パンクラス 12.15(夜)ニューピアホール(レポ):三宅輝砂、パンクラス5連勝の平田直樹を72秒で粉砕しフェザー級王者に。猿飛流、2年ぶりパンクラスはジョセフ・カマチョに逆転一本負け
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PANCRASE 351
2024年12月15日(日)東京・ニューピアホール
レポート&写真:井原芳徳
三宅輝砂、パンクラス5連勝の平田直樹を72秒で粉砕しフェザー級王者に
第7試合 メインイベント キング・オブ・パンクラス・チャンピオンシップ フェザー級(第11代王者決定戦) 5分5R
×平田直樹(トライフォース柔術アカデミー/1位)
○三宅輝砂[きさ](ZOOMER/3位、ネオブラッドトーナメント2021同級優勝)
1R 1’12” TKO (レフェリーストップ:右膝蹴り→グラウンドパンチ)
※三宅が王者に
新居すぐるが昨年9月の立川ステージガーデン大会で亀井晨佑を下してフェザー級王者となったが、RIZINで王座を目指すため、1年の防衛期限の過ぎる前の8月に王座を返上し、今回王者決定戦が組まれた。
平田は10戦8勝2敗の26歳。ONEを主戦場とする平田樹の兄。DEEPや海外大会での経験を経て、昨年4月からパンクラスに参戦し、渡辺謙明、糸川義人、遠藤来生、亀井晨佑に勝利。6月の王座挑戦者決定戦ではRyoに判定勝ちし、パンクラス参戦後の連勝を5に伸ばした。柔道をベースとし、寝技の強さが持ち味だが、サウスポーのRyoに右ミドル、三日月蹴りを効かせ、打撃でも成長を見せていた。今回、パンクラス3連勝で2位のキム・サンウォン(韓国)との王者決定戦が組まれたが、サンウォンがPFLのフェザー級トーナメント参戦のオファーを受け、パンクラスの王座戦を辞退し、3位の三宅にチャンスが巡って来た。
三宅は14戦10勝4敗の25歳。21年のネオブラッドトーナメント・フェザー級で優勝。その後は亀井晨佑、田村一聖、中田大貴といった上位勢に敗れ、勝ち負けを繰り返したが、昨年11月の櫻井裕康戦で2R裸絞めで勝利後は、2月に名田英平を2R KOし、7月に石田陸也に1R TKO勝ちし、3連続フィニッシュ勝利中だ。
11月29日の調印式で平田は、ストライカーの三宅に相手が変わったことで「お互いやることが明確になったと思うので、お互いフィニッシュしやすいんじゃないか」とコメント。三宅も「組み力に関しては、天と地ぐらい差があるのかなと思っているんですけど、相手の弱いところで戦えるのが総合なので、そこを見せたい」と語っていた。
試合は三宅が平田の「組み」に対応しつつ、見事「弱いところ」を突いて勝利を呼び込むことに。1R、平田が開始すぐからタックルを繰り返すが、三宅は切り続ける。平田は正面からタックルに入りがちで、テイクダウンを急ぎすぎている感は否めない。すると三宅は右ストレートをヒットし、打撃での差を印象付ける。
さらに三宅は平田のタックルを切り続けると、スタンドで組み合った状態の中で、飛び上がって右の膝蹴りを平田の顔面にクリーンヒットする。平田はダウンすると亀になり、三宅が背後からパウンドを連打したところでレフェリーがストップした。
チャンスをものにした三宅は、以前から「天才」と評する声も多く、突如放った右の膝蹴りはそのセンスを見事発揮した一撃に見えた。とはいえベルトを巻いた三宅は冷静で、マイクを持つと「実力的にチャンピオンじゃないんで、もっと強くなります」と謙虚に語った。さらに「ライト級は久米鷹介さん、フェザー級とバンタム級は透暉鷹(ときたか)さんがパンクラスのベルトを取って、続きたいと思ってて、夢がかなって良かったです」と話し、中京地区の先輩たちに続いてベルトを獲得した喜びを口にした。
猿飛流、2年ぶりパンクラスはジョセフ・カマチョに逆転一本負け
第6試合 フライ級 5分3R
×猿飛流[さとる](リバーサルジム川口REDIPS/元王者、ネオブラッドトーナメント2019同級優勝&MVP)
○ジョセフ・カマチョ[Joseph Camacho](グアム/スパイク22/11位)
2R 0’48” 裸絞め
猿飛流は34歳。18年のネオブラッドトーナメント準決勝では鈴木千裕に敗れたが、19年は優勝と共にネオブラMVPも獲得。以降は荻窪祐輔、上田将竜に連勝し、22年3月、小川徹に判定勝ちしフライ級王者になるが、12月の初防衛戦で鶴屋怜に2R裸絞めで一本負け。今年3月、オーストラリアのエターナルMMAで同大会のフライ級王者のアンソニー・ドリッチに挑戦したが2R TKO負けし2連敗。今回2年ぶりにパンクラスに戻ってくる。
カマチョは32歳。昨年7月にパンクラスに初参戦し、フライ級リミットをオーバーしたが前田浩平に判定勝ち。今年5月の2戦目は浜本“キャット”雄大に判定負け。8月の品川大会では水戸邉荘大に2Rフロントチョークで一本勝ちしている。
1R、カマチョがサウスポーで構え、序盤から前に出てパンチを振るうが、猿飛流がワンツーでの右ストレートをクリーンヒットすると、金網に詰めてパンチを連打し、カマチョのタックルを潰してパウンドも当て続けて追い詰める。カマチョは大量の鼻血を出す。猿飛流はマウント、バックと動き、パウンドを当て続け、裸絞めも仕掛けて追い詰める。ジャッジ3者とも猿飛流につける。
ところが2R、カマチョが開始すぐから前に出て左ミドルを当てて先手を取ると、タックルを仕掛けて倒す。カマチョはすぐさまバックを取り、裸絞めで猿飛流を絞め上げる。猿飛流はしばらく耐えたがタップし、カマチョが逆転一本勝ちを果たした。猿飛流は3連敗となってしまった。
船田電池、改名初戦は攻め続け判定勝ち
第5試合 ストロー級 5分3R
×寺岡拓永(ROAD MMA GYM/5位、ネオブラッドトーナメント2023同級優勝)
○船田電池(和術慧舟會HEARTS/6位、ネオブラッドトーナメント2024同級優勝)※船田侃志[かんじ]改め
判定0-3 (荒牧27-30/出口27-30/廖27-30)
寺岡は27歳。昨年8月のネオブラッドトーナメントで優勝したが、その後は1勝2敗で、最近では7月に髙島俊哉に判定負けしている。
船田は20歳。2月と5月のネオブラで勝利し今年の優勝者となり、9月の立川大会では野田遼介とのランカー対決で勝利。スタミナが豊富なことから「船田電池」とのリングネームをHEARTSの大沢ケンジ代表から授けられた。
1R、開始すぐから船田がタックルで倒し、グラウンドコントロールを続ける。中盤過ぎには金網際で船田がオンブになり、最後は裸絞めを仕掛け、マットに倒れた状態でも絞め続けるが、寺岡はギリギリで防御して終える。船田がポイントを取る。
2Rも船田が序盤からテイクダウンを奪うと、サイド、バックと動き、パウンドを当て続け、主導権を維持する。最後は寺岡が上になってパウンドを当てるが、まもなく時間切れに。このラウンドも船田がポイントを取る。
3R、船田が変わらずグラウンドコントロールし、バックからパウンドを当て、裸絞めを狙うなど攻め続け終了。フィニッシュできなかったが、“電池切れ”知らずに攻め続け3Rともポイントを取り判定勝ちした。
第4試合 65kg契約 5分3R
○合島大樹(roots/バンタム級12位)
×安藤武尊[ほたか](和術慧舟會AKZA)
判定3-0 (出口30-27/中島30-27/廖30-27)
合島は22戦11勝9敗2分の38歳。かつてCORO、藤井伸樹、TSUNE、金太郎とも戦ったことがあり、18年11月に原田惟紘にTKO勝ちして以降ブランクが続く。佐藤ルミナ率いるrootsに移籍し、5月のニューピア大会で6年ぶりに復帰し、小原統哉に2R TKO勝ちし、大会のベストバウト賞に選ばれていた。
安藤は27歳。レスリングをベースとし、昨年9月のMMAデビュー戦で今年のネオブラ・バンタム級優勝&MVPの山口怜臣に判定勝ちし、9月の立川大会ではギレルメ・ナカガワに判定勝ちし、プロ2戦2勝の新鋭だ。山本歩夢の欠場で大会1週間前に緊急出場が発表された。
1R、安藤がタックルを繰り返すが、合島はテイクダウンを許さず切り続ける。合島は随所でパンチを当て、終盤にはタックルを切って首相撲で捕まえてから、左右の膝を連打し、離れ際には右肘も放ち、ムエタイ技術で優位を印象付ける。ジャッジ3者とも合島につける。
2R、合島は変わらずタックルを切り続け、自分のパンチや膝を当て、主導権を維持する。終盤には合島の左ジャブで安藤はダウンする場面も。このラウンドもジャッジ3名とも合島を支持する。
3R、合島が変わらずパンチを当て続け、主導権を維持する。安藤は鼻血で顔が染まる。最後、安藤がパンチをようやく連打して巻き返すが、合島は耐えきり終了。合島が3Rともポイントを取り判定勝ちした。
第3試合 ストロー級 5分3R
○リトル(HIDE’S KICK!/4位)
×織部修也(CAVE)
判定3-0 (中島30-27/荒牧30-27/渋谷30-27)
1R、組む場面もあるが基本的に打撃の攻防主体となり、リトルが右ロー、ストレート、織部が左のジャブ、フック、右ストレートを当てる。ほぼ互角の展開だが、リトルのヒット数がやや上回り、ジャッジ3者もリトルを支持する。
2Rもスタンドの打撃戦が続く。序盤はリトル優勢で、中盤、織部がパンチを増やし巻き返すが、終盤はリトルも右ストレートのヒットを増やして再び巻き返し、最終的に優位で終える。ジャッジ3者もリトルを支持する。
3R、後の無い織部が前に出てパンチを振るうが、リトルが打撃でやや優位な状態を維持する。終盤、織部がタックルで倒し上になるが、その先に持ち込めず終了する。このラウンドもリトルが取り、リトルが判定勝ちした。
第2試合 ライト級 5分3R
○平 信一(綱島柔術/ZST/13位、元ZST同級王者)
×張 豊[ジャン・ユタ/Zhang Yuta](Tri.H.Studio/頂柔術)
2R 3’22” TKO (コーナーストップ:グラウンドパンチ)
ジャンは6月にアマチュアパンクラストーナメントで優勝し今回デビュー戦。1R、グラウンドの展開が続き、張がトップ、サイド、バック等で長時間コントロールし主導権を握る。平も脱出し、立てば背後から組み付いて投げを狙う等奮闘するが、流れをすぐ引き戻されてしまう。ジャッジ3者とも張を支持する。
だが2R、平が序盤からパンチと膝を当てて先手を取り、テイクダウンを奪うと、グラウンドで動き続け、バック、トップ等からパウンドを当て続け反撃する。最後は平がバックマウントからパウンドをまとめたところで、張陣営からストップがかかった。
マイクを持った平は「次、松本(光史)選手とかどうですかね、復帰戦。ダメだったらダンプ松本連れてこい」とアピールし、観客を笑わせた。
第1試合 フライ級 5分3R
○水戸邉荘大(TRIBE TOKYO MMA)
×小林了平(SONIC SQUAD)
判定3-0 (中島29-28/出口29-28/渋谷29-28)
1R、スタンドの攻防の後、中盤、水戸邉がタックルで倒すと、金網際でトップキープする。終盤、水戸邉はパスガードし、バックを取ると、パウンドと裸絞め狙いで追い詰める。2Rも水戸邉がテイクダウンを奪い、トップキープし、随所でパウンドを当てて優位を維持する。
3R、後の無い小林のパンチで、水戸邉が左まぶたからカットして出血し、打撃戦で挽回する。終盤、水戸邉がテイクダウンを奪うが、一回転して小林が上になると、パウンドや三角絞めで攻め続け、あわや逆転勝ちという展開になるが、水戸邉が耐えきり終了。1ポイントの失点に留め、水戸邉が判定勝ちした。