シュートボクシング 2.12 後楽園ホール(レポ):20歳の山田虎矢太、植山征紀を5R左フックでKOし10戦全勝で55kg王者に。笠原弘希、ラムナムムーンレックの左ミドルに苦しむも6R逆転勝ち
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SHOOT BOXING 2023 act.1
2023年2月12日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
20歳の山田虎矢太、植山征紀を5R左フックでKOし55kg王者に
第8試合 SB日本スーパーバンタム級(55kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
×植山征紀(龍生塾ファントム道場/王者)※2度目の防衛戦
○山田虎矢太(シーザージム/1位)
5R 1’49” KO (左フック)
※山田が王者に
植山は18年11月のSB日本スーパーバンタム級王座決定戦では笠原友希に3R TKO勝ちし王者となり、21年12月の初防衛戦では竹野元稀に3R KO勝ちしている。今回が2度目の防衛戦だ。昨年は佐藤執斗に勝利したが、8月のRISEでRISE同級王者鈴木真彦に判定負け。昨年12月25日のSBとRISEの合同大会での大﨑孔稀とのSBルール・スーパーバンタム級(55kg)ノンタイトル戦の公式計量で1.45kgオーバーし、試合では判定負けし2連敗中だ。
山田ツインズの弟・虎矢太は1月18日に二十歳になったばかりでプロ9戦9勝。昨年12月のSBとRISEの合同大会では有井渚海を2R KOしインパクトを残した。兄の彪太朗も昨年11月にフェザー級次期挑戦者決定トーナメントを制覇してタイトル挑戦権を獲得し、兄弟そろって勢いに乗る。
この試合はオープンスコアで行われる。1R、両者高めに構え、蹴りも散らすが、基本的にパンチ主体の攻防に。虎矢太が左ジャブを当てる場面もあるが、植山の左フックの強打が印象に残る。とはいえまだ手数が伸びず、差は小さい。記者採点もジャッジ3者もイーブン。
2Rもパンチ主体の攻防となり、パンチが交錯すると、虎矢太の左フックがさく裂し、植山の腰が落ちる。その後も虎矢太が右フック、左ジャブを的確に当て、やや優位に進める。記者採点もジャッジ3者も虎矢太。
3R、植山が中盤までパンチのヒットを増やしやや優位に。すると植山がバックハンドブローを放ち空振りすると、虎矢太が負けじとばかりに放った右のバックハンドブローがヒットし、植山は右まぶたから出血する。植山は起死回生を狙ってバックドロップを決める。横に少し崩れたせいかシュートポイント2とはならなかったが、腰より上まで持ち上げていたため、ポイント相当と評価して手を挙げたジャッジもいた。その後、植山にドクターチェックが入り、再開したが、植山の出血は止まらない。記者採点もジャッジ3者も虎矢太。
4R、時折パンチが交錯すると、植山の左フックがさく裂し、虎矢太はのけぞる。植山は顔が血で染まりながらも、必死にパンチを振るう。しかし終盤、虎矢太も打ち合いで右フックを返して巻き返す。記者採点はイーブン。スコアは読み上げられないが、ジャッジペーパーを確認すると三者三様となっていた。
5R、植山は必死に前に出てパンチを振るい、随所で当て、虎矢太はやや苦しい展開に。だが決定打はしのぎ続けると、中盤、中央付近での打ち合いで、虎矢太が植山の左フックにカウンターの左フックをクリーンヒット。植山は大の字で倒れ、すぐさまレフェリーがストップし、虎矢太が見事逆転KO勝ちすると、場内は割れんばかりの歓声に包まれた。植山は担架で運ばれた。
ベルトを巻いた虎矢太は、戦った植山、シーザー武志SB会長らに感謝の言葉を述べ、「このベルトは僕にしか似合わないと言われるように強いチャンピオンになります」とアピールした。
バックステージで虎矢太は「植山選手が55kgで他団体の選手と戦ってきたので、僕もRISEの選手だったりと戦うのが使命になると思います。他団体の選手をやっつけて、シュートボクシングのチャンピオンとしてトップを取れるよう頑張ります。ファンの人が虎矢太とこの選手が見たいカードを実現させたいです。体を大きくしている最中なので、55kgで結果を残したらフェザー級(57.5kg)でもベルトを取りに行きたいです」と話した。
大会後、シーザー会長は総括で「RISEもK-1とやるんで、いろんな団体と交流したいです。そうしたほうが立ち技も盛り上がるじゃないですか」とコメント。K-1も金子晃大、玖村将史ら55kg勢が充実しており、今後、二十歳の虎矢太がRISEやK-1といった他団体の強豪にどう絡むか楽しみだ。
笠原弘希、ラムナムムーンレックの左ミドルに苦しむも6R目のシュートポイントで逆転勝利
第7試合 スーパーライト級(65kg) 3分3R(無制限延長R)
○笠原弘希(シーザージム/SB日本ライト級(62.5kg)王者・元スーパーフェザー級(60kg)&フェザー級(57.5kg)王者)
×ラムナムムーンレック・ティーデット99[Lamnammoonlek T-DED 99](タイ/WMC世界ライト級王者、RWS(ラジャダムナンワールドシリーズ)ライト級リーグ’22優勝)
6R 判定3-0 (津山9-8/茂木10-8/若林10-8)
5R 判定0-0 (津山10-10/茂木10-10/若林10-10)
4R 判定0-0 (津山10-10/茂木10-10/若林10-10)
3R 判定0-0 (津山29-29/茂木29-29/若林29-29)
笠原三兄弟の長男・弘希は7月にはRIZINに初出場しRISEのランカーの石月祐作に判定勝ち。9月のSBではロンペット・Y’ZDに判定勝ちし、連勝を10の大台に乗せた。だが12月25日のSBとRISEの合同大会では、タイでも活躍するオーストラリアの強豪・チャド・コリンズの蹴りとパンチを浴び続け圧倒され判定負けしている。今回はそれからわずか1か月半の間隔での試合となる。
ラムナムムーンレックは24歳。昨年12月に開催されたRWS(ラジャダムナンワールドシリーズ)のライト級リーグ戦の決勝戦でモンコンゲーオに勝利し、日本円で1000万円以上の優勝賞金を獲得した選手。同門のアヌラックの負傷欠場により、大会9日前にSB参戦が発表された。
この試合はオープンスコアで行われる。1R、ラムナムムーンレックはサウスポーからの左ミドルを開始すぐに当てる。その後も距離を取り、度々左ミドルをヒットする。だが弘希も随所で右ミドルを返すが蹴り数が伸びない。終了間際、友希が右ストレートを当てるが、すぐさまラムナムムーンレックは左ミドル、ストレートのラッシュをお返しし、場内をどよめかせる。記者採点はラムナムムーンレック。ジャッジ3者もラムナムムーンレック。
2Rもラムナムムーンレックが回りながら左ミドルを当て続ける。弘希はせめあぐねるが、中盤、サウスポーに切り替えると、左のカーフキックを連打する。これが効き目を発揮し、ラムナムムーンレックは足が流れるように。記者採点もジャッジ3者も弘希。
3R、弘希は前に出続け、左のカーフを当てるが、ラムナムムーンレックは耐え、回って左ミドル、ローを返し、弘希に完全に流れをつかませない。終盤、弘希が投げを狙うと、ラムナムムーンレックはロープに腕を引っかける場面もあったが、終了後審判団が審議し、減点とはならない。記者採点はイーブン。合計29-29でイーブン。ジャッジ3者も同じ採点で延長へ。
4R、ラムナムムーンレックは開始すぐから左ミドルを連打し、左フックにもつなげ先手を取る。その後はラムナムムーンレックが回って随所で左ミドルを当て続ける。弘希も前に出続け、左ローを当てるが、ラムナムムーンレックを詰め切れない。記者採点はラムナムムーンレック。ジャッジ3者はイーブンで再延長へ。
5R、ラムナムムーンレックは変わらず回って随所で左ミドルを的確に当て続け、左ボディストレートも絡める。弘希も右ミドルを時折強打するが、蹴り数では大きな差がある。ラムナムムーンレックはクリンチも上手く絡め弘希の攻撃を封じる。記者採点はラムナムムーンレック。ジャッジ3者はイーブンでまたも延長へ。ラムナムムーンレックはコーナーに戻り、困惑した様子で次のラウンドの準備をする。
6R、ラムナムムーンレックは蹴りだとポイントにならないと判断したか?回って距離を取るのは変わらないが、前傾姿勢でパンチ主体に切り替え、左フックを随所で当てる。終盤には左ボディストレートも強打し、弘希を苦しめる。すると組みの展開でラムナムムーンレックが投げを狙ったが、逆に弘希が組み替えると、バックドロップを決めてシュートポイント2を奪い、一気に逆転する。記者採点は9-8で弘希。ジャッジ1者も9-8で、2者は10-8で弘希につけ、弘希の判定勝ちとなった。
笠原友希が判定勝ち「僕に憧れる小学生が増えて欲しい」
第6試合 61.5kg契約 3分3R(無制限延長R)
○笠原友希(シーザージム/SB日本スーパーフェザー級(60kg)王者・元フェザー級(57.5kg)王者)
×TAaaaCHAN[ターチャン](PCK連闘会/聖域(サンクチュアリ)統一スーパーライト級王者・元ライト級王者、元INNOVATIONフェザー級王者)
判定3-0 (茂木30-29/斎藤30-29/津山30-28)
笠原三兄弟の次男・友希は6月のTHE MATCHでKrushスーパーフェザー級王者・中島千博に判定勝ちし7連勝となったが、9月のSB後楽園大会では常陸飛雄馬に3R TKO負け。12月のRISE+SB合同大会ではRISEのランカーの石月祐作を圧倒し判定勝ちしている。
TAaaaCHANは所属先のPCK連闘会が仙台で開催している聖域(サンクチュアリ)の2階級制覇王者。8月のNKB新潟大会で地元新潟の棚橋賢二郎に判定負け。11月のKNOCK OUTではKNOCK OUT-BLACKライト級王者のバズーカ巧樹に判定負けしているが接戦だった。
1R、長身の友希がサウスポーからの左ミドル、ローを的確に当て続け、巧さを印象付ける。だがTAaaaCHANも距離が詰まると左フックを的確に返し、危険なムードを残し続ける。記者採点はイーブン。
2R、中盤に友希の左ローが効き目を発揮すると、友希は飛び膝も絡めて仕留めにかかる。だがTAaaaCHANは右のバックハンドブローをお返しし、ローを嫌って前に出続けて右フックを返し、友希に完全に流れをつかませない。記者採点はイーブンだが友希につく可能性はある。
3R、友希はTAaaaCHANが前に詰める状態を減らすためか?左ローは減らし、距離を取って左ミドルを当て続け、バックスピンキックは右の顔面狙いの前蹴りや崩しも絡め、主導権を維持する。記者採点は友希。合計30-29で友希。ジャッジ3者も友希を支持し、友希の判定勝ちとなった。試合後の友希は麦わら帽子をかぶると、「僕に憧れる小学生が増えて欲しいです。小学生手を上げて」と話し、手を上げた小学生に帽子をプレゼントし、観客を和ませた。
安本晴翔を下した川上叶、初のタイ人との対戦で判定勝ち
第5試合 58kg契約 3分3R(無制限延長R)
○川上 叶(龍生塾/SB日本フェザー級(57.5kg)王者・元バンタム級(55kg)王者)
×ガオパヤック・ワイズディー(タイ/YZD GYM)
判定3-0 (平30-29/津山30-29/斎藤30-27)
川上も12月25日のSBとRISEの合同大会に出場し、安本晴翔と4R戦い判定勝ちし下馬評をひっくり返した。今回は初めてタイ人と対戦する。ガオパヤックは24歳。21年4月にSBに上がり、手塚翔太にシュートポイント1で差をつけられ判定負けしている。その後はBOMやスック・ワンキントーンといったムエタイの大会に出場している。
1R、圧力をかけるガオパヤックに対し、川上はステップで軽快に距離を取りつつ、フェイントをかけたりノーモーションの形で左のフック、ストレート、ボディストレートを度々当て主導権を握る。ガオパヤックも組めば左膝を当てるが連打にはならない。記者採点は川上。
2R、川上は変わらずスピーディーに動き回り、左フックを度々当て、左ハイも絡め優勢を維持する。ガオパヤックはほどんど組ませてもらえず、左ミドルを当てても川上は動きが止まらない。記者採点は川上。
3R、さすがに川上も動きが落ち、パンチのヒット数も威力も低下してしまう。ガオパヤックのパンチ、膝も増えるが、川上を追い詰めるほどにはならず終了。川上が点差を守り切り判定勝ちした。記者採点は3Rはイーブンで合計30-28で川上。
第4試合 ウェルター級(67.5kg) 3分3R(無制限延長R)
○村田義光(シーザージム/SB日本ウェルター級1位)
×有馬伶弍(龍生塾)
判定3-0 (津山30-28/斎藤30-29/平30-28)
有馬は12月の大森大会で伊藤要に判定勝ちしている選手。1R、両者サウスポーで構え、フェイントをかけ合うが、まだ攻撃が乏しい。2R、両者積極性を増し、有馬が左フックを当てるが、村田が首相撲からの膝の連打で印象を残し、やや優位に。すると3R、村田が中盤に首相撲で1分近く捕まえて左右の膝を当て続け、有馬を圧倒し判定勝ちした。
第3試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(無制限延長R)
×基山幹太(BELLWOOD FIGHT TEAM/SB日本ライト級2位)
○田中佑樹(HAWK GYM/Stand Up King Of Rookie 2021 -63kg優勝)
4R 判定0-3 (津山9-10/若林9-10/茂木9-10)
3R 判定1-0 (津山30-29/若林29-29/茂木29-29)
田中はプロ4戦4勝の18歳。1R、基山がサウスポー、田中がオーソドックスで構え、お互いストレート、三日月蹴りを当てる。どちらもクリーンヒットはあるが均衡は崩れない。だが2R、基山が序盤から勢いよく攻め、やや手数で上回り、最後も肩固めを狙い積極性でも上回る。
3R、中盤まで田中が左ジャブ、右ストレートを度々当て、基山を追い詰める。最後、基山も打ち合いで当て返し、激しい打ち合いで場内を沸かせるが、田中を追い詰めるほどにはならない。ジャッジは1者が基山を支持したが、2者がイーブンで延長へ。
すると4R、田中が左ジャブ、右ストレート等のヒットで上回り、やや優位に。終盤、基山も盛り返す場面もあったが、田中も攻撃を返し続け、激しい打ち合いのまま終了し、場内は拍手に包まれる。ジャッジ3者も田中を支持し、田中が好調の基山を撃破した。
第2試合 スーパーウェルター級(70kg) 3分3R(無制限延長R)
×竹山和貴(NEXイチムエ)
○風間大輝(橋本道場/INNOVATIONスーパーウェルター級8位)
3R 2’59” KO (タップアウト:フロントチョーク)
2R、竹山が前方への投げでシュートポイント1を先に奪うが、風間は右フックを効かせつつ、前方への投げでSP1を奪い返す。3Rも同様にSP1を重ねると、終了間際にまさかのギロチンを極めてタップを奪いTKO勝ち。SBルールへの適性の高さを印象付けた。
第1試合 62kg契約 3分3R(最大延長2R)
○仲田光大(SANDA CLUB Mz)
×相内 誠(K26)
2R 1’32” KO (右ローキック)