シュートボクシング 2.10 後楽園ホール:海人、タップロンを4R KO。快勝の鈴木博昭「KNOCK OUTのベルトを持って凱旋します」。MIO防衛
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SHOOT BOXING 2018 act.1
2018年2月10日(土) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第10試合 メインイベント スーパーライト級(65kg)(肘有り) 3分5R(無制限延長R)
○海人(TEAM F.O.D/SB日本王者/64.7kg)
×タップロン・ハーデスワークアウト(タイ/ハーデスワークアウトジム/SB世界2位、元WMC世界フェザー級王者/65.0kg)
4R 2’36” KO (右膝蹴り)
今年のシュートボクシングの後楽園での本戦シリーズは2月10日を皮切りに、4月1日、6月10日、9月15日に実施。7月にはGirls S-cup、11月にS-cupを都内で開催予定だ。トーナメントのS-cupは男子が鈴木博昭、海人のいるスーパーライト級(65kg)、女子がMIO、MISAKIのいるミニマム級(48kg)で行われる予定で、この4選手が揃い踏みする今大会は今後の展開を占う上で重要だ。
鈴木が昨年、KNOCK OUT参戦を希望したあたりから、シュートボクシングでも肘有りルールの試合が増え、今回も鈴木、海人らの後ろ3試合は肘有りに。昨年11月のSBのTDCホール大会で海人が優勝したSB日本スーパーライト級王座決定トーナメントも肘有りだったが、今回はムエタイがベースのタイ人・タップロンが相手だ。タップロンは最近2試合はジン・シジュン、北野克樹に判定負けしており、久々に勝利を噛み締めたい思いも強いだろう。
1R、お互いミドル主体の展開。慎重な出だしで、ジャッジ3者ともイーブンだ。2R、海人がジャブを突いてじわじわ距離を詰めようとするが、タップロンは回ってかわし続け、随所で左ミドル、左フックをヒット。海人はなかなか攻撃をうまく当てられない。首相撲では互角に渡り合うが、全般にうまく封じられている印象で、ジャッジ1者はタップロンを支持する。
海人はタップロンのムエタイのリズムに付き合い過ぎている感があり、3Rになるとセコンドからも「楽しんだらええねん」という声が飛ぶ。それでも海人はジャブを突いてそこから攻撃をうかがう状態を繰り返し、時折パンチや蹴りを当てるが、きっちりタップロンはお返し。タップロンが左右のフック、ミドルで上手さを発揮し続け、ジャッジ2者に支持される。
ところが4R、同じような形で続き、ロープを背負い続けるタップロンを海人が攻めあぐねているかに思いきや、突然フィニッシュが訪れる。海人がタップロンをコーナーに詰め、伸びのある右フックを当ててぐらつかせると、すぐさま組み付いて右の膝蹴りをボディに連打し、そこから振り倒す。タップロンはうずくまり、レフェリーはダウンを宣告。そのままタップロンは立ち上がれずノックアウト。海人が集中力を切らさず、粘りに粘って引き寄せたワンチャンスを見事ものにした。
マイクを持った海人は「今年、世界取りに行きます」と宣言。世界王者・鈴木博昭が歯が立たなかったタップロンに完勝したことで、今年はフィナーレのS-cupまでシュートボクシングの主役となることは間違いなさそうだ。
第9試合 59kg契約(肘有り) 3分5R(無制限延長R)
○村田聖明(シーザージム/SB日本スーパーフェザー級(60kg)王者/59.0kg)
×深田一樹(龍生塾ファントム道場/SB日本フェザー級(57.5kg)王者/58.75kg)
6R 判定3-0 (小川10-9/津山10-9/若林10-9)
5R 判定0-1 (小川50-50/津山48-50/若林49-49)
両者は15年12月のTDC大会で対戦し、深田が判定勝ちしている。深田は昨年、内藤大樹相手に防衛に成功し、新鋭・笠原友希にも勝利し、今は2階級制覇を目指しており、今回も勝てば村田との王座戦を希望していた。
1R、深田がサウスポーに構え、村田がオーソドックスに構え、お互い少し蹴って慎重な状況が続く。終盤、深田が首相撲に持ち込むと、村田は顔を押して肘を放つ。両者肘有りは初経験のため、対処も気になるところ。終了間際のパンチの打ち合いで被弾した村田は鼻血を出す。ジャッジは3者ともイーブンだ。
2Rも村田は肘を狙うが、深田はクリーンヒットを免れ、パンチと蹴り主体の攻め。お互いはっきりした攻撃は乏しく、このラウンドもイーブンだ。
3Rに入ると、深田も肘を多用し、首相撲からお互い肘の打ち合いを繰り広げる場面も。膝よりも肘が多いぐらいで、蹴りは減り、パンチも多い。有効打は少し深田が上で、ジャッジ1者が支持する。村田は鼻血で顔が染まり苦しそうだ。
4Rも基本的に同様の構図で、肘とパンチ主体の攻防で、着実に当てるのは深田のほう。5Rも同様で、度々左の肘、フックを当てる。村田も時折右ミドルを強打するが流れは変わらず終了。4R以降、深田が優勢にも見えたが、ジャッジ2者には評価してもらえず、延長に突入する。
すると6R、1階級上の王者として負けられない村田が底力を発揮。飛び膝で開始早々から勢いよく出ると、右ミドルを随所でヒットし反撃に出る。深田もパンチと肘を返すが4R・5Rよりも減ってしまい印象が悪い。延長Rは村田優勢で、3票獲得は納得できるが、本戦では大苦戦の内容。ベルトを賭けての完全決着戦に期待したい。
第8試合 64kg契約(肘有り) 3分5R(無制限延長R)
○鈴木博昭(ストライキングジムAres/SB世界スーパーライト級(65kg)王者/64.0kg)
×山口侑馬(山口道場/INNOVATIONライト級王者/64.0kg)
2R 2’53” チョークスリーパー
鈴木は昨年4月、山口の兄・裕人と対戦し、5R肘でKO勝ちしている。鈴木は4月14日からKNOCK OUTスーパーライト級王座決定トーナメントへの出場を控えている。前日計量で「シュートボクシングの開幕戦を盛り上げるのはシュートボクサーとしての義務」と話していたが、その義務を果たす好ファイトを繰り広げる。
- 山口侑馬(右)と兄の裕人
1R、鈴木がいつも通りサウスポーに構え、オーソドックスの侑馬に対し、右ジャブ、前蹴りを放ちながら、左ミドル、左ローをヒットし続け主導権を握る。侑馬も重みのある左ボディを当てるが、鈴木はひるまず、侑馬は顔面狙い含めパンチの空振りが多い。鈴木がジャッジ3者から支持される。
2Rも基本的に同じ構図で、鈴木が着実に攻撃を当て続ける。侑馬もパンチ、肘を当てようと圧力を強め、鈴木はロープを背負う時間が続くが、その状態でも左ミドル、ハイ等を当て続け主導権を維持。するとラウンド終盤、侑馬に組み付いて背後に回り込むと、チョークスリーパーを極める。シュートボクシングもMMAも経験の無い侑馬は対処できずタップアウト。鈴木は勝利が決まると、コーナーに南側のニュートラルコーナーに登って大喜びした。
鈴木は「シュートボクシングファンの皆さん、お帰りなさい。僕は4月からKNOCK OUTのトーナメントに出ます。今年は開幕戦とS-cupしかシュートボクシングに出る機会が無いので、どうしてシュートボクシングの技を決めたくて、思った通りになって良かったです。KNOCK OUTのスーパーライト級のベルトを持ってS-cupに凱旋します。今年の格闘技人生を全てここに賭けたいです」とアピールした。
第7試合 SB日本女子ミニマム級(48kg)タイトルマッチ 3分5R(無制限延長R)
○MIO(シーザージム/王者、香港Energy Fight×Shoot Boxing同級王者/47.95kg)
×MISAKI(GSB/2位、J-GIRLSミニフライ級王者/47.05kg)
判定2-0 (若林49-48/北尻49-49/津山49-47)
※MIOが初防衛
両者は16年6月の浅草花やしき大会で対戦しMIOが判定勝ち。だがプロ3戦目のMISAKIは素質の高さを示し、J-GIRLSのベルトを獲得するなどの躍進を遂げた。
1R、MISAKIがゴングが鳴ってからすぐに前に出て、パンチ、前蹴りを積極的に出すが、MIOは組み付いて前方への投げを決めシュートポイント1を獲得。心理的にも優位に立つ。MISAKIはその後も積極的に攻め、投げも狙うが、失敗が多く、逆に随所でMIOが右フック、右アッパーを的確に当て好印象を残す。2Rも基本的に似たような構図で、MISAKIも右ストレートを当てるが、MIOのヒット数が上回る。
3R、両者少し疲れが見えて来たが、MISAKIは左右のミドルを随所で当て、わずかに好印象。ジャッジ1者はMISAKIにポイントをつける。4Rも同様の流れで少しMIOが劣勢だったが、終盤に右ローを連打し挽回する。
5R、MISAKIが左ボディ、ミドル、ハイを当ててMIOを苦しめるが、MIOも随所でパンチと膝を返し、はっきりした差はつけさせず終了。判定勝ちがMIOに告げられると同時に、MISAKIは泣き崩れたが、その後は友人でもあるMIOと抱き合い健闘を称え合った。
MIOは「MISAKI選手、前に戦った時と別人のような強さでした。7月の世界トーナメントの決勝で再戦したいです。3月に初めて舞台に出るので、色んな事に挑戦したいです」とアピールした。
第6試合 スーパーウェルター級(70kg) 3分3R(無制限延長R)
×北斗拳太郎(ボスジムジャパン/SB日本王者/70.0kg)
○忍アマラー(モンゴル/SBモンゴル/SHINOBUファイティングジム/元WPMF世界スーパーライト級王者、元全日本ライト級王者、元MA日本スーパーフェザー級王者/69.85kg)
4R 判定0-2 (若林10-10/津山9-10/北尻9-10)
3R 判定0-1 (若林29-29/津山29-30/北尻29-29)
忍はかつて「花戸忍」「白鳥忍」「ツグト忍アマラ」等のリングネームで活躍した選手。現在38歳。母国モンゴルに戻ってからもキックボクサーとしての活動を続けていた。日本での試合は9年ぶりだ。
1R、開始すぐから北斗が右ミドルを強打し、右ストレートで忍をのけぞらせる場面も作り攻勢。忍は速いパンチに反応できていない。
だが2R、忍は序盤にパンチを連打し先手。北斗は少し勢いが落ちるものの、忍もその後に続かず、北斗は少しずつ蹴りとパンチを返し挽回する。
3R、パンチの打ち合いが続き、忍も当てるが、空振りも多く、疲れが目立ち、北斗のヒット数が終盤に増加し終了。意外にもジャッジ1者は1Rの北斗の攻勢を評価せず、延長に突入する。
4R、北斗は投げでのポイントを狙って繰り返すが、力が入りきらず失敗が続く。中盤、忍は崩して倒した後に顔面を蹴ってしまいイエローカードをもらう。忍は終盤に随所で左右のミドルを当て、手数で印象を残す。はっきり差のつかない内容だったが、ジャッジ2者は忍の蹴りを評価し軍配。北斗は採点に不満げな表情でリングを降りた。
第5試合 67kg契約 3分3R(無制限延長R)
○チングン新小岩(モンゴル/シーザージム新小岩/SB日本ウェルター級(67.5kg)1位/66.6kg)
×喜入 衆(フォルティス渋谷/ルンピニージャパンウェルター級王者/67.0kg)
判定3-0 (若林29-27/茂木29-27/津山28-27)
1R、チングンが序盤から圧力をかけ、右ミドル、右ハイ、バックスピンキック、二段蹴り等アグレッシブに攻め、終盤には腰投げでシュートポイント1を奪う。2Rもチングンのアグレッシブな攻めは止まらず、腰投げでシュートポイント1を重ねる。3Rもシュートポイント1を獲得。喜入も右フックを当て、シュートポイント1を奪い返して見せ場を作るが、差は埋められず、チングンの完勝に終わった。
第4試合 58kg契約 3分3R(無制限延長R)
○笠原弘希(シーザージム/SB日本フェザー級(57.5kg)1位/57.9kg)
×浜本“キャット”雄大(クロスポイント大泉/WPMF日本スーパーバンタム級王者/58.0kg)
判定3-0 (茂木30-28/若林30-28/津山30-27)
1R、弘希が圧力をかけ、左右のストレート、左ジャブ、右ローのヒットを増やし攻勢。序盤こそ浜本も左ボディやローを当てていたが、次第に防戦に。2Rになると弘希は圧力をかけ続け、左ミドル、組んでの左膝のヒットを増やす。浜本も攻撃を返すが弘希の勢いを止められない。3Rは弘希が度々左ボディ、左フック等のパンチを当て続け圧倒。ダウンは奪えなかったが他団体の王者に完勝した。
第3試合 スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(無制限延長R)
○植山征紀(龍生塾ファントム道場/SB日本1位/55.0kg)
×内藤凌太(ストライキングジムAres/SSB日本3位/54.75kg)
判定2-0 (平30-29/津山29-29/若林30-28)
1R、植山が内藤兄弟の長男・凌太に左ボディを度々ヒットし攻勢。お互い右ローを当て、凌太も無抵抗では無い。2Rも植山が左ボディ、左テンカオをうまく当てて優勢だったが、セコンドから右アッパーの指示が出るようになると、うまく当てられず、逆に凌太が右ロー、左ハイを当て挽回。僅差の状態に。3R、植山が中盤まで右アッパー、左テンカオ等を当て優勢。凌太も終盤にかけて蹴りを返すが、流れは変わらず。一者は厳しくドローとしたが、植山が2票獲得し判定勝ちし、1位の座を守った。
第2試合 スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(無制限延長R)
×伏見和之(シーザー力道場/SB日本2位・元王者/54.9kg)
○川上 叶 [きょう](龍生塾/54.9kg)
4R 1R 1’10” KO (左飛び膝蹴り)
3R 判定0-0 (平29-29/津山29-29/若林29-29)
1R、川上がサウスポーからの左インローを効かせ先手を取る。2R、伏見は左ボディも効かせつつ圧力を強め、パンチの打ち合いに持ち込み、若干優勢に。3R、伏見は右ミドル、左膝を当て、投げも狙い続け、積極性では上回るが、はっきりした攻撃は乏しいまま終了。とはいえ伏見がポイントを取り返して延長に持ち込む。だが4R、川上が序盤から左ストレートでダウンを奪うと、その後もパンチで下がらせ、左の飛び膝をアゴに叩き込みノックアウト。川上は3連敗中・ノーランカーだが、元王者からまさかのKO勝ちを奪うことに成功した。18歳と若く、将来が楽しみだ。
第1試合 スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(無制限延長R)
○笠原友希(シーザージム/SB日本6位/55.0kg)
×内藤啓人(ストライキングジムAres/54.9kg)
1R 2’48” TKO (タオル投入:左ストレートで2ダウン後)
笠原弘希の弟・友希、内藤兄弟の三男・啓人の対戦は、笠原弟が圧倒する展開。開始すぐ、サウスポーからの左ミドルを当て、蹴りを当て続けると、右フックで倒す。レフェリーはなぜかダウンを取らなかったが、啓人が立つとすぐ、友希が左ストレートで撃ち抜き ダウンを奪取。その後も友希がパンチと蹴りで圧倒し、左ストレートでまたもダウンしたところで、レフェリーが止める前に内藤陣営がタオルを投入した。