パンクラス 9.23 立川(レポ):杉山しずか、引退試合は盟友・藤野恵実に判定勝ち「8回の負けも全部勝ったみたいな人生にしていきたい」。本野美樹、SARAMIに2R TKO勝ちし女子ストロー級王座初防衛

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PANCRASE 365
2026年9月23日(水/祝)東京・立川ステージガーデン
レポート&写真:井原芳徳
杉山しずか、引退試合は盟友・藤野恵実に判定勝ち「8回の負けも全部勝ったみたいな人生にしていきたい」
第8試合 コーメインイベント 杉山しずか引退試合 女子54kg契約 5分3R
○杉山しずか(リバーサルジム新宿Me,We/パンクラス女子フライ級王者)
×藤野恵実(JAPAN TOP TEAM/元パンクラス&修斗世界女子ストロー級王者)
判定3-0 (中島30-27/山崎30-27/廖30-27)
杉山は39歳。大学生時代に空手道禅道会に入門し、08年にJEWELSでプロMMAデビュー。長年DEEP JEWELSを主戦場とし、17年と18年にはRIZINで渡辺華奈と対戦しいずれも敗れる。22年5月のDEEP JEWELSフライ級王座決定トーナメント決勝で中井りんに1R一本負け。24年からパンクラスに上がり、7月の2戦目で重田ホノカに1Rフロントチョークで一本勝ちし女子フライ級王者となる。昨年3月、渡邉史佳相手に初防衛戦に臨んだが、1R右フックでKO負け。渡邉が王座を返上し、今年3月、和田綾音との王者決定戦で判定勝ちし、王座奪還を果たした。5月の立川大会のケージに登場し、引退を表明し、9月の大会で引退エキシビションマッチとセレモニーが行われると発表していたが、練習仲間でもある先輩の藤野との公式戦で引退することになった。
藤野は45歳。24年5月の杉本恵との初代修斗世界女子ストロー級チャンピオン決定戦で3R TKO勝ちし、パンクラスに続く2団体制覇を達成する。同年9月、ソルトのパンクラス王座に挑戦したが判定負け。昨年3月のパンクラスでは本野美樹と接戦を繰り広げるも判定負け。今年1月、修斗に戻り、暫定王者のパク・ボヒョンとの王座統一戦が組まれたが、ボヒョンが左腕を負傷し手術を要するため欠場。アラミと53kg契約で対戦し判定勝ち。試合後、修斗の王座返上を表明し、「今回49試合目なんで、もう1試合ぐらい、どうしてもやりたい」と話し、自身の引退も近いことを語っていたが、今回は杉山の引退試合の相手を務めることになった。(8月の両選手の記者会見の記事はこちら)
1R、藤野がオーソドックスで構えて前に出続けるが、杉山はサウスポー主体で時折スイッチして、右に回って距離を取り続け、随所で右ジャブ、左ストレート等のパンチを的確に当てて、やや優位な状態をキープする。終盤、杉山がタックルを2度仕掛けるが、藤野はいずれも切る。記者採点は杉山。
2R、藤野が前に詰め、右ボディ、左フックを放ってから右フックを当てると、杉山は倒れるが、すぐに立ち、藤野を首相撲で捕まえて追撃を封じる。スタンドの展開で藤野はさらに右フックを当てる。終盤、杉山がタックルを仕掛け、足を掛けて倒して上になる。杉山はハーフからマウントに移り、パウンドと肘を連打して印象を作る。藤野がもがき、杉山がトップポジションに移ると、藤野は下から顔面を蹴り上げる反則を犯し、一時中断する。杉山はダメージは小さく、トップから再開し、最後は上から鉄槌を連打して終える。記者採点は杉山。
3R、序盤から杉山がタックルで倒して上で押さえる。一旦立った後も、杉山がタックルで倒して上になる。杉山はハーフからマウントを狙いつつ、鉄槌を当てて印象を作る。残り1分、藤野が脱出し、前に出続けてパンチを振るうが、杉山はステップでかわしながら、左右のパンチを当て、主導権を維持して終える。記者採点は杉山。合計30-27で杉山。ジャッジ3者も同じ採点で、杉山が判定勝ちで引退試合を白星で飾った。
勝利者インタビューで杉山は「今日の相手が最高の送り出しをしてくれました。ありがとうございました。女子格闘家、一人ひとりが応援されている、見られていると(意識して)思えば、もっとやる気が出て、もっと伸びると思います。今ここに来ている若い人たち、私が目指した誰かのヒーローに、パンクラスの場でなってほしいです」と話した。その後の引退セレモニーで杉山は「8回の負けも、全部勝ったみたいな人生にしていきたいです。(引退の10カウントの)ゴングが鳴っている間も、負けも人生の勝ちにできるゴングだと思って聞いてください」と話し、10カウントゴングを聞いた。杉山のMMA通算戦績は34戦25勝(6KO/6一本)8敗1分。
◆試合後の杉山の談話(抜粋)
(藤野選手と最後に戦う心境はいかがでしたか?)試合が近づくにつれて「とんでもない対戦を受けたな」と怯える自分もいましたが、やらなきゃいけないと気持ちを奮い立たせていました。藤野さんを傷つけていないか心配で、直前まで気持ちを作るのが大変でした。
(肘やパンチでダメージを与えたシーンを振り返って)「効かせないように」とボディパウンドだけにしようと思っていたんですが、仕方ないですね。勝つためには打つしかないと心を決めました。全然効いていなかったみたいですけど(笑)。
(お互い覚悟を決めてケージに上がったの伝わってきました)楽しかったです。お互い全力を出せたのではないかなと思います。
(拳で勝負したラスト30秒間はいかがでしたか?)流石にホロウェイみたいなことはできないですけど、それが最後に私たちができることだったのかなと思います。
(杉山選手にとってパンクラスはどんな存在ですか?)歴史ある団体で称号をいただいたことは人生の誇りですし、指導する際も説得力が増すので、本当に自分の人生を変えてくれた団体です。
(最初からここまで全うできると思っていましたか?)思っていなかったです。(他競技の)バックボーンがあるみんなに比べて苦しみも大きかったけど、負けず嫌いさが自分を続けさせてくれました。いいところで勝てて、いいところで負けられた格闘技人生でした。
(格闘技に深くのめり込んだタイミングはありますか?)2015年ぐらいから村田夏南子ちゃんと練習して「組み技でこんなに強くなれるんだ」と知った時ですね。そこからレスリングも楽しくなって世界が広がりました。
(今日の試合を見ると、もう一回できるんじゃないかと思ってしまいますが)できますし勝てると思うんですけど(笑)、辞めると決めた以上一区切りつけたいです。勝てたとしてもベストじゃない内容になってしまうのはプロとして違うのかなと思います。
(試合後、藤野さんからは何と言われましたか?)「テイクダウン行かないって言ってたじゃん。殴り合うって言ってたじゃん」と怒られました(笑)。でも私としては精一杯殴り合ったので。強かったなと思います。
(最後の相手が藤野さんで良かったですか?)傷つけないか心配になりましたが、最後の相手なら全然知らない選手じゃない方がいいのかなってのはあって、藤野さんだから受けたと思います。
(今後も格闘技に携わっていきますか?)そうですね。元々『格闘技通信』に入りたかったくらい、こういう仕事も好きですが、細かい仕事は向いていないので。今も解説の仕事をしていますが、練習していないと知識も遅れていくので、常に練習して学んでいきたいです。
本野美樹、SARAMIに2R TKO勝ちし女子ストロー級王座初防衛
第9試合 メインイベント クイーン・オブ・パンクラス・チャンピオンシップ 女子ストロー級 5分5R
○本野美樹(リバーサルジム横浜グランドスラム/王者)
×SARAMI(整体北西/挑戦者、女子アトム級王者、元修斗女子世界スーパーアトム級王者)
2R 4’09” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
※本野が初防衛
本野は32歳。昨年3月、元王者の藤野恵実に判定勝ち。12月にKARENに判定勝ちし女子ストロー級王座を獲得。5月のマカオでのRoad To UFCでは控え選手として待機したが試合機会は無かった。
SARAMIは36歳。DEEP JEWELSで試合を重ね、20年からは修斗を主戦場とし、21年11月には黒部三奈に勝利し修斗女子世界スーパーアトム級王者に。23年12月の横浜大会でパンクラスに初参戦しジェニー・ファンに判定勝ち。24年3月の立川大会、沙弥子に右フックでわずか48秒でTKO勝ちしパクラス女子アトム級王者となる。24年9月、ホン・イェリンとのノンタイトル戦で判定勝ち。その後、なかなかアトム級での試合が決まらず、今回、2年ぶりの試合は1階級上での戦いとなる。
1R、本野がサウスポーで構えてプレッシャーをかけ、左ストレートを当てる場面もあるが、まだ慎重で攻撃が少ない。中盤過ぎ、本野が左ハイを当てるが、SARAMIは蹴り足をつかんで倒し、パウンドを当て、悪印象を帳消しにする。終盤、SARAMIがプレッシャーをかけ、右の三日月蹴りを当てつつ、右のオーバーハンドブックを2度当て、好印象を作る。記者採点はSARAMI。
2R、本野が右ジャブを当て、SARAMIが組み付くが、本野が大外刈りで倒すと、袈裟固めで押さえ、パウンドを何発も当てる。SARAMIが抵抗し、本野のパウンドが途絶える場面もあったが、体格差もあってかSARAMIは逃げられない。すると終盤、本野が両足でSARAMIの片腕を挟み、アームロックを仕掛けながらパウンドを長時間、途切れることなく、こめかみ付近に当て続けるように。ダメージをどう評価するか難しい連打だったが、1分近く何発も当て続けていると、寶田レフェリーがストップ。本野がTKO勝ちで王座初防衛を果たした。
勝利者インタビューで本野は「SARAMI選手も2団体でベルトを獲っていて、ナメれる相手じゃないですけど、ストロー級のチャンピオンは私なので、絶対フィニッシュして勝とうと思っていました。最近フィニッシュできていなくて、みんなに判定でしか勝てないと言われていたので、やっと今日、脱出出来て最高です」と話した。
KAREN、元ベラトールのペンコに判定負け
第7試合 女子ストロー級 5分3R
×KAREN(THE BLACKBELT JAPAN/1位、元王者)
○キアラ・ペンコ[Chiara Penco](イタリア/Rendoki Dojo)
判定1-2 (廖29-28/中島28-29/出口28-29)
KARENは23歳。23年4月にソルトに判定負けし女子ストロー級王座から陥落。その後、高本千代、パク・ソヨン、ホン・イェリン、エジナ・トラキナスに判定勝ちし4連勝に。昨年9月、ソルトの王座挑戦とリベンジのチャンスが巡って来たが、ソルトの怪我により中止に。ソルトは王座を返上し、12月、本野美樹と王座を争ったが判定負け。今回、9か月ぶりの試合に臨む。
ペンコは30歳。MMA戦績16戦11勝(1KO/7一本)5敗でベラトール6戦4勝(1KO/1一本)2敗の経験もある。
1R、KARENが右カーフキック、左ミドル、ペンコが右ストレート、アッパー、左ジャブを当てる。若干ぺンコ優位で、終盤、KARENがタックルを仕掛けるが、ペンコは潰して上になる。スタンドに戻り、パンチの攻防は大差なく終わる。記者採点はペンコ。
2R、KARENが左ミドルを効かせるが、すぐにペンコは左フックをお返しして印象を作る。中盤、KARENがタックルを仕掛けると、またもペンコは切る。離れると、ペンコは右ストレートをヒット。最後は組合い、お互い倒せず終わる。記者採点はペンコ。
3R、序盤にKARENはカウンターの右フックをヒット。スタンドでの組みの展開が続き、ペンコは押し込んで左膝をボディに度々当て、好印象を作る。KARENも左前蹴りを返すが、流れをつかみ切れず終わる。記者採点はペンコ。合計27-30でペンコ。合計27-30でペンコ。ジャッジは割れたが、2者がペンコを支持し、ペンコが判定勝ちした。
第6試合 ライト級 5分3R
○鈴木慈也[ちかや](BRAVE/4位、2026年ネオブラッドトーナメント同級優勝)
×藤村健悟(和術慧舟會TLIVE)
判定2-1 (廖30-27/和田28-29/出口29-28)
第5試合 64kg契約 5分3R
○髙木徳三[とくみつ](NATURAL9)
×ジョン・ダウン[Jung DaWoon](韓国/P-Boy MMA)
判定3-0 (和田30-27/松井30-27/渋谷29-28)
【プレリミナリーファイト】
第4試合 フライ級 5分3R
×齋藤楼貴[るき](暁道場)
○嶋田大輝(THE BLACKBELT JAPAN)
判定0-3 (中島28-29/渋谷28-29/山崎27-30)
第3試合 フライ級 5分3R
×嶺 大基(KRAZY BEE/AXIS)
○伊藤勇輝(リバーサルジム横浜グランドスラム)
判定1-2 (中島29-28/出口28-29/渋谷28-29)
第2試合 バンタム級 5分3R
×小山敬司(パラエストラ八王子)
○前田壮吉(リバーサルジム横浜グランドスラム)
判定1-2 (出口28-29/鈴木29-28/和田28-29)
第1試合 ライト級 5分3R
○畑 大晴(ロータス世田谷)
×濱地虎男(パラエストラ東京)
2R 4’19” TKO (レフェリーストップ:スタンドパンチ連打)
































