Krush 2.25 後楽園ホール(レポ):バンタム級王者・池田幸司、松谷桐を2R KOし2連続KO勝ち防衛「黒田選手、焦ってるんじゃないんですか?」
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
センチャイムエタイジム中野
本場のムエタイ、教えます。初心者、ダイエット目的の方も大歓迎!まずは見学・体験を!
Krush.146
2023年2月25日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第10試合 メインイベント Krushバンタム級(53kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○池田幸司(ReBORN経堂/王者、K-1カレッジ2019 -55kg優勝)
×松谷 桐(ALONZA ABLAZE/挑戦者、元NJKFフライ級王者)
2R 1’08” KO (左フック)
※池田が2度目の防衛
池田は昨年3月に壬生狼一輝を破りKrushバンタム級王者となり、7月に野田蒼をKOして初防衛に成功する。12月3日の初代K-1バンタム級王座決定トーナメントでは一回戦でアンビ・エンスエ・アボモを左三日月蹴りでKOし、準決勝で石井一成に判定負けした。それから3カ月弱の間隔でKrush王座の2度目の防衛戦に臨んだ。
松谷綺の兄・桐は3月のKrushで野田に判定負けしたが、10月には白幡太陽に判定勝ちし、今回のKrush王座初挑戦に抜てきされた。
試合は高いレベルで競ってきた池田がレベルの差を示す内容に。1R、池田はオーソドックス、松谷はサウスポーで構え、お互いミドル、ローといった蹴り主体の攻防が続く。最後、池田が左ストレートも絡め攻撃を増やすが、まだ均衡は崩れない。記者採点はイーブン。
2Rも均衡状態が続いたが、フィニッシュはいきなり訪れる。松谷が前に出て、右の前蹴りのフェイントから左フックを振るうが、池田はかわしながら左フックをカウンターでクリーンヒットしダウンを奪う。松谷は片膝立ちから立ち上がろうとしたが動けず、池田がKO勝ちした。
池田は野田との防衛戦に続け2連続KO勝ちでの防衛に成功。ベルトを巻きマイクを持つと「倒せるバンタム級、池田幸司です」と勝ち誇り「今年は去年逃したK-1のベルトを、あそこ(=会場に飾られたバナー)にいる黒田選手から奪ってやろうと思います。今日のKOで焦ってるんじゃないんですか?」と、黒田を挑発した。
バックステージで池田は「松谷選手が試合前にいなすと言っていたんで、2Rから入って来ると思ったんで(左フックを)合わせました。1Rは遠い距離で戦ったのは作戦通りでした。インターバルに会長が『(松谷は)ストレートを狙って来るぞ』と言っていて、来たら左フックを合わせようと考えていて、それがハマりました。今日はダウンが多かったですけど、KO勝ちが無かったんで、順番待ちの時にプレッシャーを感じていたので、KOできて良かったです」と試合を振り返った。
池田は対黒田に関して「次にやりたいぐらいですね。この前やった時と僕の技術が変わったとわかってもらえたと思うので。ファンに見たいと思わせるよう、強い相手に勝っていきたいです。年内には黒田チャンピオンに挑みたいですね。KrushだけじゃなくK-1で勝っていかないといけないんで、組まれた相手を確実に倒すことがベルトに近づくと思います」と話した。
敗れた松谷は「リーチとか、やってみないとわからないやりにくさがありました。足りない技術は無かったんですけど、用意した作戦がハマらなかったです」と試合を振り返った。
横山朋哉、ペットサムイとダウンの応酬の末判定勝ち
第9試合 セミファイナル スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○横山朋哉(リーブルロア)
×ペットサムイ・シムラ[Phetsamui Shimura](タイ/志村道場/元ラジャダムナン認定スーパーライト級王者)※エークピカート・モークルンテープトンブリー 改め
判定3-0 (西村28-26/箱崎28-26/梅木28-26)
横山は昨年9月の第5代K-1スーパー・フェザー級王座決定トーナメントでスタウロス・エグザコスティディスを左ハイキックでKOし、準決勝で朝久裕貴にKO負けして以来の試合。ペットサムイは昨年12月のK-1大阪大会で与座優貴に判定負けして以来の試合。今回はリングネームを改めると共にライト級から階級を下げて戦う。
1R、両者サウスポーで構え、お互い左ローを当てるなど、激しい削り合いとなるが、終盤のパンチの打ち合いで、横山が左フックを当ててダウンを奪う。横山はボディと顔面にパンチを当て、ペットサムイを追い詰める。記者採点は10-8で横山。
2Rも序盤から横山が、ペットサムイの左ローに左ストレートを合わせてダウンを奪う。その後も横山は左ローを当て続けるが、終盤はペットサムイが左ロー、ストレートを返し、巻き返して終える。記者採点は10-8で横山。
すると3R、ペットサムイが左ローを連打すると、横山がコーナーに後退し、ペットサムイが左ストレートを当ててダウンを奪う。その後もペットサムイは左ストレート、左ローを当て続け、横山を追い詰めるが、横山も最後はパンチを返して反撃を封じて終了する。記者採点は8-10でペットサムイ。合計28-26で横山。ジャッジ3者も同じ採点で、横浜は判定勝ちとなったが、勝利を告げられると首を振り続け、悔しさを露わにした。
野杁戦から10カ月、加藤虎於奈が再起戦で苦しみながらも勝利
第8試合 ウェルター級(67.5kg) 3分3R(延長1R)
○加藤虎於奈(TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO/元Krushウェルター級王者)
×幸輝(インタージム/KPKBスーパーウェルター級王者)
判定3-0 (山根30-28/伊藤29-28/岡田29-27)
レオナ・ペタスの弟・虎於奈は、21年4月に松岡力に敗れてKrushウェルター級王座から陥落し、昨年4月のK’FESTAで野杁正明にKO負けし2連敗中で、それ以来10カ月ぶりの試合。幸輝は21年7月のK-1で安保瑠輝也に、昨年8月のK-1で海斗にKO負けしている。
1R、虎於奈が序盤にパンチを連打するが、中盤から幸輝が虎於奈のブロックの上からパンチを連打し、虎於奈は鼻血を出して苦しそうな状態に。だが終了間際、虎於奈が左ストレートでダウンを奪い引っ繰り返す。記者採点は10-8で虎於奈。
2R、中盤まで幸輝も攻撃を出していたが、次第に虎於奈の左ストレート、膝、ミドルのヒットが増え、幸輝は下がる状況が続く。記者採点は虎於奈。
3R、虎於奈はダメージと疲労が溜まり、逆に幸輝が息を吹き返し、手数を上げ、中盤過ぎには左右のフックを立て続けに当てて虎於奈をふらつかせる。虎於奈は耐え、パンチとハイを返し、幸輝の反撃を封じ終了。記者採点は幸輝。合計29-27で虎於奈。ダウンを奪った虎於奈が判定勝ちしたが、防御の課題が目立つ内容となってしまった。
第7試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
×吉岡ビギン(team ALL-WIN/元Krushバンタム級王者)
○白幡裕星(K-1ジム総本部チームペガサス/元KNOCK OUT-RED&ムエタイオープン・スーパーフライ級王者)※Battle-Boxから所属変更
判定0-2 (豊永30-30/伊藤29-30/山根29-30)
白幡は既にKrushに上がっている白幡太陽の弟。ジュニア時代はチームドラゴンジム、プロになってからは橋本道場に在籍し、REBELS(現在のKNOCK OUT)で王者になる。21年末に橋本道場を離れBattle-Boxに移ると共にKNOCK OUT王座を返上し、昨年2月にRIZINに上がると吉成名高と対戦しKO負け。その次の7月の試合ではKNOCK OUTに戻り、業界に波紋を呼んだ。その試合で白幡は鈴木貫太にTKO勝ちし、マイクではRIZINでの勝利とKNOCK OUT 3階級制覇を目標に掲げていたが、その後K-1ジム総本部に移籍し、今回Krushに初登場した。
吉岡は計量オーバーによるKrushバンタム級王座を剥奪され、スーパー・バンタム級に上げたが、またも計量オーバー。11月のKrush後楽園大会の前日計量の際に自主的に減量し、バンタム級まで体重を落として登場し、中村拓己プロデューサーにアピールし、今回バンタム級で試合が組まれた。
1R、開始すぐ、サウスポーの白幡が回って距離を取るが、左のインローがローブローとなり、いきなり中断となる。3分ほどして再開したが、1分ごろにまたも白幡の左インローがローブローとなり中断する。すると終盤、今度は右の前蹴り気味のローがローブローとなり、またも中断する。箱崎レフェリーは警告を出す。記者採点はイーブン。
2Rも1R同様、離れた距離から蹴りを打ち合う展開が続くが、均衡は崩れない。終盤、今度は吉岡の右インローがローブローとなり中断する。最後も蹴りの打ち合いで終了。記者採点はイーブン。
3Rもなかなか均衡が崩れないものの、中盤以降、白幡が左ミドルを当てる頻度が上がり、やや優位になる。とはいえ吉岡をフラつかせるほどにはならない。記者採点はイーブン。ジャッジは2者が3Rの白幡につけた模様で、白幡の判定勝ちとなったが、最後まで悪いムードを払しょくできないまま終わった感は拭えなかった。
第6試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×昇也(士魂村上塾/元Bigbangスーパーライト級王者)
○児玉兼慎(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
判定0-3 (山根27-30/岡田27-30/梅木27-30)
昇也は10月大会で元ライト級王者の瓦田脩二に延長戦の末に判定勝ち。児玉も同じ大会で大利賢佑に判定勝ちしている。
1R、サウスポーの昇也に、児玉が右ストレートを的確に当て、右ストレートでダウンを奪う。その後も右ストレート、ロー等を何発も当て、終了間際には序盤にもらった胴廻し回転蹴りを当て返してみせる。記者採点は8-10で児玉。
2R、昇也も必死に反撃し、接近戦での打ち合いで手数を上げるが、児玉はブロックし、もらい続けた後もしっかり連打を返し、昇也にはっきりした差をつけさせない。記者採点はイーブン。
3Rも同様のパターンで児玉がパンチを返し続け、終盤には笑顔も浮かべてノーガードで打たせ、逆に左右のフックで昇也を度々ひるませる。記者採点は児玉。合計27-30で児玉。ジャッジ3者も同じ採点で、児玉が判定勝ちした。
第5試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×岡嶋形徒(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
○龍斗(team NOVA/Bigbangフェザー級王者)
判定0-3 (箱崎27-30/太田27-30/西村28-30)
1R、蹴り主体の攻防で、岡嶋も左ミドル等を当てるが、龍斗の右のカーフが効果的で、蹴り数では大差ないものの、岡嶋が少しバランスを崩す場面も。記者採点はイーブン。
2R、岡嶋が右のカーフを起点に、ボディ、顔面へのパンチ、左ミドル、ローとヒットをじわじわ増やす。終盤には右のバックスピンキックを効かせて後退させてからのパンチ連打でダウンを奪う。記者採点は8-10で龍斗。
3R、序盤こそ岡嶋が息を吹き返しパンチラッシュで巻き返すも、長くは続かず、龍斗が中盤以降、左ミドル、左ハイを何発も当てて圧倒し、点差を広げ判定勝ちした。記者採点は龍斗。合計27-30で龍斗。なぜか28-30とつけたジャッジが1人いた。
第4試合 フェザー級 3分3R(延長1R)
×水津空良(優弥道場)
○健介(Jay’s Box)
判定0-3 (山根27-30/豊永27-30/太田26-30)
1R、静かな攻防が続いたが、終盤に健介がボディに効かせると、コーナーに詰めてのパンチラッシュで倒しにかかり好印象を残す。2R、しばらく均衡状態が続くが、終盤に健介がヒットを増やし、終了間際に左ストレートでダウンを奪う。水津はダメージが大きい様子だ。3Rも健介が接近戦で左右のフックを的確に当て続け優位を維持し判定勝ちした。記者採点は1Rと3Rも健介につけ26-30で健介。
第3試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
○内田 晶[しょう](チーム・タイガーホーク)
×倉田永輝(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
判定3-0 (太田28-26/豊永28-26/山根28-26)
内田は鬼山桃太朗、佐々木洵樹、永坂吏羅といったKrush上位勢相手に3連敗中。倉田は一昨年は池田幸司、西林翔平に連敗したが、昨年は愛瑠斗、紫苑、黒田勇斗相手に3連勝している。
1R、お互いミドル、ローの応酬。終盤にどちらも蹴り数を増やすが、まだ均衡状態だ。2R、内田が左右のミドルのヒットを増やすと、前に出てパンチを振るった倉田に右フックを当てダウンを奪う。その後も倉田が蹴りとパンチで追い詰めるが、終了間際の打ち合いで、倉田がカウンターの右フックを当ててダウンを奪い返し、試合をわからなくする。
3R、開始すぐからパンチが激しく交錯するが、内田が次第にパンチ、ミドルのヒットを増やし、右ローでもぐらつかせ優位に。終盤、倉田も右のストレートを返して挽回しかけたが、終了間際に内田が軽く放った右ストレートがクリーンヒットし、不意を打たれた倉田はダウン。結局これが決め手となり、内田が判定勝ちした。
第2試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
×夜叉猿[やしゃざる](力道場静岡)
○小田尋久[じんく](TEAM3K)
判定0-2 (梅木28-28/豊永27-28/太田27-28)
夜叉猿は昨年、山崎陽一に判定勝ちし。10月大会では藤村大輔を蹴りで苦しめるも判定負けに終わった。Krush初参戦の小田は3戦3勝(2KO)の20歳。子供の時からフルコン空手を習い、21年11月のDEEP☆KICKでキックデビューし2連続KO勝ちし、昨年4月のStand upでは青谷秋未からダウンを奪い判定勝ちしたが、RISEではなくKrushに参戦した。
1R、小田がパンチを当てつつ、右のボディ狙いのバックスピンキック、左テンカオ、右のローも随所で強打し攻勢。記者採点は小田。
2R、小田が前に出たタイミングで、夜叉猿が下がりながら右フックを当てダウンを先取する。だが小田は右の顔面狙いのバックスピンキックでダウンを奪い返し、その後も左フック、ミドルで夜叉猿を苦しめる。採点は8-8に。
3R、小田はフルコン出身者が得意とするる前足の左足でのインローをヒット。夜叉猿の反撃を封じる。記者採点は小田。合計26-28で小田。ジャッジは2者が小田を支持し、小田が判定勝ちした。
第1試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○伊藤健人(K-1ジム蒲田チームアスラ)
×堀井 翼(K-1ジム五反田チームキングス)
判定3-0 (梅木30-27/岡田30-28/西村29-28)
伊藤は12月大会で鈴木翔也に判定勝ち。堀井は南雲大輝に連敗したが、10月大会ではSATORU成合との死闘を制しTKO勝ちしている。
1R、堀井が序盤から前に出て積極的にパンチを振るい、随所で右フック、右ボディを強打して好印象を残す。伊藤もパンチや左ミドルを返すが攻撃数が伸びない。記者採点は堀井。
だが2R、伊藤が堀井の前進をうまくかわすようになると、次第に右フックのヒットを増やす。終盤には右フックでダウン気味にスリップさせ、堀井を苦しめる。記者採点は伊藤。
すると3R、序盤から伊藤が堀井の右膝蹴りに合わせ右フックを当ててダウンを奪うことに成功する。堀井は必死に前に出てパンチを当て、五分の状態に戻すが、逆転ならず、伊藤が判定勝ちした。記者採点は10-8で伊藤。合計29-27で伊藤。
プレリミナリーファイト第2試合 バンタム級 3分3R
○中澤誠弥(PITBULL)
×小島卓也(優弥道場)
判定3-0 (30-24/30-24/30-24)
プレリミナリーファイト第1試合 フライ級 3分3R
○長野 翔(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
×安尾瑠輝(K-1ジム心斎橋チームレパード)
判定3-0 (30-25/30-25/30-26)