KNOCK OUT 8.19 大田区総合体育館:不可思、秀樹に判定勝ちしスーパーライト級王者に「もっと高いところに行きます」
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
センチャイムエタイジム中野
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KNOCK OUT SUMMER FES.2018
2018年8月19日(日)東京・大田区総合体育館
レポート&写真:井原芳徳
第7試合 メインイベント KING OF KNOCK OUT初代スーパーライト級(-64kg)王座決定トーナメント決勝 3分5R
○不可思(クロスポイント吉祥寺 REBELS/RISEライト級(-63kg)王者、元Bigbang同級王者、元WPMF日本&REBELS-MUAYTHAIスーパーライト級王者)
×秀樹(新宿レフティージム/RISEライト級(-63kg)2位、K-1 ULTIMATE VICTOR REVOLUTION FINAL -65kgトーナメント2017優勝)
判定2-0 (岡林50-49/小川48-48/大村49-48)
※不可思が王者に
昨年、森井洋介の優勝で盛り上がりを見せたライト級王座決定トーナメントに続き、今年は2月からスーパーライト級で王座決定トーナメントが行われた。2月大会、4月大会で一回戦が2試合ずつ、6月の後楽園大会で準決勝2試合が行われ、不可思は健太と鈴木博昭を下し、秀樹は山口裕人とマサ佐藤を下して決勝に進んだ。
1R、秀樹はサウスポー、不可思はオーソドックスに構え、不可思が圧力をかける側が続く。お互い前手を突いて距離を取り、まだ慎重。不可思がややローを積極的に当てるが、終盤に秀樹も左フックを当て、危険なムードを漂わせる。ジャッジも記者も10-10。
2R、不可思は変わらず左ロー、右ミドルを当てているが、秀樹が左ミドル、左テンカオで下に意識を向けさせつつ、左フック、左ハイを当て、やや好印象を残す。まだ大崩れしていないため記者採点は10-10だが、ジャッジ2者は秀樹につける。
3R、不可思は変わらず右ロー、右ミドルをコツコツと当て続け、時折右ハイにもつなぐ。秀樹は攻撃が減り、少しバランスが悪くなる。また大差は無いため10-10。ジャッジも10-10だ。
4R、不可思がその流れに乗り、積極的に攻める状況が続いたが、中盤、秀樹が詰められた状況で左ストレートを当て、不可思をぐらつかせる。不可思はクリンチで耐え、少しずつ攻撃を返して持ち直すと、終盤、右のミドルとローで下に散らしてから、右ストレートをクリーンヒットしダウンを奪取。試合をひっくり返す。記者採点は10-8で不可思。
5R、不可思が右ミドルを当て続け、秀樹の反撃を封じる展開。時折右ハイでも脅かす。秀樹は左ミドル、フックを放つが、空振りが多い。左ハイを当てるが、力が入りきらず、不可思は耐える。記者採点10-10。合計50-48で不可思。ジャッジ1者はドローとしたが、2者は不可思を支持し、不可思の勝利となった。
昨年のライト級トーナメントは優勝を逃し、今年は悲願のKNOCK OUTの頂点に立った不可思は「厳しい戦い乗り越える覚悟していました。秀樹選手ありがとうございます。俺がここが目標じゃなく、通過点なので、もっと高いところに行きます。チャンピオンとしてKNOCK OUT、日本のキックボクシング界を盛り上げるんで、俺についてきてください」と堂々とアピールした。
バックステージで不可思は「1R・2R、硬くて、3Rから動けたけど、4Rに効かされた中で、ダウンが取れてよかったです。ヤベえって思う中でパンチが当たって、盛り上がってるなって思いました。ベルトがあるのが不思議な感じです」とコメント。優勝賞金300万円については「100万円ぐらいはファンを無料招待してパーティーがしたい」と話していた。
またリング上での「もっと高いところに行きます」という発言の意味については「今、めちゃくちゃベルトがいっぱいあるんで。天心君なんか、ベルトの価値(で評価されているの)じゃ無いじゃないですか。ああいうところを目指したい。自分を中心に色んな選手が集まる選手になりたい。もちろんKNOCK OUTのベルトは価値があるので、一つの証明なのでうれしいです」と話した。
第6試合 61.5kg契約 3分5R
○森井洋介(ゴールデングローブ/元KING OF KNOCK OUTライト級(61.5kg)王者、全日本スーパーフェザー級王者)
×大月晴明(マスクマンズ/元Krush -60kg王者、元WPKC世界ムエタイ&全日本ライト級王者)
3R 2’52” KO (パンチ連打)
森井は4月大会でヨードレックペットに肘でTKO負けして以来の試合。大月は5月の大阪大会で山口侑馬にKO勝ちして以来の試合。大月は森井のトレーナーである小林聡氏とも13年前に全日本キックで名勝負を繰り広げ、勝利後に「勝っても負けても引退しようと思っていた」と話していたが、途中ブランクを挟みつつも、44歳の今もリングに立ち続けている。今回はいつもの筋肉少女帯の「ボヨヨンロック」とは異なる曲で入場する。
1R、お互い全くステップを踏まず、大月は時折スイッチして低い構えで、森井は高めに構えて左右に体を振り、フェイントを掛け合い、静かな幕開け。時折大月がフックを強振するが、森井もカウンターで右を当て、右ローを返す。記者採点もジャッジも10-10。
2R、森井が右ロー、右フックを当てて大月をコーナーに詰めると、左肘、左フックを立て続けにヒットしダウンを奪取。その後も森井が右ロー、右フックを当てて主導権。大月もパンチを振るうが、森井はクリーンヒットを許さない。記者採点もジャッジも10-8で森井
3R、大月もパンチを当て、少し森井が苦しそうな表情を浮かべる場面もあったが、耐えてパンチを少しずつ返して挽回すると、右ハイでダウンを奪取。大月はダメージが大きく、森井がロープに詰めパンチを連打し続け、防戦一方となったところで、大成レフェリーがストップした。
森井は「野良犬が帰って来たぞ!4月にヨードレックペットに負けちゃったんですけど、あれから1日たりとも忘れていません。やられたらやり返したいです。倍返しです。リベンジして全試合KOしてトーナメント制覇します」と宣言した。
第5試合 61.5kg契約(ノンタイトル戦) 3分5R
○ヨードレックペット・オー・ピティサック(タイ/KING OF KNOCK OUTライト級(61.5kg)王者、ラジャダムナン王者、元ルンピニー王者・現2位)
×高橋一眞(真門ジム/NKBライト級王者)
判定3-0 (大村50-48/小川50-48/和田50-47)
ヨードレックペットはムエタイ界で最も権威ある、サイアムスポーツ社認定2017年ムエタイ部門MVPを受賞したトップ選手。4月大会でKNOCK OUTに初参戦し、森井に肘でTKO勝ちした。対する高橋一眞はKNOCK OUTにも揃って参戦している高橋3兄弟の長男。最近では2月に町田光からダウンを奪い判定勝ちし、5月の地元大阪大会では緊急出場のチュー・トップキングに28秒でKO勝ちしている。
1R、一眞が序盤から積極的にロー、パンチを放つが、ヨードレックペットはサウスポーでドッシリと構えてかわしたりブロックを続け、随所で右ロー、左ミドルを強打する。ジャッジも記者も10-10。
2Rも同様の構図で、まだヨードレックペットは手数が少ないが、時折当てる左ミドル、ローは強力。一眞は左ジャブ、前蹴りを細かく出し、長身なこともあり、少しヨードレックペットも攻めにくいかもしれない。その中で一眞は渾身の左ハイを当てるが、ヨードレックペットはひるまない。ジャッジも記者も10-10。
3R、一眞は右フック、右ハイを当てて見せ場を作るが、ヨードレックペットは変わらずひるまず、左のロー、ミドルを当て続ける。一眞は足を引きずるようになり、ステップがぎこちなくない。記者採点は10-9でヨードレックペット。ジャッジは1名がヨードレックペットにつける。
4Rもヨードレックペットが左ミドル、ローを随所で強打し、一眞は中盤にはスリップする場面も。一眞も連打こそもらわないが、打開の糸口が見いだせない。記者採点10-9でヨードレックペット。
5Rもヨードレックペットが左ミドル、ローを当てて主導権を維持。一眞はラストスパートもかけられず終了。記者採点は10-9でヨードレックペットで合計50-47でヨードレックペット。ジャッジ3者も順当にヨードレックペットを支持し、手堅い内容ながらも完勝に終わった。
第4試合 KING OF KNOCK OUT初代フライ級(-51kg)王座決定トーナメント一回戦Aブロック 3分5R
○石井一成(東京KBA/元タイTrue4Uフライ級王者)
×政所 仁(魁塾/DEEP☆KICK -53kg級2位)
判定3-0 (小川50-48/大成50-47/和田50-46)
フライ級王座決定トーナメントは6月の後楽園大会で一回戦のうち2試合が行われ、Aブロックで仲山大雅が山田航暉を2R KOし、Bブロックでタネヨシホが石川直樹に判定勝ちし初戦を突破している。10月7日の後楽園大会で準決勝、12月9日の両国国技館大会で決勝を予定している。
石井は昨年10月のRIZIN福岡大会で政所に判定負けしており、純キックルールでのリベンジマッチのチャンスが巡って来た。
1R、石井が序盤からスピードのある左ミドルを当て続けるが、政所も左ミドルを返し、左ハイ、左フックにもつなげる。終盤、石井が首相撲で膝を連打する場面も。ジャッジも記者採点も10-10。
2R、政所も時折攻撃を返すが、石井が伸びのある左ハイ、左ボディを当てて印象付け、首相撲からの膝、右肘等を当てて政所を攻め立てる。ジャッジ3者ともイーブンだが記者採点は10-9で石井。
3R、中盤から石井が左ボディを当てたのをきっかけにパンチラッシュ。クリーンヒット自体は少ないが、攻勢を印象付けるには十分だ。終盤にかけて膝も当て主導権を維持。記者もジャッジ3名も石井に10-9とつける。
4Rも石井が首相撲の膝を効かせつつ、軸足刈りも中盤には2度決めて好印象。3R制の試合中心だった政所は明らかにバテており、ガードも上がり切らない。記者採点は10-9で石井。
5Rも石井が圧倒し、首相撲で頭を下げさせて左膝を当て、政所は左眉の上をカットしドクターチェックを受ける。再開後もフラフラの政所を膝主体で圧倒。記者採点は10-9で石井。合計50-46で石井。2点差しかつけなかったジャッジもいたが、石井が文句無しの判定勝ちでリベンジと準決勝進出を果たした。
石井は「僕がこんな試合をしていたらダメなんで、準決勝、仲山選手との試合は違う試合を見せます。僕のチャンピオンロード見に来てください」とアピールした。
第3試合 KING OF KNOCK OUT初代フライ級(-51kg)王座決定トーナメント一回戦Bブロック 3分5R
×能登龍也(VALLELY/元NJKFフライ級王者)
○大崎一貴(OISHI GYM/WMC日本フライ級王者)
2R 1’12” KO (右ストレート)
1R、能登は右フック主体で、一貴は右ロー、ミドル、肘、崩しといったムエタイ系の技と、バックスピンを駆使。まだ均衡状態は大きく崩れない。記者採点は10-10。1名は一貴につける。
2R、一貴が右ローを当てていると、能登は少しバランスを崩す。すると一貴はこのチャンスを逃さず、コーナーに詰めて顔面、ボディに散らしながらパンチを連打しダウンを奪う。能登は立ちがるがダメージが大きく、一貴がパンチと蹴りで追い詰め、右ストレートで再びダウンを奪う。能登はコーナーに背中をつけながら立ち上がるが、足に力が入らず、大村レフェリーがKOを宣告した。
一貴は「一回戦KOで勝ててホッとしています。この調子で準決勝と決勝もKOで勝って優勝するんで応援お願いします」とアピール。21歳とはいえまだ初々しい喋り方に、場内もどよめいた。準決勝はタネヨシホと対戦する。
第2試合 70kg契約 3分5R
○緑川 創(藤本ジム/元新日本キック日本ウェルター級王者)
×宍戸大樹(シーザージム/元シュートボクシング東洋太平洋ウェルター級王者)
2R 1’26” TKO (ドクターストップ:右肘打ちによる額のカット)
緑川は6月27日にラジャダムナンスタジアムでタイトルに挑戦したが完敗。今回が再起戦で、10月8日のREBELSで日菜太と対戦することも既に決まっている。今回戦う予定だった長島☆自演乙☆雄一郎が交通事故で怪我をし欠場。代わってKNOCK OUTに初参戦する宍戸は、16年4月に一度引退したが、今年4月に復帰し、6月の土屋大喜戦でのTKO勝ちと共に2連勝している。
1R、穴戸がいつものように回転系の動きを織り交ぜるが、緑川は落ち着いてプレッシャーをかけ続け、右ローを軸にしつつ、左右のフックを随所で当てて主導権。ジャッジ2者は緑川につける。記者も緑川10-9。2Rも緑川がパンチ、ローで主導権を維持すると、少し離れた距離から右の肘打ちをヒット。宍戸は額が大きく割れ、1回目のドクターチェックでストップ。緑川が国内70kgトップクラスの実力を見せつけた。
第1試合 64.5kg契約 3分5R
○水落洋祐(はまっこムエタイジム/元REBELS 65kg級王者)
×橋本 悟(橋本道場/MuayThaiOpenスーパーライト級王者、元INNOVATIONライト級王者)
4R 1’06” KO (左フック)
1R最初から水落が圧力をかけ、顔面とボディにパンチを当て主導権を握る。橋本も少しずつ右ローを返すが、水落の勢いは落ちず、2Rは中盤からパンチで追い詰める展開。だが3R中盤から橋本も右フックのヒットを増やして水落をぐらつかせて挽回する。ジャッジは2Rが3者とも水落、3Rは2者が橋本につけ、均衡状態に戻る。
だが橋本のダメージの蓄積は大きく、4Rの序盤から水落が詰めると、左フックをクリーンヒットしてダウンを奪取。橋本は立ち上がるがダメージが大きく、再び左フックがクリーンヒットし、橋本の頭が大きくのけぞったところで小川レフェリーがストップした。
好勝負を制しマイクを持った水落は「ボルケーノ・水落洋祐、復活しました。まだまだ頑張ります」とアピールした。