パンクラス 6.1 ニューピアホール(レポ):三宅輝砂、中田大貴に1R TKOリベンジしフェザー級王座初防衛。栁川唯人、フェザー級2位の平田直樹に判定勝ち。田嶋椋、新鋭・山木麻弥を圧倒しバンタム級王座戦熱望
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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PANCRASE 354
2025年6月1日(日)東京・ニューピアホール
レポート&写真:井原芳徳
三宅輝砂、中田大貴に1R TKO勝ちでリベンジしフェザー級王座初防衛
第9試合 キング・オブ・パンクラス・チャンピオンシップ・フェザー級 5分5R
○三宅輝砂[きさ](ZOOMER/王者、ネオブラッドトーナメント2021同級優勝)※初防衛戦
×中田大貴[ひろたか](和術慧舟會HEARTS/武蔵村山さいとうクリニック/5位)
1R 3’48” TKO (レフェリーストップ:右ストレート)
三宅は15戦11勝4敗の25歳。21年のネオブラッドトーナメント優勝後、勝ち負けを繰り返したが、23年11月の櫻井裕康戦で2R裸絞めで勝利後は4連勝中。昨年2月に名田英平を2R KOし、7月に石田陸也に1R TKO勝ち。12月大会でのキム・サンウォンの代役で出場したフェザー級王者決定戦で、平田直樹を72秒、顔面への右膝蹴りでダウンさせてからのパウンドで粉砕し、番狂わせを起こしてベルトを巻いた。
中田は13戦7勝6敗の29歳。23年3月のニューピア大会で当時1位の中田は8位の三宅輝砂に2Rギロチンで一本勝ちしている。だがその後は7月に高木凌に1R右フックでKO負け。昨年3月のシュウジ・ヤマウチ戦は相手の計量オーバーにより中止に。6月にはキム・サンウォンに判定負け。11月に石田陸也に1R TKO勝ちし連敗脱出した。今回は挑戦者の立場で三宅との2年ぶりの再戦に臨む。
試合は三宅がピンチを乗り越えつつ、持ち前の打撃の破壊力を発揮する展開に。1R、中央付近での打撃戦の中で、リーチで勝る三宅が左ジャブを随所でヒットする。じわじわ中田はプレッシャーを強めるが、三宅はステップでかわす。中盤、三宅は左ジャブを放ってから、右ストレートを軽めながら当てる。すると中田は足が止まり、三宅が左ジャブと左右のストレートの連打で早くもダウンを奪う。しばらくして中田はスタンドに戻すと、中田もカウンターで右ストレートを当てる。三宅は一旦離れてから、顔面狙いの右前蹴りを放つ。中田は蹴り足をつかんで倒そうとしたが、三宅は離れると、すぐに前に出て右フックを当てる。中田は少しずつダメージが蓄積している様子で、タックルを仕掛けて組み付いて打開を図る。三宅が離れても、中田が追いかけると、右ストレートを当て、ようやく流れが変わる。終盤に入り、中田は前に出続けるが、三宅はステップで追撃を封じると、中田の左ジャブのカウンターで右フックをこめかみあたりにクリーンヒット。中田はフラフラになり、背中を向け、後ろから三宅が右ストレートで追撃したところで、島村レフェリーがストップした。若干早めのストップという声も出そうだが、中田のそれまでのダメージの蓄積を考慮すれば妥当な判断で、敗れた中田も三宅と笑顔で握手し、潔く敗戦を認めた。
ピンチを乗り越え1R TKO勝ちし、ベルトを腰に巻いた三宅は「リベンジ成功できてうれしいです。名古屋から応援に来てくれた皆さんありがとうございます。言っていいかわかんないんですけど、5連続フィニュシュで、決定率も高いんで、面白い試合できるで、地元名古屋のRIZINにパンクラス代表して出させてください」とアピールした。
栁川唯人、フェザー級2位の平田直樹に判定勝ち
第8試合 フェザー級 5分3R
×平田直樹(トライフォース柔術アカデミー/2位)
○栁川唯人(K-PLACE/8位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
判定0-3 (大藪28-29/中島28-29/山崎28-29)
平田は11戦8勝3敗の27歳。DEEPや海外大会での経験を経て、23年4月からパンクラスに参戦し、渡辺謙明、糸川義人、遠藤来生、亀井晨佑、Ryo相手に5連勝したが、12月大会でのフェザー級王座決定戦で三宅輝砂にわずか72秒でTKO負けした。
栁川は7戦6勝1敗の24歳。23年のネオブラで優勝し、年末の横浜大会ではRyoと好勝負を繰り広げるも一本負け。手術を経て昨年9月に糸川義人に判定勝ちし、12月大会(昼の部)のメインイベントで名田英平に1R TKO勝ち。3月31日のXでは「僕は今日まで公務員・消防官をしてました。ですが、安定は捨てました。覚悟は出来てる。俺には総合格闘技しかない。人生変える」と決意表明し、早速上位ランカーとの試合が用意された。
試合は格闘技に専念できるようになった栁川が練習の成果を発揮する展開に。1R、栁川が左ジャブを振りつつ、右ロー、ストレートを当ててから、自ら組みに行くが、平田はすぐに両脇を差し押し込む。だが栁川は倒れず耐え、中盤過ぎには梅田レフェリーがブレイクする。栁川が右カーフを当て、平田は右テンカオを返す。終盤、栁川が前に出て、右の飛び膝を放つが、少し勢いが足りず、平田は胴タックルを合わせて押し込む。平田はたすき掛けの状態から足を掛けて倒し、起きようとした栁川を潰してマウントを奪う。だがポジションキープ優先となり、なかなかパウンドを落とせない。残り10秒、栁川は金網を蹴って返そうとしたが、背中を向けてしまい、平田がバックマウントからパウンドをまとめて終える。記者採点は僅差だが平田。最後のパウンドも当てた場面と全般のジェネラルシップを評価した。ジャッジ3名ともスタンドの打撃を評価したようで、栁川を支持する。この採点もありうるだろう。平田の最後のパウンドがあと数発でも多ければ3者から支持された可能性がある。
2R、栁川が前に出てパンチと飛び膝で攻めるが、平田はまたも組み付く。平田は倒し、立たれても金網に押し込む。中盤過ぎ、栁川は離れ、右テンカオ、ストレートを当てる。終盤、またも平田が栁川を金網に押し込むが、倒せず膠着し、残り30秒でレフェリーはブレイクする。栁川は左右のボディを当て、右フックにもつなげるが、さらに右フックを放つと、平田がカウンターの右フックをクリーンヒットし、栁川は一瞬腰が落ちてしまう。栁川は倒れず、体勢を戻すと笑顔を浮かべ、グローブタッチを求め、平田は応じ、追撃の手を緩めてしまい、大事なチャンスを逃してしまう。記者採点は栁川。ジャッジ3者も栁川を支持する。
3R、平田は序盤からタックルでテイクダウンに成功し、マウントポジションを奪う。だが栁川は下からしがみつき、パウンドを打たせない。中盤、平田は右腕を枕にして肩固めのプレッシャーをかける。終盤、平田はスペースを作り右肘を当てたり、細かく鉄槌を当てる。終了時間が近づくにつれ、平田はパウンドと肘のヒットを増やすが、仕留められず、栁川が逃げ切る形で終わる。記者採点は平田。合計29-28で平田。ジャッジ3者とも栁川を支持し、栁川が判定勝ちした。
マイクを渡された栁川は「3月に消防士を辞めました。腹くくって毎日やってきて、今があります。ランキング上位の選手に勝てたんで、ちょっとつまんない試合したんですけど、次、タイトルマッチでいいと思う人は拍手お願いします。これからもっと強くなってベルト巻いてUFC行きたいです」とアピールした。
田嶋椋、18歳の新鋭・山木麻弥を圧倒しバンタム級王座戦熱望
第7試合 バンタム級 5分3R
○田嶋 椋(OOTA DOJO/2位、元暫定王者、ネオブラッドトーナメント2022同級優勝)
×山木麻弥[まひろ](ALIVE/7位)
3R 1’54” TKO (コーナーストップ:グラウンドパンチ)
田嶋は11戦8勝3敗の25歳。昨年12月大会はオタベク・ラジャボフの体重超過により試合が中止となり、昨年3月の井村塁戦以来約1年ぶりの試合となる。
山木は18歳。極真空手をベースとし、23年のアマチュアMMA全日本選手権で優勝。23年7月にパンクラスでプロデビュー。3月の横浜大会ではバンタム級7位の矢澤諒を左ジャブで倒してからのパウンドで103秒TKO勝ちしプロデビュー以来3連勝。ランクインして早くも上位ランカーとの試合が組まれた。
バンタム級戦線は4月の立川大会の王座戦・透暉鷹[ときたか](王者)vs. カリベク・アルジクル・ウルル(挑戦者)が、両選手の計量失格で中止となり、王座は空位となった。1位の井村は5月23日のRoad To UFC一回戦で敗退している。
試合はMMAの経験差が如実に出る展開に。1R、山木が右ストレートを振うと、田嶋は片足タックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。山木が立っても田嶋は組み付いて押し込み、倒す展開を繰り返す。途中、山木は金網をつかんでしまう場面も。中盤、田嶋はしばらくトップキープし、随所でパウンドを当てる。終盤、山木はスタンドに戻すが、またも田嶋がタックルを仕掛けて倒す。田嶋はサイド、ハーフと移り、パウンドを当てる。残り30秒、田嶋はバックを奪い、腕十字を狙って失敗したが、最後はトップを取って終える。記者採点もジャッジ3名も田嶋。
2R、山木は右フックを時折振うが振りが大きく、少し疲れているようにも見える。田嶋はタックルでのテイクダウンを繰り返し、中盤から金網際でトップキープし、随所でパウンドを当てて、山木にダメージを与える。山木は防戦一方に。記者採点もジャッジ3名も田嶋。10-8でも不思議ではない差だ。
3R、田嶋がタックルのフェイントを出すと、山木はかわしただけでスリップしてしまう。田嶋はタックルで倒し、金網際で押さえ、パウンドを当てる。すると中盤、田嶋がマウントポジションを奪い、パウンドを当て始めたところで、山木の陣営がタオルを投入し、田嶋のTKO勝ちとなった。
マイクを持った田嶋は「いい勝ち方したんで、次はタイトルマッチをお願いします」とアピールした。
ネオブラミドル級優勝・平田旭、ベテラン長岡弘樹を2Rで粉砕
第6試合 ミドル級 5分3R
×長岡弘樹(DOBUITA/元GRANDウェルター級王者)
○平田 旭(move/1位、ネオブラッドトーナメント2025同級優勝)
2R 2’23” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
長岡は68戦29勝26敗13分の45歳。昨年4月に佐藤生虎に判定負けし、今年3月の横浜武道館大会でも村山暁洋に判定負けし5連敗となった。村山戦での引退も考えていたが、不完全燃焼だった思いもあり、「若くて勢いのある選手」との対戦を志願し、1階級上のミドル級でのルーキーとの試合が組まれた。
平田は30歳。昨年2月のパンクラスでのプロデビュー戦では荒井勇二に2Rアームロックで一本負け。今年2月、2選手参加の第31回ネオブラッドトーナメント・ミドル級決勝で岡村寿紀に1R KO勝ちし優勝している。
1R、サウスポーの長岡に対し、平田が右のインローを強打したが、長岡はすぐにタックルを仕掛ける。長岡が押し込むと、平田はギロチンを狙うが失敗し下になる。平田が立ち、長岡が再び倒そうとすると、平田は金網をつかむ反則を犯す。中盤過ぎ、長岡が倒そうとしたが、平田は返して上になり、金網際でハーフガードで押さえ、少しパウンドと肘を当てる。終盤、平田はなぜか自ら立ち、長岡のタックルを切って金網に押し込む。残り30秒を切り、長岡がパンチを当てて前に出て、タックルで倒し、すぐにマウントを奪うが、平田は下からしがみついて防御して終える。インターバル中、小池レフェリーは平田に減点1を科す。記者採点は長岡。平田の金網つかみは悪質で、長岡が先手を取るチャンスを潰したと判断した。ジャッジは割れ、1者が長岡、2者が平田を支持する。
だが2R、頭をほとんど振らず前進する長岡に対し、平田が右ストレートを当て続けていると、長岡はフラつくように。平田は距離を取り左ジャブも随所で当てる。すると中盤、平田が右のスーパーマンパンチをヒット。フラついた長岡はタックルで難を逃れようとし、平田の片足にしがみつくが、平田がパウンドを当て続け、最後はレフェリーがストップした。
第5試合 ストロー級 5分3R
×寺岡拓永(ROAD MMA GYM/5位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
○飯野タテオ(和術慧舟會HEARTS)
判定0-3 (27-30/28-29/28-29)
第4試合 フェザー級 5分3R
○岡田拓真(リバーサルジム横浜グランドスラム/12位)
×中村晃司(パンクラス大阪稲垣組)
3R 3’32” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
第3試合 ライト級 5分3R
×丸山数馬(Tri.H studio/9位、ネオブラッドトーナメント2015ウェルター級優勝)
○後藤 亮(TRIBE TOKYO MMA/DEEPフューチャーキングトーナメント2022ウェルター級優勝)
1R 4’24” アームロック
第2試合 女子フライ級 5分3R
○和田綾音(ALIVE/4位)
×オノダマン(T-BLOOD)
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)
第1試合 プレリミナリーファイト フライ級 5分3R
○萩島answerタクミ(T-BLOOD)
×加藤和也(turning point MMA)
3R 4’52” 裸絞め