DEEP 8.26 後楽園ホール:ジョシュ・バーネット軍団、DEEPを席捲。ビクター・ヘンリーは大塚隆史を、アリーシャ・ガルシアはSARAMIを粉砕
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カーエイドpresents DEEP 85 IMPACT
2018年8月26日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第9試合 バンタム級 5分3R
×大塚隆史(T GRIP TOKYO/元DEEPバンタム級&フェザー級王者/61.65kg)
○ビクター・ヘンリー(米国/UWF USA/HF/61.40kg)
3R 1’36” KO (ボディへの右前蹴り)
大塚は昨年、RIZINのバンタム級トーナメントに出場し、アンソニー・バーチャック、カリッド・タハに勝利して大晦日の準決勝に進んだが、石渡伸太郎に判定負け。「RIZINが終わって、試合が決まらなくてヤベえなって。試合しないと選手は忘れられちゃうんで、とにかく強い外人とやって勝って自分で発信していかないとなって」と思い、ヘンリー戦を自ら希望して実現させた。
ジョシュ・バーネット率いるUWF USA所属のヘンリーは13年7月、プロ8戦目で初来日し、GRANDSLAMで所英男に2R TKO勝ちして番狂わせを起こし、その後は上田将勝、中島太一、福島秀和に勝利。15年12月のパンクラスの石渡伸太郎とのバンタム級タイトルマッチでは5Rの激闘を繰り広げるも判定負けに終わったが、激しい打ち合いで顔を腫らしたのは石渡のほうで、最後まで勝者がわからない接戦だった。石渡戦以降、ハファエル・シウバと上田に敗れたが、最近では2月のKOTCカリフォルニア大会でブラジル人選手に2R TKO勝ちしている。
1R、ヘンリーが左ミドルを強打するが、大塚は蹴り足をつかんで押し込み倒す。だがヘンリーはすぐスタンドに戻し、スイッチを繰り返しながらローやミドルをヒットし主導権を握る。大塚も右ローを返すが手数で劣る。残り10秒、大塚が押し込んでから倒してパウンドを当てるが、スタンドの劣勢を覆せたかというと微妙なところか。記者採点は9-10でヘンリー。
2Rもヘンリーが打撃で先手を取るが、大塚は蹴り足をつかんで押し込む。だがヘンリーは金網を背にして飛びつきながらアームロックを仕掛け、そのまま倒して上に。スタンドに戻れば、ムエタイ式に崩してからサッカーボールキックを放ち、大塚の背後に回って裸絞めを狙う。スタンドに戻ってからもパンチと肘で大塚を追い詰める。記者採点は9-10でヘンリー。
3R、打撃戦でヘンリーが優位を維持した後、30秒ほど押し込むが、離れると、ヘンリーが右ロー、右フックをヒット。大塚が金網際まで真っすぐ下がると、右の前蹴りを腹にクリーンヒット。大塚は崩れ落ち、梅木レフェリーがストップした。
大塚が再浮上を期し実力者との一戦に賭けたが、完敗に終わる形に。マイクを持ったヘンリーは「ガッツのある選手がいれば戦います。DEEPのベルトにも挑戦したいです」とアピール。試合後はセコンドのバーネット、この日共に勝利したアリーシャ・ガルシアらとケージを占拠し勝ち誇った。
第8試合 バンタム級 5分3R
○釜谷 真(ハニートラップ/Tri.H STUDIO/61.60kg)
×坂巻魁斗(BRAVE/元ZSTフライ級暫定王者/61.20kg)
判定3-0 (福田30-27/豊永29-28/新美30-27)
大塚が昨年末のRIZINバンタム級GPの激闘で負傷したため王座を返上。4月のDEEP後楽園大会での第6代王座決定戦ではソン・ジンスが2R TKO勝ちした。そのジンスに昨年10月の王座挑戦者決定戦で判定負けしたのが釜谷。4月の大阪大会ではピーター・ベナベンテに1Rギロチンで快勝しており、ジンスへのリベンジとベルト獲得に向けて着実に結果を残しておきたいところ。対する坂巻は6月のディファ大会で小林博幸とドロー。DEEPでは1勝1敗1分と苦戦しているが、釜谷戦は一気に王座戦線に食い込むチャンスだ。
1R、釜谷がタックルで倒して上になり、坂巻がもがくと、釜谷は立ってサッカーボールキックを当てる。坂巻もタックルで倒そうとするが、釜谷は体をひねって上に。坂巻の立ち際にギロチンを仕掛けて追い詰める場面も作る。記者採点10-9で釜谷。
2Rも釜谷がトップを奪う等主導権を維持。坂巻も下から足関を狙うが、釜谷は防御しガブリの体勢に。スタンドに戻り、最後も坂巻がアキレス腱固めを狙うが釜谷は防御する。記者採点は10-9で釜谷。
3R、坂巻がバックスピンキック、左ボディを当て、釜谷がタックルに来ればギロチンで迎撃するが、釜谷は難なく外してトップキープ。坂巻も下から仕掛けを続けるが、釜谷は潰し続け終了する。記者採点10-9で釜谷。合計30-27で釜谷。坂巻も再三見せ場を作って終盤までどちらに転ぶかわからない試合にしたが、ポイントゲームでは釜谷の完勝となった。
第7試合 女子アトム級 5分3R
×SARAMI(パンクラスイズム横浜/47.75kg)
○アリーシャ・ガルシア(米国/UWF USA/47.95kg)
2R 2’05” TKO (レフェリーストップ:左ハイキック→グラウンドパンチ)
ガルシアはビクター・ヘンリーと同じ、ジョシュ・バーネット率いるUWF USAに所属する選手。16年末のRIZINで初来日し浅倉カンナに判定勝ち。昨年10月のRIZINの女子スーパーアトム級(49kg)トーナメント一回戦ではマリア・オリベイラに判定負けした。今年5月のRIZINでは浜崎朱加の日本復帰初戦の相手を務め、判定負けに終わったものの、伸びのあるパンチで浜崎を苦しめ、3Rにはバックマウントの奪い合いで見せ場を作った。
SARAMIは3月のDEEP JEWELSでアトム級王者の黒部三奈に挑戦し、判定負けして以来の試合。RIZINで活躍する相手と、男子主体のDEEPで戦うことで、新たな層にも存在をアピールするチャンスだったが、ガルシアの壁は高かった。
1R、ガルシアがサウスポーからジャブ、ストレートと打撃で主導権。SARAMIが時折押し込むがテイクダウンを許さない。ブレイク後、SARAMIがガルシアの腕を抱えつつ足を掛けて倒して上になるが、ガルシアは下からオモプラッタで捕まえつつ上になり、パウンドを落とし追い詰める。記者採点9-10でガルシア。
2R、ガルシアが首相撲からの膝を連打し、崩して倒し、マウントを奪いパウンドと肘を連打。スタンドに戻り、左ミドル、左ストレートを当ててSARAMIを下がらせると、左ハイをクリーンヒットして豪快にマットに沈め、パウンドで追撃したところで福田レフェリーがストップした。
セコンドのバーネットと共に喜んだガルシアは「DEEP JEWELSのベルトも取りたいですし、RIZINでカンナ選手とまたやりたいです」とアピールした。
第6試合 女子アトム級 5分3R
×富松恵美(パラエストラ松戸/元DEEP JEWELSストロー級暫定王者/47.70kg)
○パク・シウ(韓国/TEAM MAD/48.05kg)
判定0-3 (新美27-30/豊永27-30/田澤27-30)
富松は6月のDEEP JEWELSのメインイベントで、パク・ジョンウン判定負け。今回も引き続き韓国の選手との試合に。パク・シウはハム・ソヒの後輩で、5月のGRACHANで沙弥子に判定負けしている。
1R、シウが細かいフェイントを駆使して圧力をかけ、右ストレート、右ローを当て続けるが、終盤、シウの右ローをキャッチして富松がタックルを仕掛け、最後は金網際でトップからコントロールを続ける。記者採点は打撃で優位だったシウ。
2Rもシウが打撃で攻めるが、富松が時折タックルで押し込み倒そうとする。なかなか倒せず、シウも押し返しブレイク。それでも富松は果敢にタックルに行くが、力が入りきらず、シウに切られ、バックを取られそうになる場面も。記者採点は9-10でシウ。
3R、富松は疲れが見えながらも、シウの左ミドルをつかんでタックルを仕掛けて倒すが、トップキープできず、シウが動いて上に。2分近くトップをキープする。ブレイク後も、力の入らない富松をシウがパンチで攻め続け終了。記者採点は9-10でシウ。合計27-30でシウ。ジャッジ3者も同様でシウの勝利となった。
第5試合 女子フライ級 5分2R
○渡辺華奈(FIGHTER’S FLOW/58.85kg)
×赤林檎(フリー/56.75kg)
1R 4’20” 腕ひしぎ十字固め
渡辺は柔道の元全日本指定強化選手で、昨年MMAに転向。プロ2戦目でRIZINの年末大会に抜擢され、ベテランの杉山しずかに判定勝ちした。今年に入ってから、DEEP JEWELSで奈部ゆかりと2戦し、初対決はドロー、再戦は判定2-0で勝利した。今回は初のケージでの試合。対する赤林檎は追手門学院大学日本拳法部出身の23歳で、昨年9月のAFC大阪大会で青野ひかると引き分けている。
1R、赤林檎が日拳特有の伸びのある右ストレートで渡辺をのけぞらせるが、渡辺は組み付いて倒しハーフからマウントへ。バックマウントからパウンドを連打して追い詰めた後、上に戻って肩固めを狙い、最後は腕十字を極め勝利した。試合後のマイクでは今日が誕生日だという父親を祝福した。
第4試合 フェザー級 5分3R
○DJ.taiki(パンクラスイズム横浜/元DEEPバンタム級王者/66.20kg)
×横山恭典(KRAZY BEE/65.60kg)
判定3-0 (田澤29-28/福田29-28/新美29-28)
DJは昨年9月に芦田崇宏に判定負けして以来の試合。1R、サウスポー主体だがスイッチを繰り返しつつ歩いて前に詰めるが、スピードが遅くなってしまい、横山は素早いステップで回ってかわし続け、自分の右インロー、右フック等を随所で叩き込んで主導権を維持する。記者採点9-10で横山。
2R、序盤にバッティングでDJが額を切り出血するが、しばらくして止まる。横山が1R同様に打撃戦でやや優位な状態が続くが、中盤過ぎ、横山のタックルをDJが切って逆に上になり、1分半近くトップキープして好印象を残す。記者採点は10-9でDJ。
3R、横山が序盤にテイクダウンを奪うが、DJはすぐ脱出。DJは前に出続け、横山は回り続けるが、少しずつ疲れが見え始め、2Rまでのように攻撃を返せない。逆にDJは豊富なスタミナを活かし、終盤にかけてテイクダウンを奪うと、グラウンドでコントロールを続け、最後は踏みつけやサッカーボールキックを連打して終了。記者採点は10-9でDJ。合計29-28でDJ。ジャッジ3者も同様で、DJが苦しみながらも久々の勝利をもぎ取ると、セコンドの北岡悟も大喜びした。
第3試合 ライト級 5分2R
×大原樹里(KIBAマーシャルアーツクラブ/70.45kg)
○武田光司(BRAVE/70.55kg)
判定0-3 (梅木18-20/福田18-20/新美18-20)
武田は埼玉栄高校時代にレスリング・フリースタイルとグレコローマンスタイルの84kg級で5冠を達成。昨年8月MMAデビューしから6戦全勝で、DEEPでも4月大会でツォゴーフ・アマルサナー、6月大会では北岡悟のライト級王座挑戦経験者の宮崎直人に判定勝ちしている。
1R、武田がタックルから豪快に抱えて倒し、アナコンダチョークを狙うが、大原も下から足関を狙い応戦。記者採点は上になる時間の長い武田に10-9でつける。
2Rは序盤から武田がテイクダウンを重ね、立とうとする大原にしがみつき続け、時折鉄槌も当てて追い詰め圧倒。記者採点は9-10で武田で合計18-20で武田。武田が持ち味を発揮し判定勝ちした。
マイクを持った武田は「デビューして1年、7戦7勝です。そろそろ北岡選手とやっていいと思います」とアピール。北岡は次の試合のDJとの入場のために舞台裏でスタンバイしていたが、表に出て来ると、武田に向けて親指を立てて承諾の意志を示し舞台裏に戻る。その後、お宮の松リングアナが舞台裏に回って北岡に改めて確認に行き、DEEPの佐伯繁代表の承認も得て、10月27日の大田区総合体育館大会でのタイトルマッチが決定した。(※当初、北岡選手が中指を立てたと記しましたが、正しくは親指でした。お詫びして訂正いたします)
第2試合 ストロー級 5分2R
△川原波輝(総合格闘技スタジオSTYLE/52.40kg)
△村元友太郎(ALIVE/52.60kg)
判定0-1 (梅木18-20/新美19-19/福田19-19)
両者は昨年7月に対戦し、川原が逆転KO勝ちしている。川原は米国の名門・チーム・アルファメールでの修行を経て、8か月ぶりの試合。
1R、サウスポーの川原に対し、村元が左フックを当ててダウンさせ、そこから押し込んで倒し上に。立ち上がり際に川原が左フックを当てて村元をダウンさせ、離れてからも川原がやや押し気味だったが、終盤に村元が金網に詰めて右フックを当てて川原をひるませ、一進一退の展開となる。記者採点は9-10でチャンスを多く作った村元。
2R、スタンドの打撃戦が続くが、お見合いの時間も長く、お互い攻めあぐねる。随所でお互いクリーンヒットはあるが、そこからが続かない。記者採点は10-10。合計19-20で村元としたが、ほとんど差の無い試合で、ジャッジ2者もドローとつけ引き分けに終わった。
第1試合 バンタム級 5分2R
△CORO(K-Clann/61.25kg)
△白川“Dark”陸斗(志道場/61.50kg)
判定1-0 (福田20-18/豊永19-19/新美19-19)
1R、スタンドの打撃戦で、キャリアで勝るCOROが右ロー、右フックを当て続けペースを握るが、終盤に白川も打ち合いで右フックを当てて、少しCOROを下がらせる。記者採点は迷ったが9-10で白川。
2R、打撃戦の後にCOROがタックルで倒して上に。だが1分ほどで白川は立ち上がると、積極的にパンチを打ち続け主導権を維持する。記者採点は9-10で白川。合計18-20で白川。ジャッジは1者のみCOROを支持し、2者はドローとつけ引き分けとなった。
オープニングファイト第2試合 フェザー級 5分2R
○高塩竜司(KIBAマーシャルアーツクラブ/65.65kg)
×松林佑介(INFIGHT JAPAN/66.60kg)
判定3-0 (20-18/20-18/20-18)
元栃木県警・レスリングベースの高塩と、元暴走族ヘッド・柔術ベースの松林の対戦は、高塩が再三テイクダウンを奪い、松林の下からのサブミッションを防ぎ続け判定勝ちした。
オープニングファイト第1試合 ストロー級 5分2R
○磯貝太一(空手道白心会/51.90kg)
×杉浦弘幸(NEVER QUIT/51.40kg)
1R 1’23” 裸絞め
磯貝は魅津希、井上直樹を輩出した白心会所属の18歳。パンフレットによると、7歳から空手を始め、小学4年生からMMAの試合に出場し、今年のDEEPフューチャーキングトーナメントで優勝している。今回の試合では先輩らを彷彿とさせる素早い出入りからジャブを叩き込み、タックルに合わせて、左の顔面狙いの膝蹴りを当て杉浦をダウンさせると、素早く裸絞めを極め快勝した。