KNOCK OUT 8.6 後楽園ホール:3階級王座戦インタビュー。心直「二度と名前を出させない」×乙津陸「殺意しかない」。壱「経験差を見せつける」×古村光「九州でKNOCK OUTを」。古木誠也「キックに専念できる環境に変えた」×小倉尚也「迷いなく『やる』の一択でした」
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KNOCK OUT 2023 vol.3(8月6日(日) 後楽園ホール)の3階級タイトルマッチに出場する6選手のインタビューが主催者から届いた。
今大会の模様はサムライTVにて18時より生放送される。Youtube KNOCK OUT公式チャンネルでのディレイ配信を予定している。ゲスト解説に小笠原瑛作が登場する。
第7試合 トリプルメインイベント3 KNOCK OUT-REDバンタム級(53.5kg)王座決定戦 3分5R(延長1R)
心直[しんた](REON Fighting sports GYM/KNOCK OUT-REDスーパーフライ級(52kg)王者)
乙津 陸[おつ りく](クロスポイント大泉)
今回のKNOCK OUTでは3階級のタイトルマッチがトリプルメインイベントとして並んだ。うち2試合がREDルール(肘有りキックルール)、1試合がBLACKルール(肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール)となっている。
心直は昨年12月のREDスーパーフライ級王者決定戦で乙津に判定勝ち。乙津はプロ7戦目で初黒星を喫した。その後、心直は3月の代々木でMASA BRAVELYに敗れ、乙津は4月の後楽園で優心を破った。乙津もMASAも心直も階級を上げることになり、心直は王座を返上。6月の後楽園でのREDバンタム級戦で乙津がMASAを2R左フックでKOし、今回の心直とのREDバンタム級王座決定戦に進出した。
第6試合 トリプルメインイベント2 KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級(55kg)タイトルマッチ 3分5R(延長1R)
壱[いっせい]・センチャイジム(センチャイムエタイジム/王者、元ルンピニー日本バンタム級王者)※初防衛戦
古村 光(FURUMURA-GYM/挑戦者)
壱は昨年11月、第2代REDスーパーバンタム級王座決定トーナメント決勝で森岡悠樹に判定勝ちし王者となり、今回が初防衛戦。その後、3月の代々木大会で響波[きょうは]に3R TKO負けを喫している。6月の後楽園では響波と古村光の間でREDスーパーバンタム級王座挑戦者決定戦が組まれていたが、響波の負傷欠場により、古村が王座挑戦権を獲得した。両者は21年3月のKNOCK OUTで対戦し、壱が判定勝ちしている。古村は昨年12月大会で大野貴志を1R KOしている。
第5試合 トリプルメインイベント1 KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級(55kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
古木誠也(G1 TEAM TAKAGI/王者)※初防衛戦
小倉尚也[たかや](スクランブル渋谷/挑戦者)
古木は昨年12月大会で工藤“red”玲央を1R KOしBLACKスーパーバンタム級王者となり、今回が初防衛戦。その後、3月の代々木大会で古木は武蔵と対戦し1R KO負けした。同じ大会で小倉は工藤“red”玲央を1R KO。6月大会で武蔵と小倉尚也の間でBLACKスーパーバンタム級次期挑戦者決定戦が組まれ、武蔵が1R KO勝ちした。だが武蔵は所属ジムのWIVERNを退会したことが理由で欠場し、小倉が敗者復活した。
心直「アイツのことは本当に嫌いなんです。もう二度と名前を出させないような勝ち方をします」
「KNOCK OUT-REDバンタム級王座決定戦/3分5R・延長1R」で乙津陸と対戦する心直。7月14日に行われた記者会見では、発言を遮るようにして挑発し続ける心直に乙津が激怒。乱闘騒ぎにまで発展してしまった。お互いの感情はこれ以上ないほど高ぶっているこの一戦には、前回、昨年12月以上の注目が集まっている。当の心直はこの試合について、そして乙津に対して、どう思っているのか?
―― 7月14日の記者会見は大変なことになりましたが……。
心直 なりましたね。
―― そんな、他人事みたいに(笑)。
心直 え? だってあれ、僕のせいじゃないじゃないですか。僕はただ思ったことを言っただけで、それに彼が逆上してああいうことになっただけで。別に僕が大変なことをした覚えはないですよ。僕は全く悪くないです。
―― でも、かなり挑発してましたよね?
心直 挑発? あれは挑発になるんですかね?
―― 挑発でなければ、「罵倒」と言ってもいいレベルだったと思うんですが……。
心直 うーん……ずーっと思ってたこともあったし、彼に対して僕は「ナメるなよ」とずっと思ってるんです。アイツは、表立っては言わないじゃないですか。「僕は聖人です。陰湿なことはしません」みたいなアピールをしてて。それでいて、裏でいろいろやるんじゃねえよってずっと思ってて。アイツはマジ悪人ですよ! だからこっちもそういう態度になっちゃいますよね。だから「罵倒」でいいと思いますけど。
―― なるほど……。ただ、これから「試合」をするわけじゃないですか。これは乙津選手にも言えるんですけど、試合に向けてそんなに感情的になってて大丈夫なのかな?と、傍目には思っちゃうんですよね。
心直 感情的というか……僕、この試合だけですからね。相手が嫌いというか、憎くてしょうがないというのは。8月6日は後にも先にも絶対負けられない試合だし、2階級制覇もかかってるし。その点、彼は何も背負ってるものはないじゃないですか。1回負けてる相手だし、まだベルトを持った経験もないし。強いて言えばジムの看板選手ではありますけど。でも俺は、ジムの看板選手なのはもちろんだし、KNOCK OUTのベルトも獲ってて『KNOCK OUT STYLE』のバラエティーにも出てるわけだし、KNOCK OUTを背負ってるわけだから、本当に絶対負けられないんですよ。ここまでアピールしたのもあるし。
―― それだけ覚悟が違うと?
心直 覚悟は絶対違いますよね。この試合にかける思い自体、相当違うと思いますよ。そこで差が出る試合になると思います。
―― ただ、乙津選手にとってはリベンジマッチになります。昨年12月に負けた後は号泣してましたし、今回「借りを返してやる」という思いはかなり強いんじゃないかと思うんですが……。
心直 まあ、ここで彼がリベンジに成功したら彼のストーリーになりますし、逆に、それだけの思いで来てる彼を僕が退けたら、完全に僕のストーリーだし。12月の試合から、お互いいい感じにチクチクし合って、こないだの会見でもいい感じに盛り上がって、でもそのストーリーを完結させるのはどちらか1人しかいないですからね。
―― それはそうですね。
心直 どっちのストーリーになるのかっていうのは、興行目線で見ても、お客さん目線で見ても面白いじゃないですか。当日は絶対満員になるだろうし。ただ、そこで勝つのは僕ですけどね。
―― ストーリーということで言うと、3月に心直選手を下したMASA BRAVELY選手を、乙津選手がKOで倒して、心直選手との再戦の機会を掴んだわけじゃないですか。そこについては?
心直 それはかなり面白いものではありますよね。僕と同じREDルールで、僕が判定で負けたMASA選手を、彼はKOしてますから。まあ、もしバンタム級にランキングがあるとしたら、僕が3位で乙津君が1位、MASA選手が2位ってところですよね。
―― だから乙津選手も会見でそのことに触れたんだと思います。
心直 「団体を守れよ」ってことですよね。「団体を守る」というのは、団体を背負ってるヤツが言う言葉であって。君は団体を背負ってないし、ただワンマッチで勝っただけでしょと思うんですよね。だからそのことについては何も気にしてないというか。まあ「言ってろよ」って感じです。実際、僕に勝って初めてその主張ができると思うんですよ。まずは、どんな形でもいいから俺に1回勝ってみろよと。
―― 一度乙津選手に勝っているという事実は、この試合に影響しますか?
心直 やっぱりお互い、前回とは同じ内容にならないようにするじゃないですか。変な話、僕は同じ内容にすれば絶対勝てるんですけど、彼も同じ内容にならないように対策はしてくると思うので、また別の対策を用意しないとなって感じですよね。まあその準備は別に、6月に試合が決まった直後からやってますんで。僕はあの試合、MASA選手が勝つと思っていたんですよ。5.5対4.5というぐらいの僅差でですけどね。だからまあ、MASA選手対策でサウスポーの選手とスパーリングしたりとかもして、「こういう感じだよね」と固めてはいたんですけど、試合直前になって「乙津が勝つんじゃないかな」と思ったんです。直前というか、試合が始まった瞬間ぐらいに。
―― ほう。
心直 僕のセコンドについてくれている片島聡志さんと一緒に見ていたんですけど、「これは乙津の勝利もありますよね」「そうだね、これはあるね。2Rが楽しみだね」という話をしていて。そしたら2Rに倒したので、「やっぱりな」と。その時点で作戦は2、3個できたんですよ。あとは片島さんとの練習で合わせてという感じですね。
―― では今回の対策も万全と。
心直 そうですね。わりとしっかり固まってます。
―― 昨年12月の1戦目の勝ち方は、「今の乙津選手に勝つにはこれが最適解か」というものだったと思います。それ以外にも方法はあるということですか。
心直 12月の時に考えていた作戦は、本当にリングでやったあのままなんですけど、その上で3Rか4Rに倒し切ろうと思っていたんです。ただそこまでで減量がうまくいかなくて、体に力が入らなくて。当日アップしていてもコンディションが悪いし、試合でも一発が出ないし。心臓も痛くて「どうするか、これ?」っていう状態だったんです。でもそれで試合するしかないですから、やったんですけど。
―― それでやり切れたわけですよね。
心直 そこは一つ自信にはなりました。「俺、これでも5Rできるんだ」って。
―― 今回はバンタム級に上げて、減量の厳しさは軽減されましたか?
心直 いや、減量の体重幅自体は変わってないんですよ。3月に負けてから、バンタム級にシフトするために身体作りをしたので。半年弱ぐらいですかね。
―― なるほど。
心直 通常体重が1~2kg増えたんですよ。軽量級の1kgは大きいですからね。でも今は体重も順調に落ちてきています。今、僕のフィジカルトレーナーをしてくれている人は、ある競技の現役選手でもあるんですけど、格闘技のコンディショニングや減量にも詳しいので、いろいろ相談してやってるんですね。だから2ヵ月前からコンディションを作っていくのも兼ねて減量を始めていて、今は末期にあたるんですけど、もう数日で試合できるぞというぐらいには落ちてきています。だからけっこう調子はいいと思います。
―― 前回より調子も良く、作戦も準備できていて、あとはやるだけですね。
心直 完璧ですね。どこを取っても負けることはないかなと思います。
―― これで乙津選手とは終わりにしたい?
心直 そうですね。嫌いなので。嫌いな人と関わりたくないじゃないですか。僕はもう乙津と関わりたくないので、この試合が終わったら、もう二度と僕の名前を出さないでほしいです。彼が今後もバンタム級でやるんだったら、絶対また言ってくるじゃないですか。そういうのもナシで、僕には挑戦できないということにしてほしいですね。ホントに嫌いなので。
―― そこまで嫌いな相手って、他にいないですよね?
心直 いないですね。僕って、子供の頃から嫌われることはあったんですよ。こういう人間なので、小学校ぐらいから異分子扱いされるというか、嫌われてきたんです。でも、僕を嫌ってきた人たちは、僕が結果を出すたびに黙ったので。だから今回も、彼にはちょっと黙ってもらおうかなと。
―― もう関わらないでくれと。
心直 僕も君には関わらないから、君も一切関わらないでくれと言いたいです。
―― では、それを認めさせるだけの勝ち方をしないとですね。
心直 もちろん。ズブズブの49:48とかで勝っても、また名前を出されてしまうので、しっかり倒すか、前回以上の差をつけて勝って、また泣かすかですよね。
―― 心直選手の思いはよく分かりました。というところで最後の質問ですが、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
心直 キタ! 注目ポイントか、難しいな……。試合が楽しみになってきたので、ネタをいくつか考えたんですよ。なので、勝利後のマイクパフォーマンスに期待しておいてほしいです。
―― 何かがあるわけですね。ありがとうございました!
乙津陸「これは試合じゃなくケンカ。悶絶させた上で殺します」
「KNOCK OUT-REDバンタム級王座決定戦/3分5R・延長1R」で心直と対戦する乙津陸。昨年12月のスーパーフライ級王座決定戦では徹底して攻略され、プロ初黒星をつけられた上に、この再戦に至るまでには度重なる挑発を受けて、7月14日の会見ではついに怒りが爆発。乙津自ら心直に突っかける場面が見られた。やはり、心直に対する感情はかなり鬱積しているようで……。
―― 7月14日の記者会見は大変なことになりましたが……。
乙津 うーん……余裕がないなって、すごく感じましたね。
―― 心直選手は「俺に口で攻められて、余裕をなくしてるぞ」という感じでしたが。
乙津 余裕がないのはどっちだって思ってました。そもそも、あんなにガンガン言ってくると思ってなかったんですよ。もっと余裕な感じでスカしてくるのかなと思ってたら、あんなだったので。
―― 率直にムカついたんですか。
乙津 ムカつきましたね。すげえ大先輩ヅラしてきたんですけど……確かに今は戦績とかあっちの方が多いですけど、試合数とかあっという間に追い着きそうだし、俺からしたらそんなの関係ねえよと。
―― もともと心直選手に対しては12月の借りを返したいという気持ちは強かったと思います。それが「ムカつく」に変わったのはどこからですか?
乙津 あの会見の中で、急に立ち上がって「申し訳ございませんでした!」って言った瞬間ですね。
―― 「頭がよかったら人が傷つくようなこと言わないだろうし」という乙津選手の発言に「傷ついちゃったんだ! 申し訳ございませんでした!」と返したくだりですね。
乙津 あの瞬間にカチン!と来て、熱くなっちゃいました。6月の試合後に並んで挨拶した時もウザい絡み方してきたんですけど、その時は「こういうヤツだ」と分かってたんで、そこまで気にしてなかったんですよ。しかもアイツが負けた相手を倒した後でもあったし。でも会見の時は、意味分かんなかったし、「調子に乗りすぎだろ!」と思って。
―― あの会見では、お互いにすごく感情的になってるなという印象でした。心直選手は最初から感情を露わにしてましたが、乙津選手は最初はそんなことなかったんですね。
乙津 はい。記者会見だし、自分のことを聞かれたら普通にしゃべろうと思ってたぐらいでした。
―― そしたら相手が思いのほかガンガン来たと。あの会見で抱いた感情は、今も影響していますか?
乙津 ヤバいですよ。練習にすごく影響が出てます。ありがたいことに、「絶対殺す!」と思ってすごく身が入ってます。前回負けた試合の時、アイツは計量で最初オーバーしてて再計量になったんですよね。そのことも「じゃあ試合しなきゃよかったじゃん」とか言ってきて、頭おかしいんですよ。そういうのもムカつくし、「許せない!」って感じです。
―― ただ、試合となると、そこまで感情的になって大丈夫なのかなとも思います。
乙津 俺の中では、もう試合じゃないですから。ケンカとして挑みます。とりあえず今狙ってるのは、悶絶させて恥を晒させたいなと。悶絶してるところに「盛り上げてくれてありがとう」って言ってあげます。まあ、最後はぶちのめせればいいんですけど。とにかく黙らせたいですね。
―― では、一発で意識を飛ばすというよりも、時間をかけて苦しめたい?
乙津 まあ、一発で仕留められればそれでもいいんですけど、できれば、苦しみながら俺の顔を見てほしいなと思いますね。
―― ただ、前回は徹底的に攻略されて敗れたという事実もあります。それを打ち破って倒す方法は、すでに考えてある?
乙津 考えてるというか……今年からボクシングの練習も始めたんですよ。それでパンチのテクニックもスピードも前回とは全然違うし、ステップの踏み方も変わったし、ボディの打ち方もメチャクチャ改良したので、考える前にやれると思います。悶絶させるための練習を徹底しているので。このボディを食らってアイツがこんな顔になるのかとか想像して、練習中にニヤニヤしちゃってますから(笑)。
―― 「憎いあんちくしょうの顔めがけ」叩いてるわけですね。リアル『あしたのジョー』だ(笑)。
乙津 あの会見の前までは「とりあえず倒せればいいかな」ぐらいだったんですけど、あの会見でやることが明確になりました。まあでも、ずっと「ウゼえな」とは思ってましたけどね。4月の優心選手との試合が発表された時も、アイツは関係ないのに引用リツイートして「2連敗w」みたいな感じで絡んできてたんですよ。そういうのもあるんで、どうしても感情的になりますね。
―― 熱くなりすぎて空回りということにはなりませんか。
乙津 俺は全然大丈夫ですね。冷静にいって爆発させてやろうと思ってます。相手がやることは分かってるし、その対策ばっかりやってるんで、大丈夫です。逆にもし詰めてきたらラッキーかなと。倒しにきてくれたら、こっちは全然その方がやりやすいですからね。楽しみにしててください。
―― この試合にはいろんな側面がありますよね。リベンジマッチ、王座決定戦、そしてあの会見の騒動が加わったわけですが、もしかして今は、その怒りが一番ですか?
乙津 そうですね。今はベルトよりも、アイツを殺すことが一番です。もちろんベルトもほしいんですけど、今の感情では心直を殺すということの方が大きいです。殺意しかないです。
―― 物騒な話になってきました(笑)。
乙津 毎日、サンドバッグがぶっ壊れそうなぐらいに殴ってますから。前回の試合とは比べものにならないと思いますよ。本当に試合が待ち遠しいです。
―― ではそんな中ですが、この試合で一番注目してほしいポイントは?
乙津 俺がアイツをどうやって殺すかですね。そこに注目してください。
―― やはり(笑)。分かりました、ありがとうございました!
壱・センチャイジム「経験の差は前回より開いている。そこを見せつけて後半勝負!」
「KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級タイトルマッチ/3分5R・延長1R」で古村光と対戦する壱・センチャイジム。3月の代々木第二大会ではノンタイトル戦で響波にTKO負けを喫し、出直しの一戦で勢いのある古村を挑戦者に迎えて初防衛戦を行う王者・壱は、この試合にどんな思いを抱いているのか?
―― 今回、挑戦者決定戦が中止になって、初防衛戦の相手が古村光選手に決まりました。そうなった時はどう思ったんですか?
壱 僕自身は、響波君には負けていて古村君には1回勝っているから、やっぱり響波君とやりたかったんですよ。挑戦者決定戦で響波君に勝ち上がってきてもらって、防衛戦でリベンジするというのが一番キレイな形かなと思ったんですけど、どっちが勝ってくるかっていう予想は、正直あまりしてなくて。どっちが上がってきても準備はしていたので、「あ、古村君の方だったか」という感じですね。
―― 古村選手とは前回の対戦が2年前になりますよね。
壱 対戦した後、古村君とはけっこう仲良くさせてもらってて、計量後のリカバリーでうなぎを食べるのも同じ店だったりするんですよ。SNSもフォローし合って、ちょいちょい連絡も取り合ってたんですけど、今回、試合が決まってからはそういうのもいらないんで、SNSもブロックしました。だから最近はどういう練習をしているのかとか、彼の状況は全く分からないですね。1回勝った時に、もう1回やるとは思ってなかったから仲良くしたんですけど、またやることになったので。
―― そうなんですね。
壱 前回やった時も「いい選手がいるな」と思ってて、だからいい芽は早めに潰そうと思って早い段階で対戦したんですね。またやるとは思ってなかったんですけどねえ。仲良くなったら向こうも「壱さん、壱さん」って慕ってくれてて。まあでも、やるとなったらかわいい後輩でも関係ないんで。今は敵ですね。
―― 今の彼の実力や試合ぶりについてはどう見てますか?
壱 彼もムエタイ・ベースなんですけど、リズムはパンチ主体なんですよね。僕自身、パンチ主体の選手は大野(貴志)さんだったり海老原(竜二)さんだったり、けっこう得意にしてて勝率も高いんですよね。それと、サウスポーとの対戦経験が6回あって、4勝4KO2敗なんです。さらにその2敗って、どっちも瑛ちゃん(小笠原瑛作)なんです。
―― なるほど。
壱 今まで33戦して、サウスポーと6回やって、瑛ちゃん以外にはみんなKO勝ちしてるんですね。何でかというと、サウスポーvsオーソドックスだと、お互いに奥足の蹴り合いでリズムを掴む展開になるんですね。だからどうしても距離が遠くなってしまうんですけど、サウスポー同士だったら奥足の展開よりもパンチベースになるんです。僕は主に蹴り足でリズムを作るからそんなに目立ってないんですけど、自分でも右手の使い方がうまいと思ってて。パンチは強くはないんですけど、右手が使えるとリズムが取りやすいんですね。だからサウスポー相手に勝てる理由なんです。瑛ちゃんはステップが速いので使えなかったんですけど。
―― そういうことなんですね。
壱 そこで、古村君もムエタイ・ベースなので、うまく噛み合うんじゃないかなと思って。古村君もパンチを得意としてるので、そういう面ではメチャクチャ噛み合うと思いますね。で、僕になくて古村君にあるのがパワーなんですよ。逆に古村君になくて僕にあるのが、経験と後半戦のスタミナなんです。だから早いラウンドを乗り越えれば、僕のペースになるかなと思ってます。負けることがあるとしたら、早いラウンドかなと。……あ、俺、森岡悠樹戦の前も同じこと言ってたな。「3R以降は僕のゲームになる」みたいな。
―― ああ、確かに(笑)。
壱 でも実際に、森岡戦は4・5Rを取って勝ったので大丈夫です。僕は後半に強いので。
―― では、序盤さえしのげば、攻略できる自信は十分にあると。
壱 はい。テクニックという面ではそんなに恐れる必要はないと思ってるんですけど、古村君の恐れるべきところって、パワーと勢いなんですよ。僕も14連勝していた21歳の頃は、すごくイケイケでしたからね。同じものを古村君に感じます。何も怖いものがない、みたいな。でもその後、敗北で味わった経験は、絶対に僕の方が持っているので、そこで勝負したいなと思います。勢いだけじゃ勝てないぞと。
―― 昨年までは、ずっと瑛ちゃんを追ってましたよね。それが追う立場になったというのは、心境や試合への影響はないんですか?
壱 試合に影響するかどうかはまだ分かんないんですけど、練習に臨む心境はすごく変わりました。変な話、追う立場だとリスクは少ないんですよ。練習も気ままにできるし、試合もけっこう気楽にやれてました。でもチャンピオンになってからは、考えることがすごく多くなったんですよ。
―― ほう。
壱 プレッシャーもすごく感じるようになりました。責任感とか、試合へのプレッシャーとか、これはチャンピオンになってからですね。僕が、のびのびやってる方が強いのか、責任感とプレッシャーがある方が覚醒するのかは、試合をやってみないと分からないんですけど。ただ、僕の良さだったかもしれない脳天気さは、少しなくなったと思います。それがどっちに出るかは今回の試合で分かると思います。
―― 今回の試合は3大タイトルマッチの一つで、試合順も発表されましたが、それを見てどう思いましたか?
壱 正直な話、心直がツイッターで「俺がメインだ」って言ってたけど、「お前じゃなくて俺でしょ」ってずっと思ってたんですよ。でも決まってみたら心直君がメインだったので、これはもう、彼に任せようと。順当に行ったら僕と古村君の試合がメインのはずなんですけど、ここで心直君と乙津君がいろんなアピールでメインを奪い取ったということは、それなりのことをしてくれるんだろうな、後はもう任せたよ、という感じです。
―― 逆に内容で食ってやろうと?
壱 もしオッズがあったら、一番拮抗してるのは僕らの試合だと思うんですよ。前戦でKO負けしているチャンピオンと、勢いに乗っているチャレンジャーの試合ですからね。その面では一番楽しんでもらえるんじゃないかなと思ってます。できれば大トリがよかったですけど、そこはアピールの差だと思うんで。会見でも、心直君と乙津君はマジでケンカしてましたからね(笑)。KNOCK OUT始まって以来で、僕は新鮮で楽しかったんですけど、横にいた重森陽太さんが小さい声で「壱君止めて! 壱君止めて!」ってずっと言ってて楽しかったです(笑)。僕的には、ああいう煽りもアリかなと思いますね。僕からはやらないですけど。一番カチンときたのは、大野さんに「イケメンと思わない」って言われた時でしたけどね。
―― そこですか(笑)。
壱 すげえイラッときて、年上の大野さんにちょっと汚い言葉も使っちゃったんですけど、まあ僕からやるのはセンチャイ会長的にもNGですからね。やられたらやり返すと思いますけど。
―― 今回、前半3試合がK-1 GROUPとの対抗戦で、重森選手のセミを挟んで、後半3試合がトリプルメインのタイトルマッチ。どれも注目度が高い試合ですが……。
壱 僕は、対抗戦に関してはどの選手もあまり分かんないので、そんなに興味がないんですけど、自分と戦った森岡君だけは自信を持って応援できるし、任せられるなと思ってます。僕との試合の後は2試合連続KOで、他団体のタイトルも獲ってますしね。だから対抗戦に関しては、唯一知っている森岡君に期待してます。
―― この7試合の中で、注目度、内容ともに負けられないという意識はありますか?
壱 注目度は問題ないと思いますからね。ただ会見では心直君と乙津君にやられちゃったなあ。あと個人的に注目してるのは、重森さんとバットマンの試合ですね。バットマンは昔から知ってるので、楽しみです。
―― 壱選手自身としては、今回の試合の一番のテーマは何ですか?
壱 古村君との2年前の対戦の時、彼は4戦目とかだったんですよ。僕は18戦目ぐらいで。その後、僕は15戦ぐらいしてて、古村君は10戦前後。試合って、本当に一つ一つがデカい経験になるし、前回の僕の勝因は経験の差だったんですね。今はそれがもっと開いてると思うので、今回はラウンドを重ねるごとに僕がペースを掴んでいって、隙があれば倒します。そこを楽しみにしていただければと思いますね。ムエタイらしい、REDルールらしい戦いになると思います。
―― むしろ、そうしたいという感じ?
壱 そうですね。ちゃんとムエタイ・ベースの日本人選手って少ないんですけど、古村君とだったらそういう戦いができると思うので。
―― 毎回、最後は「当日、どこに注目してほしいですか」という質問をするんですが、今のがまさにその答えでしたね。
壱 はい、注目ポイントを聞かれて「顔」って答える時代はもう終わったので。
―― 終わりましたか(笑)。
壱 あれは、「イケメン」ということを知らしめるために言ってたんですよ。でももう周りもすごく言ってくれるし、定着したなと思うので、“自称イケメン”という仕事は達成したんですよ。チャンピオンにもなったし、もう若くもないので、次は違う路線で行こうかなと思ってて。まあでも、結局一番見てほしいのは……顔ですかね(笑)。
―― 変わってないじゃないですか(笑)。
壱 まあそれじゃ一緒なので……じゃあ、「敗北で培った経験とテクニック」でどうですかね。前戦の負けがあったからこそ、これだけ練習にも集中できてると思うので。
―― 今回は違うぞと。
壱 僕は龍聖や瑛ちゃんのような圧倒的なチャンピオンではないってことが、前戦の負けでよく分かったんですよね。そして今のスーパーバンタム級は、紙一重のところでみんな実力が拮抗してるので、その中で勝ち続けるためには、自分がレベルを上げて一戦一戦を大事にするしかなくて、僕が一番優っている戦績の部分を見せつけたいなと思ってます。
―― 分かりました。ありがとうございました!
古村光「ここでチャンピオンになるのが古村光の始まり。タイトル獲得は通過点です!」
「KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級タイトルマッチ/3分5R・延長1R」で壱・センチャイジムと対戦する古村光。2年前、2021年3月の初対戦では壱に判定負けを喫している古村だが、そこからの自分の成長には自信を深めているという。ここで壱からベルトを奪って、その先に掲げている目標とは?
―― KNOCK OUTでの試合は昨年12月の大野貴志戦以来になります。6月の響波戦がなくなったこともあって久々になりましたが、この間、関係者から「古村選手が強くなっている」という噂を耳にしました。そうなんですか?
古村 そんな噂が(笑)。でも確かに日々強くなっている実感はありますよ。試合したのは3月にタイで試合して勝っただけですが、テクニックと言うよりも、パワーとか気持ちの部分が強くなったかなというのはすごく感じます。今回の試合も、そこで差を見せたいですね。
―― 先日行われた記者会見では、王者の壱・センチャイジム選手が経験の差をアピールして、余裕を見せていましたが……。
古村 いや、自分からしたら、逆に「ちょっと焦ってるのかな」と思ったんですよね。以前に対戦した時よりも余裕がない感じに見えて。たぶん、試合するのが怖いんじゃないですかね。
―― そうなんですね。それだけ古村選手の成長とか進化を感じてるということなんですかね。
古村 そうだと思います。それが隠せてなかったなと(笑)。自分が2年前に負けて、そこからやってきたことの方が圧倒的に勝ってて、経験値もすごく上がってると思うんですよ。僕は自信しかないので、向こうからしたらすごく怖いんだと思います。
―― 逆に壱選手のこの2年間の戦いはどう見ていましたか?
古村 瑛作選手に負けて、そこから上っていったように見えるんですけど、自分にはあれがMAXだったのかなって感じるんですよ。「他の選手は倒せるだろ」と余裕を感じてるように見えたので。だから成長はしてないのかなと。ただ試合をこなして、その過程でチャンピオンになっただけかなと。そこですごく努力したようには見えませんでしたね。
―― なるほど。
古村 本人がどう思ってるかは分からないですけど、瑛作選手がスーパーバンタム級にいた時の方が、まだギラギラしてたのかなと思います。
―― 3月の代々木第二大会では、壱選手が響波選手に敗れました。あの試合は?
古村 あれも油断だったと思うんですよ。瑛作選手よりは弱いだろうと思ってて、そこでコケちゃったのかなと。そこで気を引き締めたかなとは思うんですけど、でも今さらって感じですね(笑)。自分は2年前に負けてから、ずーっと作り上げてきてるんで。彼が油断してた間も成長してきているので、逆転してるかなと思ってます。
―― 古村選手と壱選手は、どちらもムエタイをベースにしていますが、ファイトスタイルは違いますよね。そのあたりはどう見ていますか?
古村 相性で言うと、昔は壱選手は「どんどん来い」という感じで構えて、その中でテクニックでいなして勝ってたと思うんですよ。でも2年前の対戦の時からすると、スタイルはどっちも変わったと思います。今は逆に自分の方がやりやすいというか、向こうが攻めづらさを感じるようになると思います。
―― では、どういう試合にしたいと思っていますか?
古村 「何も出せなかったな」と思わせたいですね。「昔と全然違うな」と。とにかく差をつけて、最終的には倒すしかないと思ってます。
―― 最後はパンチ?
古村 いや、ミドルとかもバチバチ蹴っていきたいなと思ってるので、ミドルを蹴りつつの組んでからのヒザだったり、そういう技で心を折っていきたいです。
―― これで勝てばいよいよチャンピオンですが。
古村 そうですけど、チャンピオンになること自体は自分の中では通過点でしかなくて。チャンピオンになってからが勝負だと思ってるんで。自分がスーパーバンタム級のトップに立って、他団体にもどんどん絡んでいけたらと思っているし、自分がチャンピオンになることで、九州でKNOCK OUTの大会を開催できるようにしたいという目標があるんですね。その実現のためには、チャンピオンになってからが勝負と思ってます。
―― 今回ベルトを獲るのは当然で、その先があると。
古村 そうですね。試合でしっかり魅せて、しっかりタイトルを獲って、勝負はそこからです。壱君にはできなかったことを、僕がやっていきたいと思います。
―― 会見の時も感じましたが、言葉に自信が増していますね。
古村 でしょうね(笑)。それだけ苦労もしてきているし、悔しい思いもしてきたので。そこから自分を作り上げてきているという自信が出ているんじゃないかと思います。
―― 以前はお兄さんの古村匡平選手と、「東京でどう自分をアピールするか」という点でわりと悩んでいましたよね。今はそういうところも吹っ切れたように思えます。
古村 そうですね。自分たちとしては、華はあると思ってるんですよ。あとは強さで魅せていくだけだなと思っているので、そこを極めちゃえば自然とデカくなっていくなという自信が見えてきて、今は強さだけを純粋に追い求めているという感じですね。
―― 撮影の時に独自のポーズをしなくなったのも、そのためですか?
古村 はい(笑)。昔は「盛り上げよう」という気持ちが強かったんですけど、今は「強さで魅せればいいじゃん」と思ってきたので、そういうのもいらないなと。ホントに、四六時中格闘技のことだけ考えているので。
―― KNOCK OUTのリング上や周辺は、この半年余りだけ見ても大きく変わっていますよね。そこはどう見ていますか?
古村 代々木第二大会も成功したし、だんだん盛り上がってきてるなとは思ってます。自分は出てなかったですけど、その間に強くなっているし、また勝てばそこに絡んでいけるのかなというのがあるので、自分としてもタイミングがいいなと思ってます。K-1 GROUPとの対抗戦も始まって、K-1の選手と対戦できるようになったのもいいですよね。そこも絡んでいきたいです。
―― 興味があるんですね。そうなるとBLACKルールの可能性が高くなると思うんですが。
古村 そうですよね(笑)。でも自分は、ヒジがなくなっても倒せる自信は全然あるので、大丈夫です。昔は、自信があるのはヒジだけって感じだったんですけど、今は全部で倒せるので、全然対抗できると思ってます。今はREDルール、ヒジありでどんどんぶっ倒していってトップに立つというのが当面の目標ですけど、やるとなったらいつでも行けます。
―― それを聞いても、本当にベルトは第一歩という感じですね。
古村 はい、ここでチャンピオンになるのが古村光の始まりだと思ってます。そこからどんどん、知名度も力もつけていこうと思っているので。
―― では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
古村 最初から最後まで、自分だけ見てほしいですね。そうすれば面白さは伝わると思うので、楽しみにしていてください。そういえば試合順が発表されて、大トリかと思ってたら違ったんですよね。
―― トリプルメインの第2試合ですね。
古村 何で心直が最後なんだと(笑)。確かに心直は盛り上げましたけど、その試合の後に自分が締めるのが一番いいと思ったんですけどね。心直は倒せないだろうし、自分が倒して終わる方がいいじゃないですか(笑)。でもまあ、全試合の中で一番いい試合、いい勝ち方をしますから、そこは問題ないです。注目してください!
―― 分かりました。ありがとうございました!
古木誠也「環境もスタイルもかなり変えました。パワーアップしたところを見てほしい!」
「KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級タイトルマッチ/3分3R・延長1R」で小倉尚也と対戦する古木誠也。昨年12月に同タイトルを獲得したものの、続く3月・代々木第二大会のスーパーファイトではまさかの1RKO負け。一度はリベンジマッチが決定したもののカードが変更となり、小倉を挑戦者に迎えての防衛戦となった。この状況に、今まで以上の覚悟を持って臨んでいるという古木の意気込みとは?
―― まず、3月の代々木大会での敗戦を今振り返ると?
古木 今でも映像を何度も見返すんですけど、あの時はやっぱりすごく悔しくて、今でも思い出すと悔しいです。スピードもすごく速くて焦りましたし、効かされてからの攻め込みも速くて、ちょっとパニック状態みたいな感じでした。
―― 一度はそのリベンジの機会が得られたはずでしたが、カードが変更になりました。その時の気持ちは?
古木 その相手のことをずっと考えていて、動画もずっと見て練習もリベンジのためだけにやっていた感じだったところに、急にカード変更を知らされて……でも、自分がやるべきなのはベルトを守ることなので、会長からも「気持ちを変えずに練習に励め」と言われて、気持ちが落ちたりということはなかったです。
―― 代わって対戦相手となった小倉選手については?
古木 小倉選手も決して弱い選手じゃないので、油断もしてないですし、自分がキックを始める前から試合を見ていた選手なので、対戦できてすごく光栄だと思ってます。いつの試合を見ても倒し倒されの激闘をしていた選手なので。
―― その激闘派が対戦相手になったわけですが。
古木 気持ちがすごく強いと思うんですよね。もしダウンを取れたとしても、絶対そこから盛り返してくるので、呑み込まれないようにしなきゃなと思ってます。
―― 先日の記者会見では、仕事をやめてキック一本の生活にしたということを話されていました。それは3月の試合の後からということですか?
古木 そうですね。3月までは昼間普通に働いていたんですが、負けちゃってからはその仕事をやめて、キック一本に専念できる環境に変えて練習してます。
―― それまでも、練習量については自信があるというお話でした。あの敗戦を経て、もっとやらなきゃと思ったということですか?
古木 練習量は、昼もやれるようになったので増えているのは確かなんですけど……夜だと他の選手たちも練習していたりして、教わるにしても自分1人に時間をかけてもらうというわけにはいかなかったんですよね。今は昼と夜に練習しているので、より細かいところまで見てもらえるようになりました。
―― なるほど。今は、どういうスケジュールで練習しているんですか?
古木 日にもよるんですけど、今はお昼頃からいろんなジムに出稽古に行かせてもらっていて、そうじゃない日は8時か9時ぐらいに起きてランニングして、10時ぐらいからお昼頃までジムで練習しています。一度帰って休んで、夕方から夜10時半ぐらいまでまたジムで練習ですね。
―― では時間にしてもだいぶ増えましたね。それに出稽古も、以前はなかなか行けなかったわけですよね。
古木 はい、仕事があったのであまり行けなかったですね。今は毎週行くようにしています。出稽古先はちょっと言えないんですけど、近い階級の強い選手たちとたくさんスパーリングができているので、すごく充実した練習ができています。
―― それはいいですね。
古木 出稽古でのスパーリングって、初めて会った選手とバチバチやったりするので、試合に近いじゃないですか。そこで自分のダメなところ、いいところが明確に分かりますね。
―― 具体的に気付いたところというと?
古木 例えば……どうしてもパワーに頼っちゃうので、手数が少ないところですね。一発に頼ってバンバンバンという感じで打つので。上に行くとそれでは通用しなくて、コンビネーションとかが大事だなと、改めて気付かされました。
―― ということは、根本的にスタイルを見直している感じですか?
古木 まあ、パワーに頼っちゃうところはよくないんですけど、一発で倒せているところもあるので、いいところは伸ばしつつという感じでやっています。あとはブロックとかディフェンス面の強化についても、トレーナーにいろいろ教わっています。
―― なるほど。では今回の試合では、変化も見られそうですね。
古木 そうだと思います。練習通りに動ければという感じですけど、そうできるように練習しています。試合に向けて、いい感じに仕上がってきているので。
―― チャンピオンになって半年以上が経過していますが、心境的な変化はありますか?
古木 今までよりプレッシャーも感じてますし、浮かれることはないですね。その後の試合で負けたのもあって練習も以前よりやっていますし、今まで以上に気合いが入っています。ベルトを守るということについても、前回の負けでさらに意識が強くなりました。ジムのみんなもけっこうサポートしてくれていて、減量の面でも、会長の奥さんが食事のメニューを考えてくれるんです。なので減量もスムーズにいっていて、ありがたいです。なのでみんなのためにも勝ちたいという気持ちが強くなってますね。
―― では今回の試合で、一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
古木 全部ですね。今までとは違ったスタイルで、攻撃面も防御面もパワーアップしているので、期待してください。
―― インタビューの対応も、けっこう慣れてきましたね(笑)。
古木 いえ、メッチャ頑張ってます(笑)。こうやって1対1ならまだいいんですけど、記者会見とかでカメラが回ってたりすると、やっぱり緊張してしまうので。宮田プロデューサーが横にいるのも緊張しますし(笑)。
―― では次の課題はそこですね(笑)。ありがとうございました!
小倉尚也「倒すことに憧れてここまで来た。10年かけて築き上げたスタイルで勝つ!」
「KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級タイトルマッチ/3分3R・延長1R」で古木誠也と対戦する小倉尚也。6月の挑戦者決定戦では1RKO負けを喫し、一度は断たれたかに見えたタイトルへの道は、カード変更という形でまた繋がった。チャンピオンの古木に挑むこの大一番に、Krushから乗り込んで4戦目の小倉はどう臨もうとしているのか?
―― 6月の挑戦者決定戦では敗れたものの、カード変更によって挑戦者に繰り上がりました。そのあたり、どう受け止めていましたか?
小倉 負けた後、わりとすぐに打診があったので、驚きはしましたけど、逆に8月の試合までは時間があったので、そこからはしっかりと準備することができました。競技練習は少し休みましたけど、フィジカルとかラントレはけっこうすぐに再開しましたし。いつもけっこうダメージの残る試合をすることもあって、普段は試合後けっこう休むんですけど、今回は本当に珍しく、すぐに始めました。「やんなきゃ」っていう気持ちもあって、前向きだったんじゃないですかね。
―― 実際、最初に聞いた時にはどう思ったんですか?
小倉 カードの打診があった時とかって、自分はあまり即答はしない性格なんですけど、今回は珍しく即答でしたね。やっぱり、気持ちは切れてなかったんじゃないかと思います。迷いはなく、「やる」の一択でした。
―― 「改めてチャンスが回ってきた」という気持ちですか?
小倉 それはあります。ただ、「タイトルマッチだ!」という感じはあまりなくて。タイトルマッチって、もっとそれで頭がいっぱいになったりするのかと思ってたんですけど、意外とそんなこともなくて。
―― 前回の挑戦者決定戦の時も、その先のことは全く考えてないという発言でした。
小倉 ですね。タイトルうんぬんよりも、古木選手とやるということの方が大きいかもしれないです。ベルトに興味がないわけではなくて、KNOCK OUTのベルトも普通にほしいんですけど……メンタルが整ってるのかなという感じですかね。
―― そこはキャリアのなせる業なんでしょうか。
小倉 いやでも、タイトルマッチは初めてなので(笑)。当日はもちろん緊張するでしょうし、タイトルのこともよぎってはくるんじゃないかと思いますけど。もちろん今も考えはするんですけど、聞いてた感じではもっと頭いっぱいになると思ってたので。
―― では試合への練習に集中できているわけですね。その中で、改めて思う古木選手の強さとは?
小倉 パワーがありますよね。3月に負けてから時間が空いているので、どういう進化をしているかというのが正直、未知数で。そのへんの警戒はあるし、自分は前の試合が6月で、あまり時間も経ってないので、ぶったまげるような進化はできないですからね。そうすると、自分が持っているもので勝負することになるのかなと思っていて。ああいう真面目な性格の選手って急に化けたりするので、怖い部分はありますね。
―― しかも先日の記者会見の際、古木選手は「仕事をやめてキック一本にした」と言っていましたよね。
小倉 あまりビビらせないでください(笑)。まあ、リングに上がらないと分からないですけど。
―― そういった部分も含めて、どういう試合にしたいですか?
小倉 何回も言ってますけど、自分はタイトルが懸かってるからとか、どういう試合だからとか関係なく、倒しにいくスタイルに憧れて、そこを売りにもしてますし、曲げることはないです。そこはいつも通りですね。
―― 古木選手とは、タイプは違いますが、「倒して勝つ」という点では共通しています。そこのぶつかり合いという点ではどうですか?
小倉 軽量級だと、倒せない試合も多いじゃないですか。その中で自分たちみたいなパワータイプのハラハラさせる試合が並ぶというのは面白いと思うので、そこは他の2つのタイトルマッチとも色が違うと思うんですよね。そこらへんも楽しみにしてもらえればと思います。
―― 当日はこの試合を含む3大タイトルマッチがある一方、K-1グループとの対抗戦も前半戦に3試合組まれています。以前も伺いましたが、小倉選手は気持ち的には今も「Krushファイター」なんですよね?
小倉 はい。そこにプライドを持ってるとかではないですけど、やっぱり憧れてきた舞台なので、自分が負けるとその憧れの舞台の価値が下がってしまうじゃないですか。その気持ちはずっとありますね。
―― 今回勝てばKNOCK OUTのチャンピオンになるわけですが……。
小倉 Krushファイターの自分がKNOCK OUTのベルトを巻いた上でまたKrushに出るのも面白いと思いますけどね。でも今はそんな先のことは全く考えてるわけではなくて、目の前の一戦だけ見てます。ここを獲らないと、また遠回りになるので。もう遠回りはいいかなと思ってます。
―― ベルトに辿り着くために、最後に必要なものは何でしょう?
小倉 いやあ、やっぱり気持ちしかないんじゃないですかね。格闘技ってそういうものだと思うので。まあそうは言っても、心技体、全部揃ってないと厳しいですよね。そんなに技術があるタイプではないですけど、それでも長くやってきたことを出せるかどうかというのは大事だと思っていて。今まで10年とかやってきて、最初の頃にやっていたことでも何でもいいですし、そういう積み重ねが出せればいいかなと思います。
―― その意味でこの試合は、キャリアの中で一番大事な試合ですか?
小倉 もちろん初めてタイトルが懸かった試合なので、そうだと思います。今、自宅の部屋にポスターが貼ってあるんですよ。2022年1月23日のKrushで黒田勇斗選手と戦った時のものなんですけど、前の年の10月に母が亡くなってて、あの試合の時は「落とせない」と思ってましたね。あの試合を落としてたら選手を辞めてたかもなと思いますし。
―― そうやって、いろんな状況の試合をくぐり抜けてきた数も違うという意識はありますか?
小倉 そうですね。やっぱりキックのキャリアは自分の方が長いので、その意味でもやっぱり負けたくないですね。やってる以上、ベルトはほしいですし。あとはもう本当に、リングで向かい合ってみないと分からないというか。自分はわりと本番に強いタイプだと思うんですけど、こういうプレッシャーがかかったところでの自分というのは、30戦以上やっていても未知数なので。そこらへんがどうなるのかなとは思います。
―― では最後なんですが、当日の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
小倉 倒しにいくスタイルに憧れて格闘技のリングに上がった自分なので、10年かけて磨き上げてきた「倒すスタイル」をKNOCK OUTのリングで見せられればと思ってます。なので、そこに注目してほしいですね。
―― 分かりました。ありがとうございました!
対戦カード
※REDルールは肘有りキックルール、BLACKルールは肘無し・ワンキャッチワンアタックのキックルール
第7試合 トリプルメインイベント3 KNOCK OUT-REDバンタム級(53.5kg)王座決定戦 3分5R(延長1R)
心直[しんた](REON Fighting sports GYM/KNOCK OUT-REDスーパーフライ級(52kg)王者)
乙津 陸[おつ りく](クロスポイント大泉)
第6試合 トリプルメインイベント2 KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級(55kg)タイトルマッチ 3分5R(延長1R)
壱[いっせい]・センチャイジム(センチャイムエタイジム/王者、元ルンピニー日本バンタム級王者)※初防衛戦
古村 光(FURUMURA-GYM/挑戦者)
第5試合 トリプルメインイベント1 KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級(55kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
古木誠也(G1 TEAM TAKAGI/王者)※初防衛戦
小倉尚也[たかや](スクランブル渋谷/挑戦者)
・スアレック・ルークカムイ(タイ/STURGIS新宿/元KNOCK OUT-REDライト級王者、元REBELSーREDスーパーライト級王者、元M-1世界ライト級王者、元ラジャダムナン認定フェザー級7位)引退記念セレモニー
第4試合 RED 62kg契約 3分3R(延長1R)
重森陽太(Eight Weapons/KNOCK OUT-REDライト級(62.5kg)王者、元WKBA世界同級王者、元新日本フェザー級&バンタム級王者)※伊原道場稲城支部から所属変更
バットマン・オーアッチャリヤー[Batman O.Atchariya](タイ/元ルンピニー&BBTVライト級王者)
第3試合 KNOCK OUT vs K-1 GROUP 3vs3対抗戦 BLACK スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
森岡悠樹(北流会君津ジム/スックワンキントーン同級王者)
内田 晶(チーム・タイガーホーク)
第2試合 KNOCK OUT vs K-1 GROUP 3vs3対抗戦 BLACK スーパーバンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
工藤“red”玲央(TEAM TEPPEN)
豊田優輝(BELLWOOD FIGHT TEAM/K-1カレッジ2019 -60kg優勝)
第1試合 KNOCK OUT vs K-1 GROUP 3vs3対抗戦 BLACK フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
雅治[まさじ](レンジャージム)
水津空良[すいづ そら](優弥道場)
プレリミナリーファイト第2試合 BLACK スーパーフェザー級(60kg) 3分3R
アックス斧田(KIBAマーシャルアーツクラブ)
津田宗弥(クロスポイント吉祥寺)
プレリミナリーファイト第1試合 BLACK スーパーフライ級(52kg) 3分3R
神保雄大(ワイルドシーサー前橋元総社)
RYUJU(クロスポイント吉祥寺)
概要
大会名 MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.3
日時 2023年8月6日(日) 開場・17:00 プレリミナリーファイト開始・17:30 本戦開始・18:00
会場 後楽園ホール
中継 Youtube KNOCK OUT公式チャンネル(ディレイ配信/無料)、サムライTV(18時~/月1,980円)
チケット料金 SRS席 20,000円 RS席 10,000円 S席 8,000円 A席 6,000円 小中学生 1,000円(当日のみ) ※当日券500円アップ ※小学生から有料、6歳未満でも座席を必要とする場合は有料 ※小中学生券の詳細はKNOCK OUT公式HP参照
チケット販売 KNOCK OUTオフィシャルショップ イープラス チケットぴあ ローソンチケット 出場選手・所属ジム
お問い合わせ Def Fellow 03-6262-3760 inquiry@knockout.co.jp https://knockoutkb.com/