchi of Japan reacts after his victory against JunYoung Hong of South Korea in a featherweight fight during the Road to UFC 3 event at the UFC Performance Institute on May 18, 2024 in Shanghai, China. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
安藤達也、9年ぶりRTU挑戦も中国人選手の豪打で苦しみ判定負け

SHANGHAI, CHINA – MAY 17: Tatsuya Ando of Japan poses on the scale during the Road to UFC 3 weigh-in at Sheraton Four Points Hotel on May 17, 2024 in Shanghai, China. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
Road To UFC Season 3 男子フェザー級 一回戦 5分3R
○ズー・カンジエ(中国)
×安藤達也(フリー/修斗バンタム級世界王者・元環太平洋王者)
判定3-0 (30-26/30-26/30-25)
安藤はデビュー間もない15年のRoad To UFC Japanにも出場したが敗退。その後は修斗を主戦場とし、21年8月に田丸匠をKOし修斗バンタム級環太平洋王者となり、22年3月に岡田遼をKOし修斗バンタム級世界王座を獲得した。その試合後は「35まではUFCもチャンスあると聞いたんでトライしたいですね」「ONEでもUFCでも行きたいです」と発言していた。昨年3月のONE Friday Fightsではアリ・モタメド(イラン)に3R TKO勝ち。その後、ONEとの本戦契約も無く、修斗の王座の防衛戦も行っていなかったが、念願のUFCへの道が34歳(試合時)というギリギリのタイミングで巡って来た。原口とは逆にフェザー級に階級を上げて出場する。RTU一回戦ではズー・カンジエと対戦する。

SHANGHAI, CHINA – MAY 18: (R-L) Tatsuya Ando of Japan punches Zhu Kangjie of China in a featherweight fight during the Road to UFC 3 event at the UFC Performance Institute on May 18, 2024 in Shanghai, China. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
1R、カンジエはオーソドックス、安藤はサウスポーで構え、パンチの相打ちの展開で、カンジエが左フックを当て、安藤をひるませる。カンジエは離れた間合いから右ストレートも当て、安藤が近づいても右ストレートで迎撃する。中盤、安藤はタックルを仕掛けるが、打撃を警戒してか間合いが遠く、カンジエは軽々と切って突き放す。終盤もカンジエはパンチを当て続け、残り30秒にはワンツーでの右フックを当て、安藤をダウンさせる。カンジエはパウンドとパンチラッシュで安藤をフィニッシュ寸前まで追い詰める。安藤は鼻と口から出血している。記者採点は10-8でカンジエ。
2R、カンジエはフィニッシュを狙いに行かず、慎重に距離を取って様子見する。すると中盤、カンジエが右ストレートをクリーンヒットしてダウンを奪う。すぐ安藤は立ち、見合う状態に戻る。残り30秒を切り、カンジエが右ボディストレートを当てると、安藤は口が開いて真っすぐ下がるが、カンジエは深追いせず終える。記者採点はカンジエ。記者採点はカンジエ。10-8とついても不思議ではない。
3R、カンジエは無理に攻めず距離を取り、随所で右ミドル、ストレートを当てる。劣勢の安藤も攻められず、最後は少し前に出るが、ガンジエにかわされ、ガンジエが組んで抱え上げてマットに叩きつけ、場内を沸かせて終える。記者採点はカンジエ。合計30-26でガンジエ。ジャッジ3者もガンジエを支持し、安藤は初戦敗退した。ガンジエは準決勝で原口伸と対戦する。

SHANGHAI, CHINA – MAY 18: Zhu Kangjie of China reacts after his victory against Tatsuya Ando of Japan in a featherweight fight during the Road to UFC 3 event at the UFC Performance Institute on May 18, 2024 in Shanghai, China. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
河名マスト、韓国の選手の打撃に苦しむもレスリング駆使し勝利

SHANGHAI, CHINA – MAY 17: Masuto Kawana of Japan poses on the scale during the Road to UFC 3 weigh-in at Sheraton Four Points Hotel on May 17, 2024 in Shanghai, China. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
Road To UFC Season 3 男子フェザー級 一回戦 5分3R
○河名マスト[真寿斗](ロータス世田谷/GLADIATORフェザー級王者)
×ソン・ヨンジェ(韓国)
判定3-0 (30-26/29-27/29-27)
河名は29歳。MMA 12戦9勝(3KO/1一本)3敗。レスリングU-23世界選手権2017優勝者で、21年にMMAデビューし、Fighting NEXUS、Road To ONE日本大会、米国のLFAに参戦。昨年から大阪でのGLADIATORを主戦場とし、6月の初戦は判定1-2で惜敗したが、その後は3連勝。2月にはGLADIATOR初の配信特化型の大会でGLADIATORフェザー級王座戦が組まれ、王者・パン・ジェヒョク(韓国)に判定勝ちしベルトを獲得した。MMA戦績12戦9勝(3KO/1一本)3敗。対するヨンジェは7戦6勝1分。

SHANGHAI, CHINA – MAY 18: (L-R) Masuto Kawana of Japan punches YoungJae Song of South Korea in a featherweight fight during the Road to UFC 3 event at the UFC Performance Institute on May 18, 2024 in Shanghai, China. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
試合は河名が打撃とスタミナで難が露呈するも、持ち前のレスリング力で勝利をもぎ取ることに。1R、開始すぐから河名がタックルを仕掛けて、ヨンジェを金網に押し込んでしがみつき、執拗にテイクダウンを狙う。中盤、ヨンジェが突き放して右のパンチを振ったところで、河名が両手を脇に差し込んでテイクダウンを奪う。すぐ立たれても引き続きしがみつき、終盤にも倒し、サイドバッグからパウンドを当てる。その後も組みでコントロールを続けて終える。記者採点は河名。

SHANGHAI, CHINA – MAY 18: (R-L) YoungJae Song of South Korea kicks Masuto Kawana of Japan in a featherweight fight during the Road to UFC 3 event at the UFC Performance Institute on May 18, 2024 in Shanghai, China. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
2R、河名は最初のタックルを切られると、少ししんどそうな様子を見せ、ヨンジェにプレッシャーを掛けられると背中を向けて逃げるように。その後も河名は執拗にタックルを仕掛けるが、ヨンジェは切り続け、離れれば前に出てパンチを当てる。河名が押し込んで膠着すれば、レフェリーも早めにブレイクをかけるように。終盤、ヨンジェは右ストレート、左アッパー等のパンチのヒットを増やす。河名は防御できずもらってしまいフラつくように。だがヨンジェも疲れており、最後は河名がパンチと肘を当て、巻き返すが、すぐ時間切れに。記者採点はヨンジェ。
すると3R、河名が序盤からパンチを連打すると、ヨンジェはフラつき、河名が倒して上になる。河名は金網際で押さえ続け、背後から時折パウンドを当てる。ヨンジェは防戦一方のまま終わる。記者採点は河名。合計29-28で河名。ジャッジ3者も河名を支持し、河名が判定勝ちした。

SHANGHAI, CHINA – MAY 18: Masuto Kawana of Japan reacts after his victory against YoungJae Song of South Korea in a featherweight fight during the Road to UFC 3 event at the UFC Performance Institute on May 18, 2024 in Shanghai, China. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC via Getty Images)
勝利者インタビューで河名は肩で息をしながら、英語で「疲れました」「僕は自分のレスリングを信じています」「UFCとの契約を勝ち取らないといけません。なぜなら僕の名前はマスト(must)だからです」と話した。準決勝ではシエ・ビンと対戦する。
Road To UFC Season 3 男子フェザー級 一回戦 5分3R
○シエ・ビン(中国)
×イーブーゲラ(中国)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)