ONE 10.22 クアラルンプール(レポ):内藤大樹、再起戦は地元選手を蹴りで封じ判定勝ち。リネカー体重超過のMMAバンタム級王座戦はローブローで無効試合に
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ONE ON PRIME VIDEO (ONE Fight Night) 3: LINEKER VS. ANDRADE
2022年10月22日(土)マレーシア・クアラルンプール:アクシアタ・アリーナ
レポート:井原芳徳 写真提供:(C)ONE Championship
内藤大樹、再起戦は地元選手を蹴りで封じ判定勝ち
第3試合 ムエタイ フライ級 3分3R
×アミール・ナセリ
○内藤大樹(ONEムエタイ同級5位、キック4位)
判定0-3
内藤は現在26歳。過去に村越優汰、植山征紀、原口健飛、工藤政英に勝利。那須川天心とも2度戦い、いずれもKO負けしている。19年からONEに参戦し、本戦では5勝2敗。20年12月に元ONEムエタイフライ級王者のジョナサン・ハガティーに判定負けしたが、以降は2連勝し、昨年9月には元ONEキックフライ級王者のペッダム・ペッティンディーアカデミーに判定勝ちした。今年5月にはムエタイ・フライ級GP(8人トーナメント)に参戦したが、強豪スーパーレックと一回戦で当たり、2R終盤に右肘で眉間を切られ、ロー、ミドル、膝も浴び続け判定負けした。オープンフィンガーグローブ着用・肘有りのムエタイルールとボクシンググローブ着用・肘無しのキックルールを並行し、両方のランキングに入っている。
今回の相手・アミール・ナセリは、イラン出身で今大会の地元マレーシアに住む選手で、内藤同じくフライ級GPに参戦したが、サバス・マイケルに判定負けしている。入場時から現地の観客の大半はナセリに声援を送る。
1R、前に詰めようとするナセリに対し、内藤が距離を取り、前蹴りで突き放しつつ、左右のロー、左ミドル、右ハイを随所で当てる。ナセリはローを打ちつつパンチを振り回すが、内藤はブロックしたりかわして防御する。記者採点は内藤。
2Rも内藤が蹴りを当て、ナセリのパンチや蹴りをかわし、蹴り足をつかんでインローで倒し、ムエタイ的に評価される攻防を展開する。記者採点は内藤。
3R、序盤にオリヴィエ・コスト・レフェリーが、両者に攻めるよう指示する。お互い攻撃を増やす中で、ナセリのパンチを内藤は変わらずかわしつつ、左インローを随所で当てぐらつかせ、ミドルも強打する。終盤、ナセリはパンチを当てつつ、組んで膝を連打してから崩して見せ場を作り、場内を沸かせるが、それ以上の攻めには持ち込めず終了する。記者採点は内藤。合計27-30で内藤。ジャッジ3者も的確に攻撃を当て続けた内藤を順当に支持し、内藤の判定勝ちとなった。
勝利者インタビューで内藤は「今日はもう少しパンチでアグレッシブに倒しに行きたかったんですけどできなかったんで、次回はできるようになりたいです。思ったよりナセリのプレッシャーが強く、プランを変更し、カウンター狙いになりました」と試合を振り返った。今後の目標について聞かれると「誰が来ても1勝1勝コツコツ、ベルトを取るため勝ちます。キックボクシングのほうもランキングに入っているんで、チャンピオン(=イリアス・エナッシ)も防衛戦をやっていないので、そっちもやっていきたいです」とコメントした。
内藤の試合後インタビューの談話(提供:ONE)
(今の率直な気持ち)勝ったのが去年のペッダム戦ぶりだったので、やっぱりまずはホッとしたというのと、アメリカ向けの放送という中でインパクトという部分では物足りなかったと思うので、そこはもう一回やり直しかなって思いました。
(作戦について)ナセリ選手はパワーはあるけど、技は粗いイメージがあったので、そこをカウンターで突いて行ってという作戦でした。実際に戦ってパワーは感じましたし、体の打たれ強さを感じたけど、思ったより荒っぽさはなかったです。サバス戦の感じだと、もっと大きく振ってくるのかなって思っていたので、少しやりにくい部分はありました。」
(試合中に修正した?)自分の中でフィニッシュするっていう意識がありました。ちょうど自分の前の1試合目、2試合目がフィニッシュで終わっていて、両方ともボーナスを獲得してて、流れ的にボーナスを狙っちゃおうとしている自分があって、若干固くなっていました。狙わない方が良いと思うんですけど。そこをセコンドが試合の感じを見て、良い判断をしてくれて、冷静にしてくれました。ゲームプランは基本的には一緒でしたが、3R目に相手が入ってくるしかなくて、ガンガンきたところを逆に付き合わず、相手の攻撃を貰わないように意識していました。
(内容に満足がいっていない様子だが?)勝ちは素直に嬉しいですけど、今回自分の中で倒し切るというのを課題にしていたので、そこは少し凹んだ部分がありました。でも今は、勝てたこと、勝って反省できることを幸せに思います。
(勝利の鍵は?)試合を通して、自分の方が相手より冷静だったし、自分の方が技のバリエーションも引き出しも相手より勝っていたのかなと思います。
(課題は?)今回と一緒ですけど、勝つことは最低条件として内容を改善したいです。お客さんが沸くような試合をしていきたいです。
(今後について)基本的には誰でも良いんですけど、そろそろ。ムエタイももちろんやっていきますし、キックボクシングの方も。チャンピオンが全然防衛戦をやっていないと思うので。そろそろエナッシに挑戦させてもらいたいなって気持ちがあります。ムエタイは、スーパーレックとパンパヤックの勝者、ラシリもロッタンと戦いますし、まだ僕には順番が回ってこないと思うので。」
(ファンへメッセージを)本当にいつも日本から応援ありがとうございます。こうやって海外に試合に来て、でも日本から声援をいただけるとすごく嬉しく思いますし、力にもなっています。しっかり結果で返していくので、これからも応援してください。ONEを見てください。
リネカー体重超過のMMAバンタム級王座戦はローブローで無効試合に
第9試合 メインイベント ONE MMAバンタム級王者決定戦(145.5ポンド契約) 5分5R
―ジョン・リネカー(元王者)※初防衛戦
―ファブリシオ・アンドラージ(2位)
3R ノーコンテスト (偶発的なローブローでリネカーが続行不可能)
※王座は保留
※リネカーは計量0.5ポンドオーバーし、ONE MMAバンタム級王座をはく奪された。アンドラージが勝った場合のみ王者となり、リネカーが勝っても王者になれない。
元UFCランカーのリネカーは、19年10月にONEに初参戦してから3連勝、2連続KO勝ちした後、今年3月大会でバンタム級王者・ビビアーノ・フェルナンデスに挑戦し、2R KO勝ちした。
初防衛戦の相手・アンドラージは中国の武林風等でのMMA・キックの試合で活躍後、20年からONEに参戦し5連勝で王座初挑戦。2戦目には佐藤将光にも判定勝ちしている。
だが計量でリネカーがオーバーし、上記のとおり変則の王座戦に。リネカーはUFC時代にも5度計量失敗しており、今回は水抜き規制のあるONEで初めて失敗した。
1R、長身のアンドラージがサウスポーでプレッシャーをかけると、リネカーはオーソドックスからサウスポーに切り替える。アンドラージが右のテンカオを当てると、リネカーはオーソドックスに戻し、すぐにアンドラージは左ミドルも当てる。アンドラージが前に出続け、ワンツーで左ストレートを当てると、リネカーはひるむ。アンドラージは左のテンカオを放つが、リネカーはタックルを合わせて倒して上になり、難を逃れる。しかしアンドラージはその先の攻めを許さず脱出する。終盤、リネカーは左右のフックを当てるが、最後はアンドラージが右ジャブ、左ミドルを立て続けに当てて、攻勢を印象づける。リネカーは減量失敗の影響もあってか動きに精彩を欠く。
2R、リネカーは右ボディフックを当て、中盤には右のオーバーハンドフックでアンドラージを脅かす。アンドラージの左テンカオのタイミングで、リネカーはタックルを合わせて倒す。これも1R同様に立たれるが、まだスタミナのあるリネカーは、立たれ際に左フックを当て、その後も左右のフックを当て挽回する。スタンドの攻防に戻り、終盤、少しずつアンドラージが中央から圧をかける時間が長くなると、左ミドルを随所で当てる。右ジャブ、左ストレートも当たり、最後はアンドラージが流れを引き戻す。リネカーは右まぶたの下を腫らしている。
3R、ドクターストップの恐れも出てきたリネカーは、序盤から前に出て挽回を狙い、タックルから金網に押し込むと、アンドラージの左足を抱えながら倒れて下になって足関節技を狙う。しかしこの奇襲は失敗し、リネカーは脱出してスタンドの攻防に戻す。アンドラージ左の三日月蹴り、左ストレートを随所で当てる。リネカーも距離が詰まればボディと顔面へのパンチを当てるが、少しでも距離ができると、左目がふさがっている影響もあってか、パンチの空振りが続いてしまう。
すると中盤過ぎ、アンドラージが右の前蹴りの連打でリネカーを下がらせ、右ジャブもヒットすると、苦し紛れな様子でパンチを振り回して出てきたリネカーのボディに、左のテンカオをクリーンヒットする。リネカーは苦しそうな表情を浮かべて金網際まで後退する。ところがアンドラージが追撃で放った左テンカオが、リネカーの股間に命中してしまう。リネカーは倒れてうずくまり、ファウルカップを外しても吐き気を催すような状態で、5分の回復時間いっぱいまで待たずに試合続行不可能と判断された。アンドラージのローブローも偶発的なものとレフェリーにみなされ、規定によりノーコンテスト、王座は主催者預かりとなった。アンドラージとっては無念の結末となったものの、米国のMMAファンには有名なリネカーを追い詰めたことで、世界的な評価は大きく高まる試合となった。
第8試合 コーメインイベント ONEムエタイ・ライト級初代王者決定戦 3分5R
○レギン・アーセル(キック王者)
×シンサムット・クリンミー
判定2-1
※アーセルが王者に
第7試合 ONEサブミッション・グラップリング・ライト級初代王者決定戦 12分一本勝負
○ケイド・ルオトロ
×ウアリ・クルジェフ
1R 4’26” ヒールフック
※ルオトロが王者に
※クルジェフは計量4ポンドオーバーし、ルオトロが勝った場合のみ王者となり、クルジェフが勝っても王者になれない。
第6試合 キックボクシング フェザー級 3分3R
○シッティチャイ・シッソンピーノン
×モハメド・ブタザ
判定3-0
第5試合 MMA フェザー級 5分3R
×キム・ジェウォン
○シャミル・ガサノフ
1R 2’09” 裸絞め
第4試合 MMA 57.6kg契約 5分3R
○ジェレミー・ミアド
×ダニエル・ウィリアムス
3R 0’31” TKO
第2試合 ムエタイ バンタム級 3分3R
×エイサー・テン・パウ
○メディ・ザトゥー
1R 終了時 TKO
第1試合 MMA 女子53kg契約 5分3R
×リー・ビヴィンス
○ノエル・グランジャン
1R 4’01” TKO
(※以下はメインイベント終了後に実施)
第11試合 MMA フェザー級 5分3R
×キアヌ・スッバ
○ユン・チャンミン
判定0-3
第10試合 MMA ウェルター級 5分3R
○アギラン・ターニ
×イリヤ・ストヤノフ
2R 1’48” 裸絞め