UFC 9.14 ラスベガス(レポ):ドバリシビリ、オマリーからテイクダウン奪い続け判定勝ちしバンタム級王者に。シェフチェンコ、グラッソとの3戦目は組技勝負制し判定勝ち
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UFC 306: Riyadh Season Noche UFC : O’Malley vs. Dvalishvili
2024年9月14日(土/現地時間)米国ネバダ州ラスベガス:スフィア(Sphere)
レポート:井原芳徳
今回のUFCは、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン社が昨年9月にラスベガスにオープンした会場「スフィア(Sphere)」にて初開催された。球体型の建物の内側と外側の両面の壁面にLEDパネルが敷き詰められ、立体的な映像演出が可能で、約2万人が収容できる。
また、大会のサブタイトルには「Riyadh Season Noche UFC」とつけられた。リヤドシーズンはサウジアラビア政府の観光アトラクション。「Noche UFC」は「UFC Fight Night」のスペイン語訳で、9月16日のメキシコの独立記念日を祝う意味があり、昨年9月に続き2度目の開催となる。試合の合間には、メキシコの独立をテーマにしたCGが、天井を覆う大画面に度々映し出される。
そんなエンターテインメント性、政治性の高い大会でのメインイベントで、UFCのスター選手・オマリーの王座防衛戦が組まれた。
ドバリシビリ、オマリーからテイクダウン奪い続け判定勝ちしバンタム級王者に
第10試合 メインイベント UFCバンタム級チャンピオンシップ 5分5R
×ショーン・オマリー(王者)※2度目の防衛戦
○メラブ・ドバリシビリ(1位)
判定0-3 (46-49/47-48/47-48)
※ドバリシビリが王者に
オマリーはアリゾナのMMAラボに所属する29歳。17年からUFCに上がり、22年10月の元王者・当時1位のピョートル・ヤンとの一戦を判定2-1で制すると、昨年8月、アルジャメイン・スターリングの4度目の防衛戦の挑戦者に抜擢され、2Rに右ストレートからのパウンドでTKO勝ちし、下馬評を覆しベルトを獲得した。今年3月には20年8月にキャリア唯一の黒星を喫した相手・マルロン・ヴェラに判定勝ちしてリベンジし初防衛に成功している。
ドバリシビリは東欧のジョージア出身でニューヨークのセラ・ロンゴ・ファイトチームに所属する33歳。17年のUFC参戦当初は2連敗したが、以降は破竹の10連勝。22年8月にジョゼ・アルド、昨年3月にピョートル・ヤン、今年2月にヘンリー・セフードと、3連続で元王者に判定勝ちし、初の王座挑戦につなげた。
1R、開始すぐ、ドバリシビリが何かをハーフ・ディーン・レフェリーに訴えるが、レフェリーは応じず続行する。最初はオマリーが前に出たが、中盤からドバリシビリがプレッシャーをかける側に。まだお互い攻撃が少ないが、中盤過ぎにはオマリーがスイッチを織り交ぜつつ左ストレートを当てるように。すると終盤、ドバリシビリがタックルを仕掛け、テイクダウンを奪う。すぐにオマリーが立つが、ドバリシビリは金網に押し込み、腰や太腿に膝を当てる。一旦離れると、オマリーがパンチを振うが、ドバリシビリが右フックを当て、再び組み付き、引き込んでギロチンチョークを狙う。これは対処されるが、ドバリシビリは押さえつける。最後は離れて終わる。記者採点はドバリシビリ。
2R、ドバリシビリがプレッシャーをかけ、オマリーがパンチを振ったタイミングで、タックルを仕掛けてテイクダウンを奪う。中盤、ドバリシビリはマット中央あたりでトップキープし、パウンドを時折落とす。オマリーは下から腕十字を狙うが、グローブをつかんだため、レフェリーは注意し、腕のキャッチを解除した状態で再開する。終盤、ドバリシビリは引き続き上で押さえ、随所でパウンドを当てる。ドバリシビリは金網際でサイドバックから押さえ、パウンド、膝を当て続け、はっきり差を示す。最後はドバリシビリはがぶってギロチンを仕掛けるが、オマリーの背中にキスをするようなパフォーマンスをすると、レフェリーが注意する。ドバリシビリはブレイクと勘違いして解除すると、オマリーが追いかけて終わる。記者採点はドバリシビリ。
3R、開始すぐこそオマリーが左ミドルを当てるが、その先に続かず、またもドバリシビリがタックルで倒し、金網際でがぶって押さえて膝を当てる。膝立ちのオマリーに、グラウンドスレスレの状況で頭に膝を当てる場面も。中盤過ぎ、スタンドに戻り、オマリーが左飛び膝を放つが、ドバリシビリはギリギリでかわす。終盤、オマリーはドバリシビリのタックルを切り続け、パンチや飛び膝を時折当てるものの、ドバリシビリをひるませるほどにはならない。記者採点はドバリシビリ。ジャッジは割れ、2者がスタンドで打撃を当てたオマリーを支持する。
4R、オマリーがパンチを振うが、ドバリシビリはかわし、中盤にはまたもタックルでテイクダウンを奪う。ドバリシビリは中央でトップキープし、コツコツとパウンドを当てる。終盤、オマリーは立つが、ドバリシビリは引き続きしがみつき、金網際で倒してコントロールし、最後は立って金網に詰めパンチを連打して終える。記者採点はドバリシビリ。コーナーに戻ったオマリーはグッタリとし、疲労がかなり溜まっている様子だ。
5R、オマリーがプレッシャーをかけ、ドバリシビリは回って距離を取ってから、中盤にタックルで倒し、またもグラウンドに持ち込む。ドバリシビリは金網際で膝立ちのオマリーを背後から押さえるが、その先には持ち込めず、オマリーはスタンドに戻す。終盤、オマリーは右の三日月蹴りをボディに当てると、ドバリシビリは顔をしかめるが、ステップで距離を取る。オマリーは再び右の三日月を当てるが、ドバリシビリは回って追撃を許さない。オマリーはドバリシビリを金網に詰めるが、追撃を打ち込めず、最後はドバリシビリがタックルで倒して終える。記者採点はオマリー。合計46-49でドバリシビリ。ジャッジ3者もドバリシビリを支持し、ドバリシビリが判定勝ちで王座奪取を果たした。
シェフチェンコ、グラッソとの3度目の対決は組技勝負制し判定勝ち
第9試合 コーメインイベント UFC女子フライ級チャンピオンシップ 5分5R
×アレクサ・グラッソ(王者)※2度目の防衛戦
○ワレンチナ・シェフチェンコ(1位・元王者)
判定0-3 (45-50/45-50/45-50)
※シェフチェンコが王者に
メキシコ人のグラッソは昨年3月、シェフチェンコの女子フライ級王座に挑戦。3Rまでやや劣勢だったが、4R終盤、シェフチェンコがバックスピンキックを空振りした直後、オンブになって裸絞めを極めタップを奪い逆転勝ち。シェフチェンコの8度目の防衛を阻止し新王者となった。リターンマッチが昨年9月のNoche UFCで組まれたが、3Rまで交互にポイントを取り、4Rは割れ、5Rはグラッソが取る展開の末、ドローとなっていた。それから両者試合を挟まず、1年後、3度目の対決が再びNoche UFCで組まれた。
1R、スタンドでシェフチェンコが右フックを当てるが、まだ両者攻撃が少ない。中盤、シェフチェンコがタックルでテイクダウンを奪い、マットの中央付近で上から押さえる。グラッソは足を登らせ、三角絞め、腕十字を仕掛けようとするが、シェフチェンコは胸を張って防御する。終盤、グラッソは下からギロチンを狙うが、これもシェフチェンコが防御する。シェフチェンコはトップキープで手一杯で、ほとんどパウンドを当てられないが、最後はブリッジするグラッソの動きに合わせてバックを取って終える。記者採点はシェフチェンコ。
2R、シェフチェンコはサウスポーで構え、前手で右フックを立て続けに当ててから、またもタックルで倒す。中盤、シェフチェンコはまたも中央付近で押さえ、ハーフガードまで行くが、グラッソはまたもトップに戻して足を登らせて腕十字を狙う。防御したシェフチェンコはパスガードに成功する。終盤、シェフチェンコはバックを取ろうとするが、すぐにグラッソは脱出しスタンドに戻す。しかしシェフチェンコはまたもタックルで倒して、すぐにグラウンドに戻す。シェフチェンコは再びパスガードしたが、グラッソは横三角絞めとアームロックを同時に狙い、最後も下から腕を取り、サブミッションで執拗にシェフチェンコを追い詰める。記者採点はグラッソ。
3R、シェフチェンコはまたもタックルで倒して上になる。シェフチェンコは攻めあぐねるものの、随所でパウンドや肘を当て、今回はグラッソにサブミッションのチャンスを作らせない。途中、少し観客からブーイングも起こるが、シェフチェンコは地道に押さえ、最後はバックを取って終える。記者採点はシェフチェンコ。
4R、シェフチェンコがタックルを仕掛け倒すが、今度はグラッソが下になりつつギロチンチョークで捕まえる。グラッソのギロチンは次第に深くなるが、シェフチェンコはアゴを引いて対処し、手を振って効いていないとアピールする。中盤、頭が抜けると、シェフチェンコは押さえ続け、終盤にはハーフから肩固めを狙う。グラッソは対処するが、背中をつけた状態が続く。最後、シェフチェンコがサイドで押さえて終える。記者採点は迷ったがシェフチェンコ。
5R、グラッソはこれまでと一転して自らタックルを仕掛け、首投げ気味に倒すが、シェフチェンコはすぐ立ち、倒し返してバックを狙う。グラッソはすぐに立ち、シェフチェンコがタックルで倒すが、これもグラッソがすぐ立ち。とちらも譲らぬ攻防に。終盤、組んだ状態で、グラッソが足を掛けて倒そうとしたが、シェフチェンコは潰して倒して上で押さえる。残り1分、離れると、シェフチェンコがタックルを仕掛け、一旦グラッソは切るが、シェフチェンコは潰して上で押さえる。シェフチェンコはようやくバックを取り、最後にしっかり差を示して終える。記者採点は僅差だがシェフチェンコ。合計46-49でシェフチェンコ。ジャッジは3者ともシェフチェンコのテイクダウンとトップキープを評価し、シェフチェンコが50-45で全てのラウンドを取り判定勝ちした。グラッソの再三のサブミッショントライは効果的とは全く評価されなかったといえよう。
ディエゴ・ロペス、オルテガとの仕切り直し戦で完勝しフェザー級上位進出へ
第8試合 フェザー級 5分3R
×ブライアン・オルテガ(3位)
○ディエゴ・ロペス(13位)
判定0-3 (26-30/27-30/27-30)
フェザー級王座に2度挑戦するも敗れているオルテガは、2月にヤイール・ロドリゲス戦で2年ぶりに試合して勝利し、今回が復帰2戦目。ロペスは昨年8月以降ハイペースで試合をこなし4連勝中。6月にオルテガと戦う予定だったが、オルテガは前日計量で体重が落ちず、ライト級に変更を希望し、ロペスも受諾したが、結局オルテガが体調不良で棄権し、ロペスがダン・イゲに判定勝ちしていた。
1R、ロペスが左右のローを当てると、オルテガはローを嫌って詰めて来たが、ロペスは右フックをクリーンヒットしてダウンさせる。ロペスは上からコツコツとパウンドを当てて追い詰める。終盤、スタンドに戻るが、静かな展開のまま終わる。ジャッジ1者は8-10でロペスにつける。
2Rもロペスはパンチ、カーフキックを散らして的確に当てる。中盤、オルテガはタックルを仕掛けるが、ロペスは難なく突き放す。ロペスは右ハイのような大技も決める。終盤、ロペスが右カーフを当てると、オルテガはスリップする場面も。
3R、スタンドの打撃戦が続き、静かな展開となるが、終盤、ロペスが左フックを当てると、オルテガは左目を気にするようにして後退する。ロペスは変わらず右カーフ、左フック等を当て、左右のフックでダウンを奪い、パウンドで追い詰める。オンブから裸絞めを狙うと失敗し、最後はオルテガもパンチで打ち合い沸かせるが、逆転ならず終了。3Rともロペスがポイントを取り完勝した。ロペスはこれでフェザー級上位へのジャンプアップが確実となった。
第7試合 ライト級 5分3R
×ダニエル・ゼルフーバー
○エステバン・リボビクス
判定1-2 (29-28/28-29/28-29)
第6試合 フライ級 5分3R
○ロナウド・ロドリゲス
×オデー・オズボーン
判定3-0 (29-28/29-27/29-27)
第5試合 女子バンタム級 5分3R
×イレーネ・アルダナ(5位)
○ノルマ・ドゥモン(8位)
判定0-3 (27-30/27-30/27-30)
第4試合 ライト級 5分3R
×マヌエル・トーレス
○イグナシオ・バーモンデス
1R 4’02” TKO
第3試合 女子ストロー級 5分3R
×ジャスミン・ハウレギ
○ケトレン・ソウザ
1R 3’02” 裸絞め
第2試合 フライ級 5分3R
×エドガー・チャイレス
○ジョシュア・ヴァン
判定0-3 (28-29/28-29/28-29)
第1試合 バンタム級 5分3R
○ラウル・ロサスJr.
×アオリ・チロン
判定3-0 (29-28/29-28/29-28)