RISE 8.31 後楽園ホール(レポ):大﨑孔稀、大森隆之介に完勝しバンタム級王座初防衛「僕たち兄弟が本物」、年内ONE参戦か。松本天志が1R KO勝ち
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
神楽坂 江戸川橋 クラミツムエタイジム
立ち技最強、ムエタイを究める!16周年、選手コース開設。ジュニア、女子クラスも。今ならスタート月会費0円!
RISE 181
2024年8月31日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
大﨑孔稀、大森隆之介に完勝しバンタム級王座初防衛「僕たち兄弟が本物」
第10試合 メインイベント RISEバンタム級(55kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
○大﨑孔稀(OISHI GYM/RISEバンタム級王者、BOM同級王者、元J-NETWORK&WMC日本スーパーフライ級王者)
×大森隆之介(EX ARES/4位)
判定3-0 (和田49-47/豊永50-47/北尻50-46)
※大崎が初防衛
大﨑兄弟の弟・孔稀は42戦33勝(20KO)7敗1分1無効試合の24歳。昨年5月に寺山遼冴に2Rに右膝蹴りでKO勝ちし、8月のバンタム級王座挑戦者決定戦で加藤有吾に判定勝ちすると、12月の後楽園大会で鈴木真彦に判定勝ちし、同級王座を獲得した。5月の後楽園ではヨーブアデーンを2R左ボディフックでKOしている。
大森は10戦8勝(6KO)2敗の24歳。22年は良星、京谷祐希をKOしたが、12月に加藤有吾に判定負け。怪我の影響でブランクが続き、今年3月のRISE ELDORADOで1年3が月ぶりに復帰すると、シュートボクシング日本スーパーバンタム級(55kg)王者の山田虎矢太を1R右バックハンドブローでKOしてデビュー以来の連勝を13勝でストップし、この試合が評価され孔稀の王座への挑戦権を獲得した。
現在RISEバンタム級ランキングは1位に鈴木、2位には昨年12月に孔稀の兄・一貴に延長判定負けしたジャルンスック、3位にはジャルンスックに3月に負けた加藤有吾、4位に大森、5位に京谷祐希がいる。孔稀は鈴木・加藤に勝っているため、ランキングに沿えば2位のジャルンスックが第一候補と言えそうだが、RISEの伊藤隆代表は「ランキングに入っていますが、ジャルンスックは世界レベルの選手ですので、世界に向かうバンタム級の(日本人)選手がいるときに(相手として)起用したいと思っています。本人もバンタム級のタイトルを取りたい部分もあるので、防衛戦が終わった後に考えたいと思います」と7月10日の記者会見で説明していた。
試合は孔稀が王者らしくしっかり差を見せつける内容に。1R、孔稀がプレッシャーをかけ続け、組んで膝をヒット。大森もリーチを生かして左ジャブ、左ボディを返して渡り合う。だが最後、孔稀がプレッシャーを強め、ロープに詰めると、パンチの連打の中で右ストレートを当ててダウンを奪う。
2R、孔稀が序盤に左インローを立て続けに当てていると、大森はスイッチを織り交ぜるように。中盤、ミドルの応酬が続き、場内が盛り上がるが、パンチの展開でバッティングとなり、大森が左まぶたをカットし、ドクターチェックが入る。再開後、孔稀が左インロー、ミドル、膝等をヒットし優位に。大森はバックスピンキックを当てる場面もあったが、前回KO勝ちした右バックハンドブローを空振りし、少し攻めあぐねた感がある。記者採点は孔稀。ジャッジは和田氏のみ大森を支持し、他2名はイーブンとする。
3R、孔稀は中盤からパンチ、膝のヒットを増やし、左右のフックで度々大森をひるませ追い詰める。記者採点もジャッジ3者も孔稀。
4R、孔稀は変わらずパンチ、膝で大森を追い詰める。時折休みながらで体力もうまくコントロールしつつ、大森の反撃を許さない。記者採点は孔稀。
5R、孔稀はパンチ、膝を随所で当て、大森を苦しめる。大森がパンチを返してもブロックして、すぐ当て返し、最後まで翻弄し終了する。記者採点は孔稀。合計50-44で孔稀。4R以降は見方によっては流し気味な試合運びになったせいか、ジャッジから支持されなかったが、それまで差をつけていた孔稀が判定勝ちし、王座初防衛を果たした。
ベルトを巻いた孔稀は「大森選手らしく盛り上げてくれたのはわかっていますし、それがあったからこそ盛り上がりました。大森選手の人柄があったからこんなに集まったと思います」と大森を称えたが、その後「言いたいことがあります。伊藤代表、見ましたか」と、本部席にいるRISEの伊藤隆代表にアピール。「僕はチャンピオンとして始まったばかりですが、お兄ちゃんもベルトを守り続けると思いますし、僕たち兄弟が本物だと思っています。地味な兄弟ですけど注目してもらえたら、もっと強くなるので、これからもRISEの大崎兄弟の応援をお願いします」と話した。
バックステージでのインタビューで孔稀は「解放されました。色々プレッシャーがあったので」と第一声。試合中、大森の攻撃を受けてから度々笑顔を浮かべたことについては「今回は勝つのは当たり前で、怖さを見せつけたくて。このレベルじゃねえと。ある意味心理戦もありましたね」と説明した。1Rに奪った右ストレートでのダウンについては「狙ってなかったですけど、倒したいとは思っていて、流れの中で倒せたと思います」とコメントした。
今回の試合で孔稀は「周りの予想を上回ろうと思いました」といい、その理由については「もっと注目されたいからです。RISE、扱い良くないんで。発言が地味ですけど、実力でいうと、僕たち兄弟はRISE全階級で1・2の実力だと思います」と語った。さらに「大会前の伊藤代表と中村(拓己)さんのインタビューが結構ムカついて。だいぶそれで見せつけたろうと思って」とコメント。伊藤氏の「プロ意識は大森の方が上」「孔稀に不満があるなら圧倒的に勝って『こういうマッチメイクをしてはいけない』と僕に伝えてほしい」といった発言を強く意識していたことを明かした。孔稀は「欲を言えば倒して言いたかったんですけど、しっかりダウン取ってレベル差を見せつけられたと思います」と、今日の試合内容に自信を示した。
RISE伊藤代表、孔稀のONE初戦は「年内に組みたい」
孔稀は今後について、対日本人に関しては「僕から名前を上げることは無いです。いつまでも挑戦者じゃないんで」と語り、「世界にお兄ちゃんと挑戦したいです。ONEの舞台で日本人が負けていますし、そこで勝てるのは僕たちしかいない。そういう舞台で戦いたいのはあります」と話した。
RISEの伊藤代表は孔稀について「さすがだなと。55kgの立ち位置を確立できたので、その先を作って行きたい」と語り、孔稀の希望するONE参戦について「すでに話していて(ONE非専属でも出場できる)ONEフライデーだったら向こうから許可をもらっています。海外のアウェーやるのもいいと思います。年内に組んであげたいです。(キックもムエタイも)どっちもできるんですけど、基本キックルールで送り出したいです」とコメントしている。
なお、台風10号の影響で新幹線が止まり、孔稀の地元名古屋、大森の地元大阪の応援に来られない人たちも多い中での大会だった。伊藤代表は「選手達も車などで長時間かけて来てくれたことに感謝しています」「中には途中のインターチェンジでサウナに入って体重を落とした子もいました」と話し、選手達を労った。
松本天志が1R KO勝ち
第9試合 セミファイナル 52kg契約 3分3R(延長1R)
○松本天志(TARGET SHIBUYA/RISEフライ級(51kg)2位、RISE NEW WARRIORSフライ級トーナメント2023優勝)
×JIN(楠誠会館/MA日本バンタム級王者)
1R 2’37” KO (左ストレート)
松本は20歳。昨年2月のRISE NEW WARRIORSフライ級トーナメントでは空龍と塚本望夢を下し優勝。10月の第2代RISEフライ級王者決定戦では数島大陸に判定負けした。今年3月のRISE ELDORADOでも那須川龍心に判定負けし2連敗を喫したが、6月の後楽園大会では寛人に1R KO勝ちしている。
JINは大阪在住の18歳。6月の大阪大会で野田蒼を相手に、プロレス技のDDTのような形でKO勝ちしている。
試合は松本の完勝に。1R、松本がサウスポーからの左のミドル、ロー、ストレートを当て、中盤には左の奥足狙いのローをヒット。少しJINの動きが落ちると、その隙を逃さず、松本はバックスピンキックをヒットする。下に意識を向けさせると、松本は左ストレートをクリーンヒットしダウンを奪う。JINは立ち上がれず、松本のKO勝ちとなった。
松本は「WORLD SERIESに出たかったんですけど、タイトルに近づきたくて。日本人の選手にこの結果なんで、あと1~2試合挟んで、次期挑戦者と名乗れるよう練習します」とアピールした。RISEの伊藤代表は松本の王座獲得ロードについて「その辺も考えて動きたい」とコメントしている。
第8試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○SEIDO(LARA TOKYO/9位)
×勝次(TEAM TEPPEN/WKBA世界スーパーライト級王者、元新日本ライト級王者)
判定2-1 (豊永29-28/北尻28-29/小川30-29)
SEIDOは39歳。昨年10月に山元剣心に延長判定負けし4連敗中。勝次は37歳。昨年12月のRISE初戦で常陸飛雄馬にKO負けし、4月の漢気トーナメントの一回戦で岩郷泰成に判定負けし2連敗中だ。
1R、SEIDOが右ローを随所で当てるが、威力は不十分で、まだ勝次をぐらつかせるほどにはならない。勝次はパンチの空振りが続いたが、終盤、右ローを強打するように。まだお互いヒットが少ない。
2R、お互い右ミドル、ロー主体にしつつ、パンチも絡め、手数を上げたが、まだ均衡は崩れない。
3R、勝次も左ボディを強打するなど、序盤こそ見せ場を作ったが、SEIDOはパンチ、ミドルを返し続け、終盤には勝次をコーナーに詰めると、右フックを随所で強打し、やや優位で終了する。記者採点は3RのみSEIDOが取り30-29でSEIDO。ジャッジは割れたが、2者がSEIDOを支持し、SEIDOが判定勝ちした。
第7試合 スーパ-フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○近藤大晟[たいせい](及川道場/14位、Stand Up King of Rookie 2023 -60kg級優勝)
×小出龍哉(TEAM TEPPEN)
判定3-0 (北尻30-24/大沢30-24/小川30-24)
近藤は昨年12月、山科直史にKO負けし、デビュー5戦目で初黒星を喫して以来の試合。
1R、サウスポーの小出に対し、近藤が序盤からワンツーでの右ストレートをクリーンヒットしダウンを奪う。小出のダメージは小さいように見え、その後はお互いミドルを当て、ほぼ互角の状態に。
2R、お互い攻撃を増す中で、近藤は右ストレートのヒットを増やし、ミドルも絡め、小出を追い詰める。小出も蹴りを返すが近藤の勢いは落ちない。
3R、近藤は攻め続け、中盤には右テンカオでダウンを奪う。その後も近藤がパンチと膝を効かせダウンを奪う。小出陣営の那須川弘幸会長はタオルを持ち上げ投げかけたが、止めて続行する。結局、近藤の猛攻を小出が耐え終了。今度が大差をつけ判定勝ちした。
第6試合 57kg契約 3分3R(延長1R)
×拳剛[けんご](誠剛館/フェザー級11位、元DEEP☆KICK -55kg王者)
○オートー・ノーナクシン(タイ/ノーナクシンジム/元ラジャダムナン認定バンタム級6位)
4R 判定0-3 (大沢9-10/北尻9-10/長瀬9-10)
3R 判定1-0 (大沢29-28/北尻29-29/長瀬29-29)
拳剛は6月の地元大阪大会でKING龍蔵に判定勝ちしている。在日タイ人のオートーは22年10月のホーストカップで滉大に判定勝ち。今年5月のNO KICK NO LIFEではジャパンキックの主力・馬渡亮太をミドルとパンチ主体で追い詰め3R判定勝ち。6月30日のムエタイスーパーファイト名古屋大会では一仁に3R肘打ちでTKO勝ちし、今回RISEに初登場した。
1R、オートーが鋭い右ローを随所で当て、右ミドル、ストレートも絡める。拳剛も右ロー、ストレートを返し、やや後手ながら、はっきりした差はつけさせない。
2R、拳剛は左ボディを随所で当てつつ、左フックもヒット。終盤には拳剛が左フックをきっかけとしたパンチラッシュでやや優位に。だがオートーもカウンターの右ハイや膝蹴りで迎撃し、まだダメージは小さい様子で、大差はつけさせない。
3R、オートーは左ストレートを当てつつ、左ミドルのヒットを増やし、拳剛を下がらせる。右ミドルや左右のハイも絡め、拳剛を苦しめる。ジャッジは1者が意外にも拳剛を支持したが、2者はイーブンで延長へ。
延長R、拳剛が右ストレートを強打する場面もあったが、オートーが左右のミドルを当て続けて主導権を維持し判定勝ちした。
第5試合 ライト級(63kg) 3分3R(延長1R)
○TAKU(TARGET/8位、Stand up King of Rookie 2023 -63kg級優勝)
×竹市一樹(二刀会/ジャパンカップキックボクシング・スーパーライト級王者)
2R 1’03” KO (左ボディフック)
1R、サウスポーの竹市に対し、TAKUが右ミドルを随所で当てつつ、終盤には右ストレートを効かせてやや優位に。すると2R、序盤からTAKUが右ストレートを連打してダウンを奪う。最後はTAKUが右と左のボディフックの連打で2ダウン目を奪ったところで豊永レフェリーがストップした。TAKUはこれで戦績を8戦8勝(6KO)とした。
第4試合 女子ミニフライ級(49kg) 3分3R(延長1R)
×Melty輝(team AKATSUKI/フライ級3位)
○宮本芽依(KRAZY BEE/ミニフライ級3位)
判定0-3 (豊永27-30/長瀬27-30/和田27-30)
Meltyは6月の後楽園でワン・チンロンに判定負けし、2か月間隔で早速次戦に臨む。宮本は19年に全日本女子ボクシング選手権大会シニアの部で優勝実績があり、RISEでプロデビュー後は3連勝中で、4月大会では宮﨑若菜に判定勝ちしランキング入りした。
1R、宮本が左ボディ、フック、右アッパー等パンチ主体でやや優位だが、Meltyももらいっぱなしにならず、右のミドル等を随所で返し、はっきりした差はつけさせない。
2Rも五分に近い状態が続いていたが、終盤、宮本がパンチのヒットを増やすと、左右のフックでMeltyをひるませ、はっきり差をつける。
3R、宮本が右ローを連打してから左フックをクリーンヒット。その後もパンチを当て続け主導権を維持し判定勝ちした。RISEの伊藤代表は宮本について「タイトルにそろそろ絡ませてもいいと思いました」と話している。
第3試合 女子アトム級(46kg) 3分3R(延長1R)
×百花(魁塾/4位、元ミネルヴァ・アトム級王者)
○奥村琉奈(OISHI GYM)
判定0-3 (小川28-29/豊永27-30/和田27-30)
1R、19歳の奥村が左ボディ、左右のローを当てつつ、左フックを度々強打し、百花を圧倒する。2R、百花も右ローを随所で返しているため、奥村は勢いは落ちたものの、1R同様の攻めで手数差を維持する。3Rも疲れ知らずで攻め続け百花を圧倒し判定勝ち。ランキング入りが確実となった。
第2試合 スーパーライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×野口紘志(橋本プレボ/Stand Up King of Rookie 2023 -67.5kg優勝)
○森本現暉(猛者蓮 精華支部 華一門/ジャパンカップキックボクシング&RKSウェルター級王者、AJKNスーパーライト級王者)
1R 1’37” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
京都出身の20歳・森本はRISE初参戦。1R、開始すぐからサウスポーの森本が左ボディを効かせつつ、左フックをクリーンヒットしダウンを奪う。その後もダメージの大きい野口に、パンチ、左ハイ等を当て続け、パンチの連打で棒立ちにしたところでレフェリーがストップした。試合後のマイクで森本はRISE王座獲得を目標に掲げた。
第1試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R(延長1R)
×横山大翔(拳心會館/7位、Stand Up King of Rookie 2023 -53kg級優勝)
○星 憂雅(IDEAL GYM/KROSS×OVER KICK -53kg王者)
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
1R、横山が距離を取りつつ、右ストレートを随所で当て優勢だったが、2R以降も星がしぶとく前に出続けると、3Rにボディを効かせてからの右ストレートでダウンを奪い、逆転判定勝ちした。