RISE 5.31 後楽園ホール(レポ):安本晴翔、國枝悠太を1R左ハイでKOしフェザー級王座初防衛。高木覚清、モトヤスックに判定勝ち。17歳の棚澤大空、末國龍汰を右ハイKOし7連勝。QUEENアトム級王者決定T初戦は島田知佳・辻井和花が勝利
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RISE 188
2025年5月31日(土)後楽園ホール
レポート:井原芳徳 写真提供:RISEクリエーション
安本晴翔、國枝悠太を1R左ハイでKOしフェザー級王座初防衛
第11試合 メインイベント RISEフェザー級(57.5kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
○安本晴翔[はると](橋本道場/王者、WPMF世界・WBCムエタイ日本同級王者、元KNOCK OUT-RED同級王者、元INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者)
×國枝悠太(Never mind/9+nine plus lab/2位、元AJKNフェザー級王者)
1R 2’13” KO (3ダウン:左ハイキック)
※安本が初防衛
安本は25歳。昨年2月、元フェザー級王者の梅井泰成に判定勝ち。ONEフライデーファイツで2戦し、5月にテミルラン・ベクムルザエフに判定勝ちしたが、7月にアキフ・グルザダに判定負け。10月にはフェザー級王者の門口佳佑に判定勝ちし、RISE参戦約2年で王座を獲得した。1月の後楽園大会ではワン・シャンチンに判定勝ちした。
國枝は32歳。21年1月からK-1 GROUPで9戦し4勝5敗で、林京平、鷹大、桝本翔也、覇家斗をKOし、勝った試合は全てKO。だが22年12月に新美貴士に判定負けし、23年3月に大岩龍矢にKO負け。昨年3月のMAキック大阪大会ではRISEのランカーの平野凌我に2R TKO負けした。4月にK-1 GROUP離脱を発表。9月の横浜BUNTAI大会でRISEに初参戦すると、元フェザー級王者で当時3位の梅井から2Rに左フックでダウンを奪い判定勝ちし、いきなり上位にランクインし、2戦目で王座に挑んだ。(4月の記者会見での両選手の談話はこちら)
今大会からRISEのタイトルマッチは、金色のグローブを着用して行われる。國枝のセコンドには前王者の門口がつく。試合は安本が無傷で圧勝することに。
1R、開始すぐから長身の安本が中央に立ちプレッシャーをかけ、右ロー、カーフキックを当てる。中盤、安本はサウスポーにスイッチし、左ミドルとハイを立て続けに当て、オーソドックスに戻す。安本は右カーフを当て続けると、ステップが少しぎごちなくなった國枝に対し、サウスポーからの左三日月を当てると、すぐさま左ハイにつなげ、早くもダウンを奪う。安本はすぐに同じように左ミドル、ハイの連打でダウンを奪う。最後も左ハイの3連打で、3発目をアゴに当て3ダウン目を奪い、マットに沈めた。
ベルトを巻きマイクを持った安本は「やっとKOできました。戦ってくれた國枝選手、ありがとうございました。今回(東日本に展開するラーメンチェーン店の)幸楽苑様がスポンサーについてもらって、落とせない大事な試合だったんですけど、KOで締めれて良かったです。フェザー級、強い選手がいっぱいいるんですけど、僕がズバ抜けて強いと思うんで、これからも応援お願いします」と話した。
高木覚清、モトヤスックから左ハイでダウン奪い判定勝ち
第10試合 セミファイナル ミドル級(70kg) 3分3R(延長1R)
×モトヤスック(ジャパンキックボクシング協会/2位、WMOインターナショナル・スーパーウェルター級王者、元ジャパンキック・ウェルター級王者)※治政館から所属変更
○高木覚清[かくし](RIKIX/Bigbangミドル級(72.5kg)王者)
判定0-3 (小川28-29/北尻28-29/和田28-29)
モトヤスックは23歳。23年3月に憂也に延長判定勝ちし、10月大会でT-98に判定勝ち。その後はRWSとジャパンキックでタイ人選手相手に2連敗。昨年10月のRISEでは海人ら強豪との対戦経験豊富なサモ・ペティと対戦し、延長まで持ち込んだが判定負けした。4月9日には治政館ジムを離れ、同ジムが加盟しているジャパンキック所属という扱いになっていた。
高木も23歳でRISE初参戦。戦績22戦14勝(5KO)7敗1分。所属先のRIKIXが主催するNO KICK NO LIFEに上がりつつ、近年はBigbangを主戦場にする。昨年3月に大輝に判定勝ちし、Bigbangミドル級(72.5kg)王者となり、12月に山崎陽一に3R右カーフキックでTKO勝ちし初防衛し、連勝を5に伸ばした。
1R、高木がプレッシャーをかけ、モトヤスックが回る構図が続く。お互いボディ狙いのミドルとパンチを当てる。終盤、高木が詰め、パンチをまとめる場面を作る。高木が左インローを当てれば、モトヤスックがスイッチする場面も。記者採点はイーブン。
2Rも高木が前に出続ける展開が続く。高木は左ミドル、右フック等を当てるが、モトヤスックも随所でパンチと左ミドル、三日月を返し、最後は少し優位で終える。記者採点はイーブン。
3R、高木は変わらず前に出つつ、パンチの手数も上げ、右ストレート、アッパー、左右のボディを当てる。モトヤスックは攻撃が返せなくなり、口が開きしんどうそうだ。すると終盤、高木は左の足払いで崩してから、下がったモトヤスックの左ハイを当ててダウンを奪う。高木は最後、攻め続け終了する。8-10で高木が取る。合計28-30で高木。ジャッジ3者も高木を支持し、高木が判定勝ちした。
マイクを持った高木は「次、サモ・ペティ選手しかいないですよね。今年中にお願いします。魅せる試合するんでお願いします。岡山からたくさん(応援)ありがとうございます」とアピールした。
第9試合 ミドル級(70kg) 3分3R(延長1R)
○宮城寛克(赤雲會/7位、元TENKAICHIミドル級&ウェルター級王者)
×中島将志(新潟誠道館/9位)
判定3-0 (小川30-28/秋谷30-28/北尻30-27)
宮城は昨年10月、憂也に判定負けして以来の試合。中島は23年7月に石川泰市に1R KO負けして以来約2年ぶりの復帰戦。
1R、宮城が随所で右カーフを当てていると、中島は足が流れがちに。2R、宮城はプレッシャーを強め、右ストレートのヒットも増やし、右カーフでも苦しめる。
3R、中島は前に出て右ハイ、ミドル、テンカオを出し、ようやく持ち直すが、終盤、勢いが落ちると、、宮城が右カーフを効かせつつ、カウンターの右フックでひるませ終了。反撃を封じ判定勝ちした。記者採点は30-27で宮城。
長谷川海翔、横山大翔に大差の判定勝ち
第8試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R(延長1R)
○長谷川海翔[かいと](誠剛館/2位、元DEEP☆KICK -53kg王者)
×横山大翔[ひろと](拳心會館/4位、Stand Up King of Rookie 2023 -53kg級優勝)
判定3-0 (小川30-27/大沢30-26/秋谷30-26)
スーパーフライ級の関西の新鋭対決。長谷川は16戦13勝(12KO)2敗1無効試合の19歳。昨年6月に花岡竜に判定負けし、11月の京谷祐希戦は1R早々に京谷が足を負傷したためTKO勝ちと、不完全燃焼まま終わっていた。なお、長谷川に勝った花岡は12月に政所仁を下してスーパーフライ級王座を獲得している。
横山は8戦6勝(1KO)2敗の22歳。昨年8月に星憂雅に判定負けして以来となるRISE登場で、最近では2月のDEEP☆KICKの-53kg王座決定トーナメント準決勝で山田貴紀に判定負けしている。
1R、長谷川がサウスポーからの左ミドル、テンカオ、インローを立て続けに当てる場面もあったが、まだ攻撃が少ない。
2R、序盤の長谷川の左ローがローブローとなり一時中断する。長谷川はクリンチになると、反則の崩しで倒す場面が1Rから時折あり、長瀬レフェリーは警告を出す。終盤もお互い攻撃が少ないまま進む。記者採点はここまでイーブン。
3R、ようやく長谷川がプレッシャーを少し強めると、左のショートフックを当ててダウンを奪う。その後、横山はクリンチが増え、レフェリーから警告を受けるが、終盤は持ち直し終了する。10-8で長谷川がポイントを取る。記者採点は合計30-28で長谷川。ジャッジは1・2Rも長谷川を支持し、長谷川の大差の判定勝ちとなった。
TEPPEN大阪の17歳・棚澤大空、RISE初戦は末國龍汰を右ハイKOし7連勝
第7試合 スーパーフライ級(53kg) 3分3R(延長1R)
×末國龍汰(フリー/フライ級4位)
○棚澤大空[そら](TEAM TEPPEN/スーパーフライ級6位、DEEP☆KICK -53kg王者、Stand Up King of Rookie 2024 -53kg級優勝)
2R 2’02” KO (右ハイキック)
末國は17戦11勝(3KO)4敗1分1無効試合の20歳。昨年は麗也、平山裕翔、KING陸斗相手に3連勝。今回はフライ級からスーパーフライ級に階級を上げた。
棚澤は兵庫出身、6戦6勝(2KO)の17歳。TEPPEN GYM 大阪で練習を積み、昨年のStand Up King of Rookie 2024 -53kg級では決勝で相沢晟に判定勝ちし優勝。今年2月と3月に行われたDEEP☆KICK -53kg王座決定トーナメントでも決勝で山田貴紀に延長判定勝ちしてベルトを獲得。勢いに乗ってRISEに初参戦し、素質の高さを印象付ける。
1R、サウスポーで構える末國に対し、棚澤は左の前手を突きつつ距離を取り、随所で右ミドルを強打し、中盤過ぎには右のスーパーマンパンチを当てる。終盤、距離が詰まるが、棚澤が右ストレートを当て、少し末國の腰が落ちる。
2R、末國も右ジャブを増やし、序盤から左ストレートを当て、流れを引き寄せたかに見えたが、中盤、棚澤は右ストレートをヒット。そこから棚澤は右のミドルも当てて攻撃を散らすと、右ストレートを当ててから、右ストレートのフェイントを見せつつ、右ハイをクリーンヒットしダウンを奪う。不意を打たれた様子の末國は立とうとしたが力が入りきらず、和田レフェリーがストップした。
マイクを持った棚澤は「初めてのRISE、評価の良い相手で、プレッシャーあったんですけど、一馬さんの下馬評で火がついて、おかげでKOできました。これからもキックボクシング、下から盛り上げます」と話した。
第6試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○藤井重綺(Team+1/7位、STRIKE NEXUSスーパーフェザー級王者)
×末永愛士[あいと](kickboxing Academy Sapporo)
判定3-0 (和田30-26/長瀬30-26/大沢30-26)
1R、序盤から藤井が前に出てコーナーに詰め、左ボディを効かせて、パンチをまとめダウンを奪う。その後もコーナーに詰めて攻め続ける。2R、3Rも藤井が前に出て右ストレート、左ボディ、膝等で攻め続け、主導権を維持し判定勝ちした。
QUEENアトム級王者決定トーナメント開幕戦は島田知佳が1R KO勝ち、辻井和花が判定勝ち
第5試合 第3代RISE QUEENアトム級(46kg)王座決定トーナメント一回戦(1) 3分3R(延長1R)
○辻井和花[ほのか](BRING IT ONパラエストラAKK/7位、元KROSS×OVER GIRLS-KICK アトム級王者)
×岩永唯伽(OISHI GYM)
判定2-0 (和田29-28/北尻29-29/長瀬30-28)
宮﨑小雪が留学でブランクを作るため3月30日に返上したQUEENアトム級王座を懸け、6選手によるトーナメントが開幕し、今回は1回戦2試合が行われた。7月25日の後楽園では、辻井×岩永の勝者が、平岡琴(TRY HARD GYM/2位)と準決勝を行い、8月に反対ブロックの準決勝(片方の選手は未定)を行い、決勝は10月ごろを予定している。
辻井は昨年4月の坂田実優戦以来1年ぶりのRISE出場。この間、KROSS×OVERで2連敗し、4月には菊地美乃里に判定負けしKROSS×OVERの王座から陥落した。岩永は2月に島田知佳に判定負けして以来の試合となる。
1R、辻井はサウスポーで構え、前に出て左ストレート、膝等で積極的に攻める。岩永は得意の蹴りの距離を潰される。それでも接近戦で岩永もパンチを返していたが、終了間際、辻井が左ハイを当て、いい形で終える。2Rも辻井が積極的に攻め続け、強打は乏しいが主導権を維持する。
3R、岩永は開始すぐから左前蹴りを連打して吹き飛ばす場面も作り先手を取る。中盤には岩永が右ハイも当てる。だが終盤、辻井が再び距離を潰し、パンチをまとめ終了。岩永の逆転を封じ辻井が判定勝ちした。記者採点は1と2が辻井、3が岩永で合計29-28で辻井。
第4試合 第3代RISE QUEENアトム級(46kg)王座決定トーナメント一回戦(2) 3分3R(延長1R)
×奥村琉奈(OISHI GYM/3位)
○島田知佳[はるか](team VASILEUS/8位)
1R 2’27” KO (パンチ連打)
島田は伝統派空手をベースとし(当時を振り返る公式インタビュー記事はこちら)、昨年7月にプロデビューし3連勝。2月の岩永唯伽戦に続きOISHI GYMの選手との戦いとなる。奥村はトーナメントシードの平岡と12月に戦い延長判定負けし、延長まで持ち込んでいる実力者だが、島田は圧倒することに。
1R、嶋田はサウスポーでやや低めに構え、右ジャブで距離を取りつつ、左インロー、ミドル、ストレートを序盤から的確に当てる。すると中盤、嶋田が左ストレートを当てると、早くも奥村の腰が落ち、コーナーに詰めて左右のフックを当て続け、秋谷レフェリーはスタンディングダウンを奥村に宣告する。それでも奥村は必死に前に出るが、島田は右回りで距離を取り続けてから、左ミドルをクリーンヒット。一発で下がった奥村に、再びパンチを連打すると、レフェリーがストップした。
緊急出場の岩城悠介が判定勝ち
第3試合 ライト級(63kg) 3分3R
○岩城悠介(RIKIX/元WPMF世界スーパーフェザー級王者)
×原口アンドレイ(TEAM TEPPEN)
判定2-0 (秋谷30-29/小川29-29/北尻30-29)
鈴木宙樹の負傷欠場により、同じRIKIX所属の岩城は急きょ代役出場した。大会11日前の発表だったが、岩城がコンディションの良さを示し、連敗を4で止めることに。
1R序盤から岩城がプレッシャーをかけて右ストレート、ローを積極的に放ち、やや優位に進める。原口も右テンカオやミドルといった蹴り技主体で応戦する。
2R、岩城は左フックをクリーンヒットし、左ボディや前蹴りにもつなげる。終盤には詰めて立て続けに左右のパンチを当て、印象を作る。
3R、岩城が積極的に攻める。原口も右カーフを当てていると、中盤に2度バランスを崩したが、足払いに近い状態で、岩城のダメージはそこまで大きく無い様子だ。終盤、岩城は前に出てパンチを随所で当て、流れを変えさせず終了。2Rのポイントを確実に取った岩城が判定勝ちした。
第2試合 ライト級(63kg) 3分3R
×窪山 昂[のぼる](リアルディール)
○雅志(RIKIX)
3R 0″28″ KO (右カーフキック)
両者アマチュアで2度戦い、雅志が2勝しており、プロでも勝利をもぎ取る。1R、窪山はリアルディール勢らしくプレッシャーが強いが、雅志は細かくパンチと蹴りを出して入らせない。すると雅志が随所で当てていた右カーフキックが2Rからじわじわと効き目を発揮し、終盤には窪山に右カーフを何発も当て、2度ダウンを奪う。3R、開始早々から雅志が右カーフで2度ダウンを重ねたところで、長瀬レフェリーがストップした。
第1試合 女子ミニフライ級(49kg) 3分3R
○愛弥[あみ](NEXT LEVEL渋谷)
×寺田佑佳(GRAB/Queen’s Fight 2024 フライ級王者)
判定3-0 (大沢30-29/秋谷29-28/長瀬30-28)
愛弥は23年10月のプロデビューから半年間、KROSS×OVERで3戦3勝。1年ぶりの試合でRISEに初参戦した、前日記者会見では、公開計量までつけていたウィッグを外し、短髪の姿を見せ、昨年冬まで病気で頭髪が生えない状態だったことを明かしていた。
試合は1Rから愛弥がプレッシャーをかけ続け、随所で右ストレートや左フックをヒットし、若干手数上の状態をキープする。2Rには寺田が口から出血するように。3R、寺田も組んで膝を返す頻度が上がるが、終盤、愛弥が残りの力を振り絞って左右のパンチを連打し終了。愛弥が判定勝ちし、苦難を乗り越えての復帰戦を白星で飾った。