K-1 12.3 エディオンアリーナ大阪(レポ/トーナメント):黒田斗真、ヨーシラー・壬生狼・石井一成との計11R戦い抜きK-1バンタム級のテッペンに「石井選手とかが注目されている中で僕が優勝して、見たかボケ!」
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K-1 WORLD GP 2022 JAPAN ~初代バンタム級王座決定トーナメント~
2022年12月3日(土)エディオンアリーナ大阪
レポート:井原芳徳 写真:(C)K-1
※ワンマッチは別記事でお伝えします
K-1 WORLD GP初代バンタム級(53kg)王座決定トーナメント、一回戦は日本勢が海外勢に全勝
※トーナメントの一回戦・準決勝・リザーブファイトは2ノックダウン制。決勝は3ノックダウン制
第1試合 K-1 WORLD GP初代バンタム級(53kg)王座決定トーナメント一回戦(1) 3分3R(延長1R)
○池田幸司(ReBORN経堂/Krushバンタム級王者、K-1カレッジ2019 -55kg優勝)
×アンビ・エンスエ・アボモ[Ambi Nsue avomo](赤道ギニア/ピュアインパクト/FCKBMTカタルーニャ-57kg級王者)
2R 1’15” KO (2ダウン:左三日月蹴り)
アボモはスペイン在住の選手。青コーナー側の海外勢のうち、サンベル・ババヤン以外は初来日だ。
1R、小柄なアボモに対し、開始すぐから池田がプレッシャーをかけてつつ左ミドルを当て続け、開始10秒過ぎ、アボモの左ローをカットしつつ、右ストレートを当てて早くもダウンを奪う。アボモはダメージは小さい様子だが、池田ペースは変わらず、前に出続け左右の蹴りを随所で当てる。終盤にはようやくアボモが手数を上げるように。
2R、池田は変わらず圧をかけ、中盤、左の三日月蹴りを当ててダウンを奪う。アボモは立ったがダメージが残っており、池田が再び左の三日月蹴りでダウンを奪ったところでKO勝ちとなった。
第2試合 K-1 WORLD GP初代バンタム級(53kg)王座決定トーナメント一回戦(2) 3分3R(延長1R)
○石井一成(ウォーワンチャイプロモーション/BOM・WBCムエタイ・WPMF世界スーパーフライ級王者、IBFムエタイ世界フライ級王者、元WPMF世界・True4U・KNOCK OUT同級王者、元プンパンムアン・ミニフライ級王者)
×オスカル・ボルケス[Oscar Bohorquez](エクアドル/チーム・プロムボックス/WKA世界バンタム級(-54kg)王者)
2R 2’47” KO (左膝蹴り)
1R、ボルケスは回転系の蹴り技を出し、やや重心低めに構える。石井がじっくりプレッシャーを掛けつつ、右ローを随所で的確に当てる。中盤、左フックの相打ちに。終盤、石井が圧を強め、左ボディフック、左テンカオをヒットするが、ボルケスは耐えて回り続ける。記者採点は石井。
2Rも石井が圧をかけ続け、左ボディ、三日月蹴り、右ストレートをヒットしてダメージを与え、コーナーに詰め左ハイを当てつつ、右アッパーでダウンを奪う。最後は後ろ上段回し蹴りを当ててコーナーまで下がらせてから、左テンカオを当てたところで、レフェリーがストップした。
第3試合 K-1 WORLD GP初代バンタム級(53kg)王座決定トーナメント一回戦(3) 3分3R(延長1R)
○黒田斗真(K-1ジム心斎橋チームレパード/K-1 WORLD GP 2021 K-1バンタム級日本最強決定トーナメント優勝)
×ヨーシラー・チョーハーパヤック[Yossila Chor.Hapayak](タイ/チョーハーパヤックジム/オムノーイ認定バンタム級王者)
4R 判定3-0 (梅木10-9/杉村10-9箱崎10-9)
3R 判定1-1 (梅木29-30/杉村30-29/箱崎30-30)
ヨーシラーは初来日。セコンドにはウィラサクレックジムの代表、ウィラサクレック・ウォンパサー氏がつく。
1R、黒田はサウスポーで構え前に出るが、ヨーシラーはオーソドックスで構え、距離を取って回りつつ、右のミドル、ローを的確に当てる。中盤、黒田も距離を詰め、右ボディ、左フックをヒット。終盤、蹴りの応酬で黒田も右ミドルを返す。記者採点はイーブン。
2R、ヨーシラーがプレッシャーをかけ、右ミドルを随所で強打する。その頻度がじわじわと上がるが、終盤、黒田もミドルをもらってから左のストレートを返す。その後も左ストレートを当て、左ミドルも返し、ヒット数で巻き返す。記者採点はイーブン。
3R、ヨーシラーは序盤から右ミドルを連打するが、黒田も左ロー、ミドルを返す。だがヨーシラーは圧を強め、黒田を下がらせ、右ミドルの後に右ストレートも続けるようになり、その後も右ストレートを当て、パンチでも印象を残す。終盤もヨーシラーが前に出続け、随所で右ミドルを当て、やや優位で終える。記者採点はヨーシラー。合計29-30でヨーシラー。ジャッジは梅木良則氏のみ記者と同じ採点だったが、2者はヨーシラーを支持せず延長へ。
延長R、ヨーシラーは右ミドルを序盤から強打し続け主導権。だが黒田もミドルをかわしつつ左右のパンチを返し、左インローも当てるように。終盤、ヨーシラーは再び右ミドルを増やすが、黒田が圧をかけコーナーまで下がらせ、ヨーシラーの右ミドルのタイミングで左ストレートを当てて印象を残す。記者採点は黒田。ジャッジ3者も黒田を支持し、黒田が苦しみながらも判定勝ちし、準決勝に駒を進めた。
第4試合 K-1 WORLD GP初代バンタム級(53kg)王座決定トーナメント一回戦(4) 3分3R(延長1R)
○壬生狼一輝(力道場静岡/元Krush&大和バンタム級王者)
×サンベル・ババヤン(アルメニア/チーム・カルベット/WKN世界53.5kg級王者、OMKEスペイン54kg級王者)
判定3-0 (吉田30-29/梅木30-29/箱崎30-28)
1R、小柄なババヤンがプレッシャーをかけ、パンチを積極的に振るいつつ、右ローを当てる。壬生狼は回り続け攻撃を返せない状態が続く。ババヤンはクリーンヒットにはならなくてもパンチを出し続け、手数差を印象付ける。記者採点はババヤン。
だが2R、壬生狼が1R終盤にも当てていた右のカーフキックを連打するようになると、ババヤンは圧力が落ちる。そうなれ壬生狼はより右のカーフを当てやすくなる。壬生狼は変わらず距離を取って回り続けつつ、終盤には壬生狼が右のテンカオも増やす。記者採点は壬生狼。
3R、前に出るババヤンに、壬生狼は回って右ミドル、テンカオを当て続け優勢を維持する。最後までこの構図は変わらず終了、記者採点は壬生狼。合計29-28で壬生狼。ジャッジ3者も壬生狼を支持し、壬生狼が準決勝に駒を進めた。
K-1 WORLD GP初代バンタム級(53kg)王座決定トーナメント リザーブファイト 3分3R(延長1R)
○野田 蒼(月心会チーム侍/K-1甲子園2020 -55kg優勝)
×峯 大樹(若獅子会館/RKSバンタム級王者)
1R 1’30” TKO (レフェリーストップ:左飛び膝蹴りによる左まぶたのカット)
準決勝は石井一成が池田幸司に完勝。黒田斗真、壬生狼一輝を終了間際に切り裂き決勝へ
第12試合 K-1 WORLD GP初代バンタム級(53kg)王座決定トーナメント準決勝(1) 3分3R(延長1R)
×池田幸司(ReBORN経堂/Krushバンタム級王者、K-1カレッジ2019 -55kg優勝)
○石井一成(ウォーワンチャイプロモーション/BOM・WBCムエタイ・WPMF世界スーパーフライ級王者、IBFムエタイ世界フライ級王者、元WPMF世界・True4U・KNOCK OUT同級王者、元プンパンムアン・ミニフライ級王者)
判定0-3 (梅木29-30/吉田29-30/箱崎28-30)
池田も石井もほとんどダメージの無い状態で準決勝へ。1R、リーチで勝る池田がプレッシャーをかけ、右ロー、前蹴りをヒット。中盤、石井が前に出るようになると、右ロー、左ミドルを返す。終盤、石井は左ボディを当てると、顔面への右ストレートにつなげやや攻勢に。終了間際には池田の右フックのカウンターで石井が右フックを当て、少しひるませ好印象で終える。記者採点は石井。
2R、池田はダメージは無い様子で、詰めて右ストレート、右ハイをまとめ挽回を狙う。中盤、ローの応酬となったが、その後、石井は右アッパーもヒット。終盤、石井は左ボディ、フック、膝を立て続けに当て、右アッパーも絡める。終了間際、池田が右ストレートを立て続けに当て、石井は少し笑顔を見せ終える。記者採点は的確な攻撃の多かった石井だが、池田も巻き返したためイーブンの可能性もある。
3R、池田は挽回を狙い前に詰め、随所で右フックをヒット。石井は詰められる時間が増えるが、中盤、左ローを連打してから、左ハイを池田の首筋にクリーンヒットし好印象を残す。その後も石井は左ボディ、フック、右アッパーを的確にヒット。最後の打合いで池田も底力を見せるが、石井は耐えてパンチを随所で返し終了。記者採点は石井。合計27-30で石井。ジャッジは意外にも僅差となったが、石井が3者から支持され判定勝ちした。
第13試合 K-1 WORLD GP初代バンタム級(53kg)王座決定トーナメント準決勝(2) 3分3R(延長1R)
○黒田斗真(K-1ジム心斎橋チームレパード/K-1 WORLD GP 2021 K-1バンタム級日本最強決定トーナメント優勝)
×壬生狼一輝(力道場静岡/元Krush&大和バンタム級王者)
判定2-0 (箱崎30-29/杉村30-30/梅木30-28)
黒田と壬生狼は一回戦である程度ダメージを負っての準決勝戦。両者は昨年5月のK-1バンタム級日本最強決定トーナメント決勝で戦い、黒田が1R 31秒、左ストレートでKO勝ちし、昨年12月のK-1大阪大会での再戦では黒田が延長判定勝ちしている。
1R、オーソドックスで前に出る壬生狼に対し、黒田はサウスポーで構えて距離を取り、お互いミドル、ローを当てる。均衡状態が続き、終盤、黒田が顔面への左膝も絡め、攻撃を少し増やすが、まだはっきりした差はつけられない。記者採点はイーブン。
2R、壬生狼が圧をかける構図が続くが、なかなか入り込めない。黒田も右の前手を出しながら距離を取り続けるものの、左ミドル等を当てる頻度は下がり、やや膠着状態に。記者採点はイーブン。
3Rも同様の構図で、なかなか均衡が崩れず。壬生狼は右ハイをあ輝が黒田はブロックし、黒田も左ストレートを当てるがクリーンヒットにはならない。終盤、壬生狼が圧を強め、黒田もステップでかわすも、組んで防御してしまい水谷レフェリーから注意を受ける。壬生狼は変わらず前に出るが、黒田は左ミドル、テンカオをヒット。とはいえこのまま差がつかず終わりそうな雰囲気だったが、終了数秒前、黒田の左の飛び膝が壬生狼のガードの隙間を突いて命中し、壬生狼が右まぶたを切られたところで終了のゴングが鳴る。壬生狼の傷はかなり深い。記者採点は黒田。合計30-29で黒田。ジャッジは1者が意外にもイーブンだったものの、最後の飛び膝が決め手となった模様で、2者が黒田を支持し、黒田が判定勝ちし決勝に駒を進めた。
黒田斗真、石井一成との接戦制し初代K-1バンタム級王者に
第22試合 K-1 WORLD GP初代バンタム級(53kg)王座決定トーナメント決勝 3分3R(延長1R)
×石井一成(ウォーワンチャイプロモーション/BOM・WBCムエタイ・WPMF世界スーパーフライ級王者、IBFムエタイ世界フライ級王者、元WPMF世界・True4U・KNOCK OUT同級王者、元プンパンムアン・ミニフライ級王者)
○黒田斗真(K-1ジム心斎橋チームレパード/K-1 WORLD GP 2021 K-1バンタム級日本最強決定トーナメント優勝)
4R 判定1-2 (箱崎9-10/水谷10-9/豊永9-10)
3R 判定0-0 (箱崎30-30/水谷30-30/豊永30-30)
※黒田が優勝。バンタム級王者に
1R、石井がオーソドックスでプレッシャーをかけ、サウスポーの黒田が左に回って距離を取る構図が続く。中盤、黒田が左膝を当て、圧をかける場面もあるが、すぐ石井は圧をかけ返し、右フックで黒田をのけぞらせる。終盤も石井が前に出て、左ボディ、右ストレートをヒット。だが黒田も左ハイをヒット。石井は少し効いたか?その後は黒田がプレッシャーをかけ、右ジャブも当てて好印象を残す。どちらもクリーンヒットのある、一進一退のラウンドに。記者採点はイーブン。
2R、石井は変わらず前に出るが、黒田は右ジャブ、左ミドルを当て、石井のパンチの距離に入らせない。すると石井は右ミドルを連打し、蹴りで削って打開を図る。中盤、石井が左テンカオを放つと、黒田はかわしてから石井をロープに押し込み、パンチを連打する。石井は背中を向けて防御してしまって被弾し、梅木レフェリーがブレイクをかける。終盤、黒田は左ミドル、左ストレートをヒット。石井も右ストレートをお返し。ローも蹴り合い、お互い一歩も引かない攻防を展開する。記者採点はイーブン。
3R、石井は開始すぐに右ハイを放つが、黒田はかわして左ローをヒット。石井は執拗に前に出るが、黒田は左ストレートを当て、さらに壬生狼のまぶたを切り裂いた左の飛び膝でも石井を脅かす。石井はそれでも前に出て右ハイを出すが、これも黒田はかわして左ローをヒットする。中盤、石井の右ミドルが少しずつ当たり出すが、黒田も左テンカオを返し巻き返す。ほぼ互角で突入した終盤、黒田が右ジャブを随所でヒット。さらにパンチを連続で振うと、石井はクリンチで防御するが、レフェリーがブレイクに入った直後、黒田は押して離してから左ストレートを当てて石井をのけぞらせる。黒田には警告が出される。残り20秒を切っており、パンチの打ち合いとなるが、お互い引かずに終える。記者採点はイーブン。合計30-30でイーブン。ジャッジ3者も同様で延長へ。石井はこの日9R目、黒田は11R目となる。
延長R、石井は変わらず前へ。黒田は回り、右ジャブで迎撃するが、クリンチも増えてしまう。中盤、石井は右ミドルを当てた後にハイも放ち、黒田はブロックする。さらに石井は追いかけ右ハイを放つが、かわした黒田は右フックを当て好印象を作る。それでも石井は執拗に前に出るが、右ハイはかわされ、黒田のクリンチにも突進を寸断される。しかし石井もクリンチしてしまう。お互い攻撃を出すが空振りが続き終了する。記者採点は僅差のため迷ったが、右フックのクリーンヒットのあった黒田。前に出続け、クリンチの少なかった石井についても不思議ではない。ジャッジはやはり割れたが、2者は黒田を支持し、黒田が判定勝ちで優勝を果たし、初代バンタム級王者となった。
K-1バンタム級のテッペンに立った黒田斗真、THE MATCHで戦った風音の決めセリフ「見たかボケ!」を引用
チャンピオンベルトを巻いた黒田は「石井選手とかが注目されている中で、僕が優勝して、見たかボケ!53kgバンタム級は、黒田斗真が引っ張っていきます」とアピールした。「見たかボケ」は6月のTHE MATCHで黒田が敗れた相手・風音の決めセリフとしても有名で、昨年7月、同じエディオンアリーナ大阪で行われたRISEで江幡睦を下馬評を覆してから使うようになっていた。THE MATCH以降、黒田は繰り返し、風音のいる千葉のTEPPEN GYMに出稽古し、今回の試合5日前の11月28日の最終調整でもわざわざ千葉まで出向いて訪れていたため、風音の不屈の闘志も吸収した上での優勝だったとも言えるだろう。
K-1 12.3 エディオンアリーナ大阪(レポ/ワンマッチ):軍司泰斗、ジュングァンに苦戦も判定勝ち。KANA・金子晃大・玖村将史・江川優生・ジョムトーンがKO勝ち。サッタリKO負け