ONE Championship 5.20 シンガポール（レポ）：ムエタイフライ級GP・内藤大樹、初戦で強豪スーパーレックに敗れる。ロッタン圧勝。青木真也、グラップリング戦で新鋭ケイド・ルオトロに判定負け

ONE Championship「ONE 157: Petcmorakot vs Vienot」
2022年5月20日（金）シンガポール・インドアスタジアム

　　

レポート：井原芳徳　　写真：(C) ONE Championship

ムエタイフライ級GP開幕。内藤大樹、初戦で強豪スーパーレックに敗れる。ロッタン快勝。ハガティーは欠場

第7試合　ムエタイ　フライ級GP準々決勝　3分3R
○スーパーレック・ギャットムーカオ（タイ／ONEムエタイ2位、ONEキック2位）
×内藤大樹（BELLWOOD FIGHT TEAM／ONEキック4位、元シュートボクシング日本スーパーバンタム級王者）
判定3-0

　ONEでは今大会からONEムエタイルール（オープンフィンガーグローブ着用）のフライ級GP（8人トーナメント）を開幕し、準々決勝4試合と交替試合（リザーブファイト）2試合が行われた。同級王者・ロッタンを筆頭に、世界から実力者が勢ぞろいし、日本からは内藤大樹が参戦したが、初戦からロッタンの対抗馬・スーパーレックが相手となり、苦戦を強いられる。

　内藤は過去に村越優汰、植山征紀、原口健飛、工藤政英らに勝利し、那須川天心とも2度戦い、いずれもKO負けしている。19年からONEに参戦し、ムエタイルールと肘無しのキックルールを並行。ONE本戦では5勝1敗。20年12月に元ONEムエタイフライ級王者のジョナサン・ハガティーに判定負けしたが、以降は2連勝中で、昨年9月には元ONEキックフライ級王者のペッダム・ペッティンディーアカデミーに判定勝ちしている。
　スーパーレックはルンピニーの元スーパーフライ級＆バンタム級王者で現在26歳。19年からONEに上がり、20年7月にはパンパヤックに判定勝ち。昨年2月にイリアス・エナッシのONEキックフライ級王座に挑戦し判定負けしたものの、対内藤ではレベルの違いをまざまざと見せつける。

　1R、スーパーレックが圧をかけ、右のロー、ミドル、ハイを当てつつ、詰めては右の縦肘を振る。特に右ローに重みがあり、内藤はもらい過ぎな感がある。内藤も右ロー、左インローをお返し。終盤にはスーパーレックの右ストレートに左ストレートをかぶせて当てる場面も。だが全体的にはスーパーレックの手数が上回り好印象だ。記者採点はスーパーレック。

Superlek Kiatmoo9 RAINED DOWN strikes on Taiki Naito to win via unanimous decision and advance to the ONE Flyweight Muay Thai World Grand Prix semifinals!#ONE157 | #ONEChampionship | https://t.co/eBUfsODAFL pic.twitter.com/yBFdA4zddp

— ONE Championship (@ONEChampionship) May 20, 2022

　2R、開始すぐの内藤の左インローがローブローとなり一時中断する。再開後、スーパーレックは圧を強め、右ローを強打し続けると、内藤は下がって金網を背にする場面が目立つように。スーパーレックは組んで膝も充てるように。終盤には首相撲から右の縦肘を当て、内藤の眉間を切り裂く。内藤が苦しそうな表情を見せると、スーパーレックは右ミドル、膝、肘のラッシュで倒しにかかり、内藤は防戦一方に。記者採点はスーパーレック。

　3R、スーパーレックは右ミドルを連打してから右ローを当てると、内藤はバランスを崩す。スーパーレックは圧をかけ続け、右ロー、ミドル、テンカオを当て、随所でガッチリ組んで膝も連打し内藤を圧倒する。最後は前に出る内藤をスーパーレックがステップでかわし終了。記者採点はスーパーレック。合計30-27でスーパーレック。ジャッジ3者もスーパーレックを支持し、スーパーレックの判定勝ちとなった。

第6試合　ムエタイ　フライ級GP準々決勝　3分3R
○サバス・マイケル（キプロス）
×アミール・ナセリ（イラン/マレーシア）
判定3-0

第11試合　ムエタイ　フライ級GP準々決勝　3分3R
○ロッタン・ジットムアンノン（タイ／ONEムエタイ王者、ONEキック1位）
×ジェイコブ・スミス（イギリス）
判定3-0

　　
　1R、スミスは右ローを着実に当て、左ミドルも絡める。ロッタンはパンチ主体の攻めをしつつ、左ボディを効かせ、右ローもお返し。すると終盤、ロッタンが左の前蹴りでスミスを下がらせつつ、左の縦肘でスミスの眉間を切り裂き、その後もパンチを当て流れをつかむ。

　2R、ロッタンは序盤から右のアッパーを当て、肘、膝も自在にヒットし続け、スミスを圧倒する。スミスは額、頭部、こめかみ等も切られている。
　3R、スミスは血だるまになりながらも前に出るが、ロッタンはパンチや肘を当てつつ、クリンチでの崩しも多用しスミスの反撃を封じる。記者採点は3Rともロッタン。ジャッジも順当にロッタンを支持し、優勝候補のロッタンの完勝に終わった。

第8試合　ムエタイ　フライ級GP準々決勝　3分3R
×ホスエ・クルス（メキシコ）
○ボルター・ゴンサルベス（ブラジル／ONEキック・フライ級3位）
1R 0’35” KO (左ボディフック)
※ジョナサン・ハガティー（イギリス／ONEムエタイ1位・元王者）が体調不良により欠場。交替試合にエントリーしていたクルスが繰り上がり、ゴンサルベスと対戦。クルスと戦う予定だったパンパヤック・ジットムアンノン（タイ／ONEムエタイ3位）は欠場。

グラップリング戦でルオトロ兄弟旋風。青木真也は判定負け、トノンは一本負け

第9試合　グラップリング　ライト級　10分1R
×青木真也（イヴォルブMMA／ONE MMA 3位・元王者）
○ケイド・ルオトロ［Kade Ruotolo］（米国）
判定0-3

　青木は3月のONE Xで秋山成勲に2R TKO負けして以来の試合で、今回はグラップリングルールでの出場だ。ルオトロはこの後の試合に登場するタイ・ルオトロとは双子の19歳で弟。兄弟で揃ってONEと契約し今回が初戦だ。

　序盤、組み手争いが続いた後、圧をかけていたケイドが素早くオンブでバックを取り、そのままグラウンドに引き込み、金網を背にバックマウントを取る。中盤、スタンドに戻ってからも、ケイドが脇・首を抱えプレッシャーをかけ続ける。防御をつづけた青木は息が荒くなりしんどうそうだ。青木がケイドの左脇を抱える場面もあるが、ケイドはすぐに振りほどく。

Kade Ruotolo goes OFF THE WALL to take the back! #ONE157 | #ONEChampionship | https://t.co/eBUfsODAFL pic.twitter.com/P4tcdeDMv2

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　するとケイドは金網を蹴りながら飛びつくと、そこからオンブになりつつ、またもグラウンドに引き込み、ケージ中央付近でバックマウンドで青木をガッチリと捕獲する。ケイドは腕十字や裸絞めのチャンスを探り続け、青木は防戦一方に。

　終盤、ケイドはギロチンも狙い、防御されてもすぐバックに戻り、青木をコントロールし続ける。ケイドがツイスターに失敗すると、スタンドに戻るが、疲れた青木に対し、ケイドは息を切らさず前に出る。残り40秒、青木は消極的だとしてイエローカードをもらう。最後、ケイドは引き込み、右足を登らせて両手で抱え、バギーチョークを仕掛けて終了する。記者採点はケイド。ジャッジもケイドを支持し、ケイドの勝利となった。

第10試合　グラップリング　ライト級　10分1R
×ゲイリー・トノン（米国）
○タイ・ルオトロ（米国）
1R 1’37” ダースチョーク

ペットモラコットがムエタイ・フェザー級王座防衛。ラシリがムエタイ・ストロー級王者に

第13試合　メインイベント　ONEムエタイ・フェザー級タイトルマッチ　3分5R
○ペットモラコット・ペッティンディー（タイ／王者）
×ジミー・ビエノ（フランス／挑戦者）
判定2-1
※ペットモラコットが防衛

第12試合　コー・メインイベント　ONEムエタイ・ストロー級タイトルマッチ　3分5R
×プラジャンチャイ・PKセンチャイ（タイ／王者）
○ジョセフ・ラシリ（イタリア/モロッコ／1位）
3R 終了時 TKO (棄権)
※ラシリが王者に

第5試合　MMA　女子アトム級　5分3R
×アシャ・ロカ（インド/ネパール）
○アリース・アンダーソン（米国）
1R 2’04” 横三角絞め

第4試合　キックボクシング　フェザー級　3分3R
×ダビッド・キリア（グルジア）
○モハメド・ブタザ（モロッコ）
判定0-3

第3試合　MMA　女子ストロー級　5分3R
○ナット・ジャルーンサック（タイ）
×ゼバ・バーノ（インド）
1R 1’22” 腕ひしぎ十字固め

第2試合　ムエタイ　フライ級GP交替試合　3分3R
○シャーゾット・カブトフ（キルギス）
×デニス・ピューリック（カナダ/ボスニア・ヘルツェゴビナ）
判定3-0

第1試合　MMA　ストロー級　5分3R
○エリピツア・シレガー（インドネシア）
×ロビン・カタラン（フィリピン）
1R 2’58” アナコンダチョーク