ベラトール 4.22 ハワイ(レポ):元パンクラス・ウェルター級王者・菊入正行、待望のベラトール初戦でロシアの実力者を2R右ストレートKO。渡辺華奈、元女子フライ級王者マクファーレンに惜敗
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Bellator 295: Stots vs. Mix
2023年4月22日(土/現地時間) 米国ハワイ州ホノルル:ニール・S・ブレイズデルセンター)
レポート:井原芳徳
元パンクラス・ウェルター級王者・菊入正行、待望のベラトール初戦でロシアの実力者を2R KO
第1試合 ウェルター級 5分3R
×アレクセイ・シュルケヴィッチ[Alexey Shurkevich](ロシア)
○菊入正行(NEVER QUIT/元パンクラス・ウェルター級王者)
2R 4’33” KO (右ストレート)
菊入は1995年6月30日生まれの27歳。16歳からキックボクシングを始め、国士舘大学1年の2014年には全日本学生キック・ミドル級王者となる。15年にNEVER QUITの前身の和術慧舟会東京道場に加入してMMAを始め、17年4月にプロデビュー。現在まで全てパンクラスで戦い11戦8勝(5KO)2敗1分。中村勇太、高木健太、三浦広光に勝利し、20年12月の初対決で判定負けした相手・村山暁洋には、21年10月のウェルター級暫定王者決定戦で判定勝ちし、リベンジを果たすと共に、プロ初のベルトを巻いた。昨年5月にはONE参戦中の手塚裕之が正規王座を返上したことで、菊入が正規王者に認定された。昨年9月にベラトールとの契約が発表され、満を持して初戦が発表された。試合は21年10月の村山との王座戦以来約1年半ぶりとなる。ベラトールに専念するため、パンクラスの王座を3月に返上している。
シュルケヴィッチはMMA 18戦13勝(9KO/1一本)5敗の30歳。14年にMMAデビューし、ロシアの大会で経験を積み、21年10月、エメリヤーエンコ・ヒョードルがメインイベントに登場したベラトール・ロシア大会のプレリムに登場し1RパウンドでKO勝ちしている。最近では昨年2月のロシアでの大会でブラジル人選手にKO負けしている。この動画は21年7月のロシアの大会で2R TKO勝ちした試合で、赤コーナーで黒のトランクスがシュルケヴィッチ。1Rはスタンドの打撃では優勢で、相手にバックから裸絞めを狙われピンチに陥るが、2Rは上になってからの強力なパウンドで着実に相手を削りTKO勝ちしている。粗い面はあるものの、菊入がこれまで戦った日本勢よりも数段上の実力者であるのは確かだ。
試合は1年半ぶりの戦いにもなった菊入がより研ぎ澄まされた打撃を披露することに。1R、開始すぐからシュルケヴィッチがプレッシャーをかけ、踏み込んで右ストレート、左フックを放つ。長身の菊入は回って距離を取りつつ、右カーフキックを当てる。菊入はシュルケヴィッチのパンチをある程度防御しており、しっかり対策してきた様子だ。
すると終盤、パンチの打合いの展開で、菊入が右と左のフックをカウンターで連打し、シュルケヴィッチをダウンさせる。菊入は追撃を狙うが、すぐにシュルケヴィッチは組み付き休むと、シュルケヴィッチは突き放して右アッパー、左フックを当て、菊入をひるませる。記者採点はダウンを取った菊入。だがヒット数および終了時点でのダメージでは菊入のほうが大きい印象のため、ジャッジは3者ともシュルケヴィッチにつける。
2R、スタンドの打撃戦が続き、お互い細かく蹴りとパンチを出すが、クリーンヒットは乏しい。中盤、シュルケヴィッチの左ストレートの連打で、菊入は少しひるむ。だが菊入はすぐ持ち直し、ヒット数では下回るも打撃で応戦を続け、シュルケヴィッチにじわじわダメージを与える。
すると終盤、菊入が右のカーフをヒット。シュルケヴィッチは少し回って距離を取ると、菊入は追いかけ、左ジャブを振って前に詰めてから、右ストレートをクリーンヒット。真っすぐ下がっていたシュルケヴィッチはアゴにもらって目が飛んだ状態でダウンし、すぐさまケビン・ヨシダ・レフェリーがストップした。見事ベラトール初戦でKO勝ちした菊入は大喜びし金網に登ると、テレビカメラに向かって「日本人なめんじゃねえ」と叫んだ。
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— Bellator MMA (@BellatorMMA) April 23, 2023
渡辺華奈、元王者のマクファーレンに惜敗
コーメインイベント 女子フライ級 5分3R
○イリマレイ・マクファーレン[Ilima-Lei Macfarlane](米国/3位・元王者)
×渡辺華奈(FIGHTER’S FLOW/2位)
判定2-1 (29-28/28-29/29-28)
渡辺はDEEP JEWELS、RIZINで活躍後、19年末のベラトールさいたま大会のイララ・ジョアニ戦で3R TKO勝ち。以降はベラトールのみに上がり続け、21年4月の米国初戦ではベラトール女子フライ級4位のアレハンドラ・ララに判定勝ち。だがその2カ月後の6月に元UFCのリズ・カモーシェにわずか35秒でTKO負けし、プロMMA 12戦目で初黒星を喫した。その試合で眼窩底(がんかてい)骨折を負い、手術を経て22年5月のロンドン大会で復帰し、2位のデニス・キーホルツに2R三角絞めで一本勝ちした。試合はそれから約1年ぶりとなる。
マクファーレンは今大会の地元ホノルル在住の32歳。レスリングでハワイ州の高校生王者になった実績があり、15年1月にMMAデビューすると、2戦目から13戦、ベラトールに上がり続けた。17年11月の6戦目にはエミリー・ダコートを下し女子フライ級王者に。以降4度防衛し、20年12月にジュリアナ・ヴェラスケスに判定負けし王座陥落した。昨年4月の再起戦でもジャスティン・キッシュに判定負けしたが、8月の復帰2戦目ではブルーナ・エレンに判定2-1で勝利しており、今回地元で勝利して王座奪還につなげたいところだろう。
マクファーレンに大歓声の飛ぶ中、ゴングが鳴る。1R、サウスポーの渡辺に対し、マクファーレンが随所で右ストレート、フックを当てる。被弾した渡辺は組み付くと、金網際まで押し込み、テイクダウンを狙いながら背後を狙う。中盤、渡辺が足を掛けて倒し、上からマウント気味の体勢に。だが渡辺の押さえは不十分。渡辺はマクファーレンが伸ばしている腕をつかみ腕十字を狙うが、場所が悪くマクファーレンもまだ元気なため、簡単に外されてしまう。マクファーレンも上になってからアームロックを狙うが、渡辺も余力があり立って防御し、突き放し打撃戦に戻す。マクファーレンが左右のパンチを当てていると、渡辺は右の目頭から出血する。終盤、マクファーレンの右フックに合わせて、渡辺がタックルで倒し、素早く動いて背後に回りオンブになり、最後は腕十字を狙うが防御される。記者採点は有効打で勝ったマクファーレン。ジャッジ3者も同様だ。
2R、渡辺は序盤から組み、足を掛けて倒す。ハーフで押さえ、バックを狙い、立とうとしたマクファーレンを倒してまたも上になる。マクファーレンが下から腕をつかみ、渡辺が上四方に回れば、下からヘッドシザースを狙うが、これも渡辺は対処し、サイドで押さえる。終盤、マクファーレンが立ちかけても、渡辺はまたグラウンドに引きずり戻す。渡辺がパウンドを落とせば、マクファーレンも下からパウンドを返して抵抗するが、背中を付けたまま脱出しようとしない。記者採点は渡辺。ジャッジ3者も同様だ。
3Rも序盤から組みの展開となり、渡辺が倒して上になり主導権を握る。金網際でガッチリと押さえ、バックを狙う。マクファーレンに立たれるが、渡辺は背後からしがみつき、細かくパンチも当て、マクファーレンを逃さない。終盤、離れると、マクファーレンが右ストレートを当てるが、すぐに渡辺が押し込み、少しパンチを当てつつテイクダウンを狙う。渡辺は倒せなかったが、マクファーレンも金網をつかむ場面があり印象が悪い。記者採点は主導権を維持した渡辺。合計29-28で渡辺。ジャッジ1者は同様だったが、意外にも3Rのジャッジが割れ、2者がマクファーレンを支持し、マクファーレンの勝利となった。
マクファーレンは「アリガトウ、カナ」と日本語も交えて渡辺を称えつつ「組みは彼女が上でしたが、打撃は私が上だったと思います」と話し「王者のリズ・カモーシェと戦いたいです」とアピールした。
パトリック・ミックス、1R KO勝ちでベラトール・バンタム級GP優勝&暫定王者に
メインイベント ベラトール・バンタム級暫定タイトルマッチ兼同級GP決勝 5分5R
×ラウフェオン・ストッツ(暫定王者)
○パトリック・ミックス(3位)
1R 1’12” KO(左膝蹴り)
※ミックスが暫定王者に。GP優勝
1R、静かな立ち上がりだが、フィニッシュは突如訪れる。両者オーソドックスで構え、慎重に出方を探るような状態。お互いパンチを振うがまだ軽い状態だったが、長身の
ミックスがじりじりとプレッシャーをかけ続けると、右ジャブを振ってから、左の膝蹴りを放つと、これがストッツのアゴにクリーンヒット。ストッツが伸びた状態でダウンすると、すぐさまレフェリーがストップした。ミックスがわずか72秒でのKO勝ちでGP優勝と100万ドルの賞金、そして暫定王座獲得を果たした。
ベラトール 4.22 ハワイ:レイ・ボーグが体重を落とせず堀口恭司戦は中止。渡辺華奈、菊入正行は計量クリア。23(日)朝よりU-NEXTで生中継