RISE 1.25 後楽園ホール(レポ):常陸飛雄馬、エン・ペンジェーとの死闘制す「61.5kgトーナメントで絶対世界一になる」。安本晴翔、王座獲得後初戦は中国の選手に判定勝ち
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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RISE 185
2025年1月25日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
常陸飛雄馬、エン・ペンジェーとの死闘制す「61.5kgトーナメントで絶対世界一になる」
第10試合 セミファイナル 61.5kg契約 3分3R(延長1R)
○常陸飛雄馬(TARGET SHIBUYA/スーパーフェザー級(60kg)2位)
×エン・ペンジェー[Yuan Pengjie](中国/仏山温拿拳館)
判定3-0 (和田29-28/長瀬29-28/秋谷29-28)
RISEでは3月29日の両国国技館大会から、スーパーフェザー級(60kg)とライト級(63kg)の中間の61.5kg契約でのWOLRD SERIESトーナメントを開催する。昨年9月の横浜BUNTAI大会から前哨戦・査定試合が組まれ、今回もその位置づけの試合が常陸に用意された。
常陸は26歳。23年8月の大田大会では大雅に延長判定負け。12月に勝次を2R KO。24年3月にはK-1に参戦し元K-1フェザー級王者の江川優生と戦ったが延長判定2-1で惜敗。9月のRISEではアリシェル・カルメノフに判定勝ちした。
今回はその大会でライト級(63kg)王者・中村寛と死闘の末に延長判定負けしたエン・ペンジェーと対戦する。カルメノフも中村と対戦し無効試合となった過去のある選手で、連続で中村と縁のある選手と戦うことで、常陸は実力が測定される。
1R、エンはサウスポーで構え、左テンカオを放つがまだ慎重だ。中盤、エンの右肘が常陸に当たり、常陸は右まぶたから出血し、ドクターチェックが入る。大沢レフェリーは偶発的な肘打ちと判断するが、ダメージがあるため、エンに警告を出す。その後もエンは左のテンカオ、ミドルを出し続けるが、常陸は距離を取り続けると、蹴りのカウンターで右ストレートを当ててダウンを奪う。ダウンは妥当は裁定だが、エンは押し倒された感も多少あったため、ダメージは小さい様子だ。
2R、エンは変わらず左ミドル、膝を当てていると、中盤に効き目を発揮し、常陸をコーナーに詰めて、顔面へのパンチも当てて追い詰めるように。終盤にもエンがパンチ連打で追い詰めるが、常陸の右まぶたの出血が激しくなり、残り30秒を切ったタイミングで大沢レフェリーはドクターチェックを要請する。常陸は回復し、エンは攻撃が寸断される形となってしまい、再開後、ダウンを奪えず終える。記者採点はエン。
3R、エンは変わらず左膝、パンチで攻め続け、常陸は防戦一方に。終盤にはダウン寸前まで追い詰められる。だが常陸はカウンターで右フックを当てると、エンがひるむ。常陸は前に出てコーナーに詰めてパンチを当て続けて形勢逆転し、場内は大盛り上がりとなる。記者採点はイーブン。合計29-28で常陸。ジャッジ3者も同じ採点で常陸が判定勝ちした。
同門の先輩のYA-MANが乗り移ったような激闘を制した常陸は、マイクを持つと「自分はコツコツ生きてきて、こういう戦い方しかできないですけど、誰かにパワーを与えられたらうれしいです」と話し、ファンや関係者に感謝を述べた後「3月29日、61.5kg世界トーナメントが開催されます。絶対世界一になるんで、応援してください」とアピールした。
なお、この日の大会中には、61.5kgトーナメントに中村寛(RISEライト級王者)、笠原友希(シュートボクシング日本スーパーフェザー級王者)、パヌワット・TGT(スーパーフェザー級漢気トーナメント2024優勝)の3選手が出場することが発表された。残りのメンバーは29日の記者会見で発表される。常陸は当確のようだが、RISEの伊藤隆代表はエンに関しても「出したい」と大会後にコメントしている。
安本晴翔、中国のワン・シャンチンに判定勝ち
第11試合 メインイベント 58kg契約 3分3R(延長1R)
○安本晴翔[はると](橋本道場/RISEフェザー級(57.5kg)王者、WPMF世界・WBCムエタイ日本同級王者、元KNOCK OUT-RED同級王者、元INNOVATIONスーパーバンタム級王者、元REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者)
×ワン・シャンチン[Wang Xianjing](中国/仏山温拿拳館)
判定3-0 (和田30-28/豊永30-28/秋谷30-28)
安本は24歳。昨年は2月、元フェザー級王者の梅井泰成に判定勝ち。その後はタイでのONEフライデーファイツで2戦し、5月にテミルラン・ベクムルザエフに判定勝ちしたが、7月にアキフ・グルザダに判定負けした。10月にはフェザー級王者の門口佳佑に判定勝ちし、RISE参戦約2年で王座を獲得した。
ワンは25戦23勝2敗(12KO)の22歳で初来日。ルンピニースタジアムでのRWSのプレリミナリーファイトでタイ人相手に2戦2勝し、8月の初戦は判定勝ち、9月の2戦目は1R右フックでKO勝ちしている。
1R、安本はサウスポーで構えつつ時折スイッチも織り交ぜ、終始プレッシャーをかけ、右ロー、左ミドル、三日月蹴り等の蹴りを的確に当て続け、カウンターの左のパンチも当て、主導権を握る。ワンもスピードがあり、カウンターでパンチを返す場面もあるが、攻撃がほとんど返せない。記者採点は安本。
2R、安本が序盤から右ハイを当て、その後も左ミドル、右ロー、左ジャブ等を的確に当て続ける。ワンは鼻血を出しドクターチェックが入る。再開後も安本ペースながら、ワンは随所で右フックを返し、曲者ぶりを発揮する。記者採点は安本。
3Rも安本が左三日月、膝、右ロー、左ジャブ等を当て続けるが、ワンは打たれ強く、目も良いためクリーンヒットを許さず、安本はダウンを奪えず終える。記者採点は安本。合計30-27で安本。ジャッジ3者とも30-28で安本を支持し、安本が判定勝ちした。
マイクを持った安本は「今年最初のRISEのメインなのに、こんな締め方で、責任がないなと思います。ワン選手強くていい選手でした。次、倒せる選手になって戻ってきます」と、悔しそうにコメントした。RISEの伊藤代表は「ワンは今後も起用したい。とても光る選手だった」と高く評価している。
サモ・ペティ、憂也に延長判定勝ちし海人戦希望
第9試合 ミドル級(70kg) 3分3R(延長1R)
○サモ・ペティ[Samo Petje](スロベニア/ナックムエチーム/1位、FFC -70kg級王者)
×憂也(魁塾/3位、元DEEP☆KICK-65kg王者)
4R 判定2-1 (大沢9-10/長瀬10-9/北尻10-9)
3R 判定1-1 (大沢30-29/長瀬28-29/北尻29-29)
海人が王座に君臨するミドル級戦線。10月の後楽園大会で上位勢による2試合が組まれ、3位の憂也は7位の宮城寛克に判定勝ちし、ペティは2位のモトヤスックに延長判定勝ちした。憂也は「さっき勝ったペティ選手と僕で挑戦者決定戦を組んでください。最強ですけどチャンピオンの海人からベルト奪取したいです」とアピールした。
だがRISEの伊藤隆代表は大会後の総括で「インパクトが無いと感じました。これで次期挑戦者(決定戦)で戦うのは疑問符が残りました」「この勝者同士はやらせる予定ですけども、今後のことも色々考えたいと思いました」と話し、海人もXで「RISE側も選手達も改めて考えてほしい。俺はもうそんなレベルで試合してる選手じゃないぞ」と不快感を示した。
今回、ペティと憂也の試合が組まれたが、挑戦者決定戦とは銘打たれておらず、今後につなげたければ、両者とも勝つだけでなく内容も問われる一戦となる。
1R、ペティが圧力をかけ、左右のフックを積極的に振るって、まだ強打は乏しいが印象を作る。憂也は右ローを返すが、圧に押され気味な感は否めない。記者採点はペティだがイーブンもありうる。
2R、憂也は序盤から左ボディ、顔面へのフックを立て続けに当てて先手を取る。中盤、ペティが前に出て、左フックや右バックハンドブローを当てて挽回するが、憂也は終盤に左フックでひるませ、一進一退の展開となる。記者採点はイーブン。
3R、ペティのほうが消耗が激しい様子で、憂也が随所で右ストレート等のパンチを的確に当てる。憂也も疲れてきて攻めきれないが、反撃を許さず終了する。記者採点は憂也。合計29-29でイーブン。ジャッジは三者三様で延長へ。
すると延長R、ペティが息を吹き返し、積極的にパンチ、膝を放って主導権を握る。ペティもクリーンヒットとはならないが、憂也はほとんど攻撃を返せないまま終わってしまう。記者採点はペティ。ジャッジは割れたものの、2者がペティを支持し、ペティが判定勝ちした。
マイクを持ったペティは「次の海人選手との試合を楽しみにしてください」とアピールした。とはいえまだ決定ではなく、RISEの伊藤代表は「(海人の所属する)シュートボクシングとも話し合って検討したい」と話すに留めた。
伊東龍也、京谷祐希からダウン奪い返し判定勝ち
第8試合 バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×京谷祐希(TEAM TEPPEN/6位)
○伊東龍也[りょうや](HAYATO GYM/9位)
判定0-3 (長瀬27-28/北尻27-28/大沢27-28)
京谷は11月の後楽園大会で長谷川海翔と対戦したが、1R中盤、右足の負傷でレフェリーストップがかかり、力を発揮できないまま試合が終わっていた。伊東は昨年4戦2勝2敗で、松永隆、福井萌矢に勝利したが、松下武蔵、塚本望夢に敗れ、10月に塚本に判定負けして以来の試合となる。
1R、お互いサウスポーで構え、京谷が右ボディストレート、ワンツーでの左ストレートを当てて印象を作る。とはいえヒット数は少なく、まだ伊東をひるませるほどではない。記者採点はイーブンだが京谷につく可能性はある。
2R、両者慎重でクリンチも多く、なかなか差がつかない状態が続いたが、終盤、詰めてきた伊東に対し、京谷が右フックと左ストレートを立て続けに当てて倒し、ダウンを奪う。
だが3R、流れが変わる。伊東が挽回を狙ってパンチを振るっていると、京谷はクリンチが増え、豊永レフェリーから警告を受ける。すると中盤、伊東が左フックでダウンを奪う。さらに伊東は左フックでダウンを奪って点差を広げ、逆転判定勝ちした。
マイクを持った伊東は「大森(隆之介)君に同調していると書かれているけど違うからね。でも盛り上げたいのは一緒です。大森君とはいつかつぶし合うと思うから」とアピールした。
「BreakingDownに負けたくない」発言の大森隆之介が判定勝ち
第7試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×平野凌我(MTS/5位)
○大森隆之介(EX ARES/バンタム級(55kg)4位)
判定0-3 (長瀬29-30/北尻28-29/大沢28-29)
平野は23年12月の後楽園大会で拳剛に1R KO勝ちして以来となるRISE出場。昨年は3月のMAキックで國枝悠太に2R KO勝ちしている。
大森は昨年3月のRISE ELDORADOで1年3が月ぶりに復帰すると、シュートボクシング日本スーパーバンタム級王者の山田虎矢太を1R右バックハンドブローでKO。8月にRISEバンタム級王者の大﨑孔稀に挑戦したが判定負けした。今回はフェザー級に階級を上げて戦う。
大森は1月12日のXのポストで「1/25ってさ、breaking down14.5と同じ日やねん。負けたくないよ。まじで。会見でしばきあって歯かけました。口縫いました。そんな奴らに負けたくない。現状じゃ来場数も閲覧数も全て負ける。頑張ろうぜRISE俺ら本気やん。本気でやってるやん。出てない人も協力してくれよ」と記し反響を呼んだ。その後のインタヒューで大森は「僕より上の知名度や実力のあるファイターからの協力が見られないようであれば、僕が実力で1番上に立つしかない」と語っていた。
1R、長身の大森が距離を取りつつ、ノーモーションの左ストレートやバックスピンキックで攻め、やや優位に進める。だが途中、両者とも攻撃がローブローになり、長時間休み、攻防が寸断される。終盤、大森が左ジャブやボディを当てるが、平野は前に出て距離を詰めパンチを振るい、完全には主導権を握らせない。記者採点はイーブンだが大森につく可能性はある。
2R、接近戦が増え、バッティングにより大森は眉間を切り出血し、中盤過ぎにドクターチェックが入る。その後もお互いパンチを振るうが決定打が乏しい状態が続く。記者採点はイーブン。
3R、平野は前に出るがなかなか攻撃を強打できない状態が続く。1階級上げた大森はパワー差があるか?攻めあぐねる状態が続いたが、終盤、左ボディを強打して平野を苦しめ好印象を作って終了する。記者採点は大森。合計29-30で大森。ジャッジ3者も1ポイント差で大森を支持し、大森が判定勝ちした。
マイクを持った大森は「試合前から盛り上げようと結構言ったのに、こんな試合になりました」と、攻めあぐねる内容となったことを反省しつつ「BreakingDownとか他の色んな団体がある中で、僕らマジで格闘技やっているんで、もっとこの業界を大きくしたいんで、もっと外に広げていけるよう頑張るんで、協力をお願いします」と改めてアピールした。
第6試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×宮崎就斗(TARGET/10位、元DEEP☆KICK -57.5kg王者)
○拳剛(誠剛館/12位、元DEEP☆KICK -55kg王者)
判定0-3 (和田28-29/豊永28-30/北尻27-30)
1R、宮崎がサウスポーで構え、左ミドルを随所で当てる。お互い攻撃の少ない状態が続いたが、終了間際、拳剛が左ミドルをもらってから前に詰めると、宮崎の右フックのカウンターで左フックを当ててダウンを奪う。
2R、序盤こそ拳剛がパンチラッシュで倒しにかかる場面もあったが、中盤以降はミドル主体の蹴り合いが目立つ展開になり、均衡状態に戻る。
3R、宮崎が反撃を狙って前に出続けるが、なかなかヒットにつながらない。拳剛も疲れが目立ち、攻撃が減るが、随所でパンチを当てて終了。拳剛が逃げ切る形で判定勝ちした。
第5試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×山元剣心(PHOENIX/15位)
○指田 烈(TEAM TEPPEN)
2R 2’41” KO (右ストレート)
1R、山元がサウスポー、指田がオーソドックで構え、お互い顔面へのストレート、ミドル主体で攻める。山元の攻撃が少し多いが、指田も返し、まだ差が乏しい。
すると2R、指田の右ローで山元がスリップするように。山元はローを嫌ってオーソドックスに切り替える。指田は足の止まった山元にパンチの連打も当てて追い詰めてダウンを奪うと、最後はロープ際に下がらせてのパンチの連打でマットに沈めた。
第4試合 女子ミニフライ級(49kg) 3分3R(延長1R)
○宮本芽依(KRAZY BEE/1位)
×チャ・ミンジュ[Cha Minju](韓国/大邱玄風ソルボンジム)
判定3-0 (和田30-27/長瀬30-27/秋谷30-27)
宮本は19年に全日本女子ボクシング選手権大会シニアの部で優勝実績があり、23年にRISEでキックプロデビュー後は4連勝中。昨年は4月に宮﨑若菜に判定勝ちし、8月にはMelty輝に判定勝ち。現在ミニフライ級1位で、王者・小林愛理奈への挑戦を希望している。
ミンジュは昨年12月のDEEP☆KICK大阪大会に参戦し、46kg契約で百花と対戦し判定負けしている。今回は3kg上の49kgでの試合となる。
1R、宮本が序盤からパンチを振って前に出つつ、左右のハイ、ミドル、ロー等の蹴りも積極的に出して主導権を握る。ミンジュは強打はもらわないが、ほとんど攻撃が返せない。2Rも宮本が同様にパンチと蹴りを当て続ける。中盤からは左フック、ボディへの膝蹴りのヒットが目立つように。3Rも宮本が手数で上回り、主導権を維持し判定勝ちした。
第3試合 女子ミニフライ級(49kg) 3分3R
×きたりこ(FASCINATE FIGHT TEAM/RISE QUEENフライ級5位、X-FIGHT QUEENSフライ級王者)
○夢空[ゆら](Croire)
判定0-3 (大沢28-30/長瀬28-30/秋谷28-30)
第2試合 スーパーフェザー級(60kg) 3分3R
○堀佑太郎(IDEAL GYM)
×内田聖那(新宿レフティージム)
判定2-0 (長瀬30-29/大沢29-29/北尻29-28)
第1試合 ライト級(63kg) 3分3R
×杉田優牙(D-BLAZE)
○雅志(RIKIX)
3R 1’24” KO (右ストレート)
1Rは杉田がミドル、ロー、パンチと多用に攻めて主導権を握る。だが2R、雅志がボディへの膝とパンチを効かせて流れを変え、前に出て顔面にもパンチを当て続け反撃する。そして3R、雅志がコーナーに詰めてのパンチ連打でスタンディングダウンを奪い、最後は右ストレートで2ダウン目を奪ったところで和田レフェリーがストップした。