(レポ&写真) [K-1 WGP] 7.13 福岡:フィリォ×ベルナルド、お見合いファイトにブーイングの嵐
K-1事務局 "アルゼ K-1 WORLD GP 2003 in 福岡" 2003年7月13日(日) 福岡・マリンメッセ福岡 観衆:10,800人(超満員札止め)
レポート&写真:井原芳徳 【→大会前のカード紹介記事】 [→掲示板スレッド]
第7試合 3分5R △フランシスコ・フィリォ(ブラジル/極真会館) △マイク・ベルナルド(南アフリカ/オーランドチーム) 判定1-0 (48-47,48-48,48-48) ※5R、消極的なため両者減点2
1年半ぶりの試合となるフィリォと、ハングリー精神を取り戻すためクロアチアのジムで1年練習を積んできたベルナルド。激しいぶつかり合いの期待された好カードだったが、互いにカウンター待ちのお見合いで膠着状態が続く。2Rに角田レフェリーが両者にイエローカードを提示。しかしそれでも打開が見られず、観客のブーイングが飛び始める。角田レフェリーは「この試合はK-1のメインイベントだから積極的な試合をするように」と両者に注意するが、それでも状況は変わらず、4Rにはさらに両者にイエローカード1。ついには5Rには減点1に相当するレッドカードが2枚出されるという、K-1史上初の事態となり、そのまま試合終了。会場は大ブーイングに包まれた。 5R終了時、審判団と谷川貞治イベントプロデューサーの間では延長戦も検討されたが、競技統括プロデューサーである角田レフェリーの「いたずらにルールをいじると際限がなくなる」という判断から結局却下された。だが角田Pは「競技統括として正しい判断だったと思うが、個人としてはルールをねじ曲げて延長すべきだったと後悔している」と複雑な胸の内を明かした。そして両選手に対し「競技としては失格まであと1ポイント足りなかったが、プロとしては事実上失格」と非難し、フィリォに対しては「あなたの極真のスピリットは何なの?」とまで言い放ち、怒りがおさまらなかった。この試合はGP開幕戦出場の査定も兼ねていたが、角田Pは「論外」、谷川P は「考え直さないといけない」と語った。
両選手は試合後のインタビューで、揃ってカウンター狙いの戦法を取っていたことを明かした。ベルナルドは「フィリォが右のパンチでバランスを崩したところにカウンターの攻撃を狙っていたが、フィリォに気付かれてしまった。キックを主体にしてしまったが、もっとパンチを使うべきだった。次やるとしたらボクシングで倒したい。ブーイングは聞こえていたが、試合はいつもエキサイティングになるとは限らない」とコメント。フィリォは「思うように試合を運べなかったが、マイクの強いパンチを防御し、ローを出せたことに満足している。お互い同じレベルでよく知っている者同士で、勝たなければいけないと気負いがあったので、見つめあう時間が長くなってしまった」と話していた。
第6試合 3分5R ○アーネスト・ホースト(オランダ/ボスジム) ×シリル・アビディ(フランス/チャレンジ・ボクシング・マルセイユ) 2R 判定3-0 (20-16,20-15,20-15) ※2R終了時、アビディのローブローにより減点1。ホーストの体力が回復せず試合続行不可能とドクターが判断。故意の攻撃ではないので、K-1ルール12条3項に基づき2Rまでの判定とする。 ※1R、右ストレートによりアビディ2ダウンあり
ホーストが熟練の技巧でアビディを翻弄。1R2分過ぎから右ストレートで2連続ダウンを奪い、博多のファンに圧倒的な強さを見せつける。2R序盤、アビディが反撃を見せるが、ホーストは危な気なく防御。しかしアビディの膝がホーストの金的に入ってしまい一時中断。その後もホーストの的確な攻めでKO勝ちの機運が高まったが、ラウンド終了のゴングとほぼ同時にアビディの放った飛び膝がホーストの金的に命中。ホーストはかなり苦しそうで、3分の休憩が取られるが、それでも十分な回復が見られず、1分延長したところで無念のドクターストップ。当初アビディにはイエローカードが出されたが、レッドカード=減点1に変更され、そこまでの内容で判定が下される異例の事態となった。
第5試合 3分5R ○セーム・シュルト(オランダ/ゴールデングローリー) ×レミー・ボンヤスキー(オランダ/メジロジム) 判定3-0 (50-47,50-48,50-48)
第4試合まで盛り上がりを見せ、休憩明けの第5試合以降の後半戦への期待がふくらんでいたが、後から思えば嵐の予兆はこの試合からあったのかもしれない。 シュルトがパンチと膝で豪快に攻めるが、決定打に欠く。ボンヤスキーも時差ぼけの影響で動きに精彩を欠き防戦一方。攻め疲れたシュルトはホールディングが増えイエローカードを2度もらう。結局単調な内容のまま試合終了。シュルトが実質手数だけで勝ったような試合だった。
第4試合 3分5R ○アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ/チヌックジム) ×ヤン・“ザ・ジャイアント”・ノルキヤ(南アフリカ/スティーブズジム) 1R 2'49" KO (右ロー)
10kg ほど絞って動きのキレが良くなったノルキヤは、序盤から左右のフックで前進ファイトを繰り広げるが、イグナショフは落ち着いてブロック。着実に右ローをノルキヤの左モモに効かせ、あっさりと巨人退治に成功した。
第3試合 3分5R ○マイケル・マクドナルド(カナダ/フリー) ×ゴルダン・ユキッチ(クロアチア/オーランドチーム) 3R 3'03" KO (右ストレート)
初参戦のユキッチは、ベルナルドと同じクロアチアのジムの選手。IKBUヨーロッパ王者で、プロ13戦12勝(10KO)1無効試合の戦績を引っさげ来日したが、時差ボケの影響で力が発揮できず。マクドナルドのプレッシャーにも苦戦し、パンチの連打を浴びるたびにホールディングしてしまい3Rには減点1を喫する。マクドナルドは攻勢をキープし、最後は残り10秒、ユキッチがロープを背に膝を放った直後に、左右のストレートでユキッチの顔面を打ち抜き、ダウンを奪取。ラウンド終了のゴング後もカウントが続行したが、ユキッチはファイティングポーズが取れず、マクドナルドが見事KO勝ちをおさめた。
第2試合 3分5R ×ペレ・リード(イギリス/セントトーマスズジム) ○アジス・カトゥー(ベルギー/センタージム) 2R 終了時 TKO (ドクターストップ:スネのカットによる)
静かな打ち合いが続いたが、1R終盤にカトゥーが右ハイでダウンを奪取。2Rはリードがパンチ、ロー、膝で反撃するが、カトゥーは落ち着いてブロックする。後半戦に期待がかかったが、リードが右スネをカットし出血がひどくドクターストップがかかってしまった。
第1試合 3分5R ○レイ・セフォー(ニュージーランド/ファイトアカデミー) ×富平辰文(日本/SQUARE) 5R 2'15" TKO (タオル投入)
セフォーのパンチの猛攻を浴びながらも、なかなか倒れずにストレートやミドルを返していく富平に大歓声。セフォーは次第に攻め疲れを見せるほどに。だがさすがに富平のダメージは大きく、5Rの右フックでの初ダウン後は立ち上がったものの、続いてパンチ連打を浴びスタンディングダウンを喫したところで、セコンドがタオルを投入。試合終了目前でTKO負けとなった。角田プロデューサーは「富平は闘争心を見せた。まだ潜在能力がある。武蔵や中迫を食って欲しい」と富平の活躍を高く評価した。
Last Update : 07/18
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