UFC 1.18 カリフォルニア(レポ):マカチェフ、代役モイカノに1R一本勝ちしライト級王座4度目の防衛。ドバリシビリ、ウマル・ヌルマゴメドフに逆転判定勝ちしバンタム級王座初防衛。プロハースカ、ヒルにKO勝ち。中村倫也、10戦目で初黒星
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
神楽坂 江戸川橋 クラミツムエタイジム
立ち技最強、ムエタイを究める!16周年、選手コース開設。ジュニア、女子クラスも。今ならスタート月会費0円!
UFC 311: Makhachev vs. Moicano
2025年1月18日(土/現地時間)米国カリフォルニア州イングルウッド:インテュイットドーム
レポート:井原芳徳
マカチェフ、緊急出場のモイカノに1R一本勝ちしライト級王座4度目の防衛
第13試合 メインイベント UFCライト級チャンピオンシップ 5分5R
○イスラム・マカチェフ[マハチェフ](王者)
×ヘナート・モイカノ(10位)
1R 4’05” ダースチョーク
※マカチェフが4度目の防衛
マカチェフは33歳。ダゲスタン出身でハビブ・ヌルマゴメドフの幼馴染。15年からUFCに上がり、2戦目でプロ初黒星を喫したが、その後は14連勝。22年10月のアブダビ大会でチャールズ・オリベイラに2R肩固めで一本勝ちしライト級王者となる。23年2月の初防衛戦でアレキサンダー・ヴォルカノフスキーに判定勝ち。10月の2度目の防衛戦でもヴォルカノフスキーに1R左ハイでKO勝ち。昨年6月にダスティン・ポワリエに5Rダースチョークで一本勝ちし3度目の防衛を果たした。
今回、1位のアルマン・ツァルキャンがマカチェフに挑戦予定だったが、計量前夜に背中の怪我の影響で試合できる状態ではないことを訴え欠場することになり、代役を今大会でベニール・ダリウシュと戦う予定だったモイカノが務めることになった。モイカノは35歳。22年以降、ドリュー・ドーバー、ジェイリン・ターナー、ブノワ・サン・デニら相手に4連勝中だ。

INGLEWOOD, CALIFORNIA – JANUARY 18: Islam Makhachev of Russia secures a submission against Renato Moicano of Brazil in the UFC lightweight championship fight during the UFC 311 event at Intuit Dome on January 18, 2025 in Inglewood, California. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
1R、マカチェフがサウスポー、モイカノがオーソドックスで構え、出方をうかがう状況が続く。中盤、モイカノの左右のパンチの連打でマカチェフがスリップするが、マカチェフはすぐ立つ。マカチェフは両足タックルを仕掛けると、片足タックルに切り替えて倒し、ハーフで押さえる。終盤、モイカノが下から足を効かせて立とうとして頭を上げたが、マカチェフは首を抱えると、ダースチョークを極めてタップを奪い、あっさりとモイカノを料理した。

INGLEWOOD, CALIFORNIA – JANUARY 18: Islam Makhachev of Russia reacts after a submission victory against Renato Moicano of Brazil in the UFC lightweight championship fight during the UFC 311 event at Intuit Dome on January 18, 2025 in Inglewood, California. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
4度目の防衛を果たしたマカチェフは「相手が変わっても関係なかった」とコメント。敗れたモイカノは「言いたいことはあるが今言うべきことではない。また戻ってくる」とコメントしている。
ドバリシビリ、ウマル・ヌルマゴメドフに逆転判定勝ちしバンタム級王座初防衛
第12試合 コーメインイベント UFCバンタム級チャンピオンシップ 5分5R
○メラブ・ドバリシビリ(王者)
×ウマル・ヌルマゴメドフ(2位)
判定3-0 (48-47/48-47/49-46)
※ドバリシビリが初防衛
ドバリシビリは34歳。17年のUFC参戦当初は2連敗したが、以降は11連勝。22年8月にジョゼ・アルド、23年3月にピョートル・ヤン、昨年2月にヘンリー・セフードと、3連続で元王者に判定勝ちすると、9月に王座に初挑戦し、ショーン・オマリーからテイクダウンを奪い続け判定勝ちしベルトを巻いた。
ウマルは29歳。ハビブ・ヌルマゴメドフのいとこで、ベラトール・ライト級王者のウスマンの弟。16年のMMAデビュー以来19連勝で、21年からUFCに上がり6連勝中。昨年8月に2位のコーリー・サンドヘイゲンに判定勝ちし10位から一気に上位入りし、早速王座に初挑戦する。

INGLEWOOD, CALIFORNIA – JANUARY 18: (R-L) Merab Dvalishvili of Georgia punches Umar Nurmagomedov of Russia in the UFC bantamweight championship fight during the UFC 311 event at Intuit Dome on January 18, 2025 in Inglewood, California. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
1R、ドバリシビリがオーソドックス、ウマルがサウスポーで構え、見合う状態が続く。中盤過ぎ、ウマルの左ストレートが当たり出し、タックルを仕掛けるが、ドバリシビリは離れる。終盤、ウマルの右ストレートがヒット。ウマルがプレッシャーをかけ続け、やや好印象で終える。記者採点はウマル。ジャッジは1者のみドバリシビリにつけ、2者がウマルにつける。
2R、ウマルが細かくパンチを当て続けると、ドバリシビリが鼻血を出す。中盤、ウマルがタックルを仕掛け、金網際で背後に回ると、足を掛けて崩して倒しバックを取るが、ドバリシビリは立ち上がる。終盤、ドバリシビリから組みに行くが、お互い右脇を差して譲らず、ウマルは突き放す。最後、ドバリシビリは前に出てパンチを振うが空振りで終わる。記者採点はウマル。
3R、ドバリシビリが片足タックルで倒しかけるが、ウマルは金網を背にすぐに立ち上がる。それでもドバリシビリは積極的にパンチを振い、やや好印象に。終盤、ドバリシビリはタックルで倒すが、ドバリシビリは両足で抱え上げて返し、スタンドに戻す。とはいえウマルから攻撃を仕掛ける場面が乏しく、最後こそタックルで倒すが、すぐ立たれ、背後からしがみつくだけで終わってしまう。記者採点は僅差だがドバリシビリ。
4R、ドバリシビリが片足タックルで倒し、これもすぐ立たれるが、ウマルは防御でスタミナが削られている様子。逆にスタミナ豊富なドバリシビリは変わらず前に出て、綺麗に当たらなくてもパンチを振い、綺麗に倒せなくてもタックルを仕掛け、積極的な戦いで試合を作る。終了間際、ドバリシビリはタックルで倒し、しばらく押さえ、最後は立たれても押し込んだまま終える。記者採点はドバリシビリ。
5Rも同様に、疲れ知らずのドバリシビリがプレッシャーをかけ、積極的にパンチとタックルを出し続け主導権を維持する。残り1分を切ると、ドバリシビリが右フックを当ててウマルをフラつかせてから、タックルでテイクダウンを奪いつつコントロールし、反撃を封じて終える。記者採点はドバリシビリ。合計48-47でドバリシビリ。ドバリシビリが3~5Rのポイントを確実に取り判定勝ちし、王座初防衛に成功した。ウマルは試合後のインタビューで1Rに右フックを痛めたことを明かしている。

INGLEWOOD, CALIFORNIA – JANUARY 18: Merab Dvalishvili of Georgia reacts after a decision victory against Umar Nurmagomedov of Russia in the UFC bantamweight championship fight during the UFC 311 event at Intuit Dome on January 18, 2025 in Inglewood, California. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
プロハースカ、ヒルとの元王者対決でKO勝ちしペレイラとの3度目の対戦希望
第11試合 ライトヘビー級 5分3R
○イリー[イジー]・プロハースカ(2位・元王者、元RIZIN王者)
×ジャマール・ヒル(3位・元王者)
3R 3’01” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
プロハースカは23年11月のライトヘビー級王座決定戦でアレックス・ペレイラに2R KO負け。昨年4月のUFC 300での再起戦でアレクサンダル・ラキッチに2R TKO勝ち。6月にペレイラの王座に挑んだが、2R左ハイからのパウンドでTKO負けし、返り討ちに遭った。
ヒルは23年1月にグローバー・テイシェイラとの王座決定戦で判定勝ちし王者となったが、7月にアキレス腱を断裂し、王座を返上。昨年4月のUFC 300のメインイベントでペレイラの王座に挑戦したが1R左フックからのパウンドでKO負けした。

INGLEWOOD, CALIFORNIA – JANUARY 18: (R-L) Jiri Prochazka of the Czech Republic kicks Jamahal Hill in a light heavyweight fight during the UFC 311 event at Intuit Dome on January 18, 2025 in Inglewood, California. (Photo by Cooper Neill/Zuffa LLC)
1R、お互いスイッチを繰り返し、時折パンチが交錯し、場内がどよめく。中盤過ぎ、両者サウスポーで構え、プロハースカが左のノーモーションのストレートをカウンターで当ててダウンを奪うが、すぐスタンドに戻る。終盤、ヒルも左ジャブを当てる場面もあるが、プロハースカはある程度かわし続け、反撃を封じる。ヒルは鼻血を出し、左まぶたを腫らす。プロハースカがポイントを先取する。
2R、打撃の攻防が続くが、お互いアイポークをしてしまい中断が入る。終盤、クリーンヒットに至らないが、ヒルのパンチと膝蹴りの積極性がやや印象が残る。プロハースカは回る時間が長くなる。記者採点はヒル。
3R、サウスポーのヒルに対し、オーソドックスのプロハースカが左の前手のフックを当ててひるませる。ヒルはしばらくすると持ち直し、首相撲から左膝を当てる。だがさらにヒルが左右のパンチを振うと、またもプロハースカが右フックをカウンターで当ててひるませる。プロハースカがパンチラッシュで追い詰めると、右フックで倒し、パウンドラッシュを続けたところでレフェリーがストップした。

INGLEWOOD, CALIFORNIA – JANUARY 18: Jiri Prochazka of the Czech Republic reacts after a victory against Jamahal Hill in a light heavyweight fight during the UFC 311 event at Intuit Dome on January 18, 2025 in Inglewood, California. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
勝利者インタビューでプロハースカは「ペレイラと3度目の戦いがしたい」と語った。なお、王者ペレイラは3月8日(現地時間)のUFC 313ラスベガス大会で1位のダゲスタン人・マゴメド・アンカラエフを相手に防衛戦を行う。
中村倫也、ATT加入&1年ぶり復帰戦はガフロフの剛腕に手を焼き判定負け。MMA 10戦目で初黒星
第3試合 バンタム級 5分3R
×中村倫也[りんや](アメリカン・トップチーム)※フリーから所属変更
○ムイン・ガフロフ
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
中村はMMA 9戦9勝(5KO/1一本)の29歳。レスリングで全日本選手権2連覇、U-23世界選手権優勝の実績を残し、21年7月に修斗でMMAデビュー。22年4月のPOUND STORMではアリアンドロ・カエタノに判定勝ち。22年6月から23年2月にかけて行われたROAD TO UFCバンタム級トーナメントでググン・グスマン、野瀬翔平、風間敏臣をいずれも1Rで仕留めて優勝しUFCとの契約を勝ち取った。23年8月のシンガポールでのUFCファイトナイトでのUFC初戦でファーニー・ガルシアを寝技主体で圧倒し判定勝ち。昨年2月のUFC 298アナハイム大会ではカルロス・ヴェラに判定勝ちしたが、拳の骨折し、療養を経て約1年ぶりに復帰する。この間、堀口恭司のいるアメリカン・トップチーム所属となった。だがセコンドにはこれまでと変わらず高谷裕之氏ら日本でのトレーナーやチームメイトがつく。
ガフロフは中央アジアのタジキスタン出身の28歳。15~19年はONEを主戦場とし、19年には元UFCランカーのジョン・リネカーに判定負け。米国のLFA等での勝利を経て、23年6月からUFCに上がり、当初2連敗したが、昨年6月にカン・ギョンホに判定勝ちしUFC初勝利をあげた。

INGLEWOOD, CALIFORNIA – JANUARY 17: Rinya Nakamura of Japan poses on the scale during the UFC 311 ceremonial weigh-in at Intuit Dome on January 17, 2025 in Inglewood, California. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC)
米国でも無敗の中村優位の予想だったが、経験豊富なガフロフが積極性と試合巧者ぶりを発揮し下馬評を覆すことに。1R、中村はサウスポーに構え、ガフロフはオーソドックスで構え、軽い蹴りの応酬から始まる。ガフロフは少しずつ大振りの右フックも絡めるように。中村の蹴りのカウンターで、ガフロフが右フックを合わせる場面が増えると、終盤に差し掛かり、ガフロフがそのパターンで右フックを中村の首元に当てて倒す。ダウンではなくスリップに近い形だが、ガフロフはこれで上を取ることに成功する。中村は残り時間が短いせいか、寝たままラウンドを終える。記者採点はガフロフ。
2R、中村はノーモーションの左ストレートを当てるが、その先が続かない。中盤、ガフロフは圧を強め、左右のフックを放ち、左膝を顔面に当てる場面も。中村は時折蹴るが、約1年ぶりの試合で試合勘が戻っていないのか?消極的な状態が続く。すると終盤、ガフロフのワンツーでの右フックが顔面にクリーンヒットし、中村はダウンする。ガフロフが中村をがぶって押さえつつ膝を細かく当てる。最後は離れ、ガフロフが左ハイを放ち、ブロックされるが、場内が歓声に包まれると、ガフロフは両手を広げてアピールして余裕を見せる。記者採点はガフロフ。

INGLEWOOD, CALIFORNIA – JANUARY 18: Muin Gafurov of Tajikistan punches Rinya Nakamura of Japan during a bantamweight fight in UFC 311 at Intuit Dome on January 18, 2025 in Inglewood, California. (Photo by Harry How/Getty Images)
3R、開始すぐからガフロフがオーバーハンドの右フックを当てて中村をスリップさせ先手を取る。ガフロフは右の横蹴りからの前蹴りで中村をスリップさせる場面も。中盤、中村が左ミドルを当てると、ガフロフは蹴り足をつかんで軸足刈りで倒す。だがガフロフが中村の背中に乗ろうとすると、中村は起き上がって吹き飛ばす。中村はバックを取ろうとするがうまくいかず、ハーフガードで押さえる。中村は上から首を抱えギロチンチョークを仕掛けようとするが、ガフロフは体をひねって防御する。中村がギロチンを解除すると、ガフロフは下から足を抱えてアキレス腱固めを狙い、嫌った中村はスタンドに戻す。終盤、中村は左ハイを放つが、ガフロフは背中でブロックしつつ、左フックで押し倒す。後の無い中村は前に出るが、ガフロフが距離を取って時間稼ぎして流す形で終える。記者採点は打撃で優勢だったガフロフ。合計27-30でガフロフ。ジャッジ3者も同じ採点でガフロフを支持し、ガフロフが判定勝ちした。中村はプロ10戦目で初黒星を喫した。
ジャイルトン・アルメイダ&ライニアー・デ・リダーが1Rで快勝
第10試合 ヘビー級 5分3R
○ジャイルトン・アルメイダ[アウメイダ](6位)
×セルゲイ・スピバック(7位)
1R 4’53” TKO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)

INGLEWOOD, CALIFORNIA – JANUARY 18: Jailton Almeida of Brazil punches Serghei Spivac of Moldova in a heavyweight fight during UFC 311 at Intuit Dome on January 18, 2025 in Inglewood, California. (Photo by Harry How/Getty Images)
1R、スピバックが腰投げで倒して上になる。中盤、スピバックはパウンドを当ててハーフガードに移るが、アルメイダはリバーサルに成功し上を取り返す。アルメイダがハーフで押さえ、マウント、バックとスムーズに移行する。だが終盤、スピバックは返して上に。しかしこれもアルメイダが足を効かせて脱出しスタンドに戻すと、カウンターの右フックでスピバックをひるませる。アルメイダは右アッパーも効かせ、組み倒してマウントからパウンドを連打し、最後はバックを取って両足で体を伸ばしてからパウンドを連打し、終了ぎりぎりでレフェリーストップ勝ちした。
第9試合 ミドル級 5分3R
×ケビン・ホランド
○ライニアー・デ・リダー(元ONEミドル級&ライトヘビー級王者)
1R 3’31” 裸絞め

INGLEWOOD, CALIFORNIA – JANUARY 18: (R-L) Reinier de Ridder of The Netherlands punches Kevin Holland in a middleweight fight during the UFC 311 event at Intuit Dome on January 18, 2025 in Inglewood, California. (Photo by Cooper Neill/Zuffa LLC)
元ONE 2階級制覇王者のデ・リダーは昨年11月のジェラルド・マーシャート戦で2R肩固めで一本勝ちし、今回2戦目。
1R、開始すぐからデ・リダーがタックルを仕掛けると、ホランドは自ら倒れて下になる。デ・リダーは腰を上げパウンドを当てる。デ・リダーはパスガードしながらバックに回り、足4の字で捕獲すると、裸絞めを極めてタップを奪った。勝利者インタビューでデ・リダーは「トップ5の選手と戦いたい」とコメントした。
第8試合 バンタム級 5分3R
×ペイトン・タルボット
○ハオニ・バルセロス[バルセロシュ]
判定0-3 (27-30/27-30/26-30)
第7試合 ミドル級 5分3R
×ザカリー・リース
○アザマト・ベコエフ
1R 3’04” KO (グラウンドパンチ)
第6試合 ライトヘビー級 5分3R
○ボグダン・グスコフ(13位)
×ビリー・エレカナ
2R 3’33” フロントチョーク
第5試合 ライト級 5分3R
○グラント・ドーソン
×ジエゴ・フェヘイラ
判定3-0 (30–27/30–27/30–27)
第4試合 女子バンタム級 5分3R
×カロル・ホザ(9位)
○アイリーン・ペレス(13位)
判定0-3 (28-29/28-29/27-30)
第2試合 バンタム級 5分3R
×リッキー・トゥルシオス
○ベナルド・ソパイ
判定0-3 (27-30/27-30/28-29)
第1試合 フライ級 5分3R
○タギル・ウランベコフ(11位)
×クレイトン・カーペンター
判定3-0 (30-27/30-27/29-28)