パンクラス 6.30 ニューピアホール(レポ):平田直樹、蹴りでも進化見せRyo下し新居すぐるのフェザー級王座挑戦権獲得。同級のキム・サンウォン、中田大貴に判定勝ちしパンクラス3連勝。内藤由良、1R TKO勝ちしUFC参戦熱望アピール
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PANCRASE 344 & 345
2024年6月30日(日)東京・ニューピアホール
レポート:井原芳徳
PANCRASE 345(夜大会)平田直樹、蹴りでも進化見せRyo下し新居すぐるのフェザー級王座挑戦権獲得。内藤由良、1R TKO勝ちしUFC参戦熱望アピール
第5試合 コーメイン フェザー級王座挑戦者決定戦 5分3R
○平田直樹(トライフォース柔術アカデミー/2位)
×Ryo(グランドスラム/RINGS/3位、元THE OUTSIDER 70-65kg級王者)
判定3-0 (大藪30-27/山崎30-27/太田30-27)
5月25日のニューピアホール大会で組まれていたが、Ryoの練習中の怪我により今大会に延期となっていた一戦。
平田樹の兄としても知られる直樹は、DEEPや海外大会での経験を経て、昨年からパンクラスに参戦。4月に渡辺謙明に、7月に糸川義人にフィニッシュ勝利すると、9月大会では遠藤来生に判定勝ち。12月の横浜武道館大会では9月大会のフェザー級王座戦で敗れている亀井晨佑から3Rともポイントを奪い判定勝ちし、新居すぐるの王座挑戦に大きく近づいた。
Ryoは20年にパンクラス参戦以降は3連勝し、21年9月からは中田大貴、岩本達彦、遠藤来生、田村一聖相手に4連敗を喫した。だが昨年7月、名田英平に判定勝ちすると、12月の横浜大会では当時11位の栁川唯人と一進一退の攻防を繰り広げた末に3R腕十字で一本勝ちし、大会のベストバウトに選ばれていた。
試合は平田が打撃でも進化を見せつつ持ち前の寝技でRyoのミラクルを封じることに。1R、サウスポーのRyoに対し、平田はオーソドックスで構えてプレッシャーをかけて右ミドルを随所で当てる。中盤、平田が左ハイを当てて上に意識を向けさせてから、足へのタックルを仕掛けるが、Ryoは切って突き放す。Ryoが右ジャブを当てると、平田は左まぶたを少しだけ腫らす。終盤も打撃戦が続き、お互い強打は少ないが、最後はタックルを仕掛け、押し込んで終える。記者採点は僅差だが平田。打撃の的確さと組みでの積極性を評価した。ジャッジ3者も平田を支持する。
2R、スタンドの攻防の後、中盤、Ryoの左テンカオのタイミングで、平田がタックルを仕掛けて押し込み、反り投げで倒して上になると、そのままサイドポジションを奪う。Ryoは立とうとするが、平田はすぐさま倒しつつ、背後に回り込む展開を繰り返す。終盤も平田がRyoに立たれても押し込んで執拗にしがみつく展開を続ける。記者採点もジャッジ3者も平田。平田の左まぶたの腫れは大きくなっているが、ドクターチェックは入らず3Rへ入る。
3R、平田が右ミドルを当てると、Ryoは負けじとパンチを振り回して前に出て来るが、平田はかわしてからタックルを仕掛け、2R同様にしつこく組み付いて金網際でコントロールを続ける。Ryoは口が開きしんどそうだが、離れれば必死に前に出る。だが終盤、平田は右のミドル、三日月蹴りを度々当て、Ryoをさらに削る。最後も平田が組み付き、倒して上になって終える。記者採点もジャッジ3者も平田。合計30-27で平田が判定勝ちした。
マイクを持った平田は「内容はまだまだですが、しっかり勝てたんで、次、タイトルマッチお願いします」と話した。
第6試合 メインイベント ミドル級(ノンタイトル戦) 5分3R
○内藤由良[ゆら](リバーサルジム横浜グランドスラム/王者)
×アリ・カラダギィ[Ali Qaradaghy](クルディスタン/パラエストラ東京)
1R 1’52” TKO (レフェリーストップ:グラウンド肘打ち)
内藤は28歳。MMA戦績5戦5勝(2KO/2一本)。20年からパンクラスで4連勝後、22年3月に2(当時のリングネームはロッキー川村2)を42秒でKOし、ミドル級のベルトを獲得した。試合はそれから2年ぶりとなる。5月13日の記者会見で内藤は「ここで勝って世界に出たいです。国内ではラストにしようと考えています」「今年中にはUFCに参戦できるようにやっていきたいです」と話していた。
今回、フロリダの名門・キルクリフFC所属の佐藤天(たかし)の推薦で、キルクリフ所属のディラン・オサリバンが内藤と戦う予定だった。だがオサリバンはパンクラスの発表によると「入国時の問題」により欠場となった。
代役となるアリ・カラダギィは在日クルド人で33歳。身長188cm。キック戦績43戦36勝7敗。タイでのMAXムエタイや中国の大会に上がり、ミャンマーラウェイの試合も経験している。パラエストラ東京等で寝技は習っているが、MMAはデビュー戦となる。
試合前々日の28日夜のカード変更発表直後、内藤はXに投稿し「迅速に対応していただいたパンクラス、急遽の対戦を受けてくださるアリ選手、ありがとうございます。勝ちにいくことに変わりはありません」等と記していた。
試合は内藤の完勝に。1R、長身のカラダギィが開始すぐから前に出て、左ジャブを振ってから右ミドルを放つが、内藤は腕で受けてから距離を取ると、カラダギィに両足タックルを仕掛けて、10秒足らずでテイクダウンを奪う。内藤はハーフで押さえ、足を抜いてマウントに移行すると、パウンドと肘を連打して追い詰め、梅田レフェリーがストップした。
マイクを持った内藤は「試合を受けてくれたアリ選手に大きな拍手をお願いします。ベルトを取ってから2年間、試合が水面下で決まったり無くなったり、練習はコツコツ続けていたんですけど、何のために練習しているんだろうっていうのが凄くあって、周りにたくさんの応援してくれる人たちに支えられてます。ありがとうございます。自分の行くところはUFCしか見ていません。皆さんの声も力になります。ぜひ僕をバックアップしていただけるとうれしいです。デイナ、ショーン、ハント、アイム・ジャパニーズ・ナンバーワン・ミドルウェイトファイター・ユラ・ナイトーだ」とアピールした。
第4試合 ライト級 5分3R
―西尾真輔(宇留野道場/10位、ネオブラッドトーナメント2022同級優勝)
―神谷大智(BRAVE/11位)
1R 3’44” ノーコンテスト (ドクターストップ:偶発的なバッティングにより神谷の左まぶたの負傷)
第3試合 フライ級 5分3R
○大塚智貴(CAVE/4位、ネオブラッドトーナメント2021ストロー級優勝)
×山崎聖哉(BRAVE/6位、ネオブラッドトーナメント2023フライ級優勝)
2R 4’20” KO (右ストレート)
第2試合 ウェルター級 5分3R
×渡邉ショーン(暁道場)
○武者孝大郎(マスタージャパン東京)
判定0-3 (荒牧27-30/出口28-29/松井28-29)
第1試合 バンタム級 5分3R
○友寄龍太(パラエストラ西東京)
×さぶろう(今成柔術)
判定3-0 (荒牧30-27/出口30-27/松井30-27)
PANCRASE 344(昼大会)キム・サンウォン、中田大貴に判定勝ちしパンクラス3連勝
第8試合 メインイベント フェザー級 5分3R
○キム・サンウォン(韓国/コリアントップチーム/4位)
×中田大貴(和術慧舟會HEARTS/武蔵村山さいとうクリニック/7位)
判定3-0 (大藪29-28/山崎29-28/太田29-28)
サンウォンは韓国のDouble Gのフェザー級王座を獲得した実績があり、昨年5月のRoad To UFCフェザー級一回戦では、修斗世界フェザー級王者のSASUKEを2R右フックでKOした。準決勝ではイー・ジャーに判定負け。11月にパンクラスに初参戦すると名田英平に判定勝ち。12月の横浜大会ではONE帰りの高橋遼伍と対戦し、右ストレートによる右まぶたの裂傷によりTKO勝ちし2連勝している。
中田は内村洋次郎、三宅輝砂相手に連勝し、昨年7月、高木凌と対戦したが、1R右フックでKO負けし、王座挑戦につなげることができなかった。3月31日の立川大会で再起戦を予定していたが、対戦相手のシュウジ・ヤマウチが計量で1.4kgオーバーし、中田側との条件が合わず試合中止となっていた。
1R、中田がプレッシャーをかけるが、サンウォンは距離を取って左ジャブを当てつつ、タックルを仕掛けて序盤からテイクダウンに成功する。サンウォンは金網際で中田を押さえる。中田はサンウォンの首を抱えるが、極めには結びつかない。すると中盤過ぎ、サンウォンはハーフからバックに回り込む。脱出されてもサンウォンはしつこくタックルでしがみつき、終盤には中央付近で倒して上になる。サンウォンはマウント、バックと動きつつコントロールを続け、最後はパウンドも当てて印象を作る。記者採点はサンウォン。
2R、またもサンウォンが序盤からタックルで倒し、金網際で押さえる。中田が立ってもサンウォンは金網に押し込み、再び倒して上になる。だが中盤過ぎ、中田は立つと、右ボディ、左フック、右ストレート等を度々当てて反撃する。だが終盤、サンウォンはタックルで倒し、立たれても押し込み続けるが、その先には持ち込めない。最後は離れ、中田が右ストレートを当てて終える。記者採点は中田。ジャッジ3者も同じ採点で、これでイーブンに。
3R、スタンドの展開が続く中で、サンウォンが左に回って距離を取りつつ、左ボディを的確に当て続ける。中盤から中田は右ストレート、カーフも絡める。中田もタックルは切り続け、右カーフ、左ボディを返す場面もあるが、空振りが多くヒット数で差をつけられる。終盤も変わらず、空振りの多い中田に対し、サンウォンが的確さで上回った状態で終える。記者採点はサンウォン。ジャッジ3者も同じで、サンウォンが判定勝ちした。この日は平田直樹がRyoに勝利しフェザー級王座挑戦権を獲得したが、その次の挑戦者にはサンウォンが最有力候補となりそうで、王者の新居すぐるも平田も無視できない存在となっている。
第7試合 コーメイン フライ級 5分3R
×上田将年[まさとし](G-face TEAM緒方道場/ネオブラッドトーナメント2013スーパーフライ級優勝)
○眞藤源太(KINGCRAFT)
判定1-2 (大藪27-30/荒牧28-29/太田29-28)
第6試合 フェザー級 5分3R
○糸川義人(TURNING POINT MMA/12位、ネオブラッドトーナメント2022同級優勝)
×小森真誉[まよ](ロータス世田谷)
判定2-1 (大藪28-29/山崎29-28/中島29-28)
第5試合 バンタム級 5分3R
―原田惟紘[ただひろ](G-face/ネオブラッドトーナメント2012フェザー級優勝)
―ギレルメ・ナカガワ[Guilherme Nakagawa](ブラジル/ボンサイ柔術)
中止 (両者計量失格)
※原田が減量中の脱水症状で救急搬送され計量不参加。ナカガワは61.2kg+0.45kgのリミットを1.35kgオーバーし規定により失格
第4試合 フライ級 5分3R
×大野友哉(THE BLACKBELT JAPAN)
○小林了平(SONIC SQUAD)
判定0-3 (出口27-30/太田27-30/廖27-30)
第3試合 第30回ネオブラッドトーナメント フライ級 準決勝 5分3R
×饒平名知靖(K太郎道場)
○山崎蒼空(マッハ道場)
判定0-3 (大藪27-30/太田27-30/廖27-30)
第2試合 バンタム級 5分3R
○渡邉泰斗(サツキジム横浜)
×佐藤ゆうじ(ブラジル/ボンサイ柔術)
判定3-0 (大藪29-28/中島29-28/松井29-28)
第1試合 ストロー級 5分3R
○渋井宏行(THE BLACKBELT JAPAN)
×日向優希(新潟イエローマンズ)
3R 3’26” 肩固め