Krush 9.24 後楽園ホール(レポ):THE MATCH出場の高3・大久保琉唯、2試合合計7Rの激闘制し初代フライ級王者に「こんなボロボロになって巻いたベルトが無かったので逆にうれしい」
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
中野トイカツ道場
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Krush.141
2022年9月24日(土)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
初代Krushフライ級王座決定トーナメント、大久保琉唯が1日2試合・計7Rの激闘制す
第1試合 初代Krushフライ級(51kg)王座決定トーナメント準決勝(1) 3分3R(延長1R)
×西林翔平(K-1ジム福岡チームbeginning/KPKBバンタム級王者)
○大久保琉唯[るい](K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER/K-1甲子園2021 -55kg優勝)
判定0-3 (西村28-30/梅木28-30/岡田29-30)
Krushの男子の王座はこれまで53kgのバンタム級が最軽量だったが、今回51kgのフライ級の王座が新設された。
大久保は6月のTHE MATCH 2022で那須川天心の弟・龍心に判定勝ちし2戦2勝の18歳・高校3年生。ABEMAの恋愛リアリティショー「オオカミちゃんとオオカミくんには騙されない」にも出演し、今大会のABEMA中継のメインビジュアルにも単独起用されている。
西林は今回リザーバーとしてエントリーしていたが、山脇飛翼の負傷欠場で本戦に繰り上がった。大久保は2月のK-1のプレリミナリーでのプロデビュー戦で西林と対戦し判定勝ちしている。
1R、長身の大久保がプレッシャーをかけ、右ロー、ストレート、左テンカオを当てる場面もあり、やや優勢だが、まだ動きが硬く、手数が伸びず、はっきりした差はつかない。記者採点はイーブン。
2R、大久保が左ミドル、膝、右ローなどを随所で当てるが、西林も接近戦になると右フックを当てて大久保をふらつかせる場面もあり、まだ一進一退の状態だ。記者採点はイーブン。
3R、大久保が攻撃の回転を上げ、左右のミドル、ロー、ハイ等を積極的に出して当てる。西林のパンチも頭を振ってかわし、終盤にハイやフックでフラつかせて好印象を残し判定勝ちした。記者採点は3Rは大久保で合計30-29で大久保。
第2試合 初代Krushフライ級(51kg)王座決定トーナメント準決勝(2) 3分3R(延長1R)
○大夢[だいな](WIZARDキックボクシングジム)
×天馬(ウィラサクレック・フェアテックス西川口/元WMC日本ライトフライ級(48.99kg)王者)
1R 0’32” KO (右三日月蹴り)
大夢は7戦6勝(2KO)1敗で、K-1系では麗斗、山脇飛翼、萩原秀斗相手に3連勝。天馬はKrush初参戦で、これまではムエタイ系の肘有りの試合主体で戦績は8戦5勝(3KO)3敗。
試合はあっという間の決着に。1R、サウスポーの天馬に対し、オーソドックスの大夢がじわじわ圧をかけ、コーナー際に詰めると、右のインローを空振りさせてから、右の三日月蹴りを天馬のみぞおちあたりにクリーンヒット。天馬はうずくまり、ダウンカウントが続いても動けず。大夢はKO勝ちし、消耗無しで決勝に進んだ。
プレリミナリーファイト第2試合 初代Krushフライ級(51kg)王座決定トーナメント・リザーブファイト 3分3R(延長1R)
○松葉斗哉(昇龍會)
×瑞貴(TEAM3K)
判定3-0 (三浦30-28/岡田30-28/山根29-28)
※3R左ハイキックで瑞貴が1ダウン
第10試合 メインイベント 初代Krushフライ級(51kg)王座決定トーナメント決勝 3分3R(延長1R)
○大久保琉唯[るい](K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER/K-1甲子園2021 -55kg優勝)
×大夢[だいな](WIZARDキックボクシングジム)
4R 判定2-1 (西村10-9/岡田9-10/梅木10-9)
3R 判定1-0 (西村30-29/岡田30-30/梅木30-30)
※大久保が王者に
1R、大夢がガードを固めプレッシャーをかけ続け、長身の大久保は回って距離を取る構図。お互いロー、ミドル、パンチを当てるが、まだ均衡は崩れない。記者採点はイーブン。
2Rも同じ構図で大夢が前に出続けるが、なかなか中に入りきれず、均衡は崩れず。すると終盤、大久保の左ジャブが立て続けに当たると、右ストレートで大夢の腰が落ち、大久保が好印象を残す。記者採点はイーブンか迷ったが僅差で大久保。初戦で3R戦った大久保は開始時から足の腫れが目立ち、さらに出血するようになり、2Rからは右まぶたと鼻からも出血したが、外傷が出やすい体質のようで、相手の有効打による正味のダメージはそれほど無い様子だ。
3R、大久保が変わらず距離を取り左ジャブを当てつつ、右ロー、左ミドル、左右の膝も絡め、やや優位を維持する。だが終盤、大夢も左右のフック、ストレートのヒットを増やし、巻き返して終える。記者採点はこのRもイーブンか迷ったが僅差で大夢。合計29-29でイーブン。僅差のラウンドが続いたこともあり、ジャッジは1者が大久保を支持したが、2者は30-30のイーブンで延長へ。
延長R、大夢が変わらず前に出るが、大久保も攻撃を出しながら前に出るようになり、クリンチが増える。すると中盤から大久保が左膝、右ローのヒットを増やす。しかし大夢もパンチの打ち合いで当て返し、大久保も当て、一進一退の展開に。最後までわからない状態だったが、終盤に大久保は左ミドルを立て続けに当て、終了間際に左テンカオも当て、わずかだが好印象で終える。記者採点は通常判定ならイーブンだが、マスト判定のため大久保。大夢にも有効打があったため、ジャッジは割れつつも、2者が大久保を支持し、大久保が延長判定勝ちでベルトを巻いた。
ベルトを巻いた大久保は「絶対に勝たないといけない状況で優勝できて本当にうれしかったです。色んな人に支えられ、最後まで戦えました。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。バックステージでのインタビューでも「(決勝の)2R中盤から鼻血が出て苦しい場面が続いたんですけど、セコンドや周りに『人生変えよう』と言われ、自分を奮い立たせたことで勝てたと思います」と勝因についてコメント。大夢が短時間で勝ち上がったことについては「もうちょっと相手に粘ってほしかったですけど、逆にこれで僕が勝てたら文句言えないだろうと思いました」と話し、王者になった実感を聞かれると「こんなボロボロになって巻いたベルトが無かったので、逆にうれしいです」と答え、悪い出来事もポジティブに発想転換できる性格や機転も功を奏したのかもしれない。
大久保は今後について「外の(芸能の)仕事をやらせてもらっていて、負けたら『そんなことをやっているから』と言われると思いますけど、ボロボロになってもやっているんで、いずれK-1のチャンピオンになれるよう頑張ります」と話した。大学受験も控えているため、試合はそのスケジュールも影響しそうだ。
- Krush.141 9月24日 後楽園ホール大会で初代Krushフライ級となった大久保琉唯
なお、大会後の総括で中村拓己プロデューサーは「トータル7R戦って競り勝っていいところを見せた。これからも期待できる戦いぶりだった」と大久保を称えつつ「負けた大夢選手も、一回戦の倒しっぷりは倒せるフライ級を体現していて、決勝もどっちに転んでもおかしくない試合で、チャンピオンにいつなってもおかしくない実力だった。大久保選手といいライバルになっていくと思う」と話し、大夢についても高く評価していた。
弘輝、伊藤健人との接戦制し2連勝
第9試合 セミファイナル ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×伊藤健人(K-1ジム蒲田チームアスラ)
○弘輝(WORLD TREE GYM)
判定0-3 (箱崎29-30/西村29-30/岡田28-30)
伊藤は3連敗後、6月に階級をライト級に上げ、南雲大輝に2RKO勝ち。弘輝も3連敗後、ALL-WINを離れWORLD TREE GYMを神戸に開き、6月に明戸仁志に2RKO勝ち。どちらも2連勝を狙う。
1R、弘輝がサウスポー、伊藤がオーソドックスで構え、お互いロー、ミドルを当てつつ、パンチも交錯するが、まだ均衡は崩れない。
2R、弘輝が1Rも使っていた左のインローカーフのヒットを増やしつつ、左ストレートでものけぞらせる。だが終盤、伊藤も右ストレートで弘輝をふらつかせ、一進一退の状態に。記者採点ここまでイーブン。
3R、お互いミドルや膝を当てつつも、パンチ主体の攻防に。中盤から弘輝の手数が落ち、伊藤の手数が上がるが、なかなかクリーンヒットにはつながらず。すると終了間際、弘輝の左ストレートで伊藤がひるみ、弘輝が好印象を作り終了する。記者採点は弘輝。合計29-30で弘輝。ジャッジ3者も弘輝を支持し、弘輝の判定勝ちとなった。
第8試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
×覇家斗[はやと](K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER)
○國枝悠太(Never mind)
2R 2’29” KO (左ストレート)
覇家斗は19年3月のK-1で小澤海斗に判定負けした後、網膜剥離の手術をし、療養を経て約3年半ぶりに復帰する。國枝は4月に岡嶋形徒に敗れて以来の試合。
1R、覇家斗が右のロー、ミドル、ハイと上下に散らして蹴りで先手を取る。だが中盤から國枝が距離を詰めると、パンチの打ち合いの中で右フックを随所で強打する。覇家斗は腰が落ち右手をマットにつける場面も。記者採点は國枝。
2R、覇家斗は右ロー、カーフを随所でヒットすると、國枝は左足を叩く。実際効いていたのか?あえてローを打たせるための罠だったか?さらに覇家斗が右ローを放つと、國枝は左フックをカウンターで合わせてダウンを奪うことに成功する。すると國枝は左フックでさらにダウンを奪取。最後は右ストレートを空振りさせてからの左ストレートで3ダウン目を奪い、見事KO勝ちを果たした。
國枝はマイクを持つと「K-1グループに来てから大阪で試合できていないんですよ。12月K-1大阪お願いします」と地元での試合を熱望した。
第7試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×友尊[ゆたか](TEAM K/BLUE DOG GYM/元NJKFスーパーフェザー級王者)
○髙橋直輝(若獅子会館/元ACCELバンタム級王者)
判定0-3 (梅木27-28/豊永27-28/山根26-28)
1R、友尊がサウスポー、髙橋がオーソドックスで構え、お互い蹴り主体の攻防が続く。終盤、お見合いの後、距離が詰まりパンチが度々交錯するようになるが、まだどちらもクリーンヒットにはつながらない。記者採点はイーブン。
2Rもお見合いから、距離を詰めてのパンチの打ち合いが繰り返される。すると終盤、友尊の左フックがさく裂し、髙橋が少しフラつき印象を悪くする。記者採点は友尊。
3Rも友尊が随所でパンチを当て、中盤には左フックでダウンを奪取する。その後も左フックを当てていたが、終盤、逆転を狙う髙橋が、パンチの打ち合いの中で右フックを当ててダウンを奪い返す。すると髙橋がパンチの連打で再びダウンを奪い、そのまま試合終了。髙橋がジャッジ3者から支持され、苦しみながらも勝利をもぎ取った。記者採点は3R 7-8で髙橋で合計27-27でイーブン。
第6試合 スーパー・ライト級(65kg) 3分3R(延長1R)
×蓮實[はすみ]光(パラエストラ栃木)
○稲垣 柊[しゅう](K-1ジム大宮チームレオン)
2R 1’09” KO (左ストレート)
1R、長身のサウスポー、稲垣が、次第に右ジャブのヒットを増やすと、左ストレート、ミドル、膝を自在に当て優勢に。2R、左の飛び膝を当てて蓮實を下がらせると、左ストレートを2連打しダウンを奪う。蓮實はダメージが大きく、レフェリーがストップした。マイクを持った稲垣は「65kgの若手に稲垣柊がいるんで、下克上マッチやタイトルマッチを組んでください」とアピールした。
第5試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○健介(Jay’s Box)
×佑典[ゆうすけ](月心会チーム侍)
2R 1’42” KO (右フック)
1R、両者サウスポーで、終盤にパンチの打ち合いはあるが、距離を取って慎重に蹴り合う状態が主体に。2R、打ち合う場面が増えると、健介が左右のフックをヒット。下がった佑典を追いかけ、佑典の右フックのカウンターで右フックを当てる。健介もひるんだが、佑典はダウンすると立ち上がれず、健介のKO勝ちとなった。
第4試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R(延長1R)
○鷹大(ウィラサクレック・フェアテックス西川口/元WPMF日本フェザー級王者、元WMC世界&WPMF日本スーパーバンタム級王者)
×桝本翔也(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
判定2-0 (山根29-29/岡田29-28/太田30-29)
サウスポーで真っすぐ前に出て来る桝本に対し、鷹大が左右のミドルを当てつつ、打ち合いでフックも的確に当て、優位に試合を運ぶ。3R、鷹大は距離を取ってミドルを時折当て、逃げ切りモードに入る。桝本は左ボディを随所で効かせ反撃し印象を残したが、逆転ならず、鷹大が判定勝ちした。記者採点は1Rと2Rが鷹大、3Rは桝本で合計29-28で鷹大。
第3試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
×板橋武留(健成會)
○松本 陸(TAD)
判定0-3 (29-30/太田29-30/山根28-30)
JFKO 2連覇・山口翔大、Krush初戦は判定勝ち
プレリミナリーファイト第1試合 95kg契約 3分3R
×木村太地(KBスポーツジム/第12回K-1アマチュア全日本大会チャレンジAクラス+75kg優勝)
○山口翔大(TEAM 3K/RKS&AJKNクルーザー級王者、JFKO全日本フルコンタクト空手道選手権’18’19重量級優勝)
判定0-3 (29-30/29-30/29-30)
木村は7月のKrush-EXでのプロデビュー戦で佐野勇海をKOしている。山口はフルコン空手の国内最大規模の大会JFKOで2連覇し、今年にキックデビュー。大阪で行われているRKSとAJKNで2連勝し、3戦目でKrushに初登場した。
1R、山口はガッチリとガードを固めながら前に出て、右ローを当てつつ、左のテンカオを効かせ、右ストレートで度々ひるませて主導権を握る。
2R、山口は疲れが見え始め勢いが落ち、木村に押される場面もあるが、随所で膝とパンチを当て、主導権は維持する。3Rも膝、右ストレート、右ローを当て続け優勢を維持し判定勝ちした。