RWS JAPAN 2.12 後楽園ホール:RWS日本初上陸。吉成名高、ラジャダムナン正規王者との統一戦は「完封勝利したい」。重森陽太、馬渡亮太、レンタがラジャの強豪ランカーと対戦。伊藤紗弥、永澤サムエル聖光、MIKE JOEも出場
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
格闘技医学会
現場で役立つ格闘技医学を研究/公開/実践中!
ラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)初の日本大会「RWS JAPAN」(2月12日(月/祝)後楽園ホール)の開催発表記者会見が1月9日、横浜のエイワ本社にて行われた。(会見写真提供:RWS JAPAN)
RWS、日本初上陸。ムエタイの聖地から日本の格闘技の聖地へ
ラジャダムナン・ワールド・シリーズ(RWS)は22年からスタートした、タイの国技・ムエタイの外国へのアピールを目的とした大会。派手な舞台演出が特徴で、タイ人と他国の選手の交流戦が主体で、旗揚げ当初にはブアカーオと三浦孝太のエキシビションマッチが話題となった。昨年2月からラジャダムナンの王座獲得実績のある吉成名高が参戦し、3戦全てKO勝ち。8月の2戦目ではラジャダムナン認定フライ級王座を防衛し、12月23日の3戦目では同スーパーフライ級暫定王座を獲得した。3戦目は大会のメインイベントとなっていた。これまで他にも日本からは石井一成、伊藤紗弥、奥脇竜哉、城戸康裕、福田海斗らが参戦し、日本はRWSで最も存在感を示している外国となっている。名高の所属するエイワスポーツジム(BOMプロモーション)の中川夏生代表は、RWSへの選手派遣をきっかけに運営サイドと交流を深め、今回のラジャダムナンスタジアム以外での初のRWSに全面協力することになった。
RWSを主催するグローバルスポーツベンチャー(GSV)のサラン・ラッダーワン副社長は会見冒頭に挨拶し「2022年、世界にムエタイを広めるため、RWSをスタートしました。2023年には200か国以上で放送されるようになりました。エコシステムが拡大し、昨年BOMで行われたRoad To RWS(=RWS出場に向けてのトライアウト)もその一つです。2024年は外国にRWSを持っていくことがミッションです。日本という強い選手のいる国でRWSが開催できてうれしいです。日本に素晴らしい選手がいたからこそ、今のタイのムエタイの繁栄があります。1978年に藤原敏男さんが日本人初のラジャダムナンの王者になり、色んな日本のトップ選手がベルトを獲得しました。3階級で王者になった名高選手はおそらくパウンドフォーパウンドのトップ3に入ります。トップクラスのムエタイを日本で見せられることはうれしいです。1回だけでなく今後も引き続き開催したいです」と語った。日本以外の世界展開にも意欲的で「アジアだけでなくヨーロッパやアメリカにも広めたいです。今年は日本で開催し、来年は色んな国で開催したいです」と話した。
RWS JAPANの佐々木洋平代表「RIZINの榊原代表には『ムエタイは日本で流行らない』と言われたんですが…」
RWSの日本組織「RWS JAPAN」が設立され、名高のマネージャーの佐々木洋平(YOHEY)氏が代表に就任した。佐々木氏はダンスパフォーマンスグループ・PaniCrew(パニクルー)のラップ担当で、芸能プロダクションのグッドチョイスエンタテインメントの代表でもある。
佐々木氏は「私は元々格闘技ではなくアーティストをやっていました。中川会長と吉成名高と出会ってから6年経ちます。中川会長と名高のムエタイへの熱い思いを感じ、僕みたいな素人をセコンドにも入れてくれ、タイにも足を運び、一番近くで会長と名高の戦いを見てきました。そんな中、生でRWSを見たとき、本場のムエタイはこんなに凄いんだと感じ、日本の格闘技ファンに見てもらいたいと思いました。ムエタイはわかりにくいところもありますが、RWSのアグレッシブなファイトスタイルや大会の仕組みは日本にマッチすると思います。RIZINの榊原(信行)代表には『ムエタイは日本で流行らない』と言われたんですが、私はRWSでムエタイが日本の真ん中に来ると思い、ここに持って来たいと思ったのが経緯です」「今後も定期的に日本で開催し、タイのチャンピオンクラスを日本に呼んで、本物のムエタイを知ってもらいたいです。K-1さんとかRISEさんとかKNOCK OUTさんとかのチャンピオンクラスも、肘や膝も入るグローバルなムエタイルールで、RWSのベルトをぜひ奪取して、日本のキックが最強だと示して、日本が世界の格闘技大国だと証明していただきたいし、証明したいです」「今年は後楽園大会を皮切りに年4回ぐらいやれたらいいと思っています。本当にムエタイが日本で流行った、時代が変わったと言われるには、万人規模の大会が成功しないといけないと思います。いきなり今年は難しいかもしれないですけど、色んな選手を招き、団体の枠を越えてファイターが参加すれば、必ず到達すると思います」と、日本大会開催の狙いや展望を語ると共に、他団体勢の参戦を呼びかけた。
今大会は祝日の開催ということもあってか、プレリミナリーファイト開始・15:30、本戦開始・16:00と、やや早めのスタートで、全13~14試合を予定。今回の会見では名高のラジャ王座戦等、主要カード7試合が発表された。今後、アンダーカードが随時発表される模様だ。試合時間はタイトルマッチのみ5R制で、その他の試合は3R制となっている。女子は2分3R。ラウンドごとに採点が公開されるオープンスコアリングシステムが採用されているのもRWSの特徴だ。
BOMの中川代表によると、会見でタイ語と日本語の通訳を務めた、GSVのアシスタントマネージャーのタイシ・アオシマ氏と調整してマッチメイクしたといい、この日発表の日本勢7名は「みんな僕のオファーを一発OKしてくれた」とのこと。今回、タイ側から王者やランカーが多数送り込まれることになったが、今後のRWS JAPANに参戦させたい選手について、中川氏はチャイラー、ヨーティン、ダニエル・ロドリゲスといったラジャの王者クラスの名を挙げたほか、「例えば海人選手とかには、タイの強豪に勝って、最強を見せつけて欲しい」とも話した。
吉成名高、ラジャダムナン正規王者との統一戦は「完封勝利したい」
ラジャダムナン認定スーパーフライ級タイトルマッチ(王座統一戦) 3分5R(インターバル2分)
プレーオプラーオ・ペップラオファー[Praewpraw PetchPrawFah](タイ/王者・元ミニフライ級王者、元WMC・WBCムエタイ世界・True4Uミニフライ級王者)
名高・エイワスポーツジム[吉成名高](エイワスポーツジム/暫定王者・フライ級王者・元ミニフライ級王者、プロムエタイ協会・WPMF世界・BOMフライ級王者、WBCムエタイ・ナイカノムトム・スーパーバンタム級王者、元ルンピニー・WMC・WBC・IBFムエタイ世界ミニフライ級王者)
名高は23歳。昨年7月のBOM渋谷大会で王者・ウェウワーに判定勝ちし、ラジャダムナン認定フライ級王座を獲得し、タイ人以外では初となるラジャダムナン2階級制覇を達成した。バンコクのラジャダムナンスタジアムでの8月のRWSでは、同級5位のルンヴィッタヤーを終始圧倒して4R TKO勝ちし同王座を初防衛した。その後も3連続KO勝ちし、12月23日のラジャでのRWSではラジャダムナン認定スーパーフライ級10位のシューサップに2R KO勝ちし、同級暫定王者となった。(下動画)
名高は現在27連勝中。1月21日のTOP BRIGHTS群馬大会でのジャオクントーン戦を控えているが、中川氏によると「このタイミングを逃したら当分、正規王者のプレーオプラーオとの試合は無いと(RWS側から)言われ、名高も『是非やらせてください』と言いました」という。
プレーオプラーオは25歳。元ラジャのミニフライ級王者で、昨年6月にスーパーフライ級王座を獲得し2階級制覇を達成。10月のRWSのメインイベントでディヌアトンに判定勝ちし王座初防衛した(上動画)。その試合は1R目に左フックでダウンを奪われたプレーオプラーオが、2Rから猛反撃して3Rに左肘打ちでダウンを奪い返し、4Rは休みつつも5Rもポイントを取り判定勝ちする内容で、プレーオプラーオのタフさと試合運びの巧さが光った。だが12月27日のラジャダムナン創設78周年大会でのリマッチではディヌアトンに3R KO負けし、それから約1か月半の間隔の試合となる。構えは名高と同じくサウスポーだ。
暫定王者としてプレーオプラーオとの王座統一戦に臨む名高は「正規チャンピオンで実力と人気のあるプレーオプラーオ選手に勝って、ようやく胸を張ってラジャダムナンの3階級を制覇したと言えます。この大会で一番輝いてチャンピオンになります」「プレーオプラーオ選手も2階級でラジャのベルトを巻いていて、昔は上の人というイメージでしたが、今は自分の実力が上だと思っています。相手の動きを5R見切った上で完封勝利したいです」と抱負を述べた。試合間隔については「3週間間隔での試合は結構経験しているので、試合が終わって2日ぐらい休んで、すぐに追い込めば、体調は問題無いです。まずは1月に結果を出して、2月につなげたいです」とコメントした。
後楽園ホールは1978年に藤原敏男氏が日本人初のラジャダムナン王者となった場所でもある。名高は「藤原敏男さんがラジャダムナンのベルトを取ってから、ずっと語り継がれているように、自分も歴史に残りたいので、ただ勝つだけじゃなく、完璧な勝ち方をして、史上初の3階級制覇を達成したいです」と話した。
重森陽太、馬渡亮太、レンタがラジャの強豪ランカーと対戦
ライト級 3分3R
ラムナムーンレック・オーアチャリア[Lamnamoonlek Or.Atchariya](タイ/ラジャダムナン認定ライト級1位、RWS同級トーナメント’22 ’23優勝、WMC世界同級王者)
レンタ・ウォーワンチャイ[松井蓮汰](ウォーワンチャイプロモーション/ラジャダムナン認定ライト級15位、BOM・WMCインターコンチネンタル・WPMFインターナショナル同級王者、Road to ONE JAPANムエタイ日本トーナメント2023同級優勝)
レンタは昨年4月、Road to ONE JAPANムエタイ・ライト級日本トーナメント決勝で羅向をKOし優勝。11月のBOMライト級王者決定戦でも羅向に判定勝ちした。ラムナムーンレックとは7月のRWSで対戦し判定負けしている(下動画)。
ラムナムーンレックはRWSのライト級トーナメントを2蓮連続制覇しているトップ選手。昨年2月のシュートボクシングに参戦し、笠原弘希を左ミドルで苦しめたが、延長3R目(6R)にシュートポイントで差をつけられ判定負けしている。(下動画)
レンタは「RWS JAPANという歴史に残る大会に呼んでいただきありがとうございます。去年ラムナムーンレック選手に負けたんですけど、倒してリベンジしたいです。ラムナムーンレック選手は全ての面において高い技術で、凄く上手かったんですけど、勝てない印象は無くて、自分も行けるという自信にもつながりました。日本の大会なので、自分の力を出し切って倒したいです」と話し、リベンジへの自信を示した。
128ポンド(58.05kg)契約 3分3R
カムバック・TKユッタナ[Comeback](タイ/ラジャダムナン認定フェザー級3位)
馬渡亮太(治政館/WMOインターナショナル・スーパーバンタム級王者、元ジャパンキック&チェンマイ認定バンタム級王者)
馬渡はジャパンキックボクシング協会の主力選手。22年には5戦5勝3KOの好戦績を残し、ジャパンキックの年間表彰で最優秀選手賞(MVP)・KO賞・最高試合賞の3冠を達成した。BOMが主催した「Road to ONE JAPANフェザー級ムエタイ日本トーナメント」では一回戦を突破したものの、昨年4月の決勝で吉成士門に接戦の末に判定負けした。5月と6月、タイの大手プロモーター・ペッティンディー主催興行でタイの選手に判定勝ち。10月のジャパンキックではビン・リアムタナワットに2Rに肘で切られTKO負けしている。
カムバックについて中川氏は「当初ラジャダムナンの現役フェザー級王者のチャイラー選手を招へいしようと思っていたんですが、12月27日のラジャダムナンの創設記念大会で、カムバックがハイキックでチャイラーをKOしました。今、タイで一番強い選手で、馬渡選手にカムバックに変わると伝えると、『カムバックの方が強いんでやらせてください』と二つ返事で受けてくれました」と話した。
馬渡は「RWSの豪華カードが勢ぞろいした中に自分がいれることを光栄に思っています。熱い試合をして、今まで自分がやってきたムエタイのスキルを出し切り、倒して勝ちます。チャイラー戦のカムバックは最初からガツガツ行って攻撃的で、RWS JAPANで見られたら面白いという印象を受けました。3Rなので、バチバチにやりあって全部出し切って倒したいです」と話し、真っ向勝負を約束した。
ライト級 3分3R
サミンデット・ノーアヌワットジム[Samingdet Nor.Anuwatgym](タイ/ラジャダムナン認定ライト級8位、RWS同級トーナメント’23準優勝、元ラジャダムナン・WBCムエタイ世界・True4Uスーパーフェザー級王者)
重森陽太(Eight Weapons/KNOCK OUT-REDライト級(62.5kg)王者、元WKBA世界同級王者、元新日本フェザー級&バンタム級王者)
重森は昨年2月の新日本キック後楽園大会で、ラジャダムナン認定ライト級王者・ジョームに挑戦したが判定負け。5月に新日本キックおよび伊原道場稲城支部から退会。その後、KNOCK OUTへのレギュラー参戦を表明し、8月の後楽園で2年ぶりにKNOCK OUTに参戦したが、バットマンに判定負けした。11月のKNOCK OUTでのOFGマッチでは元ルンピニー認定スーパーバンタム級王者のルンペットに2R肘でTKO勝ちしている。今回はKNOCK OUTからの派遣でRWS JAPANに参戦する。
サミンデットは昨年5月のRWSでレンタに判定勝ち。9月のRWSのライト級トーナメント決勝でラムナムーンレックに敗れたが(上動画)、中川氏は「タイのライト級の5本の指に入る選手です」と評し「もし重森選手が勝った場合は、ラジャダムナンのタイトルマッチも全然ありうると思います」と話した。
重森は「1年ぐらい前にラジャダムナンのライト級タイトルマッチをやらせていただきましたが、体感としては、あと一歩だったと思っています。絶対に去年より強くなっています。ラジャダムナンのトップクラスと戦えると思ったので、今回は勝ちに来ました」と意気込みを語った。サミンデットについては「ムエタイらしいフィームー、テクニシャンという感じです。先ほど一般層にムエタイがなかなか刺さらないという話がありましたが、好きな人には絶対刺さる試合になると思います」と話し、技術戦になることを予想した。
ミドル級 3分3R
ペッチマイ・シアダムムーパラーラジャムダン[Petchmai](タイ/ラジャダムナン認定ミドル級1位)
MIKE JOE(フィリピン/BATTLE FIELD/TEAM J.S.A/WPMFインターナショナル&WMCインターコンチネンタル・ミドル級王者、元Bigbangスーパーウェルター級王者)
MIKE JOEはBOMとK-1に並行参戦している選手。BOMで2本の王座を獲得し、昨年6月のK-1初代ミドル級王座決定トーナメントでは一回戦でムスタファ・ハイダに判定負けした。対するペッチマイは12月のRWSでのラジャダムナン認定ミドル級王者決定戦で英国人のジョー・ライアンに判定負けしているが(下動画)、中川氏は「タイ人のミドル級で一番強い選手です」と評する。MIKE JOEは「絶対やり抜いて倒してさらに上に行きます」と意気込みを語った。
63kg契約 3分3R
イサンヌア・チョーパンセン[Isannua Chotbangsaen](タイ)
永澤サムエル聖光(ビクトリージム/WMOインターナショナル&WBCムエタイ日本統一ライト級王者、元ジャパンキック同級王者)
馬渡同様にジャパンキックの主力の一人である永澤は、7月にケンナコーン・ダブランサラカム(True4Uライト級7位)を2R左ローキックでKO。11月のジャパンキック後楽園大会ではベテランのピンサヤームと引き分けたものの、3Rにダウン気味に倒される場面が2度あり苦戦した。今回の相手のイサンヌアはタイのTrue4Uのテレビマッチのメインイベンターだという。
永澤は「この中で僕がムエタイを一番できないと思いますが、気持ちと殴り合いの根性で相手をKOしたいです。相手はガンガン首相撲で来て肘が上手い印象ですが、僕はどんな選手が来てもスタイルは変わらないです。効かせて最後ぶっ倒せればいい感じです」と力強くコメントした。
女子アトム級 2分3R
ノンパーンファー・ファミリームエタイ[Nongparnfah Family Muaythai](タイ)
伊藤紗弥(尚武会/WBCムエタイ&WMC世界女子ミニフライ級王者、BOM女子ライトフライ級王者、IPCC世界女子アトム級王者、元WPMF世界女子ピン級王者)
伊藤は昨年9月のRWS初戦ではモンクットペットに判定負けしたが、12月22日のラジャダムナンでの試合ではペットプライフォンに判定勝ち。1月21日のTOP BRIGHTS群馬大会ではサネーガームとの試合を控える。2月のRWS JAPANで戦うノンパーンファーは、中川氏によると「サウスポーでパンチが強く2連続KO勝ち中」とのこと。下動画は12月のRWSでのノンパーンファーで、1R左フックでKO勝ちしている。(下動画)
伊藤は「日タイ対抗戦で女子の試合は1つだけなので、日本の女子代表として絶対に勝ちたいです。ノンパーンファー選手はキックも肘も首相撲も全部上手い選手です。女子は2分3Rしかないので、前に出て来ると思うので、どう攻略しようか考えているところです」と話し、TOP BRIGHTSとの3週間間隔での試合については「3週間あれば十分なので、まずは1月しっかり勝って2月につなげたいです」と話した。
概要
大会名 RWS JAPAN(ラジャダムナンワールドシリーズジャパン)
日時 2024年2月12日(月/祝)開場・15:00 プレリミナリーファイト開始・15:30 本戦開始・16:00
会場 後楽園ホール
中継 U-NEXT
チケット料金 VIP席20万円/SRS席30,000円/RS席15,000円/SV席13,000円/A席8,500円/B席6,500円
チケット販売 イープラス 出場選手・所属ジム
お問い合わせ BOMプロモーション(エイワスポーツジム) 045-324-3855 https://twitter.com/RWSjapan