DEEP 11.12 後楽園ホール(レポ):石司晃一、CORO破り悲願の王座奪取「次は一つ上のステージで」。大島沙緒里、古瀬美月を1Rで仕留め44kg王座防衛。酒井リョウがメガトン級暫定王者に
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2022年11月12日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
石司晃一、CORO破り悲願の王座奪取「次は一つ上のステージで」
第9試合 DEEPバンタム級暫定タイトルマッチ 5分3R
×CORO(K-Clann/暫定王者)※初防衛戦
○石司晃一(フリー/挑戦者)
判定0-5 (内田27-30/田澤27-30/柴田27-30/植松27-30/福田27-30)
※石司が王者に
DEEPバンタム級王者・ビクター・ヘンリーがUFCと契約中のためDEEPに上がれないことから、5月の後楽園大会で暫定王者決定戦が行われ、COROがDJ.taikiに判定勝ちし、33歳・デビュー11年でようやく初のベルトを巻いた(現在34歳)。6月には伊澤星花(RIZINスーパーアトム級王者、DEEP JEWELSストロー級)との婚約を発表していた。
COROは4連勝中だが、その前の昨年6月に石司晃一に判定1-2で敗れていた。石司はCORO戦まで2連敗中だったが、CORO戦以降は笹晋久、三村亘、山本聖悟を下し4連勝中。8月の山本戦では逆転TKO勝ちで大きな印象を残した。CORO同じくキャリア11年で年齢もCOROより上の35歳。DEEP一筋で戦い続け、初のベルト奪取を狙う。
1R、スタンドでお互いパンチを狙う状態が続き、中盤、COROの左ジャブに合わせ、石司の伸びのある右のストレートがさく裂し、COROはダウンする。石司は上になるが、COROは下から組み付いてその先には持ち込ませず、石司が立って猪木アリ状態となりブレイクがかかる。石司はクリンチ状態でアッパーを連打し、COROのタックルを切って終える。記者採点は石司。
2R、スタンドの打撃戦の後、COROのタックルを石司が潰し、金網際でハーフで押さえる。石司は時折パウンドを連打し印象を作る。COROは足を登らせる場面もあるが石司はその先を許さない。記者採点は石司。
3R、COROも顔面狙いの左前蹴りを当てる場面もあるが、その先は続かず、石司がプレッシャーをかけ、COROのパンチのタイミングで組み付いて倒して、またも上に。終盤にはガードを超えてバックを狙い、最後はマウントからパウンドを連打して終える。記者採点は石司。合計27-30で石司。ジャッジ5者も石司を支持し、石司が判定勝ちで悲願のベルトを巻いた。
石司は父親と記念撮影し「父に『チャンピオンになるまで死ねない』と言われていて、ベルト姿が見せられて良かったです」と話すと父親も笑顔。「DEEPのベルトを取るまで他の団体にで出ないと言い続けていました。やるべきことはやったので、次は一つ上のステージで勝負させてください」とアピールした。
バックステージでのインタビューでは「父は末期がんで、今回ベルトを巻けなければもうベルト姿を見せられないと思っていました。ギリギリ間に合って良かったです」と話し、「DEEPではやり切ることをやったので、まだまだチャレンジャーなので、一番トップに行きたいです。一個一個上に向かって進みたいです」と話した。
酒井リョウがメガトン級暫定王者に
第8試合 DEEPメガトン級(体重無差別)暫定王者決定戦 5分3R
○酒井リョウ(レンジャージム)
×赤沢幸典(トリスタージム日本館/チーム・クラウド)
1R TKO (レフェリーストップ:右フック→グラウンドパンチ)
※酒井が暫定王者に
メガトン級も王者・ロッキー マルティネスがUFCと契約中のためDEEPに上がれないことから、暫定王者決定戦が行われた。
酒井は19年にマルティネスに敗れ、昨年6月にはSAINTにKO負けしたが、20年8月には関根“シュレック”秀樹をKOし、最近は中村圭佑と関野大成といった若手相手に連勝している。
赤沢は12年10月のGRABAKA主催興行での酒井戦でプロデビューし、1R KO負け。その後、元UFCウェルター級王者・ジョルジュ・サンピエール擁するカナダの名門・トライスタージムで約10年練習した。帰国時のパンクラスやGRANDSLAM等でのウェルター級での試合では負けが続いていたが、昨年10月から上がったDEEPのメガトン級戦線では2連勝中で、7月のTDC大会では酒井と同門のアンディ・コングに1R TKO勝ち。現在は千葉でトライスタージムの日本館を運営し、秋山成勲、平本蓮の試合のセコンドも務めている。
試合は短時間決着に。1R、開始すぐから両者のパンチが交錯すると、酒井の右フック一撃で赤沢が真後ろにダウン。すぐさま酒井が上から鉄槌を連打したころでレフェリーがストップした。
ベルトを巻いた酒井は「本番に強いんで。でも皆さんの応援のおかげです」とアピールした。大会後のインタビューで酒井は「今回は中村選手とか誠悟選手とか今まで戦った選手たちが練習で助けてくれました。重量級は(赤沢の練習先の)GENスポーツに強い選手が集まっていてかなわないので、対抗して集まってくれたみんなのおかげです」「3年前にやられているロッキーを必ず倒すことを約束します」と話した。RIZINで活躍中のスダリオ剛についても「練習していたこともあるんですけど、DEEPを代表して、やると決まったら倒します」と話し、対戦に前向きな姿勢を示した。
大島沙緒里、古瀬美月を1Rで仕留め44kg王座防衛
第7試合 DEEP女子ミクロ級(44kg)タイトルマッチ 5分3R
○大島沙緒里(AACC/王者、DEEP JEWELSアトム級(47.6kg)王者)
×古瀬美月(K-PLACE/挑戦者)
1R Vクロスアームロック
※大島が初防衛
大島はプロMMAデビュー1年目の20年9月、にっせーに勝利し獲得したDEEP女子ミクロ級(44kg)王座の初防衛戦を行う。その後の大島は21年6月にアトム級(47.6kg)のベルトを取り、今年5月に須田萌里を破り、先にこちらのベルトの初防衛を果たしている。RIZINではスーパーアトム級(49kg)で浅倉カンナと山本美憂に勝利。試合は7月の沖縄での美憂戦以来。初のベルト戴冠から2年、色々な経験を積み、久々に44kgまで絞り込むことで、より切れのある動きを見せることだろう。
対する古瀬は産休を経て昨年9月に復帰後、にっせー、村上彩に連敗したが、今年3月に古林礼名、9月に山崎桃子に勝利。早くも王座挑戦のチャンスが巡ってきたが、大島の壁は高かった。
1R、古瀬が開始すぐから左ストレートを立て続け、大島を少しひるませるが、大島は構わず詰めて組み付いて倒し、すぐさまマウントポジションを奪う。古瀬はもがくが、大島は金網際で腕十字を狙いながらコントロールする。そして袈裟固めから両足で古瀬の腕を挟んでVクロスアームロックを極めつつ、鉄槌を連打すると、レフェリーがストップした。
完勝の大島は2本のベルトを持ちつつ双子の娘たちと記念撮影。マイクを持つと「古瀬選手、対戦を受けてくれてありがとうございます。古瀬選手はストライカーなので打撃を練習してきましたが、サンドバッグみたいにたくさん打たれました。防衛できてホッとしています。でも同じ時にDEEPに出ていた伊澤選手が大きい舞台で活躍しているので、勝ってもあまり喜べません。でも今の実力だとかなわないので、もっと強くなります」と率直な心境を述べた。
北岡悟、5年ぶりDEEP登場の江藤公洋に敗れ5連敗
第6試合 ライト級 5分3R
×北岡 悟(パンクラスイズム横浜/元DEEP&戦極ライト級王者)
○江藤公洋(和術慧舟會HEARTS)
判定0-3 (内田28-29/柴田28-29/福田28-29)
北岡は7月のTDCホール大会で上迫博仁と接戦の末、判定1-2で惜敗。19年4月のホベルト・サトシ・ソウザ戦以降、北岡の主催した大会での小金翔戦の引き分けを含め、7試合連続で勝ち星から遠ざかっている。
江藤は13年のMMAデビュー当時から、17年までDEEPを主戦場にし、約5年ぶりの古巣復帰。18年からはONEウォリアーシリーズで3連勝後に本戦に上がり、20年9月のRoad TO ONEでは青木真也に判定負けした。昨年9月に修斗に初参戦し、グンター・カルンダに判定勝ち。今年4月にはRIZINに初参戦し、雑賀“ヤン坊”達也に2R TKO勝ちした。
1Rは終始打撃戦。サウスポーの北岡に対し、長身でオーソドックスの江藤がプレッシャーをかけ続け、右のボディストレート、三日月蹴りを随所でヒットし、右ストレートやハイも当て主導権を握る。北岡も左ミドル、インローを返す場面があるが、回り続け手数も伸びず印象が悪い。記者採点は江藤。
2Rもスタンドの打撃戦で江藤がヒット数で上回る。中盤、北岡の左インローが効いてきたか?江藤がオーソドックスに切り替えると、北岡が片足タックルで江藤を倒しかけるが、江藤は背中をつけずに立ち突き放す。最後も江藤が打撃戦でやや優位を維持する。記者採点は江藤。
3R、北岡は左ミドルを当てつつ、タックルを度々仕掛けるが、江藤は切り続け、スタンドで変わらず右三日月蹴り、ストレート等を当て続け、主導権を維持する。記者採点は江藤。合計27-30で江藤。ジャッジは3者とも28-29で江藤につけ、江藤の判定勝ち。北岡は5連敗となってしまった。
神田コウヤ、中村大介を完封し牛久絢太郎とのDEEP王座戦熱望
第5試合 フェザー級 5分3R
×中村大介(夕月堂本舗/元DEEPライト級王者)
○神田コウヤ(パラエストラ柏)
判定0-3 (内田26-30/柴田27-30/福田27-30)
中村は昨年、牛久絢太郎との初対決ではKO勝ちしたが、フェザー級タイトルマッチでの再戦では判定1-4で惜敗。その後は新居すぐる、小見川道大に連勝し、3月のRIZINでは山本空良に判定1-2で惜敗。7月のDEEPでのユータ&ロック戦では、得意の腕関節技で度々追い詰め判定勝ちした。神田も昨年12月、牛久とのタイトルマッチで判定1-4で惜敗。5月の青井人戦では3R TKO勝ちしている。
1R、開始すぐに中村の右インローがローブローとなり一時中断する。神田がサウスポーで構え、右ロー、右ジャブ、左ストレート、押し込んでの膝、肘等を積極的に放つ。中村もノーガードでスウェーしつつ、右ストレート、ミドルを返し、テクニシャンぶりを発揮するが、やや消極的で、もらい過ぎな感は否めない。記者採点は神田。
2R、神田がパンチを当て続けると、さすがに中村は効いてきたか?接近戦で飛びつき腕十字を狙うが、神田は振りほどく。すると中村はまたも右インローがローブローとなり一時中断する。再開後、神田が左ボディを効かせつつ、金網に詰めて左肘を当てると、中村は頭をカットして出血する。記者採点は神田。
3R、中盤に中村が右ストレートをきっかけにした連打で挽回する場面もあったが、大半の時間は神田が左膝を効かせ、金網に詰め、肘やパンチを当てて追い詰める展開となり、神田優勢は変わらず終了する。記者採点は神田。合計27-30で神田。ジャッジ3者も神田を支持し、神田が判定勝ちした。
勝った神田はマイクを持つと「中村選手がDEEPフェザー級で一番強いと思うので、もう一度タイトルマッチ挑戦させてください」と話し、先日RIZIN王座から陥落したDEEP王者・牛久との再戦を希望した。
川名TENCHO雄生、連敗4で止め号泣
第4試合 ライト級 5分3R
○川名TENCHO雄生(北海しゃぶしゃぶ/Y&K MMA ACADEMY/元修斗世界&環太平洋ライト級王者)
×高橋“Bancho”良明(パラエストラ八王子)
1R 1’04” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
川名は20年9月のRIZIN初戦で武田光司に判定負けし、21年6月のRIZINでも矢地祐介に判定負け。その3カ月後の修斗では西川大和に5R TKO負けし修斗のベルトを失った。今年2月にDEEPに初参戦したが、石塚雄馬に2R KO負けし、現在4連敗中だ。
高橋は長年パンクラスを主戦場とし、昨年10月の2年ぶりの試合で、平信一に2R KO負けして以来約1年ぶりの試合となる。DEEPには14年大晦日のさいたまスーパーアリーナ大会でパンクラス代表として上がり、DEEP代表の岸本泰昭に判定1-2で惜敗している。
1R、スタンドのパンチの打ち合いで、高橋が右ストレートを当てて川名を下がらせる。だがパンチが交錯し、川名のカウンター右フックがさく裂し、高橋はダウンする。川名がパウンドラッシュで追い詰め、最後はサブレフェリーがストップを促すホイッスルを鳴らし、植松レフェリーがストップした。
勝った川名は号泣し「やっと4連敗して1勝できました。この勝利を次につなげたいと思います」とアピールした。
ROAD TO UFC帰りの鹿志村仁之介が一本勝ち
第3試合 バンタム級 5分2R
×雅 駿介(CAVE)
○鹿志村仁之介(セロ・ロンゴ・ファイトチーム)※IGROOから所属変更
1R 3’12” 裸絞め
鹿志村は柔術をベースとする21歳でDEEP初参戦。20年にパンクラスでMMAデビューしパンクラス3勝1敗。6月にシンガポールで行われたROAD TO UFCに欠場選手が出たことから緊急参戦し、キ・ウォンビン(韓国/GLADIATORライト級王者)に1R TKO負けした。元々はフェザー級で、ウォンビン戦ではライト級で戦ったが、バンタム級転向を予定していた。8月中旬からニューヨークの名門・セロ・ロンゴ・ファイトチームで練習していた。
雅はムエタイで国内の3王座を獲得した後、MMAに転向。昨年2月のDEEPでプロデビューし、MMA 6戦4勝2敗で現在3連勝中。典型的なグラップラーとストライカーの対決構図となる。
1R、開始すぐからサウスポーの鹿志村に、雅が右ストレートを当ててひるませる。だが鹿志村はすぐに組み付いて倒し、バックマウントを奪い、裸絞めを仕掛ける。雅は間一髪で防御し外すが、鹿志村は下からすぐに腕十字を狙う。これも雅は振り落とし、スタンドに戻す。雅は組んだ状態で鋭い膝を連打し、右ストレートでまたもひるませる。だが再び鹿志村が組み付いて倒すと、今度は裸絞めをガッチリと極めタップを奪った。
朝倉兄弟の後輩・五明宏人が1R KO勝ち
第2試合 フェザー級 5分2R
×TATSUMI(ネックス)
○五明宏人(トライフォース赤坂)
1R 1’54” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
大会冒頭2試合には朝倉兄弟が所属するトライフォース赤坂のスポーツエリート2名が登場した。五明は伝統派空手の全日本選手権優勝経験者でプロMMA 2戦2勝。3月のDEEPフューチャーキングトーナメントのライト級で優勝している。TATSUMIはいわゆる地下格闘技のイベントで朝倉未来に勝ったことがあり、9月のDEEPでは朝倉未来1年チャレンジの西成大成に判定負けしている。
試合は五明が高い打撃スキルで圧倒する。1R、サウスポーで構え、左ミドル、ストレート等を立て続けにヒット。左の三日月蹴りを効かせると、金網に詰めてのパンチの連打でTATSUMIを棒立ちにしたところでレフェリーがストップした。
五明は「今、名前ばかりが先行して実力が伴っている選手がたくさんいるんで、僕がチャンピオンになります。必ず成り上ります」とアピールした。
第1試合 バンタム級 5分2R
○KENTA(K-Clann)
×朝比奈龍希(トライフォース赤坂)
判定3-0 (柴田20-18/福田20-18/長瀬20-18)
KENTAは柔道の全日本選手権ベスト16でプロMMA 3戦2勝1敗。朝比奈は同じく柔道の元全日本強化選手でプロMMA 1戦1勝。1R、KENTAがテイクダウン後、長時間バックキープし、裸絞めを随所で狙い主導権。2Rもバックから裸絞めを狙い続け主導権を握り続け判定勝ちした。