UFC 6.1 ニューアーク(レポ):イスラム・マカチェフ、ダスティン・ポワリエを5Rダースチョークで仕留めライト級王座3度目の防衛「1階級上のベルトも取りたい」
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UFC 302: Makhachev vs. Poirier
2024年6月1日(土/現地時間)米国ニュージャージー州ニューアーク:プルデンシャルセンター
レポート:井原芳徳
イスラム・マカチェフ、ダスティン・ポワリエを5Rダースチョークで仕留めライト級王座3度目の防衛「1階級上のベルトも取りたい」
第12試合 メインイベント UFCライト級チャンピオンシップ 5分5R
○イスラム・マカチェフ(王者)
×ダスティン・ポワリエ[ポイエー](4位、元暫定王者)
5R 2’42” ダースチョーク
※マカチェフが3度目の防衛
マカチェフはダゲスタン出身で、元ライト級王者・ハビブ・ヌルマゴメドフの幼馴染としても知られる。10年にMMAデビューし、15年からUFCに上がり、2戦目でプロ初黒星を喫したが、その後は13連勝。22年10月のアブダビ大会でチャールズ・オリベイラに2R肩固めで一本勝ちしライト級王者となる。昨年2月の初防衛戦でフェザー級王者のアレキサンダー・ヴォルカノフスキーに判定勝ちし、10月の2度目の防衛戦でもヴォルカノフスキーに1R左ハイでKO勝ちしている。
ポワリエは21年のコナー・マクレガーからの2連勝で名を上げ、同年末のチャールズ・オリベイラとのライト級王座戦では敗れたが、22年11月にマイケル・チャンドラーに勝利。昨年7月のジャスティン・ゲイジーとのBMF王座戦で2R KO負けし、3月の地元フロリダ大会では当時12位のブノワ・サン・デニを2R右フックでKOした。
オクタゴンサイドでは、ポワリエの地元フロリダを地盤とするドナルド・トランプ元米大統領が観戦する。両者ともいつもの黒ではなく金色のグローブをつけて戦う。1R、両者サウスポーで構え、マカチェフが序盤から片足タックルで倒して、金網際でハーフガードで押さえる。中盤、マカチェフがアームロックを狙うと、ポワリエの防御する動きに合わせ、中央付近でバックマウントを奪う。マカチェフは足4の字ロックでガッチリとポワリエを捕まえ、執拗に裸絞めを狙い続ける。ポワリエは防戦一方のまま終わる。記者採点はマカチェフ。
2R、ポワリエが左ローを放つと、マカチェフは片足タックルを仕掛けるが、ポワリエは切ってスタンドに戻す。スタンドの打撃戦が続き、ポワリエが右ジャブ、左ストレートを当てるが、マカチェフも同様の攻撃と、首相撲からの膝蹴りも当てる。中盤過ぎにマカチェフが片足タックルを仕掛けるが、ポワリエはこれも耐えて押し返す。終盤、離れての打撃戦に戻り、ポワリエも左ストレートを当てる場面もあるが、最後、マカチェフが片足タックルで倒して上になって終える。記者採点は僅差だがマカチェフ。ジャッジは割れ、1者がマカチェフ、2者がポワリエにつける。
3R、マカチェフは開始すぐから左アッパーを当て、首相撲につなげてから両脇を差し、ポワリエを押し込み、テイクダウンを奪う。マカチェフは金網際でバックを奪い、裸絞めを狙う。マカチェフは中盤過ぎ、マウントポジションに移行し、ポワリエが金網を蹴って動くと、腕十字を狙うが、ポワリエは脱出してスタンドに戻す。ポワリエもパンチを当てるが、マカチェフも当て返し、反撃を許さない。記者採点はマカチェフ。
4R、スタンドの攻防の中で、マカチェフは右ジャブを当てつつ、距離が詰まれば頭を下げつつ右フックもヒットする。中盤、マカチェフが左ストレートを連続でヒットする。マカチェフはタックルを仕掛けてポワリエを金網に押し込み、じわじわと崩して、ポワリエを四つん這いにさせ、背後からコントロールする。終盤、立つと、ポワリエがパンチを返すが、またもマカチェフがタックルから押し込み、ポワリエの反撃を封じる。記者採点はマカチェフ。ジャッジは意外にも割れ、マカチェフは1者のみ支持し、2者がポワリエを支持する。
5R、スタンドの攻防が続き、劣勢のポワリエもパンチを当てる場面があったが、長くは続かない。すると中盤、マカチェフは片足タックルを仕掛ける。片足立ちで耐えるポワリエに対し、マカチェフは足を引っ張り、バランスを崩させると、マカチェフががぶった状態で押さえ込み、ギロチンチョークを狙う。ポワリエが対処すると、マカチェフはダースチョークに切り替えてタップを奪い、きっちりフィニッシュで終わらせた。
完勝で3度目の防衛を果たした王者マカチェフは勝利者インタビューで「ダスティンはよく対策をしていた。ありがとう。ダースチョークは好きな技だ。2本目のベルトを取るのが夢だ。1階級上のベルトも取りたい」とコメントし、ウェルター級王座を次の目標に掲げた。なお、マカチェフは今大会のファイトオブザナイト、パフォーマンスオブザナイトの両方に選ばれている。
前ミドル級王者・ストリックランド、再起戦は判定勝ち
第11試合 コーメインイベント ミドル級 5分5R
○ショーン・ストリックランド(1位、元王者)
×パウロ・コスタ(7位)
判定2-1 (46–49/50–45/49–46)
ストリックランドは18年から22年2月まで6連勝していたが、7月にアレックス・ペレイラ、12月にジャレッド・キャノニア相手に連敗。だが昨年は1月にナッソーディン・イマボフ、7月にアブス・マゴメドフを下すと、9月にミドル級王者・イズラエル・アデサニヤに挑戦して判定勝ちし、王座奪取を果たした。しかし今年1月の初防衛戦でドリカス・デュ・プレシに判定1-2で惜敗し、王座から陥落した。
コスタは20年にイスラエル・アデサニヤのミドル級王座に挑戦して敗れ、21年のマーヴィン・ヴェットーリ戦でも敗れたが、22年8月にルーク・ロックホールドに勝利。今年2月の1年半ぶりの試合では、元ミドル級王者のロバート・ウィテカーに判定負けしている。
コーメインでタイトル戦ではないが、5R制で行われる。1R、コスタが開始すぐから右のカーフキックを連打すると、早くもストリックランドはオーソドックスからサウスポーに切り替える。ストリックランドはスイッチを繰り返しながら前に詰めて距離を潰し、再三前蹴りを当てるようになると、コスタは下がって回り続け、カーフキックが蹴れなくなる。終盤、ストリックランドはコスタの右ミドルをすくって倒す。ストリックランドは左右の前蹴りや左ジャブの当たりは軽いが、淡々と出し続け、最終的にヒット数ではコスタを追い抜く。記者採点はストリックランド。
2Rも同様に、ストリックランドが前に出て、細かく前蹴りを当て続け、コスタが下がる構図が続く。ストリックランドはほとんどスイッチせずオーソドックス主体に。静かな攻防が続くが、残り30秒、コスタが右カーフを当てた直後、ストリックランドが左ジャブを当てつつ押し倒し、良い形で終える。記者採点はストリックランド。
3Rもストリックランドが淡々と前進を続け細かく前蹴りや顔面へのパンチを当てる。コスタもボディへのパンチを返す場面もあるが、下がり続けて印象が悪い。最後、ストリックランドが少し手数を上げて終える。記者採点はストリックランド。
4Rもこの構図が変わらない。お互いヒットが減るが、ストリックランドのヒットが上回ることは変わらず、終了間際にはパンチのコンビネーションを決めて、差をしっかり印象付ける。
5R、後の無いコスタはようやくこれまでよりも前に出るようになるが、基本的にストリックランドがプレッシャーをかける構図は変わらない。コスタは細かいパンチを増やし、手数で上回っていたが、残り30秒を切ると、ストリックランドが圧力を強めてパンチを連打し、コスタを金網に詰めて左ハイを腕に当ててスリップさせ、コスタが立った後も飛び蹴りを打ちつつ追いかけ、いい形で終える。記者採点はストリックランド。合計50-45でストリックランド。ジャッジはデイブ・ディレリ[Dave Tirelli]氏だけなぜかコスタにつけたが、2者は順当にストリックランドにつけ、ストリックランドが判定勝ちした。
第10試合 ミドル級 5分3R
○ケビン・ホランド(15位)
×ミハル・オレクシェイチュク
1R 1’34” 腕ひしぎ十字固め
1R、序盤からオレクシェイチュクが左フックを当てて、ホランドをダウンさせ、上からパウンドを落とす。だがホランドは下から腕十字を極める。ホランドが上になった後も、オレクシェイチュクに腕十字を極め続ける。ホランドの足の位置が悪く、ポイントがズレ気味ではあったが、数十秒この状態が続くと、ハーブ・ディーン・レフェリーがストップした。
第9試合 ウェルター級 5分3R
○ニコ・プライス
×アレックス・モロノ
判定3-0 (29–28/29–28/29–28)
第8試合 ウェルター級 5分3R
○ランディ・ブラウン
×エリゼウ・ザレスキ・ドス・サントス
判定-0 (29–28/29–28/29–28)
第7試合 ミドル級 5分3R
×セザル・アウメイダ
○ロマン・コプィロフ
判定1-2 (29–28/28–29/27-30)
第6試合 ヘビー級 5分3R
○ジャイルトン・アウメイダ
×アレクサンドル・ロマノフ
1R 2’27” 裸絞め
第5試合 ライト級 5分3R
○グラント・ドーソン(7位)
×ジョー・ソレッキ(13位)
判定3-0 (29–28/30–27/30–27)
第4試合 ウェルター級 5分3R
×フィル・ロウ
○ジェイク・マシューズ
判定0-3 (28-29/28-29/27-30)
第3試合 ウェルター級 5分3R
×ミッキー・ガル
○バシル・ハファス
判定0-3 (27-30/27-30/28-29)
第2試合 女子バンタム級 5分3R
○アイリーン・ペレス
×ジョセリン・エドワーズ
判定3-0 (30–27/29–28/29–28)
第1試合 フライ級 5分3R
×ミッチ・ラポーゾ
○アンドレ・リマ
判定1-2 (27-30/29-28/27-30)
※リマが計量4ポンド(1.81kg)オーバー。ラポーゾにファイトマネーの30%を譲渡