UFC 2.17 アナハイム(レポ):中村倫也、カルロス・ヴェラの寝技に手を焼くもUFC 2連勝。イリア・トプリア、6度目の防衛戦のヴォルカノフスキーを2R KOしフェザー級王者に
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UFC 298: Volkanovski vs. Topuria
2024年2月17日(土/現地時間)米国カリフォルニア州アナハイム:ホンダ・センター
レポート:井原芳徳
中村倫也、UFC 2連勝。しかし右拳負傷しカルロス・ヴェラの寝技に手を焼く展開に
第5試合 バンタム級 5分3R
○中村倫也[りんや](フリー)
×カルロス・ヴェラ[Carlos Vera](エクアドル)
判定3-0 (30-27/30-27/30-27)
中村はMMA 8戦8勝(5KO/1一本)の28歳。埼玉出身で父は90年代の修斗の運営会社の親会社・龍車の代表で、エンセン井上やKIDの在籍したPUREBRED大宮のキッズレスリング教室の第1号生だった。レスリングで全日本選手権2連覇、U-23世界選手権優勝の実績を残したが、東京五輪はあと一歩で出場権を逃す。EXILEなどが所属する芸能事務所「LDH」による未来のスター格闘家を発掘するオーディションを経てLDHと契約し、21年7月の修斗でプロMMAデビュー。22年4月のPOUND STORMではアリアンドロ・カエタノ(ブラジル)に判定勝ちした。22年6月から昨年23年2月にかけて行われたROAD TO UFCのバンタム級に出場し一回戦ではググン・グスマン(インドネシア)に1Rアームロックで一本勝ち。準決勝では野瀬翔平に1R左ストレートからのパウンドでKO勝ち。決勝では風間敏臣を1R33秒左フックでKO。3試合とも1Rフィニッシュで優勝しUFCとの契約を勝ち取った。4階級制で、日本から参加した8選手で優勝したのは中村一人だけだった。昨年8月のシンガポールでのUFCファイトナイトでは、UFC初戦ながらメインカード枠に選ばれ、ファーニー・ガルシア(米国)を寝技主体で圧倒し判定勝ちした。
UFC 2戦目は米国でのナンバーシリーズのプレリム枠で試合が組まれた。対するヴェラはMMA 14戦11勝(1KO/5一本)3敗の36歳で、今回UFC初戦となる。ヴェラはこれまでフロントチョーク、裸絞め、肩固め、アンクルロックで一本勝ちしている寝業師だ。
同じ大会では同じバンタム級で2位のメラブ・ドバリシビリと3位のヘンリー・セフードの一戦が組まれている。試合前に中村は「中村は今後セフードやメラブに絡んで来るよな、と思わせるような結果になることを望んでいます」と話していたが、中村は試合中の右拳の怪我の影響もあり、ヴェラのしつこいサブミッションに手こずることに。
1R、中村はサウスポーで構え、じりじりプレッシャーをかける。ヴェラはバックスピンキックを当てると反動でスリップし、中村は押さえようとするが、ヴェラは寝転んだ状態から足関節技を狙う。これはヴェラにとっても半ば望み通りのシチュエーションのようだ。中村は足を取られかけるが外すと、上から押さえようとする。立った状態から中村は寝転んだヴェラに対しパウンドを当てるが、ヴェラは下から足を伸ばして防御し、強打や連打を許さない。中村が中に入りかければ、ヴェラはしつこつ足関や三角絞めの機会を伺って動き、蹴り上げも放つ。終盤、ようやく中村がパスガードし、サイドポジションで押さえ込み、腕十字を狙うが、まだ元気なヴェラに対処され、インサイドガードに戻される。中村はハーフからバックを狙うが、これもヴェラは対処し、中村は立つ。ヴェラは変わらず下から足関を狙い、最後は中村がパウンドを落として終える。記者採点は中村。だがヴェラが執拗な下からの攻めで、個性を示し続けている。
2R、ヴェラが右ミドルを放つと、中村はタックルで倒すが、1R同様にヴェラは下から足関を狙い、中村はパウンドを狙う構図になる。中村はハーフから肩固め、バックから裸絞めを狙うが、これもヴェラは対処し続ける。ヴェラは1Rのようにニアサブミッションには至らないものの、防御が堅く、中村は右手のダメージもあってか、なかなか崩せない。最後、中村がガードの中でトップキープすると、場内からブーイングが飛ぶ。記者採点は中村
3R、ヴェラは1Rに似た感じでバックスピンキックを空振りしてスリップし、中村が押さえる展開になる。これまで同様、中村はパウンド、パスガードを狙うが、ヴェラは横三角や足関を狙って抵抗を続ける。中村はパウンドを当てているためジャッジの印象は良いものの、2Rまでよりもヒットが減り、ヴェラのサブミッションを防御する時間が長くなり、結局最後まで仕留めきれず終わる。記者採点は中村。合計30-27で中村。ジャッジ3者も同じ採点で中村を支持したが、中村に喜びの様子は無かった。
中村は勝利者インタビューで英語で「パウンドを打った時に右拳を骨折してしまいました。申し訳ないです。彼は経験豊富で仕留めきれませんでした。まだトップには立てません。もっと成長します」等と話した。
バックステージでのインタビューで中村は、日本語で「(ヴェラは)予想以上にやりにくくて、非常にいいファイターでした。これをいい経験だったと前向きに捉えます」「2R目、3R目になれば彼の体力が劣っていくと予想していましたが、思った以上に体力がありました。UFCは強い選手が集まっている舞台だと再認識しました」と話した。
イリア・トプリア、6度目の防衛戦のヴォルカノフスキーを2R KOしフェザー級王者に
第12試合 メインイベント UFCフェザー級チャンピオンシップ 5分5R
×アレキサンダー・ヴォルカノフスキー[ボルカノフスキー](王者)※6度目の防衛戦
○イリア・トプリア(3位)
2R 3’32” KO (右フック)
※トプリアが王者に
ヴォルカノフスキーは昨年2月、1階級上のライト級のイスラム・マカチェフの王座に挑戦し2度敗れたが、昨年7月にヤイール・ロドリゲスに3R TKO勝ちし、UFCフェザー級では無敗をキープしている。昨年10月のマカチェフとの再戦は1R KO負けしたが、大会11日前のオファーのため本領を発揮できずにいた。
トプリアはジョージア生まれスペイン在住の27歳。15年のMMAデビューから14戦全勝で、20年から上がったUFCでも6連勝し、昨年6月にジョシュ・エメットに判定勝ちし、初の王座挑戦につなげた。
1R、挑戦者のトプリアがプレッシャーをかけ、ヴォルカノフスキーが左ジャブを突きつつ回って距離を取る構図が続く。お互い右カーフを当てる場面もあるが攻撃が少ない。終盤、ヴォルカノフスキーはタックルを仕掛けてから首相撲につなげ、膝蹴りを連打して好印象を作る。細かいジャブでもヴォルカノフスキーが多く、有効打数でも上回って終える。記者採点は僅差だがヴォルカノフスキー。
2Rもお互い慎重な打撃の攻防が続く。それでもトプリアは前に出続け、随所で右カーフを当てる。ヴォルカノフスキーは回って距離を取り続けるが、トプリアの圧が強まったせいもあってか、1Rよりも攻撃が減る。すると終盤、ヴォルカノフスキーが左ジャブを当てた直後、再び左ジャブを放つと、トプリアの右フックがヴォルカノフスキーの顔面をかすめる。ヴォルカノフスキーは少し焦った様子で構えをサウスポーにスイッチするが、トプリアは構わず距離を詰めると、右ボディ、左フックを立て続けにヒットする。これでヴォルカノフスキーを金網際に詰め、さらにトプリアが右フックをアゴにクリーンヒットすると、ヴォルカノフスキーは意識が飛んでマットに崩れ落ち、すぐさまレフェリーがストップした。
スペイン人初のUFC王者となったトプリアは「どこの出身でも関係ありません。僕は王者になれました。パンチのコンビネーションを活かすことができました」「マクレガーと戦いたい」と勝利者インタビューで語った。ヴォルカノフスキーは敗れてもサバサバした表情で「気を付けないといけないところをやられました。脱帽です。次は(トプリアの住む)スペインで再戦させてほしいです」と語った。
元ミドル級王者ウィテカー、ピンチ乗り越えコスタに判定勝ち
第11試合 コーメインイベント ミドル級 5分3R
○ロバート・ウィテカー(3位、元ミドル級王者)
×パウロ・コスタ(6位)
判定3-0 (29–28/29–28/30–27)
元ミドル級王者のウィテカーは昨年7月、ドリカス・デュ・プレシに2R KO負けして以来の試合。デュ・プレシは1月にショーン・ストリックランドに判定勝ちしミドル級王者になった。コスタは20年にイスラエル・アデサニヤのミドル級王座に挑戦して敗れ、21年のマーヴィン・ヴェットーリ戦でも敗れたが、22年8月にルーク・ロックホールドに勝利し、それから1年半ぶりに復帰した。
1R、両者とも右フック、カーフキックを当てる打撃戦が続く。はっきりした差はないが、ウィテカーの右カーフでコスタの足が流れる場面もあり、ウィテカーのパンチの手数もやや上で、ウィテカーのラウンドとなりそうだったが、終了間際、コスタの右後ろ上段廻し蹴りがウィテカーの側頭部にクリーンヒットし、ウィテカーが後ろにフラついて終わる。記者採点はコスタ。
2Rも打撃戦。コスタが左ハイを当てれば、ウィテカーも右ハイを返し、場内は湧く。中盤、コスタのジャブのヒットが増え、ウィテカーは鼻血を出すように。だがコスタがその先につなげられずにいると、ウィテカーの右カーフ、左右のフックの連打が決まり出し、ウィテカーの流れに。終盤、ウィテカーも攻撃が減るが、コスタも目立つ攻撃が返せないまま終わる。記者採点は僅差だがウィテカー。
3Rも打撃戦が続き、お互い慎重で、なかなか強打は出せない。終盤、差をつけたいコスタは1Rに当てた後ろ上段廻し蹴りを放つが空振りに。ウィテカーもなかなか攻撃が返せないが、細かく右のストレートや左ジャブを当て、手数では若干上の状態で終える。記者採点は僅差だがウィテカー。合計29-28でウィテカー。ジャッジ3者もウィテカーを支持し、1R最後のピンチを乗り越え判定勝ちした。
第10試合 ウェルター級 5分3R
×ジェフ・ニール(8位)
○イアン・マシャド・ギャリー(10位)
判定1-2 (27-30/29-28/27-30)
ドバリシビリ、セフード下しバンタム級王座挑戦に前進
第9試合 バンタム級 5分3R
○メラブ・ドバリシビリ(2位)
×ヘンリー・セフード(3位、元バンタム級&フライ級王者)
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
ジョージア出身でニューヨーク在住のドバリシビリは、22年8月にジョゼ・アルドに3R判定勝ち、昨年3月にピョートル・ヤンに5R判定勝ちし、3連続で元王者との試合が組まれた。セフードは昨年5月、アルジャメイン・スターリングのバンタム級王座に挑戦し、判定2-1で敗れて以来の再起戦。
1R、中盤に入ってセフードの左フックが炸裂すると、ドバリシビリは後ろにフラつく。中盤過ぎ、ドバリシビリは片足タックルでテイクダウンを奪うが、セフードはすぐに立つ。セフードは右ローを当てた後にスリップしたが、ドバリシビリが上から押さえようとしたところを、すり抜けて上になり、中央付近でハーフガードで押さえる。最後はスタンドに戻るが、離れ際にセフードが膝を当て、好印象で終える。記者採点はセフード。
2R、セフードがタックルを仕掛け倒そうとするが、ドバリシビリは突き放す。すると中盤からドバリシビリは圧を強めつつ、左右のパンチのヒットを増やし、セフードにダメージを与える。するとドバリシビリは片足タックルを仕掛け、テイクダウンを奪い返すことに成功する。セフードは立つが、ドバリシビリはしつこく背後か組み付いてコントロールする。終盤、セフードのタックルをドバリシビリは潰し、がぶってギロチンを狙って終える。記者採点はドバリシビリ。
3R、またもドバリシビリはタックルを先に仕掛けてから金網に押し込み、背後からしがみついて主導権を握る。中盤、離れると、セフードは時折右カーフを当てるが、ドバリシビリはひるまず、組み付くと肩でセフードを抱えてから倒し、場内を沸かせて、差を印象付ける。終盤、ドバリシビリは上で押さえ、立たれても押し込む。最後はセフードがタックルを仕掛けるが、ドバリシビリは突き放し、手を広げてバックステップで勝ち誇って終了する。記者採点はドバリシビリ。合計29-28でドバリシビリ。ジャッジ3者も同じ採点で、ドバリシビリがまたも元王者食いを果たした。
ドバリシビリは試合後のマイクで「次の王者は俺だ。相手は誰てもいいから早く挑戦させてほしい。ベルトが欲しい」とアピールした。客席では3月9日(現地時間)にマイアミでのマルロン・ヴェラとの初防衛戦を控えるバンタム級王者のショーン・オマリーがその様子を見守っていた。
第8試合 ミドル級 5分3R
○アンソニー・ヘルナンデス(15位)
×ロマン・コプィロフ
2R 3’23” 裸絞め
1R、スタンドの打撃戦が続き、ほぼ五分の状態だったが、終盤にヘルナンデスがタックルから金網に押し込み、テイクダウンを狙い続け、パンチや肘も絡め優位に進める。
2R、コプィロフがサウスポーからの左ハイを当てるが、ヘルナンデスは中盤から組み付いて、金網際で倒すと、すぐさまバックに回り込み、裸絞めを極めタップアウト。ヘルナンデスはこれで5連勝とし、コプィロフは連勝が4で止まった。
第7試合 女子ストロー級 5分3R
○アマンダ・レモス(3位)
×マッケンジー・ダーン(7位)
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
第6試合 ヘビー級 5分3R
○マルコス・ホジェリオ・デ・リマ(15位)
×ジュニア・タファ
2R 1’14” TKO
第4試合 ライトヘビー級 5分3R
○ジャン・ミンヤン
×ブレンドソン・ヒベイロ
1R 1’41” KO
第3試合 ウェルター級 5分3R
×ジョシュ・クインラン
○ダニー・バーロウ
3R 1’18” TKO
第2試合 ウェルター級 5分3R
○オーバン・エリオット
×バル・ウッドバーン
判定3-0 (30–27/30–27/29–28)
第1試合 女子フライ級 5分3R
×アンドレア・リー(15位)
○ミランダ・マーベリック
判定0-3 (27-30/27-30/28-29)