Krush 10.28 後楽園ホール(レポ):菅原美優、チャン・リーにKO勝ちし女子アトム級王座3度目の防衛。昇也、瓦田脩二との接戦制す。松谷桐・山崎陽一が完勝
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Krush.142
2022年10月28日(金) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第10試合 メインイベント Krush女子アトム級(45kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○菅原美優(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ/王者、K-1 WORLD GP初代女子アトム級王座決定トーナメント2022準優勝)
×チャン・リー(K-1ジム五反田チームキングス/挑戦者)
3R 2’29” KO (右フック)
※菅原が3度目の防衛
菅原は20年7月の第3代Krush女子アトム級王座決定トーナメントを制して王者となり、昨年11月の初防衛戦では過去に敗れているMIOにリベンジ。今年2月に優を下して2度目の防衛を果たして以来、3度目の防衛戦となる。6月のK-1女子大会での初代K-1女子アトム級王座決定トーナメントの一回戦では松谷綺を下したが、決勝でパヤーフォン・アユタヤファイトジムに敗れており、菅原にとっては再起戦にもなる。
リーは今年1月にKihoに判定勝ちし、6月のK-1女子大会では過去に一度判定勝ちした相手である紗依茄にKO勝利し2連勝中。キャリア初期は負けが込んでいたが、15戦7勝(1KO)7敗1分の五分にし、今回初めてベルトに挑戦する。
両者は19年7月に対戦。菅原がプロ3戦目、リーがKrush初戦と、お互いまだキャリアが浅い時期での戦いで、菅原が判定勝ちしている。
試合は大方の予想通り、経験で上回る菅原がレベル差をはっきり示す内容に。1R、開始すぐから菅原が左の前蹴りでリーを吹き飛ばすが、リーも前蹴りで倒し返す。すると中盤、リーの左ミドルのタイミングで、菅原が右ストレートを当ててダウンを奪う。その直後にも右ストレートでダウンを奪取。その後も右ストレート、顔面への左前蹴りを当て続け圧倒する。
2R、リーはダメージの影響もあってクリンチが多く、岡田敦子レフェリーに注意される。そのせいもあって菅原は攻撃が寸断されるが、随所で左の前蹴りを当て、終了間際には右のフックをクリーンヒットし、またもダウンを奪う。1Rの2ダウンと合わせて3ダウン目のリーは、立ち上がったものの表情は虚ろで、ストップしたほうが良いような状態だが、岡田レフェリーは続行する。
3R、それでもリーは前に出て、ガムシャラにパンチと蹴りを出すが、なかなかクリーンヒットにつながらない。菅原はやや押されて攻撃が減ってしまうが、終盤、リーが前に詰めて左ミドルを空振りさせた後、右フックを振るったところで、菅原がカウンターで右フックをヒット。リーは真後ろに倒れる。菅原が累計4度目のダウンを奪ったところで、レフェリーがストップ。菅原のKO勝ちとなった。
完勝で防衛の菅原は大会後のインタビューで「K-1のベルトが取りたいんで、来年のK-1の大きなイベントで、パヤーフォン選手ともう一度チャンスをいただければと思います。それまで仕上げてもっと強くなります」とコメント。ダウンを4度奪った右のパンチについては「ボクシングジムに週2回ぐらい通って、強い選手と結構やって、右を褒めてもらっていたので出せてうれしかった」「最近は女子選手とのスパーでこれが当たれば倒れるという感触が得られるようになった」と話していた。
中村拓己K-1プロデューサーは大会後の総括で「パヤーフォンは大学生なので学校のスケジュールと合わせて試合を組まないといけない。12月の大阪大会はほぼカードが決まっているので、3月のK’FESTA以降、早いタイミングで試合を組みたい」と話すつつ「(パヤーフォンと菅原の)ダイレクトリマッチより他の試合がいい。同じ階級に菅原選手の首を狙う選手も出てくるでしょうし、海外選手も招聘している中で、そういう相手も面白い。菅原選手はパヤーフォンだけでなく、何かテーマがある試合をやるのがいい」と語り、両者の早期再戦には慎重だった。
第9試合 セミファイナル ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×瓦田脩二(K-1ジム総本部チームペガサス/元Krushライト級王者)
○昇也(士魂村上塾/Bigbangスーパーライト級王者)
4R 判定1-2 (箱崎9-10/豊永9-10/岡田10-9)
3R 判定0-1 (箱崎29-30/豊永29-29/岡田30-30)
両者は昨年7月の第6代Krushライト級王座決定トーナメント1回戦で対戦したが、昇也が計量で1.5kgオーバーし減点2から試合を開始し、瓦田が減点抜きでもポイント差をつけ判定勝ちしている。瓦田は4月に大沢文也に左ハイでダウンを奪われ判定負けしKrushライト級ベルトを失って以来の試合。昇也は7月大会で三宅祐弥にKO勝ちして以来の試合。
1R、昇也がサウスポーで圧を強め、コーナーに詰めての右ボディからの顔面へのパンチ連打で先手を取る。だが瓦田もリーチ差を活かしての左右のテンカオを効かせて昇也の勢いを止め、パンチも返して巻き返す。記者採点はイーブンだが瓦田の可能性もある。
2Rも瓦田が随所で膝と右ミドルをボディにヒットするが、昇也も耐えてパンチを返し、はっきりした差はつけさせない。記者採点はイーブン。
3R、昇也は前に出続け、テンカオ、パンチ、インローのヒットを増やすが、瓦田も下がりつつ膝とパンチをしっかり返し続け、均衡が崩れず終了する。記者採点はイーブン。合計30-30でイーブン。ジャッジは1者が昇也を支持したが、2者がイーブンで延長へ。
延長R、お互い消耗が激しく、頭を近づけてのおしくらまんじゅう状態が続く。瓦田も膝を当てるが、昇也も膝を返し、左インローがやや的確な印象。ほぼ差のないまま終わったためジャッジは割れ、昇也が2票獲得し勝利を宣告されると大喜びした。記者採点は迷ったが昇也。
元Krush王者から白星をもぎ取った昇也はバックステージでのインタビューで、今後の目標について「Krushのベルトをとりあえず獲って、K-1のベルトですね」と話した。中村プロデューサーは「他にも色んな選手がいる中で、そこから挑戦者にふさわしい選手が出てくると思う。タイトル挑戦に向けて前進する大きな勝利でしたが、それも踏まえて考えたい」と慎重にコメントしたが、瓦田は既にK-1本戦に上がっているため、K-1本戦出場の可能性は確実に高まったと言えそうだ。
第8試合 バンタム級(53kg) 3分3R(延長1R)
○松谷 桐(ALONZA ABLAZE/元NJKFフライ級王者)
×白幡太陽(FLYSKY GYM/INNOVATIONフライ級新人王トーナメント2020優勝)
判定3-0 (梅木30-27/岡田30-27/山根30-28)
松谷綺の兄・桐は3月のKrushで野田蒼に判定負けして以来の試合。白幡裕星の兄・太陽は7月のKrush-EXでK-1系の大会に初参戦し勝利し今回が2戦目。
1R、オーソドックスで詰めようとする太陽に対し、サウスポーの桐が右のジャブ、前蹴りで距離を取りつつ、左ミドルを度々当てて主導権。左ストレートも随所で絡める。
2Rも桐が右の前蹴り、ロー、ジャブ、左ミドル、膝等を自在に当て続け優勢。太陽は左フックを少し当てる程度で、口と鼻から出血し苦しそうだ。3Rもその流れは変わらず、桐がパンチと蹴りを当て続け判定勝ちした。
第7試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×黒田勇斗(K-1ジム心斎橋チームレパード)
○倉田永輝(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
判定0-2 (山根29-30/梅木29-29/豊永29-30)
1R、黒田が途中まで積極的に攻める状態が続いたが、中盤過ぎ、倉田が右ボディを効かせると、パンチのヒットを増やして巻き返す。2R、近い距離で両者ガードを上げて、ボディと顔面にパンチを打ち合う攻防を続け、時折膝やローも絡めるが、均衡は崩れない。
3R、激しい打ち合いが続き、両者笑みを浮かべる場面もあるが、倉田が左右のフックのクリーンヒットで上回り、やや好印象で終了し判定勝ちした。
第6試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
○藤村大輔(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
×夜叉猿[やしゃざる](力道場静岡)
判定3-0 (山根30-29/梅木30-29/岡田30-28)
1R、お互い積極的にパンチ、ローを打ち合うが、まだ均衡か崩れず。2R、夜叉猿が左ミドルを当てつつ、左の奥ローのヒットを増やし、攻撃数で上回りやや優位に。記者採点はここまでイーブン。3R、夜叉猿は右ローも増やし、中盤には左ハイでひるませ、有効打で上回る。記者採点は夜叉猿。合計29-30で夜叉猿。ジャッジは3者ともパンチを随所で当てた藤村を支持したが、夜叉猿の蹴りの評価が低いように感じた。
第5試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
○山崎陽一(KIKUCHI GYM/Bigbangスーパーウェルター級王者)
×アラン・ソアレス(ブラジル/ブラジリアンタイ/FIGHT DRAGON & GOLD RUSH -67kg級王者)
1R 0’30” KO (左フック)
38歳の山崎は3月の夜叉猿戦で3年半ぶりに現役復帰して以来の試合。1R、お互い静かな立ち上がりだったが、山崎が右のフックを空振りさせてからの左フックをクリーンヒット。ダウンしたソアレスは立てず、山崎のKOとなった。
マイクを持った山崎は関係者に感謝の言葉を述べつつ「来月39になるんですけど、まだ強くなれるんで、これからもいい試合をしていけるようにします」とアピール。リングに愛娘を上げることを希望するも、主催者から禁止されたため、リング下で記念撮影した。
第4試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
○古宮 晴(昇龍會/K-1甲子園2021 -65kg優勝)
×龍之介(K-1 GYM HIKARIMACHI TEAM BEAST/RKSフェザー級王者)
判定3-0 (山根30-29/梅木30-29/豊永30-29)
1R、古宮がプレッシャーをかけ続け、右のロー、カーフを当てつつ、右ストレートでも少しひるませ好印象。2Rも古宮がやや優位だが、龍之介も攻撃を返す頻度が上がる。3Rはほぼ五分で、龍之介も左右のフックを当てたが、流れを変えるほどにはならず、古宮がポイント差を守り切り判定勝ちした。龍之介は蹴り足キャッチやホールディングで度々注意されており、K-1ルールへの対応が次回までの課題となるだろう。
第3試合 64kg契約 3分3R(延長1R)
×大利賢佑(team ALL-WIN)
○児玉兼慎(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
判定0-3 (豊永26-30/岡田26-30/山根27-30)
1R、近距離の攻防で大利がロー、膝、ハイ等の蹴り技をテンポよく当て続けるが、中盤、児玉の右ストレートの連打が効き目を発揮し、大利はダウンする。
2Rも児玉が右ストレートで大利を時折ひるませるが、大利も最後まで途切れず蹴りを出し、攻撃数自体では上で終える。
3R、児玉が手数を上げ、大利を右フックで度々ひるませる。終盤にはノーガードで大利のパンチや蹴りを受けて場内を沸かせつつ、逆転を許さず判定勝ちした。
第2試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
×南雲大輝(スタースポーツクラブ)
○赤田功輝(ALONZA ABLAZE)
判定0-3 (26-30/26-30/26-30)
1R、両者サウスポーで構え、赤田が圧力をかけ続け、随所で左フックを的確に当て、南雲をひるませる。2Rもパンチを当て続け、コーナーに詰めて連打をまとめたところで、豊永レフェリーはスタンディングダウンを南雲に宣告する。3Rもパンチを当てつつ、左ロー、左ハイでもひるませ、主導権を維持し判定勝ちした。
第1試合 ライト級(62.5kg) 3分3R(延長1R)
×SATORU成合(K-1ジム総本部チームペガサス)
○堀井 翼(K-1ジム五反田チームキングス)
2R 0’02” TKO (ドクターストップ:パンチによる口内のカット)
1R、成合が中盤の打ち合いで右フックを当てて堀井からダウンを奪う。だが堀井はフラッシュダウンで、ダメージは小さく、これで火が付き、パンチラッシュの中で右アッパーを当てダウンを奪い返す。その後もパンチと膝で成合を圧倒する。成合は口から出血し苦しそうだ。すると2R開始すぐのドクターチェックでストップがかかり、堀井のTKO勝ちとなった。
プレリミナリーファイト第2試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
×寺島 想[こころ](AX GYM/K-1カレッジ2020 -60kg王者)
○山本 陸(K-1ジム総本部チームペガサス)
3R 3’02” KO (左フック)
プレリミナリーファイト第1試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R
×豊田優輝(B.W/K-1カレッジ2019 -60kg優勝)
○坂本寿希(リーブルロア/KROSS×OVERスーパーバンタム級王者)
判定0-3 (28-29/28-29/28-30)