GLEAT 8.4 両国国技館(レポ):48歳の郷野聡寛、4年ぶりMMAは23歳のプロレスラー井土徹也を“ライツアウト”し判定勝ち。福田茉耶もキック2連敗
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GLEAT VER.MEGA
2023年8月4日 (金) 両国国技館
レポート:井原芳徳
プロレス団体「GLEAT(グレイト)」は昨年12月に後楽園ホールで初の格闘技大会「GLEAT MMA Ver.0」を開催し、この大会にも出場したGLEAT所属の井土[いずち]徹也と福田茉耶の2人が、両国国技館でのビッグイベントの中で再び格闘技の試合に挑戦した。
GLEATはかつてリングスやPRIDEで活躍した田村潔司氏がエグゼクティブディレクターを務める。一般的なプロレスだけでなく、リングスやパンクラスの源流である格闘技色の強いUWFスタイルのプロレスも行っている。
昨年9月の会見で田村氏は「僕の考えるプロレスラー像は強さが必須という考えがありまして、その運びでGLEAT MMAを発足させていただきました」「GLEATの選手は技術では(普通の格闘技選手より)劣っているので、気持ちを見せて欲しい。現段階では白星を求めていなくて、自分をリングで表現して、お客さんに伝えることを期待しています。秒殺されてもいいので、短い時間でも何か表現してもらいたいです」と大会のコンセプトを説明していた。
48歳の郷野聡寛、4年ぶりMMAは井土徹也を“ライツアウト”し判定勝ち
第2試合 MMA 73kg契約 5分3R
×井土徹也(GLEAT,60seconds/Breaking Downミドル級(84kg)トーナメント2021優勝)
○郷野聡寛(リングス・ジャパン/元全日本キックヘビー級王者)※GRABAKAから所属変更
判定0-3 (太田27-30/和田27-30/宮沢28-29)
GLEATのMMAルールは日本でも一般的な米国統一(ユニファイド)ルールをベースにしている。
井土は現在23歳。昨年12月のGLEAT MMA Ver.0では47歳の近藤有己と対戦。近藤のローキックをもらい続けて攻めあぐね、3R終盤にようやく前に出てパンチで反撃したが、時間切れとなり判定負けに終わっていた。
郷野は48歳。ゼロ年代にはパンクラス、PRIDEで活躍し、UFC、戦極にも参戦した。10年代は日本だけでなくブラジルでも試合するようになったが、近年は試合が減り、MMAは19年5月のパンクラスでの近藤との3度目の対戦で判定負けして以来4年ぶりとなる。21年のNKBでのキックボクシングの試合では1R TKO負けしている。昨年1月からファン時代の憧れだったリングスに所属。郷野、セコンドの髙阪剛氏、菊田早苗氏、大山峻護氏もリングスのロゴの入ったTシャツを着て登場する。井土のセコンドには田村氏がつく。レフェリーは梅木良則氏が務める。
試合は郷野が昔から変わらぬアウトボクシングスタイルで、若い井土の光を消す(=ライツアウト)する内容に。
1R、開始すぐから井土がサウスポーで構えながら郷野をコーナーに詰めるが、郷野はノーガードで頭を振って井土のパンチをかわしつつ、自分の右ボディストレートを当て早くも主導権を握る。井土が左ミドルを当てれば、郷野は蹴り足をつかんで倒す。井土は変わらず郷野をコーナーに詰め、ローキックを散らしつつパンチを振う。だがパンチのクリーンヒットにつなげられない。郷野は攻撃が少ないものの、終盤に右のミドル、フック、インロー、ボディを立て続けに当て、しっかりポイントにつながる攻めをして終える。記者採点は郷野。
2R、郷野は変わらずガードを下げ、右ボディを的確に当て続け、さらに右フック、ミドルにつなげる。井土は必死に前に出るが、なかなか郷野を捕まえられない。終盤、ようやく井土が郷野にパンチを当てるようになるが、強打にはつなげられず、郷野が右フックを的確に当て返し続け、主導権を握らせない。記者採点は郷野。
3R、序盤こそ井土が首相撲からの膝蹴りを当てたが、以降は変わらず郷野が距離を取りつつ、随所で右フックとボディを当て、主導権を維持する。終盤、郷野が二段式の左ハイを放ち、井土がブロックすると、郷野は後ろにスリップし、井土がようやく上になる。井土は左のパウンドを落とすが、直後に腕が残ると、郷野は腕をつかんで足を登らせ、腕十字を狙って終了する。記者採点は郷野。合計27-30で郷野。ジャッジは1者のみ28-29としたが、今のMMAの採点に慣れている和田良覚氏、太田純一氏は順当に27-30とつけ、郷野の判定勝ちとなった。
福田茉耶もキック2連敗
第1試合 キックボクシング 女子46.5kg契約 3分3R
×福田茉耶(GLEAT)
○Nao(AXGYM)
3R 1’45” TKO (レフェリーストップ:パンチ連打)
キックは肘無しでつかんでからの攻撃は1回認められるRISEと同じルールで、女子は顔面への膝蹴りが禁止となる。
GLEAT所属のプロレスラー、福田は伝統派空手の剛柔流の世界大会のジュニア部門の型で優勝、組手で2位と3位の実績がある。昨年12月のGLEAT MMA Ver.0でのキックデビュー戦では菊地美乃里に判定1-2で敗れた。今回はプロ3戦目のNaoと対戦した。
1R、お互いミドル、ロー、前蹴りを出すが、まだ均衡は崩れず。終盤、バッティングとなり、Naoがダメージを負い一時中断する。再開後、両者手数が上がり、Naoの左ストレートで福田がのけぞり、少し印象を悪くする。福田はデビュー戦同様、空手の名残かガードが低めのままだ。
すると2R、Naoが左ストレート、右ローと攻撃を散らしつつ、ボディ狙いの左フックと膝蹴りも当て、福田を後退させる。中盤以降は前蹴りも絡めて福田を追い詰め、ボディへの左フック、膝、右ミドルの3連打で棒立ちにさせると、和田レフェリーがダウンを宣告する。その後もNaoが攻めまくり、福田は耐えて終える。
3R、開始すぐこそ福田はハイキックを出していたが、Naoが前に出てボディに攻撃を効かせると、コーナーに詰めて、パンチと膝を当て続け、またも和田レフェリーがスタンディングダウンを宣告する。最後はNaoが前に出てパンチを連打して福田を後退させたところでレフェリーがストップした。敗れた福田は涙を流しながらも四方の観客に頭を下げてリングを降りた。