KNOCK OUT 4.22 後楽園ホール(レポ):ぱんちゃん璃奈、階級上げ1年ぶり復帰戦で台湾のワン・チンロンに手を焼くも14連勝
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MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.1
2023年4月22日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
※REDルールは肘有りキックルール、BLACKルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール
ぱんちゃん璃奈、階級上げ1年ぶり復帰戦で台湾のワン・チンロンに辛勝
第9試合 メインイベント BLACK 女子49.5kg契約 3分3R(延長1R)
○ぱんちゃん璃奈(フリー/元KNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級(47.5kg)&アトム級(46kg)王者)
×ワン・チンロン[Wang Ching Long](台湾/TKBA)※ワン・ジンロンから表記変更
判定2-0 (北尻30-29/少29-29/山根30-28)
ぱんちゃんは昨年3月大会で喜多村美紀に判定勝ちし、KNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級王座を獲得して以来1年ぶりの公式戦となる。喜多村戦の翌月の練習中に左膝前十字靭帯を断裂し手術し療養を続けていたが、その最中、偽造した那須川天心と武尊のサイン入りポスターをネットオークションで販売し落札者から約10万円をだまし取った疑いで、12月に逮捕され容疑を認めていた。2月の記者会見で謝罪すると共に王座を返上。3月5日の代々木競技場第二体育館大会ではボクシング形式のエキシビションマッチでリングに上がった。詐欺事件の被害者とも和解が進み、3月10日に不起訴処分(起訴猶予)となった。アトム級(46kg)、ミニマム級(47.5kg)と階級を上げてきたが、今後は「世界だと52kgが層が厚いのでそこを目指したい」ことから、49.5kg契約での試合に臨む。
ワン・チンロンは台湾在住の22歳。キック戦績19戦13勝(1KO)6敗。18年9月のKrushで壽美(ことみ)と対戦し判定負けし、19年11月のシュートボクシング愛知大会でユリカGSBに判定負けし、3年ぶりの日本での試合となる。ONEにも上がり、最近ではプロボクシングの試合にも出場している。
チンロンはダンスを踊りながら入場。ぱんちゃんはこれまで同様の入場だが、リングイン直後には四方に深く頭を下げる。ぱんちゃんのセコンドにはウィラサクレック・ウォンパサー氏と良太郎がつく。大会はサムライTVで生中継されたが、試合開始直前、中継の電源が落ちるアクシデントがあり、両者のルール説明の後、5分近く経ってから試合が始まる。
1R、長身のチンロンが前蹴りやテンカオから距離を詰め、パンチを振るう展開が続く。その中でぱんちゃんはかわしたりブロックしたりしつつ、右ローと右ストレートを随所で的確に当てる。だがチンロンもひるまず前に出続け、右ストレートを返し、若干だが押し気味で終える。記者採点はイーブン。
2Rも似たような構図で、ぱんちゃんは右ローや右ストレートを的確に当てるものの、チンロンはひるまず。チンロンも攻撃が減っていたが、終盤には手数を上げ、パンチのヒットを増やしてやや優位で終える。記者採点は僅差でチンロンだがイーブンあるいはぱんちゃんにつけるジャッジがいる可能性もある。
3R、チンロンは随所で左右のストレートや前蹴りをヒット。ぱんちゃんはローが出せなくなる。だがぱんちゃんが組んで押し倒す度、チンロンは立つのが遅れ、ダメージが溜まり消耗していることがわかり印象を悪くする。ぱんちゃんも疲れており、なかなか攻撃が返せないが、終盤はパンチ等でのやや積極的な攻めで終える。記者採点は僅差だがぱんちゃん。合計29-29でイーブン。ジャッジ1者もイーブンとしたが、2者は攻撃の的確さでは勝ったぱんちゃんを1~2点差で支持し、ぱんちゃんの判定勝ちとなった。ぱんちゃんは19年のプロデビュー以来の連勝を14に伸ばした。
勝ったぱんちゃんだが笑顔は無く、記念撮影の後にマイクを持つと「ファンの皆さんにはご心配をかけました。ご迷惑おかけし申し訳ありませんでした。チンロン選手、滅茶苦茶強かったです。私はまだまだ凡人です。凡人がキックボクシングを習ってたまたまここに立てているだけです。これから世界を目指すのを見守って欲しいです」と謙虚にアピールした。
鈴木宙樹、REITO BRAVELYに判定勝ち
第8試合 創世のタイガ presents セミファイナル BLACK 63kg契約 3分3R(延長1R)
○鈴木宙樹(クロスポイント吉祥寺/元REBELS-BLACK -60kg級王者)
×REITO BRAVELY(BRAVELY GYM/M-1 JAPANライト級王者、KOSスーパーフェザー級王者)
判定2-0 (秋谷30-29/北尻29-29/少29-28)
鈴木宙樹はRIZINで活躍する鈴木千裕の1歳上の兄。19年に葵拳士郎に判定勝ちしREBELS -60kg級王者に翌年1度防衛。21年にボクシングに転向し1戦して1R KO勝ちしたが、千裕の活躍に刺激されキックに復帰。昨年10月の復帰戦では西岡蓮太に判定負けし、12月にはタイ人のモンダム・ウィラサクレックを2R KOしたが、今年2月のONEルンピニーではイランのファリヤ・アミニプール判定1-2で惜敗している。
REITOは大分在住の22歳。昨年4月のKNOCK OUTではスアレック・ルークカムイとREDルールで対戦し延長(4R)左ストレートでKO勝ち。昨年10月のRIZIN福岡大会では関幸一郎を左ハイでわずか34秒でKOした。戦績20戦11勝(4KO)4敗5分。
1R、プレッシャーをかける宙樹に対し、REITOがサウスポーで構えて左回りで距離を取りつつ、随所で左ミドルを強打する。宙樹は右のインローを返す場面もあるものの、攻撃が伸びない。記者採点はREITO。
2R、宙樹は圧を強め、時折左右のフックを強打する。単発続きだが、少しずつREITOにダメージを与える。REITOは回って距離を取るが、距離を詰められ左ミドルを蹴れなくなる。宙樹は右のロー、ボディへの前蹴りも増やしやや優位に。記者採点は宙樹。
3R、宙樹は前に出続け、ボディへの前蹴り、膝を当てつつ、度々ロープやコーナーに詰めてパンチを振るい、REITOを追い詰める。REITOも左ミドルを終盤に増やすが、反撃に持ち込めず終了する。記者採点は宙樹。合計29-28で宙樹。ジャッジは1者がイーブンとしたが、2者は1点差で宙樹を支持し、宙樹の判定勝ちとなった。
中島弘貴が豪快KO勝ち
第7試合 BLACK スーパーウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
○中島弘貴(LALA TOKYO/元Krushスーパー・ウェルター級(70kg)王者)
×西川康平(8ball fitness/元J-NETWORKウェルター級1位)※池袋BLUE DOG GYM/超人クラブから所属変更
2R 2’09” KO (3ダウン:左ストレート)
Krushの元王者・中島は21年からKNOCK OUTに上がり5連勝したが、昨年10月にクンタップに判定2-0で敗れて以来の試合。西川は22戦10勝(5KO)12敗の31歳。宮田充プロデューサー時代のKrushでHIROYAや寺崎直樹にKO負けしているが、17年に木村“フィリップ”ミノルをKOし番狂わせを起こした。今回は約3~4年ぶりの試合だ。
1R、西川はサウスポーでじりじりプレッシャーをかけ、時折左ミドルを当てる。中島は回って距離を取りつつ、自分の右インロー、左アウトローを西川の前足に着実に当て続ける。西川は時折ノーガードにしてローを嫌うような動きを見せるが、まだバランスを崩すほどにはならない。記者採点はイーブン。
すると2R、西川の左ミドルのタイミングで、中島が左フックを合わせてフラつかせ、さらに左フックを当ててダウンを奪う。西川はダメージが大きく、中島が右の飛び膝でまたもダウンを奪い、最後は左ストレートでマットに沈めた。
前半戦は大谷翔司、乙津陸、栗秋祥梧ら勝利
第6試合 BLACK ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○大谷翔司(スクランブル渋谷/INNOVATIONライト級王者)
×力斗(TEAM PREPARED/元大和フェザー級王者)
2R 1’55” KO (右ストレート)
大谷は昨年4月のRIZIN TRIGGERでRIZINに初参戦し力也に1R TKO勝ち。7月のKNOCK OUTでは梅野源治とREDルールで対戦し3R終了間際に右肘で切られTKO負け。12月のKNOCK OUTでは庄司啓馬を2R右ストレートでKOした。
力斗は7戦6勝(4KO)1敗1分の21歳でKNOCK OUT初参戦。大分在住で九州で開催されている大和の元フェザー級王者。昨年8月のK-1福岡大会のプレリムで龍之介に判定負け。宮田プロデューサーもリングアナウンサーとして協力した2月のKPKB福岡大会では康弘に2R右フックでKO勝ちしている。
1R、力斗がやや積極的に序盤から攻めるが、大谷は対処し、右のカーフ、ボディを随所でヒット。力斗も攻撃は減るが右のローを返して渡り合う。記者採点はイーブン。
2Rも均衡状態がしばらく続いたが、中盤に両者距離が詰まりパンチの打ち合いとなると、大谷の右ストレートが立て続けに当たり、力斗はダウンする。力斗は立ったがダメージが大きく、大谷がまたも右ストレートでダウンを奪ったところで北尻レフェリーがストップした。
マイクを持った大谷は「今年2つ目標があって、KNOCK OUT-BLACKライト級のベルトを巻くことと、橋本悟選手が引退して空位となったINNOVATIONスーパーライト級のベルトを必ず取ります。あとYouTubeで(登録者数)230人ぐらいですけどチャンネルやってます」とアピールした。
第5試合 RED スーパーフライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
○乙津 陸[おつ りく](クロスポイント大泉)
×優心(京都野口ジム/NJKFフライ級王者)
判定3-0 (北尻30-28/山根30-28/センチャイ30-28)
乙津は8月の新宿大会での谷津晴之戦では終了間際のラッシュでTKO勝ちし、10月の後楽園大会では、タフな酒井柚樹との激闘を多様な攻撃と手数差で制し判定勝ち。素質の高さを印象付けたが、12月大会での第2代KNOCK OUT-REDスーパーフライ級王座決定戦では心直相手に大差の判定負けを喫し、プロ7戦目で初黒星を喫した。この春高校を卒業したばかりだ。
優心は11戦6勝4敗1分の21歳でKNOCK OUT初参戦。20年8月のRIZINで吉成名高に2R終了間際にTKO負けしたが、その後NJKFではフライ級王座を獲得している。最近では昨年9月のNJKF大阪大会でタイ人選手に2R TKO負けしている。
1R、乙津がプレッシャーをかけ、優心が距離を取り、お互いハイ、ミドル、ローの受け返し主体の攻防に。まだ均衡は崩れない。
2R、基本的に同じ構図ながら、首相撲の展開も増えるが、均衡はなかなか崩れない。だがその中で乙津が左のボディ、顔面へのフックを随所で強打し、攻撃のバリエーションでやや上回る印象を作る。記者採点は僅差だが乙津。
3R、乙津がパンチ連打、ミドル、組んでの膝・肘で手数多く攻める。クリーンヒットはつながらないが、積極性で差をつけ、優心に攻めさせない。記者採点は乙津。合計30-28で乙津。ジャッジ3者も同じ採点で、乙津が判定勝ちで再起戦を制した。
第4試合 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○栗秋祥梧(クロスポイント吉祥寺/元大和フェザー級王者)
×内藤凌太(BELLWOOD FIGHT TEAM/シュートボクシング日本フェザー級(57.5kg)4位、元DEEP☆KICK -55kg王者)
判定2-1 (少30-29/山根29-30/北尻30-28)
栗秋は昨年7月のKNOCK OUTでTAKERUに判定負けして以来となるKNOCK OUT出場。昨年10月のRIZIN福岡大会に出場すると、当時SB日本フェザー級7位の翔に2R左ハイキックでKO勝ちしている。
内藤凌太はONEで活躍する内藤大樹の兄。21年9月のSBで山田虎矢太に判定負けして以来の東京での試合となる。昨年4試合とも地元愛知で試合し、11月のSB日本フェザー級王座挑戦者決定1DAYトーナメントの初戦で韓国の選手に判定勝ちしたものの、決勝では山田彪太朗に判定負けしている。
1R、栗秋がサウスポーで構え、凌太が細かくフェイントをかけながら右インローを時折当てる。栗秋は攻撃が少ないものの、随所で左ミドルを強打して印象を作る。記者採点はイーブン。
2R、栗秋はオーソドックスに切り替えて、開始すぐからパンチラッシュを仕掛け先手を取る。その後も左右のローを当てるが、凌太も右ロー、ミドルを返し続け、パンチの打ち合いでも当て返し、ほぼ五分の状態を維持する。記者採点はイーブンだが栗秋につく可能性はある。
3R、栗秋が右フック、ロー、飛び膝等で攻め込む場面もあるが、凌太はしつこく右ローを返し、打ち合いでパンチも返し、一歩も引かず終了する。記者採点はイーブン。合計30-30でイーブン。ジャッジは割れ、2者が栗秋を支持し、栗秋の勝利となった。
第3試合 BLACK ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
×松山 翔(菅原道場)
○TaCa[タカ](キャピタルレイズFG池袋)
判定0-2 (秋谷29-29/少28-29/北尻28-29)
TaCaは宮田プロデュース時代のKrushで山崎秀晃、寺崎直樹らとしのぎを削った選手で現在38歳。戦績26戦13勝(9KO)13敗。「最後に試合をしてから10年。ふと、やり残したことがあることに気づいて、リングに戻ることを決めました」との談話を発表していた。
1R、松山が開始すぐからパンチラッシュを仕掛けるが、TaCaは落ち着いた様子で耐えると、右フックでひるませ、鼻血を出させ、右ボディも随所で当てしっかりダメージを与える。
だがインターバルをまたいでの2R、TaCaはバテており、ダメージが回復した松山がパンチ、右ミドルで積極的に攻めて攻勢に。
3R、TaCaは力を振り絞り、ボディと顔面へのパンチ、膝、ミドルのヒットを増やし挽回する。松山もひるまずミドルやパンチを返すがやや攻撃数で劣り終了する。ジャッジは1者がイーブンだったが、2者が28-29でTaCaを支持し、TaCaた復帰戦を白星で飾った。
第2試合 BLACK スーパーライト級(65kg) 3分3R
○YUYA(クロスポイント吉祥寺)
×小林丈晃[たけあき](練誠塾)
2R 0’03” TKO (ドクターストップ:左ストレートによる右まぶたの負傷)
※1R左ストレートで小林に2ダウン
第1試合 BLACK 女子スーパーフライ級(52kg) 2分3R
×松藤麻衣(クロスポイント吉祥寺)
○坂本瑠華(フリー)※スナイパーセキュリティーから所属変更
判定0-2 (山根28-29/秋谷29-29/和田28-29)
プレリミナリーファイト第2試合 BLACK スーパーフェザー級(60kg) 3分3R
×アックス斧田(KIBAマーシャルアーツクラブ)
○羽黒慈夢[はぐろ じむ](クロスポイント大泉)
2R 1’46” KO (右ストレート)
プレリミナリーファイト第1試合 BLACK ライト級(62.5kg) 3分3R
○山田青空[そら](GOD SIDE GYM)
×坂根卓弥(クロスポイント吉祥寺)
判定3-0