修斗 1.16 後楽園ホール(レポ):LDH中村倫也、MMA 2戦目は25秒KO勝ち。宇佐美正パトリックも1R KO勝ち。新環太平洋バンタム級王者・小野島恒太、中村と手塚基伸との対戦熱望
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プロフェッショナル修斗公式戦 PROFESSIONAL SHOOTO 2022 開幕戦
2022年1月16日(日)後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第10試合 メインイベント 修斗環太平洋バンタム級チャンピオン決定戦 5分3R
○小野島恒太(CWD/環太平洋1位、世界10位)※Combat Workout Diamondsから所属表記変更
×藤井伸樹(ALLIANCE/環太平洋3位、世界2位)
判定3-0 (豊永29-28/片岡29-28/田澤30-27)
※小野島が王者に
前環太平洋バンタム級王者の安藤達也が昨年9月、石井逸人を下し初防衛に成功したが、世界王座奪取に専念するため返上し、小野島と藤井で王座決定戦が行われた。なお、安藤は世界王者の岡田遼に3月21日の後楽園大会で挑戦することが今大会の途中で発表されている。
小野島は昨年のバンタム級インフィニティリーグでは石井とも引き分け、リーグ戦2勝2分の負けなし。最近では10月のRoad To ONEで山本聖悟に判定勝ちしている。現在38歳。09年にデビューし今回が王座初挑戦だ。
藤井も王座初挑戦。パンクラスで活躍後、18年から修斗に移り、岡田遼、魚井フルスイングに連敗したが、以降は4勝1敗で2連勝中。昨年1月の加藤ケンジ戦で判定勝ち後、怪我の療養を経て1年ぶりの試合だ。
1R、両者パンチのチャンスをうかがいながらフェイントをかけるが、少し距離が遠く、お見合いが続く。中盤、小野島が金網に押し込むが倒せずブレイク、最後も押し込み、倒しかけるが、藤井が耐えて終える。記者採点は中盤以降主導権を握った小野島。
2R、壁際のレスリングの攻防が続き、お互い一歩も譲らず尻餅をつかない。時折パンチが交錯すると、クリーンヒットにはならないが小野島のヒットがやや目立つ。記者採点は小野島。
3R、後の無い藤井は愚直にタックルを繰り返すが、小野島は突き放し、右フックを随所で当てる。終盤、藤井がテイクダウンを奪い、バックに回り、裸絞めを狙うが、小野島は体をひねって向き直し脱出。藤井の反撃を封じ終了する。記者採点は藤井。合計29-28で小野島。ジャッジ3者も小野島を支持し、小野島が判定勝ちし環太平洋王者となった。
小野島は「チャンピオンになって守りに入ってはいけないと思うんで、戦いたい相手2人言わせてください。防衛戦は決められた相手とやりますけど、1人目は復帰後8戦で唯一負けている手塚基伸選手です。手塚選手は凄い強くて、連勝しています。手塚選手がいなかったから巻けたベルトです。あとは去年僕がドローだった野尻定由選手を(今日の1つ前の試合で)倒した中村倫也選手です。3戦目でタイトルマッチは早いという声もあると思いますけど、十分な実績と実力があると思います。実現できなかったら3月はちょっと休みたいですけど、5月でもいいです。組んでください」とアピール。「実は今、生きてて一番幸せです」とマイクを締めくくり、息子と共に記念撮影した。
第9試合 セミファイナル バンタム級 5分3R
×野尻定由(赤崎道場A-SPIRIT/世界9位、環太平洋8位)
○中村倫也(EXFIGHT/LDH martial arts)
1R 0’25” KO (レフェリーストップ:グラウンドパンチ)
中村はEXILEの所属する芸能事務所「LDH」がABEMAで放送したリアリティショー「格闘DREAMERS」のプロ格闘家発掘オーディションを通過した選手。中村の父・晃三氏は90年代の修斗の運営会社の親会社・龍車の代表。倫也はエンセン井上やKIDの所属するPUREBRED大宮のキッズレスリングの第1号生徒だった。レスリングで全日本選手権2連覇、U-23世界選手権優勝の実績を残し、昨年7月の修斗でのプロMMAデビュー戦では、論田愛空隆を2R左ハイキックでKOした。LDHは4月24日に両国国技館で格闘技と音楽を融合させた新イベント「POUND STORM」を開催するため、中村も1つ前の試合に登場の宇佐美正パトリックも弾みをつけたい試合でもある。対する野尻もABEMAのリアリティショー「格闘代理戦争」出身。19年に修斗でプロデビュー後6戦負け無しで、昨年は小野島、石井とも引き分けている。
1R、野尻は開始すぐにダッシュして飛びつくが、中村は左フックで迎撃し、野尻がダウン。中村はすぐ上から押さえると、パウンドを何発も当て続け、レフェリーがストップした。野尻の自滅含みではあるとはいえ、中村が反射神経の良さと、怒涛のパウンドで今回も強さを印象付けた。
中村は「お腹の中の時からゴングを聞いて、憧れの先人を生き映したい思いでこのリングに立っています。この内容じゃ本当の実力わからなかったんですけど、絶対世界で勝つんで見ていてください。LDH最高」とアピールした。
大会後のインタビューで中村は次の試合について聞かれ「POUND STORMになると思います」とコメント。新環太平洋バンタム級王者・小野島からの対戦要求については「うれしいです。2戦しかしてないのに指名していただけることはないと思うので、それなりに存在感を示せているんかなと思います」と話した。
第8試合 ライト級 5分3R
×菅原和政(マスタージャパン福岡)
○宇佐美正パトリック(EXFIGHT/LDH martial arts)
1R 4’54” KO (右フック)
中村同様に宇佐美も「格闘DREAMERS」出身。フルコンタクト空手から格闘技を始め、ボクシングでは高校6冠を達成した。昨年9月の修斗でのプロデビュー戦では19年新人王のヨシ・イノウエを左ボディでKOし、11月のVTJの野村駿太戦では2Rに左フックでダウンを奪い判定勝ちし、今回が3戦目だ。
菅原は11月のVTJに緊急出場し、修斗世界ライト級王者・西川大和の顔面を左ストレートで腫れあがらせ、裸絞めで敗れるもインパクトを残した。
1R、サウスポーの菅原が左のミドルとフック、オーソドックスの宇佐美が右ハイ、右フック主体で攻める。宇佐美のパワフルなパンチに場内がどよめく。中盤、菅原の左インローの連打で宇佐美の足が少し流れるが、菅原は左ミドル主体に戻す。すると宇佐美が右フックで菅原をダウンさせる。菅原はすぐ立ち、攻撃を返していたが、宇佐美は残り20秒とセコンドから聞くと、一気に圧を強め、右フックの連打で豪快に菅原をマットに沈めた。これでLDH勢は中村と宇佐美揃って1R KO勝ち。宇佐美は今大会のMVP賞10万円も獲得している。
なお、この試合の前には、昨年行われたRIZINバンタム級日本GP優勝者・扇久保博正が登場。「修斗の皆さん、ただいま。大晦日は日本で一番幸せな男でした。でも優勝して真っ先に一人の選手が頭に浮かびました。その選手を倒すためにRIZINを選んだので、その選手を倒したらこのリングに戻って来ます。今日は最後まで楽しんでください。修斗最高」と話し、堀口恭司との3度目の対戦を熱望した。
第7試合 ストロー級 5分3R
○新井 丈(キングダムエルガイツ・和術慧舟會HEARTS/世界1位)※キングダムエルガイツから所属変更
×木内“SKINNY ZOMBIE”崇雅(和術慧舟會GODS/世界7位)
1R 4’46” KO (右フック)
新井は昨年6月に飯野タテオをわずか59秒でKOし現在4連勝。その後、飯野の所属するHEARTSに練習拠点を変え、今回が初戦だ。セコンドには大沢ケンジ代表、猿田洋祐のHEARTS勢がつく。
1R、新井は打撃、木内は寝技を狙う構図。新井が開始ぐすぐからプレッシャーをかけ、パンチを当てれば、木内は自ら寝ころんで、猪木アリ状態となり、新井が離れブレイクとなる展開が繰り返される。木内が足関を仕掛ける場面もあるが、新井は対処し脱出。次第に新井のパンチのヒットが増えると、木内はダウンする場面が増え、最後は新井が右フックで木内をマットに沈めた。
新井は「ストロー級、一番軽い階級ですけど面白くないですか。今、チャンピオンが暫定と正規の2人いて、どっちに喧嘩売ればいいのかわからないので、2人に勝負してもらって、その間にランカーを片っ端から潰します。何度も言うけど、黒澤亮平、俺と殴り合えよ」とアピールした。
第6試合 女子スーパーアトム級(50kg) 5分2R
○黒部三奈(マスタージャパン東京/元世界王者)
×宝珠山[ほうしゅやま]桃華(赤崎道場A-SPIRIT)
判定3-0 (福田20-18/田澤20-18/豊永20-18)
黒部は11月のSTUDIO COAST大会でSARAMIに判定負けし、女子スーパーアトム級王座から陥落したが、2カ月と短いスパンで再起戦。宝珠山は昨年5月に修斗でプロデビューし1勝1敗の27歳。
1R、長身の宝珠山が右ストレートを随所で的確に当てる。中盤、黒部は金網に押し込み、テイクダウンを奪い、立たれても押し込み続け、パンチも当てて主導権を握る。
2Rも黒部が押し込んでからテイクダウンに成功し、今度はハーフで上をキープする。立たれてもすぐ倒しトップキープ。両ラウンドともポイントを取り完勝した。
第5試合 インフィニティリーグ2022 女子アトム級(47.6kg) 5分2R
○久遠[ひさえ](ZERO/元DEEP女子ライト級(48kg)王者、元インターナショナル女子ムエタイライトフライ級王者/勝ち点0→4)
×加藤春菜(NACSER DO SOL/勝ち点0)
1R 1’55” 腕ひしぎ十字固め
渡部久江改め久遠はゼロ年代の女子MMA、キックの主力として活躍。昨年10月のNJKFでのキックの試合で復帰したが祥子JSKに判定負けしている。今回は5年半ぶりのMMAの試合だ。現在41歳。対する加藤は高校3年生。全日本アマ修斗選手権の代わりに開催されたアマ修斗EXトーナメント2020 Vol.2 女子アトム級優勝者で今回がデビュー戦。
1R、久遠はガードを低くしほとんどステップしないのに対し、加藤は細かく動き、右フックをヒット。久遠は口から出血するが、押し込んで飛びつき三角絞めを仕掛け、グラウンドで腕十字を極めてタップを奪った。1Rでのフィニッシュのため、リーグ戦の勝ち点4を獲得している。
第4試合 インフィニティリーグ2022 女子アトム級(47.6kg) 5分2R
○中村未来(マルスジム/勝ち点0→2)
×小生[おの]由紀(グランドスラム沖縄A・P・P/勝ち点0)
判定3-0 (長瀬20-18/片岡20-18/豊永20-18)
1R、小生が押し込んでから引き込むが、中村がすぐサイドを取り、押さえ続け、終盤には肘と鉄槌をまとめる。2R、中村が押し込んでは肘を当て、離れればストレートをヒット。小生も引き込んでリバースする場面はあるが、トータルには打撃と押し込みで中村に攻められ続ける。中村が両ラウンドともポイントを取り、リーグ戦初戦で判定勝ちした。
第3試合 女子52kg契約 5分2R
○杉本 恵(AACC/世界スーパーアトム級3位)
×ソルト(マルスジム)
判定3-0 (豊永20-18/長瀬20-18/片岡20-18)
ソルトはアマ修斗EXトーナメント2020 Vol.2 女子フライ級優勝者で今回がデビュー戦。1R、開始すぐから杉本が両足タックルで倒して上になる。立たれてもすぐ倒し続け、マウントからパウンドを落とす場面も。
2R、ソルトもパンチを当てる場面があったが、杉本が再三組み付き、中盤からは金網際でコントロールし、最後はバックから裸絞めを狙って終了。2Rとも杉本がポイントを取り判定勝ちした。
第2試合 フェザー級 5分2R
×木下タケアキ(和術慧舟會HEARTS)
○工藤圭一郎(グランドスラム沖縄A・P・P)
1R 3’53” KO (左フック)
1R、サウスポーの木下が伸びのあるパンチを時折当て、押し込む展開が繰り返される。少し膠着し、両者ローブローでブレイクがかかる。再開後、工藤はすぐ詰めると、パンチと膝のラッシュから、ガードの空いた木下に左フックをクリーンヒット。木下は腰から崩れて前のめりで倒れ、すぐさまレフェリーがストップし、工藤のKO勝ちとなった。
第1試合 ストロー級 5分2R
○阿部マサトシ(AACC)
×牧ヶ谷篤(和術慧舟會群馬支部)
判定3-0 (福田20-18/長瀬20-18/片岡20-18)
浜崎朱加擁するAACCの阿部裕幸代表の弟・マサトシは現在45歳。02年に修斗でMMAデビューし約10年出場後、19年の中川マイケル戦で7年ぶりに復帰したが1R KO負けし、今回それから約3年ぶりに再復帰した。牧ヶ谷はここ10年で2勝8敗、4連敗中の42歳。
1R、マサトシがスタンドでのサウスポーからの右ジャブ、左ストレート、グラウンドでパウンドを当て、打撃で優勢。牧ケ谷の再三の足関も防御する。2Rもマサトシがパンチを的確に当て続け判定勝ちした。