K-1 5.31 横浜BUNTAI(レポ/トーナメント):レミー・パラ、松山勇汰・中島千博・横山朋哉をKOしスーパー・フェザー級王者に。前王者・レオナ・ぺタス、計量オーバーの天野颯大を1R KO
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K-1 BEYOND
2025年5月31日(土) 神奈川・横浜BUNTAI
レポート:井原芳徳 写真:(C)K-1
リザーブ戦のレオナ・ぺタス、計量オーバーの天野颯大を1R KO
第1試合 第6代K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・リザーブマッチ 3分3R(延長1R)
○レオナ・ぺタス(THE SPIRIT GYM TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO/元K-1&Krushスーパー・フェザー級王者)
×天野颯大[そうた](キング・ムエ/K-1甲子園2021 -60kg優勝)
1R 2’16” KO (2ダウン:右ストレート)
※天野が前日計量で2.2kgオーバー。通常2kg以上オーバーの場合は失格だが、レオナの要望を受け試合実施。ただし当日午前11時より天野は65kgのリミットで再計量。天野は減点2、ファイトマネーの30%をレオナに譲渡。レオナの希望によりグローブハンデ無し。天野が勝利した場合ノーコンテスト。レオナが敗れたとしても、KO負けせずに試合後のドクターチェックで次の試合出場が可能と判断された場合、レオナをリザーバーとする。
ブランクの続いたレオナ・ぺタスが返上したK-1スーパー・フェザー級王座を懸け、8選手による王座決定トーナメントが行われた。レオナは1年半ぶりの試合ということがK-1サイドから考慮され、リザーブファイトという扱いに。レオナは今年からK-1改革を目指す反乱軍「RibelLion(リベリオン)」を立ち上げ、自身の初戦として注目された。ところが、対戦相手の天野が前日計量で2.2kgもオーバーしてしまう。上記のとおり本来なら試合は中止だが、レオナの強い希望により試合が行われた。
1R、長身のレオナが距離を取り、左ジャブ、インロー、ボディ、右ロー、カーフを随所で当てる。天野は前に出て左右のミドルを返し、踏み込んで左フックを当てる。比較的静かな立ち上がりだったが、終盤、いきなり試合が動く。天野がまたも踏み込んで左フックを放つと、ロープ際でかわしたレオナは、体を入れ替えてから、右のショートフックを当ててダウンを奪う。天野は立ったが既にダメージが大きい様子。レオナがパンチと膝で倒しにかかり、右フックを放つと、天野の右フックと相打ちになる。両者倒れるが、天野が背中をマットにつけ伸びた状態になったのに対し、レオナは尻もちをついた後にマットに右手をついてすぐに立ち上がり、天野が2ダウンしたと判断され、レオナのKO勝ちとなった。(K-1のトーナメントの準決勝までの試合とリザーブマッチは2ノックダウン制が採用されている。)
敗れた天野は膝をついて頭を下げ謝り、レオナは肩を叩いて慰めた。マイクを持ったレオナは「お久しぶりです。反乱軍、リベリオン、レオナ・ペタスです。今日は僕の試合は、ただの制裁マッチだったんで、ここから60kgのトーナメント、サッタリとかターザンのタイトルマッチとか、色々あるんで、楽しんでいってください。ここから、K-1開幕。ありがとうございました」とアピール。レオナが磐石の強さと根っからのK-1愛をしっかり示す試合と発言だった。
60kgの王座目指す初戦、横山朋哉は延長KO勝ち。レミー・パラは1R KO勝ち
第2試合 第6代K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・一回戦(1) 3分3R(延長1R)
○横山朋哉(リーブルロア/Krushスーパー・フェザー級王者)
×イゴール・ベクレフ[Egor Bikrev](ロシア/クズバス・ムエタイ/IFMAロシア・ライト級(60kg)王者)
4R 2’01” KO (左ボディフック)
3R 判定0-0 (山根28-28/水谷28-28/中野28-28)
レオナの返上した王座を懸けたトーナメントに、一番最初にエントリーが発表された横山が、初戦は苦しみつつも、なんとか勝利をものにする。
1R、サウスポーの横山に対し、長身のベクレフはプレッシャーをかけ続け、右ミドル、ストレート主体で襲い掛かる。横山は攻撃が少ない状況が続いたが、終盤に左ボディを強打するように。ジャッジ3者ともイーブンとする。
2Rも同様の構図が続いたが、中盤過ぎから横山が左の三日月蹴り、ミドルのヒットを増やし、ベクレフを下がらせると、右の前蹴りをボディに突き刺してダウンを奪う。
3R、ベクレフは右のバックスピンキックをヒットし、少し横山は苦しそうな表情を見せる。ベクレフは追いかけ続け、左ストレートでひるませると、下がった横山に右の飛び蹴りを顔面に当て、ダウンを奪い返す。これでポイントがイーブンとなり延長へ。
すると延長R、ベクレフは疲れが溜まった様子で、前に出るものの攻撃の空振りが増える。すると中盤、横山が右の三日月蹴りをボディに効かせて下がらせてから、ベクレフの右フックのカウンターで左ボディをクリーンヒット。ダウンしたベクレフは立てず、横山のKO勝ちとなった。
第3試合 第6代K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・一回戦(2) 3分3R(延長1R)
○ホァン・シュアイルー[Huang Shuailu](中国/ホワイトシャーク・ファイトクラブ/CFP/WLF武林風-60kg挑戦者決定トーナメント優勝、2022年中国キックボクシング選手権-63kg級優勝)
×マシュー・ダールマン[Matthew Daalman](オランダ/ヘマーズジム/元Enfusionバンタム級(61kg)王者、ECE世界バンタム級(61kg)王者)
4R 判定3-0 (岡田10-9/箱崎10-9/西村10-9)
3R 判定0-0 (岡田29-29/箱崎29-29/西村29-29)
1R、お互いやや慎重な立ち上がり。2Rも僅差だが、ホァンが左右のボディのヒットを増やし、やや優位に進める。
3Rもホァンは左右のボディ、ハイを随所で当て、やや優位だったが、終盤、ダールマンが二段式の左の飛び膝をアゴに当て、ホァンをひるませる。ホァンはロープにもつれなかったらダウンしていたかもしれない状態だった。ホァンはアゴをカットし出血する。3Rはダールマンがポイントを取り返し延長へ。
延長R、ホァンは脳を揺らされたダメージはさほど引きずっていない様子で、左右のボディ、顔面パンチの手数で上回り判定勝ちした。
第4試合 第6代K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・一回戦(3) 3分3R(延長1R)
○中島千博(POWER OF DREAM/元Krushスーパー・フェザー級王者、極真会館全日本ウェイト制2017軽重量級優勝)
×アリ・ラーマリ[Ali Laamari](スペイン/チーム・ジーザス・カベーロ/ISKAインターコンチネンタル・スーパーフェザー級(59kg)王者、WKN欧州フェザー級(60kg)王者)
判定3-0 (岡田30-28/箱崎30-28/西村30-28)
※3R右フックでラーマリに1ダウン
1R、ラーマリがサウスポーで構え、プレッシャーをかけ続け、中島が回って距離を取る構図が続く。終盤、ラーマリの左テンカオがローブローとなり一時中断する。最後、ラーマリが左ミドルを連打して印象を作ったが、差の乏しいまま終わるラウンドに。
2R、ラーマリがやや積極的だが、まだヒット自体は乏しい。中島もに右ミドル主体で返すが、まだ攻めあぐねている感がある。終了間際、中島は額を薄くカットし出血する。
3R、中島はこれまでも時折見せていたサウスポーに中盤から固定し、左ローを当てていると、ラーマリの勢いが落ちる。中島はスイッチを繰り返し、オーソドックスでもローをヒットする。すると終盤、下がったラーマリが右テンカオで前に出たところで、中島がカウンターの右フックを合わせて倒しダウンを奪う。結局最後のダウンが決め手となり、中島が判定勝ちで初戦突破した。
第5試合 第6代K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・一回戦(4) 3分3R(延長1R)
○レミー・パラ[Remi Parra](フランス/カルカリアス/NDCフェザー級(64.5kg)王者、ISKA世界スーパーライト級(63.5kg)王者)
×松山勇汰(ALONZA ABLAZE/K-1甲子園2020 -60kg優勝)
1R 1’45” KO (左フック)
23年12月の初来日での前王者・レオナとのノンタイトル戦で判定勝ちしているレミー・パラが、今回のトーナメントの優勝候補と目されていたが、初戦から磐石の強さを見せる
1R、両者サウスポーで構え、パラがガードを固めながらプレッシャーをかける。松山はコーナーを背負い続けていきなり厳しい状況に。お互い左ローを当て、削り合う状態が続くと、中盤、いきなりフィニッシュが訪れる。松山の左テンカオのタイミングで、パラがカウンターの左フックをアゴにクリーンヒット。松山は腰から崩れダウンし、ダメージが大きく、すぐさまレフェリーがストップした。
準決勝は横山とパラが揃ってKO勝ち
第9試合 第6代K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・準決勝(1) 3分3R(延長1R)
○横山朋哉(リーブルロア/Krushスーパー・フェザー級王者)
×マシュー・ダールマン[Matthew Daalman](オランダ/ヘマーズジム/元Enfusionバンタム級(61kg)王者、ECE世界バンタム級(61kg)王者)
1R 1’04” KO (2ダウン:左ミドルキック)
一回戦でダールマンに延長判定勝ちしたホァン・シュアイルーだが、3Rに飛び膝をもらった際にアゴをカットし、ドクターストップがかかった。リザーブファイトで勝利したレオナ・ペタスは、右拳を痛めことを理由に、出場を拒否し、ダールマンが敗者復活した。
両者4R戦ってからの準決勝で、消耗していたが、横山が地力の差で短時間で終わらせる。1R、横山は最初から前に出て、左ボディ、ストレートを当て続け先手を取る。するとダールマンをコーナーに詰め、左ボディと右ボディを連続で強打しダウンを奪う。ダールマンは立ったがダメージが大きく、横山はまたもコーナーに詰めて左の三日月蹴りでマットに沈めた。
第10試合 第6代K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・準決勝(2) 3分3R(延長1R)
×中島千博(POWER OF DREAM/元Krushスーパー・フェザー級王者、極真会館全日本ウェイト制2017軽重量級優勝)
○レミー・パラ[Remi Parra](フランス/カルカリアス/NDCフェザー級(64.5kg)王者、ISKA世界スーパーライト級(63.5kg)王者)
2R 1’52” KO (2ダウン:パンチ連打)
1R、パラはこれまでの試合同様、サウスポーで構えてガードを固めて前に出る。中島はサウスポーで構え、ステップで距離を取りつつ、奥足狙いの左インローを当てる。「与座キック」と呼ばれるローだが、与座も中島も極真会館出身で共通する。だが中盤、パラは右手で相手の首を抱えつつ、左の膝蹴りを当てると、さらに左ストレート、テンカオを立て続けに当てる。首をつかむ行為は反則で、水谷レフェリーは注意したが、中断はせず続行する。その後もパラがつかんで左膝を当てると、水谷レフェリーはブレイクして注意を出す。終盤、しつこく前に出るパラに、中島はスイッチを繰り返し、右ミドルやローを当てるが、パラの勢いは止まらない。記者採点はイーブン。
2R、パラはこれまで同様、中島をコーナーに詰め、パンチと蹴りを出し続ける。中島はダメージが溜まって来たか?踏ん張りが効かなくなり倒れる。これはまだレフェリーはスリップ扱いとしたが、引き続きパラが左ストレートをクリーンヒットして倒すと、今度はレフェリーがダウンを宣告する。パラは前に出て左ストレートを当て続ける。中島はフラフラな状態が続き、最後、パラの左ストレートで中島が力なく後退したところで、ようやくレフェリーがストップした。最初のダウンの後、数発パンチを当てた時点でのストップが妥当なところだろう。
パラ、横山をKOし王座獲得
第13試合 第6代K-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(60kg)王座決定トーナメント・決勝 3分3R(延長1R)
×横山朋哉(リーブルロア/Krushスーパー・フェザー級王者)
○レミー・パラ[Remi Parra](フランス/カルカリアス/NDCフェザー級(64.5kg)王者、ISKA世界スーパーライト級(63.5kg)王者)
2R 1’10” KO (左フック)
※パラが優勝、王者に
1R、両者サウスポーで構え、パラはこれまでの試合と同様にプレッシャーが強く、横山は回って距離を取る構図となる。横山は右ジャブを振り、詰められることなく右に回り続ける。お互いパンチを振い、かわず状況が続いたが、終盤、パラの左ローが当たり出すと、横山の足が止まる。パラは横山をコーナーに詰め、左ストレートでダウンを奪う。
2Rもこの流れは変わらず、パラが左ローを当てて足を止め、コーナーに詰めてのパンチ連打から右ボディをクリーンヒットしてダウンを奪う。最後はパラの左フックで横山が頭からマットに突っ込むように倒れたところで、中野レフェリーがストップ。パラがスーパー・フェザー級トーナメントを制し王者となった。