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[Dynamite!!] 12.31 大阪:「ベルトは俺を見てた」KID王座取りに自信

FEG "Dynamite!!" 2005年12月31日(土) 大阪ドーム 【→カード&チケット】 [BBS:K-1ヘビー/MAX/HERO'S]

(12/30 up) 大会前日にあたる本日、大阪市内のホテルで恒例の前日会見が開催され、参戦22選手全てが顔を揃えた。

 会場中央には「HERO'Sライト級王者」に与えられる真新しいベルトが据えられており、取材陣の注目を集めていた。会見も、このベルトを争う二人、須藤元気と山本“KID”徳郁から開始される。左右のエンドから登場した二人だが、山本は対戦者の須藤より、ベルトに視線を釘付けにされた様子で、握手より先に中央のベルトに手を触れに行く姿が目を引いた。

 明日への意気込みを語る選手コメントタイムでも、各選手が優等生的発言を繰り返す中で、「前回二試合が僕にとっての決勝だったと思うんで、落ち着いて行けば、簡単にベルトは巻けると思うんで…来年もよろしくおねがいしま〜す」とバッドボーイ気質丸出しのニヤニヤ笑いで不敵なコメントを吐き、対戦者を威嚇する。続く質疑応答でも、ベルト取りへの思いを聞かれ「ベルトは俺の事見てた」と、須藤など眼中に無いといった姿勢を貫く。

 一方、須藤は相変わらずのマイペースで「まずこの場所に居られる事の全てに感謝したいと思います。今回は仕上がりも体調もよく、明日は自分自身の高次意識に身をゆだねて、共時性の波にのって勝利したいと思います」と通訳も後半を端折るようなニューエイジ系のコメントを発し、KIDの意気込みをケムに巻く。豪速球と癖玉という見事に対照的な両者のキャラが浮かび上がる会見だった。

 他の選手にも目をやると、今年も一般の話題としては最高位に上がるはずの、“最強の素人”ボビー・オロゴンが意外なほど神妙に「今日は本当にあんまりにもアゲモノさんの顔が恐いんでちょっとビビっています。でも一年間練習してきましたんで、キヨミさんの…キヨミズの舞台から飛び降りるつもりで頑張ります」と語り、サップは「明日武蔵を叩きのめしても、彼が友達で居てくれるかが心配」と剛胆なのか繊細なのかわからない珍コメントで笑いを誘う。また、緊急参戦となった魔裟斗は「明日、大東選手は死にものぐるいで俺を倒しにくると思うんで、逆に1Rで倒そうと思う」と傲岸不遜ぶりを貫く。
 
 また気になる明日の試合順だが、本日の段階では未定だと言う事が、谷川貞治K-1イベントプロデューサーの口から語られた。昨年の瞬間視聴率43%、平均視聴率20%という記録を叩きだした「Dynamite!!」の躍進を大きく意識したのか、“チャンピオン”「紅白歌合戦」が本日まで曲順発表を差し控えるという手段に出たためである。しかし、K-1側も、そしてもう一方のライバルであるPRIDE陣営も共に、試合順未定という“持久戦”を展開。本日ようやく発表された紅白のラインナップを基に「今夜、樋口(潮)プロデューサーと話し合って決める」とのこと。

 この曲順表によれば、紅白の切り札と目されるSMAPは11:35のトリとなっており、正攻法で行けばここにメイン候補の「須藤vsKID」あたりが激突する形になる。しかし、この試合はタイトルの掛ったトーナメント決勝でもあり、ベルト授与等のセレモニーの時間を考えると、試合終了時間直然のこの時間帯はむしろ“危険水域”となりかねない。また、ここにPRIDE陣営の目玉「吉田vs小川」戦が来ると、三者痛み分けで視聴率を食い合うことになる。

 むしろ、9:30からの中盤の山場、音楽界今年最大のホープとなった倖田來未〜浜崎あゆみ、そしてレコード大賞最右翼の氷川きよしが並ぶ勝負どころのタイミングに、「須藤vsKID」もしくは魔裟斗登場をぶつけて、切り崩してしまう手法も考えられる。また、K-1陣営には、ワイルドカードである矢沢永吉のライブショーも控えている。各局がしのぎを削る大晦日の視聴率競争が、リング上の戦いをも凌ぐ勢いで繰り広げられることになりそうだ。(井田英登)

※当日券は、S席 A席のみが若干数当日券として販売される。販売開始は正午より、大阪ドームで。
 

欠場者続出に、“K-1愛”で魔裟斗緊急参戦

(12/23 up) 角田信朗の眼窩底骨折、秋山成勲のぎっくり腰に続いて、チェ・ホンマンもK-1ワールドGP決勝戦のダメージの影響でDynamite!!参戦不可能という事態に陥った。原因は試合後の処置の問題で、ローキックを浴びて患部に溜まった血が固まってしまったというものだという。
 このピンチに、一度はDynamite!!辞退を申し出ていたはずの魔裟斗が緊急参戦を決めた。

「当初年末は無理かなということで10月の初めごろオファーはあったんですが、その頃は練習も出来なかったんで、『ちょっと無理です』ということで断っていたんですが、急遽試合が3つ流れてしまったということで。とりあえずK-1には育ててもらったと言うこともあるし、困った時はお互い様ということで…“K-1愛”ってことですか(笑)。ま、そういうことです」と照れ笑いを浮かべながら、参戦の経緯を語った魔裟斗。
「怪我人が多くて、ことごとく考えてたカードが4試合ぐらい飛んでしまって、一回はあきめていた魔裟斗選手に、もう一回『なんとかならないだろうか?』とお願いしたのが、今週に入ってからです」とマッチメイクの苦衷を語る谷川貞治K-1イベントプロデューサー。記者からは「谷川さんに泣きつかれて決断したわけですか?」という意地悪な質問が飛ぶと、魔裟斗は苦笑。谷川氏自ら「出ると言ってくれた時に泣きました」と答える一幕も。
 体調については「決まったのは2日前の事なんで100%とは行かないですけど、出てない間、伊達に休んでいた訳ではないので、やれる事はやって来ました」と語る魔裟斗。足の怪我が癒えない間は毎日1.5キロの水泳と腕立て伏せ250回を日課とした基礎トレーニングに励んでいたという。対戦決定の動機について「周りの(格闘技に)関係ない人からも『今回、PRIDEに押されてるね』って意見も聞いてて。それはいい気分がしなかったですね。PRIDEにK-1が負けてるってことは、“俺が負けてる”ってことになりますからね」と大晦日の格闘技対決を大きく意識したコメントが出る辺り、看板選手としての強い“K-1愛”が感じられたのが印象的だった。

 対戦相手は大会直前と言う事もあり、海外からの選手はビザの関係でブッキングが難しく、国内選手相手のフレッシュなカードをということで、10月のMAXでボクシング界からの越境デビューを飾った大東旭が抜擢された。
「異種格闘技戦のようになってしまうとは思いますが、大晦日と言うことで、非常にキャラの立った大東選手にオファーしました。元世界ランカーということもあって、ボクシングの技術はピカ一なので、良いカードが組めたと思います」と自画自賛する谷川氏に対し、魔裟斗は「キックでもパンチでもどっちでも圧倒できると思う。(K-1の事を)なめてる部分があると思うんで。1月1日に『やめときゃよかった』と後悔させてやります」と強い口調で言い切り、鳴り物入りでK-1入りを果たした“越境新人”へのキツいお仕置きを約束した。
 なお、緊急カード決定ということもあって、大東の減量が間に合わない可能性があるため、試合は72キロ契約で行われる。
 また、当初魔裟斗の復帰戦に予定されていた、2月4日のK-1 MAX日本代表決定トーナメント大会は「魔裟斗が世界王者となったゲンのいい会場」(谷川氏談)さいたまスーパーアリーナでの開催が決定している。

アーツ、総合第2戦は大山と

 またその他の追加カードとして、ピーター・アーツ vs. 大山峻護、ヒース・ヒーリング vs. 中尾芳広のHERO'Sルール2試合が追加された。あばら骨の打撲でWorld GP準決勝を棄権したアーツだが、故障箇所は一週間ほどで治癒。早速今回の総合第2戦の準備のためブラジルへ渡り、長年のスパーリングパートナーであるペドロ・ヒーゾとの特訓に入っているとの事。
 谷川氏の談によれば、アーツの対戦相手には、当初、藤田和之(猪木事務所)という構想もあったそうだが、新日本プロレスと猪木事務所の関係が筆頭株主委譲問題で揺れる中、猪木事務所との連絡が取れない状況に陥り、このカードは見送らざるを得なくなったとのこと。
 これでDynamite!!の発表カードは全10試合。週明けにはさらに追加1カードが発表予定。これでK-1陣営の大晦日のラインナップは出揃う事になりそうだ。試合順は、大会前日決定の予定だ。(井田英登)
 

秋山欠場でホイス×所、永田×レミーガに

(12/22 up) 秋山成勲がぎっくり腰とヘルニアの併発により欠場する。これに伴い対戦カードが次のとおり変更となった。

 ホイス・グレイシー vs. 所英男(HERO'S特別ルール・10分2R)
 永田克彦 vs. レミギウス・モリカビュチス(HERO'Sルール・75kg契約・5分2R延長1R)

 当初予定の所×永田は3月開催予定のHERO'Sに延期される。さらにジェロム・レ・バンナ vs. アラン・カラエフがHERO'Sルール・5分3Rで行われることも決定。残りカードは23日に発表される。

 秋山は12月上旬に腰を痛め、歩行もままならない状態に。既に来日していたホイスは会見に出席。「変更は受け入れたくなかったが、ファンの期待に応えるべくあえて承諾した。コンディションは万全だ」と話し、所について「1試合だけ見たが、動きが速い」と感想を述べた。道衣の着用はこれからトレーナーと検討する。
 所は会見冒頭の挨拶で「まず、レミギウスとDynamite!!に出られることがうれしいです。小さな団体の小さな僕らが、大きな大会で一番いい試合をしたいです。胸を借りるというより、倒すつもりで挑みます。秋山さんの分も頑張ります」と意気込みを語った。気になるのは体重差だが「今まで自分より重い選手(=永田)を想定した練習をしていたので大丈夫です」と話した。ホイスは現在78〜80kgだといい、約10kg差の戦いとなる。
 特別ルールの採用はホイスの意向によるもので、去年のホイス×曙と近いもので調整中。所は「(ZSTルールの原型の)KOKルールで勝てればどんなルールでも対応できると思っているので大丈夫です」と強気だ。マスコミから「今回の試合をリングスの試合に例えると?」という質問が飛ぶと、「ヘンゾ・グレイシーと坂田(亘)さんの試合(99年12月・ヘンゾが1分25秒・腕十字で勝利)のようにならないよう…」と毒を吐いたがすぐさま撤回。「田村(潔司)さんとヘンゾの試合(00年2月・田村が判定勝ち)のようにしたいです」と理想を語った。

 永田は所と全く違うタイプのレミーガとの対戦。だが、元々最初に永田が希望していた相手がレミーガだったといい、レミーガの大みそかの来日の調整がつくかどうか微妙な情勢だったこと等が影響し、対戦が回避されていたという。永田は「急に相手が変わってもやるのがプロ。レミギウス戦に気持ちを切り替える」と抱負を語り、レミーガは「ビッグイベントに参加できるだけで勝利を得たような気持ちです。美しいファイトを見せます」と宣言した。永田対策は当初対戦予定だった所から習い、大みそかに備える。(井原芳徳)

打倒・紅白の切り札!? 矢沢永吉さん出演

 Dynamite!!にロック歌手の矢沢永吉さんが出演することが決まった。“真剣勝負”の歌のパフォーマンスで試合をさらに盛り上げる。矢沢さんは今までNHK紅白歌合戦に出演したことがない。FEGは「今年の紅白に出演する60組の歌手を相手にたった一人で対抗できるアーティストは矢沢さんしかいない」と確信し、出演オファーをしたところ、快く引き受けてくれたという。格闘技番組が“歌でも紅白と勝負する”という掟破りの技で打倒・紅白を狙う。

武蔵×サップ決定。角田負傷欠場

(12/14 up) K-1ルール3分3R(延長1R)武蔵 vs. ボブ・サップが決定した。角田信朗が8日の練習中に膝蹴りを左目にもらい、眼か底骨折と診断されたため欠場する。対戦予定だったザ・プレデターの相手は調整中。
 武蔵は11月のK-1ワールドGP決勝戦では準決勝でKO負け。その後は2週間ほど休養し、まだスパーリングはやっていないが、コンディションは「問題無い」と言い切る。15日から21日までタイ・パタヤのシットヨートンジムで合宿し、ボクシングトレーナーのフランク・ライルズ氏と対策を練る。「ボブ選手は前に出てストレートを連打するか、思いっきり振り回してくるかのどっちか。一発で流れが変わるので、相手のペースにハマらず、確実に弱らせて、いかに冷静に戦えるかがポイント」と試合の展望を語る。
 サップは今年のジャパンGP覇者。武蔵は「リベンジするのは負けた選手たちがやること。僕は単純にやったことのないサップとやってみたいだけ」と冷淡に語る一方、「日本にはまだ強い選手がいることを、ボブ選手に教えたい」とも話し、ジャパン最強の証明に自信を示した。
 シアトルで練習中のサップは武蔵と入れ替わりのタイミングで来日。時差ぼけを直し、万全の体調で試合に臨む構えだ。
 残りカードは4〜5試合を予定している。(井原芳徳)

角田、プレデターとK-1ルールで対戦(中止)

(12/5 up) 角田信朗がアメリカ人巨漢プロレスラーのザ・プレデターとK-1ルールで対戦することが決まった。3分3R延長1R。プレデターはK-1ルール初挑戦。
 角田は9月のK-1ワールドGP開幕戦・大阪ドーム大会で、地元・大阪では9年ぶりとなる試合を行うも、満足できない内容だったため、大みそかの出場には消極的だった。しかし主催者側は人気タレントでもある角田の知名度に高視聴率を期待。「体格と年齢のハンデを乗り越え、お茶の間に愛と涙と感動の試合を届けてもらいたい(谷川貞治FEG社長)」等とオファーされ、出場を決意した。
 角田は44歳の今でも体を鍛え「アンチ・エイジング」にこだわっているが、試合の中では「自分の年齢をことさら出したくない。言い訳にしたくない」というポリシー。引退についても「自分のわがままだけで上がり続けることはできない。K-1にふさわしい試合ができるコンディションが維持できなければ、だまって消えていくのみで、引退試合は考えていない」と語り、「言い訳をせず、他人のせいにせず、自分で道を切り開くことの大事さを伝えられれば」と、同世代だけでなく幅広い年齢層に自身の姿勢を伝えたい考えを示した。
 今回の相手のプレデターは総合戦績3勝1敗、197cm、138.3.kg。角田は174cm、94.2kgと体格差があるが、角田は「大山倍達先生の言葉にもあるけど、空手の極意は小が大を倒すところにあるので、それを理想にしたい。普通ならヒット&アウェイの戦略があり、僕も立ち上がりはそれをやるかもしれないが、今回のテーマは一撃必殺」と語り、KO勝利を誓った。
 会見が終わると大阪で合宿入り。試合までの時間が短いため「量よりも質」を重視し、大型選手を集めての実戦練習が主体になるという。(井原芳徳)

所英男×永田克彦決定。魔裟斗欠場

(12/1 up) 2000年シドニー五輪・グレコローマンレスリング69kg級銀メダルの永田克彦の総合デビュー戦の相手が、所英男に決まった。HERO'Sルール・5分2R(延長1R)で争われる。
 大会まで1ヶ月を切った12月1日、東京の帝国ホテルで両者は会見。所が11/23のZST.8で防衛に成功したGT-Fベルトを肩にかけて登場すれば、永田は新日本プロレスの以前のテレビ中継で使われていたELPの曲で入場。プロレスファン上がりの所は「鳥肌が立ちました」と素直に感動を現す。
 だが総合でのキャリアは所の方が圧倒的に上。永田は所を「技術が高くスピードもあり、どんな技でもガンガン出してくる。今一番輝いている選手」と評価し、「胸を借りるつもりで頑張ります」と話した。所は「胸を貸すような気持ちは無く、一流のアスリートだと思っています」と敬意を表した。
 契約体重は75kg。永田は前回の会見の時点で80kg近くあり、所は70kgに達さない。体格差はあるが、二人とも身長は同じ170cm。所は「スピードとスタミナと総合力」でカバーする考えだ。永田の方は体格差を活かし、倒してパウンドという戦術が適しているようにも思えるが「下から極められてしまう危険性もある」と分析。「レスラーでも関節で一本が取れるところを見せたい」と、大胆にも“小さなヴォルク・ハン”との関節技合戦に意欲を示した。(井原芳徳)

魔裟斗欠場。復帰は2月か

 魔裟斗のDynamite!!欠場が正式に発表された。FEGの谷川貞治社長によると、7月のMAX世界一決定トーナメントで折れた左足首の骨が完全にくっついていないためで、来年2月上旬開催のMAX日本代表決定トーナメント大会のスーパーファイトでの復帰が濃厚だという。

シュルトとホーストが決着戦

(11/28 up) 今年のK-1ワールドGPを制したばかりのセーム・シュルトと、4タイムスチャンピオンのアーネスト・ホーストの対戦が決定した。
 ホーストは以前からDynamite!!での復帰戦で、現王者と戦うことを希望していたが、シュルトも02年8月のDynamite!国立競技場大会で引き分けたホーストとの決着戦を希望しており、再戦がすんなりと決まった。谷川貞治FEG社長によると、ホーストが対戦相手を自ら希望したのはK-1 13年の間で今回が初めてだといい、「Dynamite!でつかなかった決着はDynamite!!でつけて欲しい。ホースト選手の心意気を酌んで、このカードを組みました」と経緯を説明した。
 ホーストは27日、都内ホテルで会見。「この2〜3ヶ月は大みそかに復帰することだけを考えてきました。シュルト選手が対戦を受け入れてくれたことを感謝します。素晴らしいカムバックをお見せします」と挨拶した。
 前回は引き分けたが、「前回の対戦の11日前、ラスベガスでノルキヤ選手と対戦し、2日だけオランダに戻り、それから日本に来てシュルト選手と戦ったため、万全ではありませんでした」と振り返る。さらに「シュルト選手の具体的な弱点はいくつか見えている」と話し、GPでの前王者・ボンヤスキーの敗因について「攻撃を待って受けてしまったこと」と発言。当日どういう戦術を見せるかが非常に楽しみだ。

曙とボビー・オロゴンが総合ルールで激突

(11/8 up) 大相撲元横綱の曙が総合ルールでタレントのボビー・オロゴンと対戦することが決まった。(写真:8日、東京の帝国ホテルで両者が記者会見)
 ボビーはテレビ番組の企画で格闘技に挑戦し、昨年のDynamite!!で総合デビュー。シリル・アビディ相手に判定勝利をおさめた。今年もDynamite!!への出場を希望し、「曙と戦いたい」と番組の樋口潮プロデューサーに話したところ、谷川貞治K-1イベントプロデューサーに伝わり、まさかのカードが実現した。
 ボビーは「イグチ(=樋口P)とワニガワ(=谷川P)が冗談を本気にしやがった」と話すが、「男ならムジャムジャしないで、モス!の世界(=格闘技)に戻る」と対戦を了承。とはいえ勝つ自信について聞かれると「無いですねえ」と答え、「アゲモノ(=曙)さんは一回しか勝ったことが無いので、大目に見て勝たせてあげたい」とまさかの“敗北宣言”をして、大勢集まったマスコミを笑わせた。
 アビディ戦以降全く練習していないとボビーは話すが、谷川氏は「ウェイトもガンガンやってると聞いてますし、GRABAKAでも練習していると思います。ああ言ってても自信はあると思いますよ」と心境を代弁。「曙対サップ以上の反響を期待したい。今年最後の感動を与えていただければ」と高視聴率取りに自信を示した。

 一方の曙は「ボビーさんと戦うことは予想外でしたが、格闘家・曙の再出発の相手として、ありがたい相手です」とコメント。「選手じゃない人と戦わされることは屈辱的ではないですか?」という質問にも、「Dynamite!!に上がる以上、かなり自信はあるのだと思います。プロとしてしか見ていないので、余計なことは気にせずに頑張ります」と謙虚に答えた。会見中は一度も笑わず、ツーショット撮影でもボビーを静かに凝視したまま目を離さず。谷川氏によると「横綱は『ハワイの悪ガキのチャド(旧名)に戻るつもりで戦う』と話していました」といい、タレント相手にも容赦しないつもりのようだ。
 曙は去年・一昨年とメインイベンターだったが、谷川氏は「ゼロからの出発」を期待。「今までは緊張のあまり『やってはいけない』と言われていたことを試合でやってしまい自滅していました。横綱にはプライドを捨てて、ノビノビとやって欲しいですね」と話し、ボビーも「人見知りが激しいので客がいないところでやりたい」と話していること等から、去年のボビー×アビディ同様、第0試合となる可能性が高そうだ。試合順は大会前日に発表される。
 ルールはHERO'Sで採用されているものを元に今後細部を調整。ダウンありも検討されているという。(井原芳徳)
 

シドニー銀の永田克彦が総合デビュー

(10/31 up) 2000年シドニー五輪・グレコローマンレスリング69kg級銀メダルの永田克彦がDynamite!!でプロ総合格闘家デビューすることが決まった。対戦相手は未定。
 永田は32歳の誕生日である31日、東京の帝国ホテルで記者会見。兄のプロレスラー・裕志の影響もあり「元々プロレスと総合格闘技が好きで、いつかはやりたいと思っていた」という。02年より74kg級に上げ、昨年のアテネ五輪に出場したが、目標の金メダルには遠く及ばず予選敗退。その後のルール改訂で「自分の良さが活かせないジレンマがあった」中、7月のHERO'Sをリングサイドで観戦し、アマチュアにない華やかな雰囲気に魅了され、兄とも相談しプロ転向を決意した。プロになっても五輪を目指せるが、「両方やれるほど甘くないので、続けることは考えていない」といい、「アマチュアで世界を征することができなかったので、プロで頂点を目指したい」と今後の夢を語った。

 プロデビュー戦の相手について永田は「とにかく強い選手とやりたい」「同じレスリング出身じゃなく、プロならではの相手とやりたい」と話した。谷川貞治FEG社長は「名前のある選手をぶつけたい」考えだ。
 階級について永田は「今は80kgぐらいですが、まずはナチュラルウェイトに近い体重でやって、上げるか下げるかを決めたい」とコメント。理想のファイターとして、同じグレコローマンベースで五輪出場経験のあるダン・ヘンダーソンの名前をあげ、「ああいうのがカッコいい。見習いたい」と話した。
 総合の練習は8月からスタート。代理人の青木良氏(上写真右)が旧知である上山龍紀(U-FILE CAMP)と主に練習し、新日本プロレスの坂口征二相談役が東京・狛江に開いた坂口道場でも指導の傍ら練習している。ボクシングはWBC元世界ジュニアバンタム級王者の川島郭志氏に習っている。所属は新日本プロレスのままだが、上山とは越境ユニット「チーム・キングス」を結成し、互いの選手活動を助け合う。チーム名は王座を目指すという意味で付けられたもの。青木氏によると今後チームの選手が増える予定だという。(井原芳徳)
(下写真:FEGが用意したバースデーケーキのロウソクを吹き消す永田)

秋山はホイスと対戦

(10/27 up) 秋山成勲の相手がホイス・グレイシーに決まった。ルールは総合ルールで、細部は今後調整される。秋山は昨年のDynamite!!でプロ総合格闘家デビュー。これまで3勝1敗だが、本格的な総合ファイターとの対戦は今回が初めて。同体格の相手ということもあり、未知数な要素の多かった秋山の実力が測られる試合となる。
 秋山は27日、東京の帝国ホテルで記者会見。「あこがれの強い選手と戦えることは光栄です。2ヶ月間精一杯トレーニングをしたい」と意気込みを語った。桜庭和志戦、吉田秀彦戦(1回目2回目)を見ており、「寝技に気を付けて、柔術に無い投げ技を活かせればいい」と話す。だが「ボクシングの選手を相手にした時もそうでしたけど、対柔術だからどうこうというのは無い。一選手として負けたくない」とも述べ、柔道×柔術という構図にこだわりは無い考えを示した。ちなみに昨年のDynamite!!の曙戦については「体格が違い過ぎるので参考にならない」と話していた。
 今回の試合でも道衣を着用する予定。ルールについて特に要望を示さなかったが、ホイスが無制限ラウンド制を提案してきた場合はどうするかという質問に「それも頭に入れなければいけない」と答え、拒否反応は示さなかった。
 ホイス戦を前に、もう一つの祖国・韓国での奥田正勝戦をきっちりクリアしなければならない。その試合をホイスは韓国に出向いて観戦する考えだが、もうすぐ新たな子供が誕生するため、その日次第となるようだ。
 他にも新たな出場予定選手が発表された。曙、ボブ・サップ、ジェロム・レ・バンナ、ピーター・アーツ、所英男、チェ・ホンマンの6名。魔裟斗は現在海外に滞在しており、帰国後の体調を見て出場の可否が判断される。
 チケットは10月29日(土)10時より一斉発売。初日のみ特電での販売となるためご注意を。(井原芳徳)

須藤とKID、決戦の地・大阪で調印式

(10/26 up) 2年連続で大阪ドームでの開催となる「Dynamite!!」。その前景気を煽る意味もあって、目玉カードとなる「HERO'Sミドル級世界最強王者決定戦」須藤元気 vs. 山本“KID”徳郁の調印式が26日、大阪市内のホテルで開催された。
 9月7日のHERO'S有明コロシアム大会の一夜明け会見以来の顔合わせとなる両者は、会場中央にセットされたテーブルに並んで対戦誓約書にサイン。書面を記者に公開した。
 引き続き行われた記者会見で須藤は「もうこの時点で戦いは始まってると思いますので、今日は目を合わせないようにしてました」と語り、相変わらずの“策士”ぶりを覗かせた。対するKIDはすかさず「俺は気になるんで見ちゃう」と“野生児”の面目躍如で切り返す。見事な対象の妙に記者席からは笑いがわき上がった。短い中にも両者の個性がくっきり浮かび上がった会見であった。
 同席した谷川貞治FEG社長は「5年前には中量級の試合がメイン級の試合として注目されると言う状況は考えられなかった事。去年の大みそかは魔裟斗選手とKID選手の試合が瞬間最高視聴率という形になりましたが、今年もこの2人の試合がそれに勝るとも劣らない内容になってくれると思う。これがKIDだ、これが元気だという生き様を見せる試合になる事を期待しているし、歴史に残る一戦として認知されるようにプロモーションしていくつもりです。年々Dynamite!!もご好評を頂いてくなかでハードルが上がっていますが、全ての試合が『どっちが勝つんだろう』という“勝負論”で数字を取って行けるように組み合わせて行きます」と語り、“打倒紅白”という大きなテーマに向けての自信をのぞかせた。(井田英登)

KIDと須藤、一夜明け会見で顔合わせ

(9/8 up) 今年も大みそかのDynamite!!が大阪ドームで開催される。7日のHERO'S有明コロシアム大会で行われたミドル級(70kg)世界最強王者決定トーナメント準々決勝〜準決勝の結果、須藤元気と山本“KID”徳郁がDynamite!!で頂点を争うことが決まった。
 両選手は激闘から一夜明けた8日、都内のホテルで記者会見。須藤は「昨日の勝ちは昨日で終わり。勝って兜の緒を締める」、KIDは「昨日はうちのジムの全員が勝ってくれた。これからみんなで盛り上がって、俺も盛り上がっていきたい」と今の心境を語った。
 互いの印象について、須藤は「普段他人の試合を見て鳥肌が立つ事は少ないんですが、去年の大みそかの魔裟斗選手との試合を見て鳥肌が立ちました。昨日の試合も一発で決めていて凄いと思いました」と話し、KIDは「最後まであきらめず粘り強い」と評価した。
 どちらも格闘技のベースはレスリング。だが2人ともベースを大事にしつつも依存せず、トリッキーなスタイルを駆使する点でも共通する。互いのトリッキー技に対しても「入るタイミングがわかりやすい」という見方で一致。究極の“だまし合い”が繰り広げられるかもしれない。だが一方で、前田日明HERO'Sスーパーバイザーが須藤流の待ちの戦法に苦言を呈しており、このことが両者の心理・戦略にどう影響していくかも楽しみどころとなる。
 谷川貞治FEG社長は、7日のHERO'Sが平均17.0%の高視聴率を叩きだしたことにも言及。須藤 vs. KIDがDynamite!!のメインイベント候補の一つとなるとの考えを示した。須藤は「今は視聴率にはあまり興味は無い」、KIDも「視聴率って何のことか去年初めて知りました。俺もあんまり気にしない」と話していたが、2人の天才はむしろ無心で激突したほうが、より高い視聴率をはじき出してくれるかもしれない。(井原芳徳)

 

FEG "FieLDS K-1 PREMIUM 2005 Dynamite!!"
2005年12月31日(土) 大阪・大阪ドーム
開場・14:00 開始・16:00
放送・TBS系列 21:00〜23:40

◆全カード(順不同)

HERO'Sミドル級(70kg)世界最強王者決定トーナメント決勝戦 5分3R(マスト判定)
須藤元気(日本/ビバリーヒルズ柔術クラブ)
山本“KID”徳郁(日本/KILLER BEE)

K-1ルール 72kg契約 3分3R(延長1R)
魔裟斗(日本/シルバーウルフ)
大東 旭(日本/チーム・クラウド)

K-1ルール 3分3R(延長1R)
セーム・シュルト(オランダ/正道会館/K-1ワールドGP '05 世界王者)
アーネスト・ホースト(オランダ/ボスジム)

HERO'S特別ルール 10分2R
ホイス・グレイシー(ブラジル/チーム・ホイス・グレイシー柔術)
所 英男(日本/リバーサルジム)

HERO'Sルール 75kg契約 5分2R(延長1R)
永田克彦(日本/チームKings・新日本プロレス)
レミギウス・モリカビュチス(リトアニア/リングス・リトアニア)

K-1ルール 3分3R(延長1R)
レミー・ボンヤスキー(オランダ/メジロジム)
ザ・プレデター(アメリカ/UPW)

K-1ルール 3分3R(延長1R)
武蔵 (日本/正道会館)
ボブ・サップ(アメリカ/チーム・ビースト)

HERO'Sルール 5分3R
ジェロム・レ・バンナ(フランス/レ・バンナ・Xトリーム・チーム)
アラン・カラエフ(ロシア/マルプロジム)

HERO'Sルール 5分3R
ピーター・アーツ(オランダ/チーム・アーツ)
大山峻護(日本/フリー)

HERO'Sルール 5分3R
中尾芳広(日本/フリー)
ヒース・ヒーリング(アメリカ/ゴールデン・グローリー)

HERO'Sルール 5分3R
曙(日本/チーム・ヨコヅナ)
ボビー・オロゴン(ナイジェリア/フリー)


◆入場料金
SRS席 30,000円 RS席 20,000円 SS席 16,000円 S席 10,000円 A席 6,000円

◆先行発売 10月1日(土)10:00〜
FEGオフィシャルサイトK-1オフィシャルサイト(ケータイサイトでも)

◆一斉発売 10月29日(土)10時より
e+(イープラス) http://eee.eplus.co.jp/
チケットぴあ 0570-02-9999(初日のみ特電:0570-00-0032)
ローソンチケット 0570-063-003(初日のみ特電:0570-063-039)
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