Krush 12.18 後楽園ホール(レポ):中島千博、西元也史から左フックでダウン奪いスーパー・フェザー級王座初防衛。山本直樹、野田哲司をボディでKO。フェザー級の森坂陸が4連勝
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Krush.144
2022年12月18日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
中島千博、西元也史から最終3R左フックでダウン奪いスーパー・フェザー級王座初防衛
第9試合 メインイベント Krushスーパー・フェザー級(60kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○中島千博(POWER OF DREAM/王者、極真会館全日本ウェイト制2017軽重量級優勝)
×西元也史[なりふみ](K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/挑戦者)
判定3-0 (箱崎30-28/梅木30-28/西村30-28)
※中島が初防衛
中島は今年1月まで行われた第10代Krushスーパー・フェザー級王座決定トーナメントでSATORU成合、友尊、横山朋哉を下して優勝。6月のTHE MATCH 2022に抜擢されたが、シュートボクシングの笠原友希に判定負けした。その時の怪我の影響で9月の第5代K-1スーパー・フェザー級王座決定トーナメントも出場を断念していた。対する西元は9月の同トーナメントのリザーブファイトで山本直樹に判定勝ちし、今回Krush王座に初挑戦した。
試合は2Rまで均衡状態が続く。1R、西元がプレッシャーをかけ、中島が時折サウスポーに切り替えつつ回る構図が終始続く。西元が左ボディ、右ロー、中島が左右のミドル、右カーフ、バックスピンキック等を出すが、どちらもなかなか強打にはならない。記者採点はイーブン。
2Rも同じような構図が続き、均衡は崩れない。西元は左ボディ、右ミドル、中島は左アッパー、サウスポーからのサイドキックを当てるが、ここでも強打にならない。記者採点はイーブン。
動いたのは3R。西元が前に出続けるが、中島はサウスポーの時間を増やすと、中盤、西元の左フックをかわしてから、左フックを当ててダウンを奪う。
西元はダメージはそこまで大きくない様子で、前に出てパンチを返して巻き返しを狙う。だが中島はスイッチを織り交ぜつつパンチを返し、終了間際には右フックで2度ひるませ、しっかり差を印象付け終了する。記者採点は10-8で中島。合計30-28で中島。ジャッジ3者も同じ採点で、3Rに点差をつけた中島が判定勝ちで王座初防衛を果たした。
マイクを持った中島は「THE MATCHで負けて、『なんで中島出てるんだ』とネットとかで言われ、滅茶苦茶悔しくて、K-1大好きな人たちに申し訳ないと思いました。鼻を骨折して手術して、9月のトーナメントを辞退して、悔しいことだらけで、防衛戦が決まった時は、みんなを悲しませたくない思いがあって、いろんな人に支えられて勝つことができました。(前Krush王者でK-1同級王者の)レオナ・ペタスさんが『KOで勝ってアピールして欲しい』という内容でネットで書いていましたけど、KOできなかったんで、しっかりレオナさんに勝てるよう練習し、来年K-1の舞台に行かせていただきたいです。これからPOWER OF DREAMをよろしくお願します」とアピールした。バックステージでは「大橋ボクシングジムに出稽古に行き、ちゃんとジャブを出せました。理想像は(PODの先輩で大橋ジムに移籍した)武居由樹君なんで、ちょっとずつ近づけたと思います」と話した。
敗れた西元は「最後の最後も効いていました。一皮剥けられなかったです。向こうの巧さもあって、練習の動きを出せなかったです」と涙を流しながら話した。
山本直樹、野田哲司を3R KO。中島の王座挑戦に前進
第8試合 セミファイナル スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○山本直樹(K-1ジム五反田チームキングス)
×野田哲司(ARROWS GYM)※PURGE TOKYOから所属変更
3R 1’51” KO (右ボディフック)
山本は9月のK-1スーパー・フェザー級王座決定トーナメントのリザーブファイトで西元に判定負け。野田は6月の松本涼雅戦で延長判定勝ち。所属は変わったが、トレーナーは矢口哲雄氏で変わらない。
1R、中盤まで山本が右ロー、ストレート等の手数でやや上。だが終盤、野田が左ボディを効かせ、左ボディをさらに当てて後退させ、ロープ際に下がらせ右ストレートを立て続けに当て、山本を追い詰める。記者採点は野田。
2R、野田は執拗に左ボディを当てるものの、山本もブロックしながら耐えるようになり、山本は左右の顔面へのパンチを増やして巻き返す。だが野田も終盤にボディ、顔面へのパンチを増やし、ほぼ五分に戻す。記者採点はイーブン。
だが3R、山本が序盤から左ボディを連打すると、これが効き目を発揮。野田はしばらくコーナーを背にブロックで耐える状況が続く。野田も顔面、ボディにパンチを返して手数で巻き返したが、山本は反撃をブロックして耐え、カウンターの左フックを当ててから下がらせる。
さらに左ボディを強打すると、野田はついにダウンする。野田は立ち上がるがダメージが大きく、山本が再びボディに左右のパンチを連打すると、野田があっさりダウンし、梅木レフェリーがストップ。山本のKO勝ちとなった。野田は意識はあるものの、しばらく座ったまま動けなかった。
マイクを持った山本は「この後同じ階級(のタイトルマッチ)があるんですけど、自分はこんなもんじゃないんで来年を期待しといてください」とアピールした。
森坂陸が4連勝。フェザー級王座挑戦に名乗り
第7試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○森坂 陸(エスジム)
×稲垣 澪(K-1ジム大宮チームレオン/Bigbangフェザー級王者)
判定3-0 (西村30-29/豊永30-29/山根30-29
森坂は9月のK-1横浜アリーナ大会で、復帰戦の西京春馬を退け3連勝と好調。稲垣はプロデビュー5連勝後、5月に寺田匠に敗れたが、8月には岡嶋形徒をKOした。
1R、長身の稲垣がプレッシャーをかけ続け、左右のフック、右ボディを当てる。森坂は回って距離を取りつつ、右のバックハンドブロー、バックスピンキックを当てるが、クリーンヒットにはならない。まだ互角か。記者採点はイーブン。
2Rもなかなか均衡が崩れず、森坂はミドルを当てつつバックブローも出すが、ブロックされ続ける。稲垣もパンチを当てるがなかなかはっきりダメージを与えられない。記者採点はイーブン。
すると3R、お互い前に出て接近戦が増えると、森坂の左ボディの強打が増え、やや優位に。顔面へのパンチのヒットも増え、終盤には左フックで稲垣の腰を落とさせ、最後まで手数を落とさず攻め続け、主導権を維持し終了する。記者採点は森坂。合計30-29で森坂。ジャッジ3者も同じ採点で、森坂が最終ラウンドに差をつけ判定勝ちし、連勝を4に伸ばした。
森坂は「来年春ぐらいに防衛戦をやると思うんで、そろそろ僕にして欲しいです。来年Krushのベルトが巻けなければもう終わりと考えています」と話し、Krushフェザー級王者・玖村修平への挑戦を熱望するとともに、来年に懸ける熱い思いを口にした。玖村兄弟の兄・修平は、今年5月21日のKrushで新美貴士に判定勝ちし王座を獲得し、以降は8月と12月のK-1に出場している。
第6試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×鈴木翔也(OGUNI-GYM/元NJKFライト級&スーパーフェザー級王者)
○伊藤健人(K-1ジム蒲田チームアスラ)
判定0-3 (山根27-28/梅木27-28/豊永27-29)
1R、伊藤が序盤から左ボディを強打し、中盤には鈴木の右フックのカウンターで右フックをクリーンヒットしダウンを奪う。その後もパンチを当て優位を維持し、終盤にも右ハイでひるませる。記者採点は8-10で伊藤。
2Rも伊藤がパンチを的確に当ててやや優位を維持するが、中盤過ぎ、鈴木が左右のストレートを連続で当てると、やや押されるような形ではあるが、伊藤が倒れ、伊藤レフェリーはダウンを宣告する。伊藤は終盤に右ハイで鈴木をぐらつかせるがダウンは奪い返せない。記者採点は10-8で鈴木。豊永ジャッジは10-9としたようだ。
3R、伊藤は左右のパンチを度々当て主導権を維持。鈴木も時折返すが手数差は大きいまま終了する。記者採点は伊藤。合計27-28で伊藤。ジャッジ3者も伊藤を支持し、伊藤が判定勝ちした。
第5試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○林 勇汰(FLYSKY GYM)
×銀次(VAINQUEUR GYM/KPKB&TENKAICHIフェザー級王者、大和KICK -57.5kg王者)
4R 判定3-0 (梅木10-9/伊藤10-9/山根10-9)
3R 判定1-0 (梅木29-28/伊藤29-29/山根29-29)
1R、銀次は右ロー、カーフ、左ボディ、右テンカオを随所でヒット。林も右ロー、カーフを返しつつ、中盤からは顔面へのパンチのヒットを増やす。銀次はひるまないものの、もらう量がじわじわ増え、少し印象が悪い。記者採点は林だがまだイーブンの可能性もある。
2R、林が右フックで銀次を少しのけぞらせ、右ローも当てる。だが銀次が右のカーフを執拗に当てていると、終盤に右カーフをもらった林がスリップし、銀次は好印象を残す。記者採点は銀次だがまだイーブンの可能性もある。
3R、ローを嫌った林が距離を詰め、お互いパンチを当て合う。その中でクリンチが増え、林も西村レフェリーから注意1を受けるが、銀次は注意の累積で警告に。さらに終盤にはつかんでから膝蹴りを当ててしまい、注意が入り累積で減点1となってしまう。記者採点は減点分含め10-9で林。合計29-28で林。ジャッジ1者も同じだったが、2者は29-29としてイーブンで延長へ。林は終盤の銀次の減点に救われる。
延長Rも接近戦となり、序盤から両者に注意が入る。中盤には再び注意が入り警告に。林が詰めてパンチを当てる場面がやや目立つ。銀次もパンチを返しつつ、随所で左右のハイを返し、ほぼ互角で渡り合うが、疲れた様子が見え、やや印象が悪い。記者採点は通常ならイーブンだがマスト判定のため林。ジャッジ3者も林を支持し、林の勝利となった。
第4試合 女子フライ級(52kg) 3分3R
×真優[まひろ](月心会チーム侍)
○麻央(K-1ジム心斎橋チームレパード)
判定0-3 (梅木28-30/豊永28-30/山根28-30)
真優は6月のK-1女子大会で芳美に判定勝ちし、連敗を2で止めて以来の試合。対するMaoは真優同じく大阪出身。6戦5勝1敗の25歳で、6年ぶりの試合となるが、高いスキルを印象付ける。
1R、麻央が左ミドルをボディ、右腕に散らして当てつつ、右ミドル、ローもヒット。終盤には右ストレートも絡め、攻撃数で差をつける。記者採点は麻央。
2Rも麻央が軽快に左右の蹴りを当て続け主導権を維持する。終盤、真優も左フック等のパンチを増やすが、麻央の攻撃数も落ちない。記者採点は麻央だがイーブンの可能性はある。
3Rも麻央が蹴りの連打を度々まとめ主導権を維持する。1Rからバッティングが多く、両者痛そうにするが、麻央は最後まで攻撃を切らさず終了。記者採点は麻央。合計27-30で麻央。ジャッジ3者とも28-30で麻央を支持し、麻央が判定勝ちした。
第3試合 女子フライ級(52kg) 3分3R(延長1R)
×芳美(OGUNI-GYM)
○櫻井梨華子(優弥道場)
判定0-3 (梅木28-30/豊永28-30/西村27-30)
1R、櫻井が右フック、右ハイを的確に当てやや優位。2Rには左インローを効かせ、パンチのヒットも増やす。芳美はクリンチが増え、レフェリーから注意を受ける。3Rは度々芳美をロープ際に詰め、ボディと顔面にパンチを当て続け圧倒し判定勝ちした。記者採点は27-30で櫻井。
第2試合 フライ級(51kg) 3分3R(延長1R)
×西林翔平(K-1ジム福岡チームbeginning/KPKBバンタム級王者)
○大鹿統毅[おおしか とうき](K-1ジム総本部チームペガサス/K-1甲子園2022 -55kg優勝)
判定0-3 (西村27-30/梅田27-30/山崎28-30)
大鹿は日菜太を輩出した湘南格闘クラブ出身で、Bigbang等でプロ5戦全勝。現在高校3年生で、8月のK-1甲子園で優勝し、今回K-1系のプロの試合に初出場した。
1R、パンチ狙いで前に出る西林に対し、大鹿が素早いステップでかわしながら、左ジャブ、ボディ、右ストレートを度々ヒット。特に左ボディの炸裂音が大きく印象に残る。
2Rも同じような構図だが、西林はなかなかひるまず、逆に大鹿は攻撃の精度が少し落ちる。手数では上で差はつけているが、西林も終盤に右フック等のパンチを返し、大鹿は1Rほどの勢いは無くなる。だが西林は反撃の糸口はつかめず、3R、大鹿が手数多く攻め続け、攻勢を維持し判定勝ちした。記者採点は27-30で大鹿。
第1試合 フライ級(51kg) 3分3R(延長1R)
○大夢[だいな](WIZARDキックボクシングジム)
×石郷慶人(K-1ジム福岡チームbeginning/KPKBフライ級王者)
判定2-0 (山根29-29/箱崎30-29/三浦30-28)
大夢は9月の初代Krushフライ級王座決定トーナメントの準決勝では天馬を右三日月蹴り一撃でわずか32秒でKO。決勝では大久保琉唯と激しい打ち合いを繰り広げ、延長Rも僅差の末に判定1-2で惜敗した。10月19日に20歳となったばかりだ。石郷は6月のKrushでは大久保と戦う予定だったが、大久保がTHE MATCH 2022で那須川龍心と戦うことになり、石郷はYASSYとの試合に変更となり引き分けていた。9月のKrush-EX福岡大会でのYASSYとの再戦では判定勝ちしている。
1R、サウスポーの石郷が左ミドルを随所で当て、大夢は左ジャブ、右ストレート、右の三日月蹴りを当てる。ヒット数では大夢が少し上のように見えるが、まだはっきりした差はない。記者採点はイーブン
2R、中盤に大夢が右ストレートで石郷をひるませ、右の三日月、インロー等を随所で当てる。だが石郷は耐え、左ミドル、ハイ、ロー、ストレートを返し続け、攻撃数自体ではやや上の感がある。記者採点はイーブン。
3Rも均衡状態が続くが、終盤、大夢が右の飛び膝をきっかけに、ワンツーで左フックも当てやや優位に。だが終了間際に石郷も手数を上げ、左右のパンチを当てて巻き返す。記者採点は大夢につけるか迷ったがイーブン。合計30-30でイーブン。ジャッジは1者が29-29でイーブンとし、2者が大夢を支持し大夢の判定勝ちとなったが、大夢に笑顔は無く、トーナメント準優勝者相手に石郷の奮闘も光る内容となった。
プレリミナリーファイト第2試合 フェザー級 3分3R
×天野颯大(キング・ムエ/K-1甲子園2021 -60kg優勝)
○橋本雷汰(BFA-SEED/K-1甲子園2022 -60kg優勝)
判定0-3 (24-30/24-30/24-30)
※天野が計量300gオーバー。1R減点1。ファイトマネーの20%を没収。グローブハンデを橋本が拒否
※2Rに1回、3Rに2回、左ストレートで天野にダウン
プレリミナリーファイト第1試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R
○光佑(ウィラサクレック・フェアテックス三ノ輪)
×早田吏喜[りき](TEAM3K/K-1甲子園2022 -60kg準優勝)
1R 1’26” KO