KNOCK OUT 5.3 エディオンアリーナ大阪:大月晴明、山口侑馬を2R KO。高橋亮、宮元啓介との激戦制す。タネヨシホ&山田航暉、フライ級トーナメントにつなぐ快勝
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KNOCK OUT 2018 OSAKA 1st
2018年5月3日(木/祝) エディオンアリーナ大阪 第二競技場
レポート:井原芳徳
第6試合 メインイベント 64kg契約(=スーパーライト級相当) 3分5R
○大月晴明(マスクマンズ/元Krush -60kg王者、元WPKC世界ムエタイ&全日本ライト級王者/63.7kg)
×山口侑馬(山口道場/INNOVATIONライト級王者/63.8kg)
2R 1’20” KO (3ダウン:パンチ連打)
大月は昨年12月10日の両国大会の第1試合で町田光と対戦し、3R 右ハイでTKO負けを喫したが、3R途中までは真っ向からパンチの打ち合いを繰り広げ、44歳ながらも“爆腕”健在を印象付けた。
対する山口兄弟の弟・侑馬は昨年2月、DJ.taikiの代役で急きょKNOCK OUTに参戦し、町田光に3R右肘でTKO勝ち。KING OF KNOCK OUTライト級王座決定トーナメントに出場したものの一回戦で前口太尊に敗れた。その後もホーストカップで元ルンピニー2階級王者のマキ・ピンサヤームに判定負け、今年2月のシュートボクシングでSB世界王者の鈴木博昭に左の蹴りで攻め込まれた後にチョークスリーパーで一本負けを喫し、現在4試合連続で勝ち星が無い。侑馬は地元大阪での試合。大月も東京在住だが京都出身だ。大月のセコンドには晩年に戦った滋賀出身のヤスユキがつく。
1R、大月が独特の低い構えから、時折スイッチしつつ、左ボディ、右フック、左右のアッパーを強打。侑馬は時折もらいつつも、なんとかこらえ続け、右ストレート、右ミドルを返すが、攻撃が少なく、大月の勢いを止められない。記者採点は10-9で大月で、オープンスコアでのジャッジ3者も同じだ。
2R、侑馬は意を決したようにパンチラッシュを仕掛けて大月をコーナーに詰めるが、打ち合いの中で被弾すると逆にフラつき、大月が左ストレートで倒す。大成レフェリーはスリップと判断したが、侑馬は明らかにダメージが溜まっており、再び大月が左ストレートを当てて倒し、今度はダウンを宣告。さらに大月は左フックで2ダウン目を奪う。侑馬は立ち上がるが、足元がおぼつかない。最後は大月が左右のフックで押すような感じで侑馬を倒したところで、レフェリーが3ダウン目を宣告し、大月のKO勝ちとなった。
大月は「相手はピエロで、パンチも肘も強い選手なので怖かったんですけど、44歳でもできるのは、若い奴に気迫に刺激を受けて、エネルギーもらっているからです。アラフォー、負けてたまるか、って気持ちだったんで、勝てて良かったです」と話し、笑顔を浮かべた。(写真は昨年10月の試合での大月)
第5試合 55.5kg契約(=スーパーバンタム級相当) 3分5R
○高橋 亮(真門ジム/NKBバンタム級王者/55.4kg)
×宮元啓介(橋本道場/WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級王者/55.3kg)
判定3-0 (大成50-49/大村49-48/岡林50-47)
宮元も高橋三兄弟の次男の亮も12月の両国国技館大会に出場。宮元は新日本キックのエース格・江幡塁を三日月蹴り、右ハイ等で苦しめたが判定2-0で惜敗し、亮は小笠原瑛作とダウンの応酬の末に引き分けている。那須川天心を頂点とする55kg戦線で、その次の位置にいる塁と小笠原が6月8日の後楽園ホールでの対戦を予定し、その2人を脅かした両雄が亮の地元大阪で激突する。
1R、長身の亮がサウスポーに構えてプレッシャーをかけ、左ミドル、左インローを序盤から積極的にヒット。宮元も少し右ミドル、インロー、右三日月蹴りを返すようになるが、やや後手だ。記者採点は10-10。ジャッジ3名もイーブンだ。
2R、亮は左の蹴りだけでなく、右ジャブ、左ストレートも少しずつ当てるように。だが中盤から宮元が圧力をかける側になり、右のミドル、三日月、組んでの膝を当て、少しずつペースをつかみ、終盤にはロープに詰めて左右のボディフックを当てる。流れは宮元だが、記者採点はまだ10-10。ジャッジ3名もイーブンだ。
3Rも亮の左ミドル、ロー、宮元の右ミドル、三日月、組んでの膝の応酬。亮の蹴り数が少し多いが、宮元も返せており、差はつけにくい。記者採点は10-10だが、ジャッジは3名とも10-9で高橋につける。
4R、両者蹴りを使うが、点差をつけられた宮元が圧力を強め、ボディへのパンチ、組んでの膝を増やし挽回。亮も左ミドル、左肘を当てるが、下がる展開が続いてしまう。宮元が若干優勢だが記者採点は10-10。4R以降は採点はアナウンスされない。
5Rも宮元が前に詰めるが、亮も左右のストレートを当てるように。宮元も中盤以降は右ミドル、左右の膝を当てるが、なかなか亮もひるまず、左ストレート、左肘をねじ込む。宮元も終盤、残りの力を振り絞って、必死に右ミドルの3連打、左ハイを当てるが、最後まで亮を崩しきれず終了。記者採点は10-10で合計50-50のドロー。ジャッジは3者とも僅差ながら亮を支持し、亮の判定勝ちとなった。
第4試合 52.1kg契約(=スーパーフライ級相当) 3分5R
○タネヨシホ(直心会/WBCムエタイ日本統一フライ級王者/52.0kg)
×MASA BRAVELY(BRAVELY GYM/KING OF STRIKERSスーパーフライ級1位/51.4kg)
3R 0’24” KO (右回転肘打ち)
タネは昨年10月のKNOCK OUT後楽園大会で引き分けた能登龍也と2月のNJKFで再戦し、大差の判定勝ちをおさめ、WBCムエタイ日本統一フライ級王座を獲得し、大阪に凱旋。出場が決まっている「KING OF KNOCK OUT初代フライ級王座決定トーナメント」に向けてしっかりクリアしたい一戦だ。対するMASA BRAVELYは大分出身でKNOCK OUT初参戦。福岡のKING OF STRIKERSを主戦場にする。
1R、サウスポーのMASAに対し、タネが中央に構え、右のインローをヒット。MASAも左ミドルを返すが、少し手数は劣る。記者採点は10-10。ジャッジ1名は10-9でタネにつける。
2R、タネが右ミドル、右肘を当て、MASAが左ミドル、崩しを決めると、タネも崩しをお返し。タネは組んでの右膝、離れての右ミドル、右ボディストレートをうまく当て、少しMASAの表情が曇る。記者採点は10-9でタネ。ジャッジ1名は10-9でタネをつける。
すると3R開始すぐ、タネはロープ際までじりじり下がってMASAを誘うと、MASが左ストレートを放った直後に、右のバック肘をクリーンヒット。ダウンしたMASAは伸びた状態となり、岡林レフェリーがストップした。解説席の石井宏樹氏は「攻撃がシャレてますね」と評したが、6月からのトーナメントも、タネが多彩な技で盛り上げてくれそうだ。
第3試合 KING OF KNOCK OUTフライ級トーナメント出場者決定戦 51kg契約(=フライ級相当) 3分5R
○山田航暉(キング・ムエ/WMC日本スーパーフライ級王者/50.8kg)
×高坂侑弥(エイワスポーツジム/元TENKAICHIフライ級王者/50.7kg)
判定3-0 (北尻50-46/大成50-45/岡林50-46)
「KING OF KNOCK OUT初代フライ級王座決定トーナメント」は6.8 後楽園と8.19 大田区総合体育館大会で一回戦2試合、10月上旬の都内大会で準決勝、12月上旬の都内大規模会場大会で決勝を予定。タネヨシホ、能登龍也、石井一成、政所仁、大崎一貴、仲山大雅、石川直樹の7選手の出場が決まり、残り1枠を山田と高坂が争う。
山田は昨年後半は10月のシュートボクシングでの笠原友希戦、12月のINNOVATIONの岩浪悠弥戦で連続で判定負けしたが、バンタム級以上の相手との試合が続いていた。4月8日のBOMで佐々木雄汰に判定2-0で惜敗したが、ハイレベルな蹴り技の応酬を繰り広げていた。
高坂は昨年7月のROAD TO KNOCK OUTで安本晴翔とも引き分け、安本のプロデビュー以来の連勝を6でストップ。その後は昨年9月の新日本キックで古岡大八に、12月のBOMでユウ・ウォーワンチャイに判定負けしているが、こちらもバンタム級の相手との試合が続いていた。
1R、山田が中央からプレッシャーをかけ、着実に左右のミドル、ローをヒット。高坂はなかなか攻撃を出せない。記者採点は10-10。ジャッジ1名が山田に10-9とつける。
2Rも山田が矢継ぎ早に左右の蹴りを出して主導権。中盤には崩し、右肘も駆使。終盤も山田がミドル、膝、崩しで攻勢を維持する。記者採点は10-9で山田。ジャッジ3名が山田に10-9とつける。
3R、山田がミドル、ロー、前蹴り、肘を当て高坂を翻弄。記者採点は10-9で山田。ジャッジ3名も10-9で山田。山田はジャッジの採点を聞いて、ムエタイとは違うKNOCK OUTの採点基準においても、自分の攻めが評価されることに安心し、3Rは積極性を増した印象だ。
4Rも山田がミドルを当てつつ、首相撲からのボディへの膝、右ローを効かせ、高坂は度々ぐらつくように。記者採点は10-9で山田。
5Rも山田は首相撲から膝を再三当てて圧倒。記者採点は10-9で山田。合計50-46で山田。山田の完勝は、トーナメント出場決定済の選手たちにも刺激を与えたことだろう。
第2試合 57.15kg契約(=フェザー級相当) 3分5R
×伊仙町典久(BLA-FREY/J-NETWORKスーパーバンタム級王者/57.0kg)
○Phoenixx祥梧(Phoenixx Nak Muay Gym/WBCムエタイ日本統一フェザー級4位/57.0kg)
1R 1’07” KO (左フック)
KNOCK OUT初参戦同士の顔合わせ。伊仙町は徳之島の伊仙町出身の32歳。徳之島で闘牛の取り組み中、胸に傷を負い生死をさまよった過去もあるといい、就職で関西に引っ越し、神戸のBLA-FREYに在籍し、25歳でプロデビューした、最近では珍しい遅咲きの選手だ。
対する祥梧は大分出身の23歳で、ISSHIN、大和といったローカル大会で王者となり、REBELSやINNOVATIONの東京の大会にも上がり、昨年はタイでのクンルンファイト、スペインでのISKAインターコンチネンタル王座戦といった試合も経験している。
1R、伊仙町はサウスポーからの左ミドル、祥梧は右ミドルを当てていたが、伊仙町の左ローのタイミングで、祥梧が左のショートフックを当ててダウンを奪取。祥梧は圧力をかけてロープ際に詰めると、伊仙町に右ボディと左フックを連打してひるませると、パンチラッシュから左フックを当てて2ダウン目を奪い、カウント中にレフェリーがストップ。祥梧が見事な秒殺で存在感を示した。
第1試合 3分5R
○高橋一眞(真門ジム/NKBライト級王者/61.3kg)
×チュー・トップキング(フィリピン/トップキング・チーム・フィリピン)※茂木俊介(ゲオサムリットジム)から変更
1R 0’28” KO (右膝蹴り)
高橋3兄弟の長男・一眞は、2月の大田大会で町田光から右ストレートでダウンを奪い判定勝ちし、地元凱旋。対戦予定だった茂木俊介が計量前に体調不良となり欠場し、代わってチューが大会前日のオファーで緊急出場した。チューは1990年3月30日生まれの28歳で、KNOCK OUTの発表によるとキック・ムエタイ21戦16勝5敗、ボクシング9戦5勝2敗2分、MMA8戦5勝3敗。高橋は61.5kg契約の前日計量を61.3kgでクリアしているが、チューの体重は不明。
リング上で並ぶと、チューは背が低く、本来はバンタム級ぐらいの体格という印象。開始すぐから高橋が左ミドルを当て、左フックで飛び込んできたチューを首相撲で捕まえると、膝蹴りを連打し、あっさりとKOした。高橋は「急きょオファーを受けてくれたチュー選手、ありがとうございました」とマイクで話した。