DEEP 5.7(夜)後楽園ホール(レポ):福田龍彌、16人参加のフライ級GP優勝し暫定王者に。大原樹理、上迫博仁との接戦制しライト級王座2度目の防衛
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skyticket Presents DEEP 113 IMPACT ~フライ級GP決勝戦~
2023年5月7日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
福田龍彌、16人参加のDEEPフライ級GP優勝し暫定王者に
第9試合 宗明建設 Presents DEEPフライ級GP決勝戦 兼 DEEPフライ級暫定王者決定戦 5分3R
○福田龍彌[りゅうや](MIBURO/元修斗フライ級世界王者)
×本田良介(フリー/修斗2017年フライ級新人王)※CAVEから所属変更
判定3-0 (松宮30-27/長瀬30-27/福田30-27/豊永30-27/橋本30-26)
※福田がGP優勝、暫定王者に
DEEPフライ級GPは16選手参加のトーナメント。昨年8月の後楽園大会と9月のニューピア大会で一回戦の4試合ずつ、12月のニューピア大会で二回戦4試合、今年2月の後楽園大会で準決勝が行われた。優勝者には冠スポンサーの宗明建設から300万円が贈呈される。試合はタイトルマッチ同様5ジャッジ制だが、前日計量では通常のワンマッチ同様に0.5kgオーバーまで認められる。
9か月に渡るフライ級GPの決勝に進んだのは本命の福田と、ダークホースの本田だ。福田は21年7月、平良達郎に敗れ修斗世界フライ級王座から陥落し、DEEP初戦でも神龍誠に敗れたが以降6連勝。22年に入ってからは伊藤裕樹、NavE、ビョン・ジェウン相手に3連勝し、9月のDEEPフライ級GP一回戦では杉山廣平に判定勝ち。12月の準々決勝では、19年4月のDEEPで判定負けした相手・安谷屋智弘に判定勝ちしリベンジ。2月の準決勝では2連続1R KOで勝ち上がってきた宇田悠斗を打撃戦で攻略し判定勝ちした。現在30歳。
本田は32歳。修斗の2017年フライ級新人王で、修斗で3試合、DEEPで2試合を合わせ5連勝の後、昨年7月のTDCホール大会で杉山廣平に判定負けしたが、8月のGP一回戦では元DEEPストロー級王者の越智晴雄に判定勝ち。12月の準々決勝ではGRACHAN同級王者の松場貴志に判定勝ち。2月の準決勝では元THE OUTSIDER 50-55kg級王者の伊藤裕樹に判定勝ちした。
DEEPフライ級王者は神龍だが、選手入場後、この試合が「DEEPフライ級暫定王者決定戦」も兼ねることも発表され、ベルトも披露された。選手には事前に伝えられ、前日計量は0.5kgオーバー無しのフライ級リミット56.7kgで行われ、福田は56.65kg、本田は56.60kgでクリアしていた。
1R、両者サウスポーで構え、福田がプレッシャーをかけ、本田が回り続ける展開に。お互い慎重で攻撃は少ないが、時折パンチが交錯し、スリリングな展開に。どちらもクリーンヒットとはならず、ほとんど差がないまま終了する。記者採点はやや積極的な福田。
2R、同様の立ち上がりだったが、序盤に先に本田が右フックを当てると、打ち合いの展開で福田が右フックをクリーンヒットしてダウンを奪い、サッカーボールキックとパウンドで仕留めにかかる。本田は脱出したが、福田は左フック、左ボディ、右ジャブを随所で当て主導権を維持する。終盤、本田も左フックからのラッシュを仕掛けるが、すぐに福田は突き放す。記者採点は福田。
3R、福田が圧をかけ続け、パンチが交錯するが、中盤から福田の左右のフック、右アッパーの頻度が上がり、手数で差が広がる。本田は最後まで流れを変えらえないまま終了する。記者採点は福田。合計30-27で福田。ジャッジ5者とも福田を支持し、福田が判定勝ち。GP優勝の賞金300万円と暫定王者のベルトを獲得した。正規王者・神龍に敗れた後の連勝も7まで伸ばした。
マイクを持った福田は「今日はおかんの誕生日に2本目のベルトを巻けて、戦うことが好きすぎて会社を辞めたんですけど、お金を稼げて、おかん、健康で長生きしてください。DEEPに恥じない選手になります」と話した。
バックステージでのインタビューで福田は今後について聞かれ「もっと上のステージ、日の丸背負って異国の人ともヒリヒリしたいし、かなわないならバンタム級とか2階級制覇とか狙って。(DEEP代表の)佐伯さんに相談します」「暫定なんでね。正規の神龍対福田パート2もいいし」と話し、噂されるRIZINフライ級GPについては「あるある言われてましたけど、あるんですかね?」と開催に半信半疑ながらも「オファーがあれば」と前向きにコメントした。
大原樹理、上迫博仁との接戦制しライト級王座2度目の防衛
第8試合 DEEPライト級タイトルマッチ 5分3R
○大原樹理(KIBAマーシャルアーツクラブ/王者)
×上迫博仁(NICE BAD GYM/挑戦者、元フェザー級王者)
判定3-2 (橋本29-27/松宮28-29/長瀬28-29/植松○28-28/福田○28-28)
※大原が2度目の防衛
大原は昨年7月のDEEP TDC大会のメインイベントで石塚雄馬を80秒KOして以来となる2度目の防衛戦。その2カ月後の9月のRIZINでのルイス・グスタボ戦では83秒でKO負けし、連勝が8で止まったが、今年2月の韓国のBLACK COMBATとの対抗戦ではユン・ダウォンを1R終盤にKOしている。現在32歳だ。
上迫は15年に大原に1R TKO勝ちしたことがあり、17年には石司晃一をKOしDEEPフェザー級王者に。昨年7月のTDC大会での2年ぶりの復帰戦では北岡悟に判定2-1で勝利し、12月のニューピア大会では石塚を3R試合終了間際にサッカーボールキックでKOし、今回の王座挑戦につなげた。現在35歳だ。
1R、スタンドでの打撃戦が続き、均衡状態が維持されていたが、中盤、大原の右フックがさく裂し、上迫がダウンする。金網を背に倒れた上迫に、大原はサッカーボールキックも当てて仕留めにかかるが、猛ラッシュから上迫は脱出する。上迫は鼻血を出しているが、ステップは問題なくスピードがあり、その後はほぼ均衡状態に戻る。記者採点は大原。
2R、上迫が右のカーフキックを時折ヒット。大原はもらった直後は少し動きが鈍くなる。大原も左ミドルを返すが、顔面への攻撃が乏しい。上迫は蹴り足つかみやタックルでテイクダウンを狙い続け、終盤にようやくテイクダウンを奪うと、立った状態を維持してサッカーボールキックを放ち、パウンドにつなげ印象を残す。記者採点は上迫。
3R、スタンドの攻防が続く中で、上迫がタックルで倒し、パウンドラッシュを狙うが、すぐ大原は立つ。だが中盤過ぎ、大原が右ハイを放つと、上迫は蹴り足をつかんで倒し、上からパウンドを狙い再び好印象を残す。終了間際にも大原を倒すと、押さえながらパウンドを連打して終了する。記者採点は上迫。合計28-29で上迫。
DEEPのタイトルマッチは5ジャッジ制。ジャッジは割れ、2者が記者と同じ採点だったが、3者は1Rの大原に2ポイントを付けた模様で、大原が3-2での判定勝ちとなった(採点の合計が同点の場合はトータルマストで優劣を決める)。マイクを持った大原は「これからもいっぱい防衛します」とアピールした。
CORO、入籍後初戦で一本勝ちし伊澤星花も大喜び
第7試合 バンタム級 5分3R
○CORO(K-Clann/元暫定王者)
×力也(KING OF LIBERTY)
1R 3’10” 三角絞め
COROは昨年5月、DJ.taikiに判定勝ちしバンタム級暫定王者となったが、11月の初防衛戦で石司晃一に判定負けし、今回が再起戦。3月9日には伊澤星花と入籍したばかりだ。
力也は日本体育大学レスリング部時代に全日本学生選手権で2度優勝した実績があり、最近は4試合連続1R勝利中。昨年11月のニューピア大会では海飛を1R、Vクロスアームロックで仕留めれば、2月の後楽園大会では1月に青野ひかると結婚式を挙げたばかりの渡部修斗を右フックからのパウンドでわずか27秒で粉砕しており、この1年で特に躍進したDEEPファイターの一人と言っていいだろう。
だが試合はCOROが元チャンピオンとしての威厳を示すことに。1R、力也がサウスポーからパンチ、蹴りを狙うが、COROは対処する。力也は首投げから袈裟固めで押さえる。力也得意の展開だが、COROは足を登らせると、三角絞めを仕掛ける。力也は動いて外そうとするが、COROは解かず、最後は極まりがより深くなり、力也が落ちたところでレフェリーがストップした。
見事一本勝ちを果たすと、マイクを持ったCOROは「自分事なんですけど、3月9日に籍入れました。ジュエルスで試合あるんでその試合も応援お願いします」と、伊澤の試合もアピールした。
北岡悟、一本勝ちで2連勝
第6試合 ライト級 5分3R
○北岡 悟(パンクラスイズム横浜/元DEEP&戦極同級王者)
×大山釼呑助[けんのすけ](INFIGHT JAPAN)
3R 2’24” フロントチョーク
43歳のベテラン・北岡は2月の後楽園大会で高野優樹に3Rノースサウスチョークで一本勝ちし、9試合ぶり・4年ぶりに勝利した。大山はデビュー時から約10年、DEEPを主戦場にしてきた選手で、昨年7月にオーストラリアの大会で現地の選手にKO負けして以来の試合となる。
1R、北岡が開始すぐから組み付いて倒し、ハーフで押さえる。最後まで押さえ続けつつ、随所でパウンドを当てて主導権を維持する。記者採点は北岡。
2R、北岡はまたも序盤から押し込んでテイクダウンに成功し、ハーフで押さえ続ける。時折パウンドを当て、終盤にはアームロックも狙う。記者採点は北岡。
3Rも北岡が序盤から倒し、金網際で今度はサイドを取る。肘、鉄槌を当て主導権を維持すると、一瞬の隙を突いて引き込みながらギロチンチョークを仕掛け、最後はタップアウト。北岡が完勝で2連勝とした。
青井人がベテラン中村大介を撃破
第5試合 フェザー級 5分3R
×中村大介(夕月堂本舗/元DEEPライト級王者)
○青井 人(BLOWS)
2R 3’36” TKO (ドクターストップ:右サッカーボールキックによる左まぶたのカット)
中村は現在42歳ながら、昨年は5試合に出場。11月に神田コウヤに判定負けしたが、12月のDEEP大阪大会では岩本達彦に2Rヒールフックで一本勝ちした。2月には韓国のBlack Combatに参戦したが、フェザー級のリミットを300gオーバーしてしまい、動きも精彩に欠きキム・ミンウに3R裸絞めで一本負けしている。
青井は昨年、2月のDEEPでの木下尚祐戦で2R TKO勝ちし、5月のDEEPの神田コウヤ戦では3R TKO負け。11月のRIZIN名古屋大会ではシュートボクサーの鈴木博昭の打撃に苦しむも、グラウンドで長時間主導権を維持し判定勝ちした。
1R、中村がプレッシャーをかけ、青井が距離を取って回る構図で、お互いフェイントをかけ合うが、カウンター狙いで攻撃が少ない。その中で青井の右フックのヒットがやや目立つ。記者採点は青井。
2R、青井の右カーフキックが効き目を発揮し、中村はスリップし、猪木アリ状態となるが、青井はグラウンドに付き合わずブレイクがかかる。青井はその後も右ストレート、カーフをヒット。中盤過ぎ、青井の右カーフで中村が後方に倒れると、青井は顔面にサッカーボールキックを当てる。すると中村は左まぶたをカットし、膠着ブレイクの後、ドクターチェックが入り、ドクターストップとなり、青井のTKO勝ちとなった。
フライ級GP敗退勢では安谷屋智弘と村元友太郎が激戦制す
第4試合 58kg契約 5分3R
○安谷屋智弘(氷ヲ刻メ/池田道場)
×ヒロヤ(トライフォース赤坂)
判定3-0 (松宮29-28/橋本29-28/長瀬30-27)
第3・4試合に登場した安谷屋、村元友太郎、ビョン・ジェウンは、昨年12月のDEEPフライ級GP 2回戦で敗退した選手たちで、半年を経て再起戦に臨む。そこに絡むヒロヤは朝倉未来1年チャレンジ育ちの選手で、昨年は2月に風我に判定負けしたが、以降は5月にひろとに、10月に新垣健司に一本勝ちしている。
1R、安谷屋がタックルで倒してバックを狙うが、ヒロヤは脱出する。終盤にも安谷屋がタックルで倒すと、今度はバックキープして裸絞めを仕掛け、ヒロヤを追い詰める。ヒロヤは向き直して防御し、最後はスタンドに戻す。記者採点は安谷屋。
2Rも安谷屋がタックルで倒し、バックを狙い、立たれてもアームロックを仕掛けてグラウンドに引きずり戻す。その後も安谷屋がテイクダウンを繰り返す。ヒロヤもバックを取り返す場面を作り場内を沸かせるが、すぐに安谷屋が主導権を取り戻す。記者採点は安谷屋。
3R、疲労の色の濃い安谷屋は、タックルが出せなくなり、ヒロヤが安谷屋を金網に詰めて打撃を狙う展開が続く。ヒロヤは時折パンチやミドルを当てるが、同様に疲れており、仕留めきれず終了する。記者採点はヒロヤ。合計29-28でヒロヤ。30-27はさすがにヒロヤに厳しすぎる感があるが、ジャッジ3者とも安谷屋を支持し、安谷屋が判定勝ちした。
第3試合 フライ級 5分3R
○村元友太郎(ALIVE)
×ビョン・ジェウン(韓国/フリー)
判定3-0 (橋本30-27/豊永29-28/福田29-28)
1R、村元がタックルで倒すが、ジェウンは脇を差しながら返してスタンドに戻す。だがその後もタックルでテイクダウンを繰り返し、立ち際のサッカーボールキックや、スタンドに戻っての右ストレートで印象を作る。とはいえジェウンも下から肘を連打したり、スタンドでパンチを返し、まだはっきりした差はつけさせない。記者採点は村元。
2R、村元はタックルを繰り返すが、ジェウンは切る頻度が上がり、スタンドの打撃戦でも圧をかけ続け、右ストレート、左フックを随所で強打して印象を残す。記者採点はジェウン。
3R、スタンドのパンチ合戦が続き、序盤はジェウンがやや手数上だったが、中盤から村元が盛り返し、連打をまとめ、ジェウンは右まぶたから出血し血だるまに。だが終盤、ジェウンが左ストレートで村元をひるませ、好印象で終える。記者採点は僅差だが村元。合計29-28で村元。ジャッジは3者とも村元を支持し、村元が判定勝ちしたが、最後までどうなるかわからない接戦だった。
第2試合 フェザー級 5分3R
×高野優樹(フリー)
○西谷大成(トライフォース赤坂)
判定0-3 (橋本27-30/豊永27-30/長瀬27-30)
1R、スタンドの打撃戦が続き、西谷がサウスポーで圧をかけ続ける。お互い当て、ほぼ互角だったが、終盤、高野のタックルに、西谷が左の膝蹴りを合わせて西谷をふらつかせ好印象を残す。
2R、スタンドの打撃戦が続き、西谷が圧をかけ続け、手数ではやや上回るが、なかなか伸びず、高野も返す頻度が低くお互い攻めあぐねる。
3Rも打撃戦が続くが、中盤に西谷がタックルで倒し、金網際で押さえる。終盤、離れると、パンチの打ち合いの展開で西谷が左ストレートを連続でクリーンヒットし、高野をひるませて好印象を残す。これでさらに点差を広げ、西谷が判定勝ちした。
テコンドー強豪・江畑秀範、MMAデビュー戦は1R KO勝ち
第1試合 メガトン級(体重無差別) 5分2R
×誠悟(AACC)
○江畑秀範(フリー)
1R 2’28” KO (スタンドパンチ連打)
江畑はテコンドーで全日本選手権12連覇の実績のある元五輪代表で30歳。RIZINキックや巌流島の戦いを経て、今回DEEPでMMAデビューした。対するはキャリア17年・47歳の誠悟。江畑は身長198cmで誠悟より20cm高い。
1R、開始すぐから誠悟が組んで押し込み、テイクダウンを狙う。江畑は倒されてもすぐ立つ。前に出る誠悟からステップで距離を取り、右ローを当てた後、じわじわ誠悟を詰めると、右ストレートをクリーンヒット。誠悟の動きを止めると、パンチの連打でマットに沈めKO勝ちした。
DEEP 5.7(昼)後楽園ホール(レポ):江藤公洋、川名TENCHO雄生を圧倒し判定勝ち。原口央、バンタム級初戦は一本勝ち。木下カラテ、DEEP初戦は1R一撃勝利