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(レポ&写真) [Dynamite!!] 12.31 名古屋:サップ、曙をKO。イグ×中邑は無効試合に

FEG "FieLDS K-1 PREMIUM 2003 Dynamite!! - The Fighting Festival on New Year's Eve"
2003年12月31日(水) 愛知・ナゴヤドーム  観衆:43560人(満員)

  レポート&写真:井原芳徳  【→大会前のカード紹介記事】  【→大みそか視聴率】  [→掲示板スレッド]

第9試合 K-1ルール 3分3R
○ボブ・サップ(米国/チーム・ビースト)
×曙(日本/チーム・ヨコヅナ)
1R 2'58" KO (右ストレート)


 「君が代」を小柳ゆきが唄い、「星条旗よ永遠なれ」をスティービー・ワンダーがハーモニカ演奏し、ヒクソン・グレイシーが花束贈呈を行うという豪華なセレモニーの後ゴング。
 序盤、曙が相撲の要領でコーナーに追い詰める場面が目立つが、次第にサップは伊原ジムでのトレーニングを成果を発揮。ローキックを曙の足に利かせ、パンチで曙を苦しめダウンを先制する。曙が10カウントぎりぎりでファイティングポーズを取ると大歓声。だが既に曙は足元がおぼつかない状態で、サップに押されてあっさりとスリップしてしまうほどに。最後は残り10秒を切ったところでサップが右ストレートで曙の顔面を撃ち抜き見事ノックアウト。曙は水揚げされたマグロのように横たわったままピクリとも動かず、しばらく立ち上がることができなかった。
 勝ったサップはマイクを持ち、ハワイで観戦していたマイク・タイソンに対戦アピールした。試合後のサップと曙はリング上で抱き合い、インタビューも共同で受けるほどに意気投合していた。

◆曙「練習と試合ではぜんぜん違う。試合では頭が真っ白になった。敗因は経験不足。コーナーに追い詰めても勝負が終わらないのに、相撲の寄りきりの癖が出てしまって…。最初のダウンはあまり効いている感じがしなかった。サップさんが目の前からいなくなって、はたき込まれてダウンした感じ。最後のダウンのパンチは見えなかった。あの時間は自分の人生から消えました(笑)。判定負けなら悔しかっただろうけど、KO負けなので気分はすっきりしている。今度サップさんと再戦できるとすれば、今回よりじっくりトレーニングして試合に臨めると思う」
◆サップ「今回の試合前は緊張で心臓発作が起きそうなほどだった。伊原会長といいトレーニングができたのが勝因。アケボノとの再戦?相撲ルールなら受けるよ(笑)」
 

第8試合 K-1 MMAルール 5分3R
−アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ/チヌックジム)
−中邑真輔(日本/新日本プロレスリング)
無効試合

1月4日裁定変更。当初の発表は3R 1'19" TKO (レフェリーストップ:膝蹴り)でイグナショフの勝利

 中邑が何度もタックルでイグナショフを寝かせるも攻め手を欠き、ブレイクが繰り返される。2Rにはタックルを切ったイグナショフが中邑の頭にサッカーボールキックを放ってしまいイエローカードをもらう。3Rも中邑が上になるも攻め手に欠く展開。だがイグナショフが顔面を出血しドクターチェックとなり、スタンドから再開すると、タックルに合わせたイグナショフの膝蹴りが中邑の顔面にクリーンヒット。中邑はダウン気味に倒れ、すぐ起き上がるも、危険と判断した平直行レフェリーが試合をストップした。
 試合後中邑は膝蹴りのダメージは無かったと言い張り、新日本プロレスの上井文彦執行役員はレフェリーのブレイクのタイミングと最後のストップの処置を痛烈に非難した。抗議を受けた谷川貞治・K-1イベントプロデューサーは「まだK-1 MMAルールは未完成な部分がある」ことを認めつつ、「結果は一時預かりとし、試合内容を検証する」とした。
 平レフェリーのストップについて賛否両論はあるだろう。ルールの不備も指摘されるべきだろう。だがそれ以前の問題として、中邑のタックル一辺倒の攻めパターンが最後の膝蹴りの呼び水となったこと、中邑がMMA初戦のキックボクサーのクロスガードをまともにパスできなかったこと、さらに中邑を含め新日本プロレスの日本人選手は大晦日1勝4敗だった事実を、むしろ新日本プロレス側は深刻に受け止めるべきではないだろうか。他の4選手に今後を期待するのは困難だが、中邑はまだ23歳と若く、まだまだ伸びる余地がある。かといって期待をかけるあまり過保護になってはいけない。終わった試合の結果をいつまでも悔やむのではなく、内容を素直に反省し、未来の勝利につなげるほうが、ずっと建設的だと思うのだが…。
 

第7試合 K-1 MMAルール 5分3R
×ダビト・ハハレイシビリ(グルジア)
○中尾芳広(日本/フリー)
2R 1'13" タップアウト (ハーフガードからのパンチ)


 レスリング強豪の中尾がタックルでテイクダウンを狙うが、ハハレイシビリはロープをつかんでしまいイエローカードが出される。スタンドに戻ると、中尾はMMA初戦とは思えない綺麗なローキックを出し、パンチでハハレイシビリを追い詰める。だが攻め手に欠き1Rは淡々とした内容で終ってしまう。
 2R、またも中尾がタックルでテイクダウンを狙う。ハハレイシビリはロープをつかもうとするが倒されてしまい、中尾はハーフガードの体勢に。既にハハレイシビリはこの時点で戦意喪失していた様子で、中尾が数発顔面にパンチを打ったところでタップアウト。あまりにあっけない幕切れだった。

第6試合 K-1ルール 3分3R
○アーネスト・ホースト(オランダ/ボスジム)
×モンターニャ・シウバ(ブラジル/シッチ・マスター・ロニー)
判定3-0 (中川30-28,御座岡30-27,大成30-27)


 パパイヤ鈴木のようなパーマヘアーになったマーク・ハントが両者に花束贈呈した後ゴング。試合はホーストがパンチを当てるとモンターニャがすぐホールディングする展開が多く、やや単調な内容に。モンターニャには各ラウンドにイエロー、3Rにはレッドカードが出される。ホーストは巨体のモンターニャ相手に攻めにくそうな様子で、本領発揮とはいかなかったが、なんとか復帰戦を白星で飾る事ができた。

第5試合 K-1ルール 3分3R
○フランシスコ・フィリォ(ブラジル/極真会館ブラジル支部)
×TOA(ニュージーランド/ザ・トア・シェッド・オポティキ)
判定2-1 (御座岡30-27,黒住30-29,大成29-30)


 フィリォがブラジリアンキック、胴回し蹴り等の大技を出しつつ、着実にローを効かす。だが大成ジャッジがTOAのパンチを評価し、2・3Rは9.5-10とTOAにポイントを付けたように、決定的な差が無かったのも事実。フィリォは復帰後初白星を勝ち取ったが、7月の福岡でのベルナルド戦での汚名を返上することはできなかった。

第4試合 K-1ルール 3分3R
×フランソワ・“ザ・ホワイトバッファロー”・ボタ(南アフリカ/スティーブズジム)
○藤本祐介(日本/モンスターファクトリー)
判定0-3 (中川28-30,朝武28-30,武井27-30)

※3R藤本の左フックでボタ1ダウン

 ボタがフックで突進すると藤本が組み付くという展開が繰り返される。だが藤本は時々ローを当て、左ミドルの集中打でボタの脇腹を赤く腫れ上がらせる。3R開始早々、ボタにパンチで突進され藤本はバランスを崩しかけるが、そこで放った左のブーメランフックがボタの顔面にクリーンヒット。ボタからダウンを奪う事に成功する。結局藤本はボタの反撃をしのいで判定勝ち。ジャパンGP準優勝の実績が伊達ではないことを示した。一方のボタはアビディのハイでダウンしたのがわずか3週間前。連戦は無理があったようだ。

第3試合 K-1 MMAルール 5分3R
×マウリシオ・ダ・シルバ(ブラジル/チームTBC)
○ザ・プレデター(米国/UPW)
1R 0'13" TKO (タオル投入:パンチによるダウン直後)


 元レスリング全米学生王者のプレデター。寝技勝負で行くかと思いきや、極真空手のシルバ相手にパンチで真っ向勝負に挑み、左右のストレートで豪快にノックアウト勝ちをおさめた。シルバがアビディの代役で急遽出場したこと、約40キロの体重差があったことも勝敗に影響したはずだが、プレデターの“超獣”キャラそのまんまの暴れっぷりは大きなインパクトを残した。

第2試合 K-1 MMAルール 5分3R
×ヤン・“ザ・ジャイアント”・ノルキヤ(南アフリカ/スティーブズジム)
○成瀬昌由(日本/新日本プロレスリング)
1R 4'40" チョークスリーパー


 成瀬のMMAはリングス退団直前の01年3月のフィエート戦以来。巨漢のノルキヤをテイクダウンすると、サイドポジション、マウントと移行し腕十字。これは滑って極まらなかったが、上四方、バックとさらに動き、最後はスリーパーで見事一本。同じくリングス出身の長井満也とともに喜びを分かち合った。

第1試合 K-1 MMAルール 5分2R
○須藤元気(日本/ビバリーヒルズ柔術クラブ)
×バタービーン(米国/チーム・バタービーン)
2R 0'41" ヒールホールド


 映画「メジャーリーグ」のテーマ曲・ワイルドシングをBGMに、チアリーダーを従え、須藤は野球のユニフォーム姿でブレイクダンスを踊りながら登場。TBSの中継のオープニングを務めることも意識してか、派手さで観客のハートをつかむ。
 試合は須藤が巨漢のビーンの周りを大きく回りながら、膝に前蹴りをコツコツ当てる展開が続く。4分過ぎ、低空タックルでテイクダウンに成功。ビーンはきっちりクロスガードを取って防御するが、残り10秒で須藤は足をつかんでヒールホールドへ。あと少しでタップを奪えそうだったが、ゴングが鳴る。
 2R開始早々、須藤が前蹴りで近付くとビーンはパンチを振り回し須藤を威嚇。だが須藤は距離を取ってロープに飛ぶと、プロレスラーのようにドロップキック。ビーンはそのまま突進するが倒れてしまい、グラウンドに引き込む格好となった須藤はすかさずヒールホールドを極めタップアウト。主催者やファンの期待に120%答える試合内容で、須藤の株がさらに上がったといえよう。

オープニングファイト K-1 MMAルール 5分3R
×トム・ハワード(米国/UPW)
○クリストフ・ミドゥ(フランス/レ・バンナ・エクストリーム・チーム)
1R 4'21" チョークスリーパー


 アブダビ出場経験もある柔術家のミドゥが組技で優位をキープ。あっさりサイド、バックとポジションを移行し、チョークでタップを奪った。
 だがレフェリーはハワードのタップに気付かず、勝手にミドゥが手を外したかと思い試合続行を命じ、周囲の注意でようやく試合が終っていたことに気付くという一幕も。思えばその後のイグナショフ×中邑が無効試合に至った混乱の予兆は、この試合からあったのかもしれない。

 

 

Last Update : 01/15

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