パンクラス 3.9 横浜武道館(レポ/前半):後藤丈治、5年ぶりパンクラスでバンタム級6位の合島大樹を1R KO。18歳の山木麻弥、3戦目でバンタム級7位の矢澤諒を1R KO
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PANCRASE 352
2025年3月9日(日)神奈川・横浜武道館
レポート&写真:井原芳徳 (※後半戦は別記事に掲載します)
後藤丈治、5年ぶりパンクラスでバンタム級6位の合島大樹を1R KO
第8試合 バンタム級 5分3R
×合島大樹(ROOTS/6位)
○後藤丈治(TRIBE TOKYO MMA)
1R 4’12” TKO (レフェリーストップ:左フック)
合島は38歳。かつてCORO、藤井伸樹、TSUNE、金太郎とも戦ったことがあり、18年11月に原田惟紘にTKO勝ちして以降ブランクが続く。佐藤ルミナ率いるrootsに移籍し、昨年5月、6年ぶりに復帰し、小原統哉に2R TKO勝ち。12月には安藤武尊に判定勝ちした。
後藤は29歳。16年のデビュー当時から20年にパンクラスに上がり、5年ぶりに戻ってきた。22年まで上がった修斗ではランキング入りし魚井フルスイング、ダイキ・ライトイヤーに勝利。23年はRIZINでトレント・ガーダム、日比野“エビ中”純也に、いずれも2Rツイスターで一本勝ち。昨年5月、ONE Friday Fightsでイリアス・エジエフ(ベラルーシ)から3Rに左フックでダウンを奪うが、中盤に裸絞めを極められ逆転負けした。12月のDEEPでは朝倉海のスパーリングパートナー・マンド・グディエレスに判定1-2で惜敗した。後藤はカード発表後のXに「どうしてもすぐに試合がしたかった。今年また大きな舞台で戦うために」と記していた。
試合は後藤の完勝に。1R、後藤がサウスポーで構え、左ロー、ミドル、ハイ、ボディを自在に当て続け、合島にダメージを与える。すると終盤、後藤が左フックで合島をひるませると、左フックで倒す。既に合島のダメージは大きく、すぐさま鶴和レフェリーがストップした。
マイクを持った後藤は「5年ぶりパンクラス、強くなって帰ってきました。バンタム級日本人最強目指しているんで、まだまだ突っ走ります。上の選手、よろしくお願いします」とアピールした。
18歳の山木麻弥、3戦目でバンタム級7位の矢澤諒を1R KO
第7試合 バンタム級 5分3R
×矢澤 諒(パンクラスイズム横浜/7位)
○山木麻弥[まひろ](ALIVE)
1R 1’43” TKO (レフェリーストップ:左ジャブ→グラウンドパンチ)
山木は18歳。極真空手をベースとし、23年のアマチュアMMA全日本選手権で優勝。昨年7月にパンクラスでプロデビュー後、前田海、宮城成歩滝を相手に2連続TKO勝ちし、3戦目でランカーとの試合が組まれた。対する矢澤は26歳。23年11月に井村塁に70秒裸絞めで一本負け、昨年11月に松井斗輝に19秒TKO負けし3連敗中だ。
試合は新鋭の山木の完勝に。1R、矢澤がサウスポー、山木がオーソドックスで構え、長身の山木が右ミドルを当てる。中盤に入り、矢澤が左右のパンチを振るって詰めてきたが、山木は下がりつつかわすと、左ジャブをヒット。するとこれ一発で矢澤は後ろにダウンし、山木がパウンドで追撃したところで、金子レフェリーがストップした。
マイクを持った山木は「すいません、いつも1Rで終わっちゃうんですけど、怪我も無いんで、またすぐ呼んでください」とアピールした。これでランキング入り確実で、上位勢との対戦が楽しみだ。
第6試合 ウェルター級 5分3R
○村山暁洋(暁道場/2位・元王者、元修斗同級環太平洋王者)
×長岡弘樹(DOBUITA/元GRAND同級王者)
判定3-0 (中島30-27/渋谷30-27/出口29-28)
長岡は試合直前の3月4日に45歳になり、村山も3月29日で45歳になる。村山は47戦24勝14敗9分。長岡は67戦29勝25敗13分。両者は22年12月の横浜武道館大会で対戦し、寝技主体の攻防の末に、村山が判定勝ちしている。その後、村山は23年6月の林源平とのウェルター級王者決定戦で判定負け、続く押忍マン洸太戦でも判定負けしたが、24年11月に川中孝浩に判定勝ち。長岡は23年3月に髙橋攻誠に、24年4月に佐藤生虎に判定負けし4連敗中だ。
1R、村山が長時間長岡を金網に押し込み、やや優位に進める。長岡も押し返す場面もあるが時間は短い。最後、村山が長岡を倒すが、長岡は背中をつけず耐えて終える。ジャッジは2者が村山、1者が長岡を支持する。
2Rも金網に押し合う展開が続き、お互い倒せず膠着が続く。レフェリーはブレイクしない。村山が押し込む時間がやや長い状態で変わらない。ジャッジ3名とも村山。
3R、開始すぐこそ、長岡がパンチ、村山が組んでの膝を当てるが、すぐこれまでのような村山が押し込む展開に戻る。最後、村山が払い腰で倒し、サイドから腕十字を狙いつつ、鉄槌を連打して、しっかり差をつけて終了する。ジャッジ3名とも村山。村山が今回も判定勝ちし、長岡を返り討ちにした。
第5試合 フェザー級 5分3R
×遠藤来生[らいき](Power of Dream Sapporo/5位)
○木下尚祐[しょうすけ](リバーサルジム横浜グランドスラム)
判定0-3 (出口27-30/廖27-30/中島28-29)
遠藤は23年3月から1年間、高木凌、関鉄矢(RIZIN)、平田直樹、石田陸也相手に4連敗していたが、24年7月の大阪大会で中村晃司に判定勝ちした。11月にシュウジ・ヤマウチとの試合が組まれたが、ヤマウチが減量中に脱水症状を起こし救急搬送されたため試合中止となっていた。
木下はZSTを主戦場とした後、21年からDEEPに参戦し、23年は朝比奈龍希、力也相手に2連勝したが、24年5月に日比野“エビ中”純也に1R裸絞めで一本負け。11月にパンクラスに初参戦すると共にバンタム級からフェザー級に階級をアップし、小森真誉に判定勝ちした。
1R、スタンドの攻防が続き、お互い右カーフを当てる。木下は右ストレートも絡めて、やや手数多く攻める。木下は地元横浜の選手で、試合中も関係者から声援やアドバイスが多く飛び、札幌から来た遠藤よりも戦いやすそうな様子だ。ジャッジは割れ、1者が遠藤を支持し、2者は木下を支持する。
2R、遠藤は執拗に右のカーフを当てるが、木下はまだひるまない。木下は右膝蹴り、掛け蹴りを絡めつつ、随所で右ストレートを当て、若干だが印象差をつける。
3R、木下は序盤から右ストレートでダウンを奪う。遠藤は逆転を狙って前に出るが、木下は自分の右ストレート、左ジャブを的確に当て、反撃を封じ終了する。木下が3Rもポイントを取り判定勝ちし、ランキング入り確実となった。
第4試合 フライ級 5分3R
×山﨑聖哉(BRAVE/6位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
○時田隆成(トライフォース東中野/11位)
3R 4’39” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
1R、時田が序盤からテイクダウンを奪うと金網際でトップキープする。最後、山﨑が脱出したが、すぐに時田は倒してバックを取り、裸絞めを狙って終える。
2Rも時田がバックを奪うなどコントロールを続け、パウンドも当てて主導権を維持する。
3R、山﨑が横三角絞めを仕掛ける場面もあったが、時田は対処し、長時間トップやハーフで押さえ、主導権を維持する。すると終盤、時田はバックマウントを奪うと、パウンドを連打し、鶴和レフェリーがストップ。時田が時間内にフィニッシュした。
第3試合 バンタム級 5分3R
○前田浩平(GRABAKA)
×梅原規祥[みさき](リバーサルジム武蔵小杉 所プラス)
判定3-0 (荒牧30-27/松井30-27/廖30-27)
前田は29歳。昨年7月に増田大河と対戦し判定勝ちしたが、両選手ともフライ級リミットをオーバーしていた。10月にはグアムでのBrawlに参戦し、韓国の選手とバンタム級のタイトルを争ったがドロー。パンクラスでも今回バンタム級に上げて戦う
梅原は26歳。昨年5月、ネオブラッドトーナメント・バンタム級で2回戦で敗退したが、7月にX上で前田戦を希望してからは、8月に上野惇平に判定勝ちし、11月には坂本瑞氣に試合終了間際に腕十字を極めて一本勝ちし2連勝している。
1R、前田が押し込んでから倒して押さえると、バックを奪い、裸絞めを狙いつつパウンドを当てる。終盤、梅原が脱出したが、前田が押し込んで終える。
2R、前田が変わらずバックを奪うなどコントロールを続ける。梅原も背後の前田に肘を当てたり、最後は上になってパウンドを当てたりと、抵抗する場面もあるが、長くは続かない。
3R、前田が抱え上げて頭から打ち付ける形で倒し、バックを取る。終盤、梅原が立ってパンチを振るうが、前田は反撃を封じて終了。前田が3Rともポイントを取り判定勝ちした。
第2試合 プレリミナリーファイト バンタム級 5分3R
×千種純平(パンクラス大阪稲垣組)
○松井 涼(EXFIGHT×FIGHT FARM)
判定0-3 (出口27-30/中島27-30/廖27-30)
プレリミナリーファイトで期待の新鋭同士の試合が組まれた。
千種は20歳。プロMMA 5戦全勝で、昨年7月のパンクラス大阪大会で田中千久に1R裸絞め、11月のニューピア大会で宮島夢都希に2Rヒールフックで一本勝ちしている。
松井は29歳。専修大学出身でレスリング2017年全日本選手権男子グレコ63kg級準優勝の実績があり、大学の先輩の中村倫也の活躍に刺激を受け、サラリーマンを辞めてMMAに転向。23年8月のアマチュア修斗関東選手権フェザー級で優勝。昨年8月のパンクラスでプロデビューし、佐々木健吾を相手にテイクダウンとグラウンドコントロールで主導権を握り続け判定勝ちしている。
1R、松井が序盤からタックルを仕掛けて倒し、立たれてもすぐ押し込み、そのまま最後まで押し込み続け主導権を維持する。千種は首を抱えてギロチンを狙う等して抵抗するが返せない。
2Rも松井が押し込み、テイクダウンを奪い、随所でパウンドを当てる等して主導権を維持する。3Rも松井がトップキープして主導権を維持し、千種にほとんど何もさせず判定勝ちした。
第1試合 プレリミナリーファイト フライ級 5分3R
×今井洋希(禅道会)
○稲垣祐司(NATURAL 9)
2R 3’15” 裸絞め