DEEP 4.28 後楽園ホール:住村竜市朗&和田竜光が防衛。北田俊亮、またも王座奪取ならず。結城将人、堀尾竜司にリベンジ
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DEEP 83 IMPACT
2018年4月28日(土) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第13試合 メインイベント DEEPウェルター級タイトルマッチ 5分3R
○住村竜市朗(フリー/王者/77.05kg)
×佐藤洋一郎(カタナジム/挑戦者、元修斗環太平洋ミドル級(76kg)王者/77.0kg)※マカコ柔術アカデミーから所属先名称変更
判定5-0 (小池29-28/豊永29-28/松宮29-28/福田29-28/植松29-28)
※住村が初防衛
住村は16年10月からスタートした8選手参加によるDEEPウェルター級GPに出場し、昨年7月の後楽園大会の決勝で長谷川賢と対戦。1R、住村のバッティングで長谷川がダウンしたが、当時のDEEPルールに基づき、その時点までの内容で判定が行われ、住村が王者となった。続く12月の地元兵庫大会ではジョイボー・フレドリックに40秒でTKO勝ち。パンクラスとの合同興行だったため、パンクラスとのトップ勢との対戦を希望するアピールを繰り広げたが、今回は元修斗環太平洋王者との防衛戦が用意された。
佐藤は16年10月の同GP一回戦で長谷川に敗れたが、判定1-2の大接戦に。以降は桜井隆多、片平”なぎさ”吉幸相手にギロチンチョークで連勝し、タイトルに近いポジションを堅持してきた。
1R、住村がセコンドの皇治のアドバイスを聞きつつ、序盤から右ロー、三日月蹴りを着実にヒット。佐藤はカットできず被弾し続ける。住村は中盤から左フックのヒットも増やす。佐藤も同じような攻撃を返すが、住村はうまく防御している。記者採点は10-9で住村。
2Rも住村のパンチが度々佐藤の顔面をとらえるが、佐藤も持ちこたえ、左ミドル、右フックを時折お返しする。とはいえ手数ではまだ住村が上で、記者採点は10-9で住村。
3Rも打撃戦で住村が若干優勢だったが、倒しきれずにいると、佐藤が組み付く。金網際で何度も押し込む側が入れ替わる状態でクルクル回り続けるが、佐藤がしぶとくしがみついて振り倒そうとする。住村が一瞬金網に指をひっかけるが、金網の外のレフェリーに外されると、佐藤は倒してすぐさまバックマウントへ。3分近くチョークを狙い続けるが、極めきれず試合を終える。記者採点は9-10で佐藤。合計は29-28で住村。5名のジャッジも同様で、住村の初防衛となった。
住村は「危なかったですね。強くてビックリしました」と話しつつ「もっと面白い試合するんで、RIZINで使ってください」とアピールした。この日はRIZINの榊原信行実行委員長がケージサイドのVIP席で全試合を観戦しており、多くの勝利選手がRIZINを意識したアピールを繰り広げた。
第12試合 セミファイナル DEEPフライ級タイトルマッチ 5分3R
○和田竜光(フリー/王者/56.7kg)※吉田道場から所属変更
×高橋 誠(パラエストラ松戸/挑戦者/56.7kg)
判定5-0 (小池30-27/福田30-27/松宮30-27/豊永30-27/梅木29-28)
※和田が初防衛
和田は16年6月の第4代王座決定戦で柴田“MONKEY”有哉に判定勝ちし、王座に返り咲き。同年末のRIZINではカイ・カラフランスに判定勝ちし、続く昨年9月のDEEPでランボー宏輔に2Rチョークで一本勝ちし、7連勝と好調だ。
高橋はランボーと同じパラエストラ千葉ネットワークの新鋭。2000年7月5日生まれの17歳で、王座戦時点でも高校3年生。勝てばDEEP最年少王者誕生となる。レスリングをベースとし、高校進学直後の16年4月にMMAプロデビュー。昨年5月の石神保貴戦は引き分けたが、それ以外の6試合はいずれも勝利し、最近では12月の尼崎大会で獅庵を、2月の有明大会では石橋幸太を、いずれも判定で下している。2学年上の那須川天心の練習仲間でもあり、前戦では得意のグラウンドだけでなく、三日月蹴りでも見せ場を作り、トータルの進化を見せていた。
これまでの相手とは格違いのトップ選手・和田にどこまで高橋が通用するか見もの。当然、和田もプロ3年目の若手にベルトを譲るわけにはいかない。今年後半のRIZIN再出場に向けてしっかり強さをアピールしたいところだろう。
1R、和田が首相撲に捕まえて押し込み、お互い膝を当て合う状況が続いた後、和田が足を掛けてテイクダウンに成功しサイドへ。高橋をコーナーに押し付けながらトップキープし、高橋が立とうとしても、すぐに足を掛けてグラウンドに戻す。残り1分に高橋が立ち上がり、タックルを仕掛けると、金網際で両者もつれた状態が続く。最後はバックにつきかけた高橋を、和田が金網に押し込んで潰した状態で終える。記者採点は10-9で和田。
2Rも和田が金網に押し込むが、高橋がタックルを仕掛けてテイクダウンに成功。バックを取りに行くが、和田は前方に落としてすぐサイドへ。今度は和田がバックを取るが、高橋は体をひねりながら脱出してバックマウントを奪い返す。高橋は腕十字を狙うが失敗し、今度は高橋が上になり、またもバックへ。最後は高橋がスタンドに戻し終了。目まぐるしく攻防が入れ替わる展開に場内は沸く。記者採点は9-10で高橋。ポジション争いは互角で、腕十字でチャンスを作った高橋を評価した。
3R、またも和田が押し込み続けた後、胴に両手を回して倒してハーフガードに。いったんトップに戻されるが、ハーフに戻ると肩固めを狙う。中盤、高橋はブリッジで脱出し、場内を沸かせるが、和田は押し込んでまたも倒し、バックも取りかけつつ、最後は1分以上トップキープして終了。立ち上がった和田は両手を上げて勝ち誇る。記者採点は10-9で和田。合計29-28で和田。ジャッジ1者は記者と同じで、他4者はフルマークで和田を支持し、和田の勝利となった。
新鋭相手にベルトを死守した和田は「DEEPのチャンピオンは俺です。世界の相手は待ってろよ、って感じでまた頑張ります」と、RIZIN再出撃を意識するようなアピールを繰り広げた。
第11試合 第6代DEEPバンタム級王座決定戦 5分3R
×北田俊亮(パンクラスイズム横浜/61.1kg)
○ソン・ジンス(韓国/コリアンゾンビMMA/本宮塾/61.2kg)
2R 2’39” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
※ソンが王者に
大塚隆史がRIZINバンタム級GPの激闘で負傷したため、DEEPバンタム級王座を防衛ができないことから返上した。第6代王座を争う北田とジンスは16年8月に対戦しているが、ジンスの膝蹴りが再三ローブローとなり、イエローカードが2枚出される荒れた内容となり、北田が判定勝ちしたものの、今一つ攻めきれない試合となってしまっていた。
その後ジンスは遠藤大翼、城田和秀を下し、昨年10月の有明大会での次期王座挑戦者決定戦で釜谷真と対戦し、右のパンチで度々ダウンを奪い大差の判定勝ちし、王座挑戦権を獲得した。1993年4月1日生まれで現在26歳と、伸び盛りの年頃だ。
北田はジンス戦の後、石司晃一と瀧澤謙太に敗れたが、その後、北岡悟率いるパンクラスイズム横浜に移籍。昨年12月の有明大会で、10連勝中の窪田泰斗に判定勝ちした。王座戦は15年5月に大塚に挑戦して判定負けして以来。長年DEEPバンタム級上位戦線にいながら、あと少しのところでベルトに届かない状況が続いており、37歳でのこのチャンスは何としても物にしたいところだったが、今回もジンスの右が火を噴くことに。
試合前、大塚がベルトを返上し、「この試合の防衛に(怪我の回復が)間に合わないため返上しますが、DEEPには帰って来ます。どっちが勝っても強いチャンピオンだと思います」と話した。
1R、前に出て詰めようとするジンスを、北田は右回りでかわし続ける状態が続く。ジンスが時折右ストレートを当て、当たりはまだ浅いが積極性を印象付ける。終盤には押し込むが離れ、打撃戦に戻り、ジンスがまたも右のパンチを当てる。記者採点は9-10でジンス。
2R、北田は回って距離と取りつつ、時折距離を詰めては、組もうとするかに見せて右フックを当てたり、組んでの離れ際に右肘やフックを当て、少しずつ細かいスキルを発揮するようになる。だがジンスは笑顔を浮かべ、ダメージはあまり無い様子。次第に距離の縮まる状況が増えると、タイミングをつかんだか?ジンスの右ストレートがクリーンヒット。北田は左目を閉じて苦しそうな表情を浮かべながら後退し、ジンスがパンチの連打で詰めて、北田が背中を向けながら倒れたところで梅木レフェリーがストップした。
第10試合 キックルール -55kg契約 3分3R
×堀尾竜司(TRY HARD GYM/元Krush -55kg王者/55.0kg)
○結城将人(TEAM TEPPEN/54.9kg)
判定0-3 (福田28-30/植松29-30/梅木28-29)
14年11月のKrushで両者は戦っており、1R最初に結城が右ストレートでダウンを先取したが、堀尾が終盤に左ストレートでダウンを奪い返すと、以降は攻勢を維持し判定勝ちしている。その後、王座獲得と陥落を経験した堀尾は、2月に発覚したTRY HARD GYMとK-1 JAPAN GROUPの契約問題で新天地を求めることに。結城も練習環境の変化と共に3月からRISEに主戦場を移しており、MMA大会のDEEPのケージの中という、少し前なら考えもつかなかった形で再会することになった。
今回採用される「キックルール」はKrush同様に肘無しだが、つかんだ状態からの攻撃は1回だけOKで、この点がKrushと異なり、RISEとRIZINとは同じになる。大阪を拠点とするDEEP☆KICKとは競技運営の管轄・ルールブックが異なるが、ルール自体はほとんど変わらない模様だ。
堀尾のセコンドにはHIROYAがつき、入場時には大雅も帯同。結城のセコンドには那須川天心の父・弘幸氏がつき、ケージの脇では天心が試合を見守る。1R、堀尾が中央に立ち、お互いジャブから慎重に攻撃機会をうかがう状況が続く。堀尾が左ミドルを強打する場面もあるが、結城のほうが堀尾の蹴りの打ち終わりにうまく左ローを当て、少しだけうまく戦っている状態。堀尾が前に出てくれば、右に回って逃げる。リングよりも逃げやすそうだ。大差は無いため記者採点は10-10。
2Rもお互い慎重ではあったが、時間が経つにつれ、両者とも蹴り数が上がる。堀尾は二段蹴りのような形でミドル、ロー、飛び膝を当て、金網に詰めそうになる場面もあるが、結城が右に回って難を逃れる。リングなら詰められた距離だ。結城もロー、ミドルを返し、大差をつけさせない。記者採点は10-10。
3R、堀尾がややミドル、ロー、飛び膝を積極的に放つが、当たりは浅く、結城も右ロー、接近戦でのパンチを返し、終盤には距離を詰めてパンチの連打をまとめるように。記者採点は10-10。合計30-30でドロー。ジャッジは3者とも異なる点数ながら結城を支持し、結城の勝利となった。
試合後、HIROYAがケージに入り、「今回、試合を組んでくれたDEEPの佐伯(繁)代表ありがとうございます。いつもと違う条件の試合を飲んでくれた結城選手とTEPPEN GYMの皆さんにも感謝します。僕らのジムに色々あった中で、どこのリングでも上がりたいと伝えたところ、佐伯さんに声をかけていただきました。今日は堀尾が負けましたが、僕らは国内どこでも関係なく活躍したいです」とアピールした。
第9試合 ライト級 5分3R
×ツォゴーフ・アマルサナー(モンゴル/COREモンゴル/73.35kg→73.15kg)
○武田光司(BRAVE/70.2kg)
判定0-3 (福田25-30/松宮25-30/梅木25-30)
※アマルサナーは計量2.4kgオーバー。武田が勝利した場合のみ公式記録に残り、アマルサナーが勝利してもノーコンテンテストとなる。アマルサナーは2点減点からスタートし、罰金が科される。
1R、武田がテイクダウンを奪い、アナコンダチョークを仕掛けるが、極まりが浅く、スタンドに戻る。2Rは再三武田が押し込むが、なかなかテイクダウンは奪えず。打撃戦ではアマルサナーも右ミドル、右フックを返すようになるが、武田は押し込み続ける。3R、武田がテイクダウンを繰り返し、オンブからチョークを狙うなど、主導権を維持し判定勝ちした。
第8試合 女子46kg契約 5分2R
○しなしさとこ(フリー/DEEP女子フライ級(45kg)王者/44.5kg)
×ジョン・イェジン(韓国/チーム・フェトラ/CMA KOREA/44.25kg)
1R 4’37” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
しなしは14年10月、結婚と出産を経て6年ぶりに復帰した試合で、当時16歳だったイェジンと対戦し、イェジンに何もさせず1RマウントパンチでTKO勝ちしている。イェジンは昨年2月のDEEP JEWELSにも参戦し、SARAMIにギロチンチョークでわずか36秒で一本負けしている。
1R、しなしが押し込んで投げを狙うが、イェジンがしなしの髪の毛とウェアをつかんで妨げたため、しなしは抗議する。その後もタックルを潰されて、下になる場面もあったが、スタンドに戻して倒すと、バックマウントを奪ってパウンドを連打しフィニッシュした。
しなしはマイクを持つと「私しなしさとこは、山本美憂選手と戦いたいです」と第一声を放ち「これまで体が小さく対戦相手がいませんでしたが、同じ40代、母として、選手として挑戦したいです」とアピールした。しなしは41歳、美憂は43歳。
第7試合 ウェルター級 5分2R
―桜井隆多(R-BLOOD/元DEEPミドル級王者/77.75kg)
―片平”なぎさ”吉幸(パンクラスイズム横浜)
中止
片平が前日の計量日の朝、自宅の階段から落ちて打撲し病院に運ばれたため中止に。桜井は「試合が中止になって申し訳ございません。アクシデントなのでしょうがないです。コンディションも良かったので、次に向けてまた頑張ります」と話した。
第6試合 63kg契約 5分2R
×CORO(K-Clann/62.85kg)
○朝倉未来(トライフォース赤坂/62.95kg)
判定0-3 (豊永18-20/福田18-20/梅木18-20)
朝倉未来(みくる)は昨年末のRIZINで賀紀左衛門に勝利した朝倉海の兄。兄弟揃ってTHE OUTSIDERで活躍していた。未来はDEEP初参戦だ。
1R、COROが右ミドルを2発強打し、押し込んで倒そうとしたが、倒され際に未来が返してそのままマウントへ。後半はポジションを動きつつ主導権を維持し、チョークを狙ったり、時折パウンドや肘を当てる。記者採点は9-10で未来。
2R、未来がパンチで攻め込んでから上になるが、COROは下から金網を蹴りつつ足を登らせ、腕十字を極める。未来は間一髪で防御して外し、ハーフガードをキープ。終盤にはパウントと肘をまとめる。記者採点は9-10で未来。合計18-20で未来。ピンチはあったが未来が素質の高さを印象付け勝利した。
マイクを持った未来は「浅倉兄弟で格闘技をやっているんですけど、OUTSIDER出身でナメられていたんで、半年前から東京に来て、寝技もできると見せられて良かったです。来週のRIZINで弟がマネル・ケイプとやるんですけど、勝てないとか言われていますけど、見ていてください」とアピールした。
第5試合 ストロー級 5分2R
×ランボー宏輔(パラエストラ千葉/51.9kg)
○村元友太郎(ALIVE/52.35kg)
判定0-3 (福田18-20/梅木18-20/豊永17-20)
1R、序盤から村元が上になり、立とうとするランボーを制し、オンブの状態からチョークを狙いチャンス。振り落とされてもすぐにハーフガードをキープし、サイドを取って肘を当てる。記者採点は9-10で村元。
2R、村元が前進するランボーをかわしながら左右のフックを当て続ける。中盤、ランボーがギロチンでチャンスを作るが、村元は外して上になり、終盤にバックを奪ってチョークを狙って終了。記者採点は9-10で村元。合計18-20で村元。村元が修斗でも王座戦線で活躍したランボーから白星をもぎ取った。
村元は「チャンピオン(越智晴雄)にリベンジしたいんで近いうちにタイトルマッチお願いします。8月にRIZINが名古屋であるので、地元の僕が絶対に盛り上げます」とアピールした。
この第5試合終了後、6月30日のディファ有明大会で引退試合を行う横田一則が登場し、「これから仕上げて、まだやれるというのを残しながら引退したい」と意気込みを語った。
第4試合 バンタム級 5分2R
○窪田泰斗(D’s Box’n Fit/61.45kg)
×小川顕広(CAVE/61.6kg)
1R 2’51” アームロック
昨年12月の北田戦で連勝が10でストップした窪田が、再起戦で小川を圧倒。右フック、左ミドルを当て、押し込んでから倒し、横三角絞めのままパウンドを連打した後、アームロックをガッチリと極めタップを奪った。
第3試合 フライ級 5分2R
○島袋チカラ(CORE王子豊島/56.6kg)
×石神保貴(フリー/56.85kg)
1R 3’17” TKO (レフェリーストップ:左フック→グラウンドパンチ)
第2試合 フェザー級 5分2R
○横山恭典 (KRAZY BEE/66.0kg)
×ムン・ギボム(韓国/TEAM MAD DAEJEON/65.8kg)
判定2-0 (福田20-18/松宮19-19/植松20-18)
第1試合 バンタム級 5分2R
×ハシャーンフヒト(NEX/DXFCバンタム級王者/61.2kg)
○バータル・アズジャブハラン(モンゴル/COREモンゴル/61.05kg)
判定0-3 (福田18-20/松宮18-20/植松18-20)