BOM 12.5 ニューピアホール(レポ):吉成名高、約55kgで元タイ王者圧倒も倒せず反省。大晦日に備え「ダメージは無いのですぐ練習できます」
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BOM (The Battle Of MuayThai) WAVE 07 – Get Over The COVID-19 –
2021年12月5日(日)東京・ニューピアホール
レポート&写真:井原芳徳
第2部
第6試合 メインイベント WBCムエタイ ナイ・カノムトム スーパーバンタム級王座決定戦 3分5R
○名高・エイワスポーツジム[吉成名高](エイワスポーツジム/BOMフライ級王者、元WBC・IBF・WMCムエタイ世界ミニフライ級王者、元ルンピニー&ラジャダムナン認定ミニフライ級王者)
×クンナムイサーン・ショウブカイ(タイ/尚武会/元MAXムエタイ55kg級王者)
判定3-0 (大成50-46/シーン50-46/ナルンチョン50-47)
※名高が王者に
最近の名高はBOMとRIZINを並行参戦し、10月24日のRIZIN横浜大会では53.5kg契約(バンタム級相当)で石川直樹に1R TKO勝ちし、RIZIN参戦からの連続KO勝ちを4に伸ばし、連勝を10とした。名高の適正体重はフライ級かスーパーフライ級。今回のBOMではフライ級からバンタム級での試合を予定していたが、相手探しに難航し、スーパーバンタム級(55.33kg)の試合となった。
相手のクンナムイサーンはタイでスーパーバンタム級で戦っていた選手で、今は日本に住む。6月のBOM新宿フェイス大会で渡辺優太とフェザー級(57.15kg)で戦い判定負け。10月のスック・ワンキントーン後楽園大会では福田海斗と56.5kg契約で対戦し判定負け。11月7日のNJKF後楽園大会では波賀宙也と57kg契約で対戦し引き分けている。名高が出場を目指す大晦日のRIZINを見据えれば、55kg近辺でも戦える実力をアピールしたい試合だ。
なお、この一戦は「WBCムエタイ ナイ・カノムトム スーパーバンタム級王座決定戦」として行われた。ナイ・カノムトムは18世紀のタイの英雄で、ミャンマー(ビルマ)との戦争で捕虜となるが、釈放をかけビルマ人10人と戦い全員に勝利し、タイを救ったと言われる。WBCはこのベルトについて「タイおよび世界にてムエタイ技術で有名な伝説のムエタイ選手を称える特別賞の一部として作成しました。このベルトは特別な機会に勝者に授与されます」と位置付け、世界・インターナショナル・日本等の枠組みとは別となる。(ベルトに関する詳しい説明は大会前の記事参照)
1R、リングで並んだ両者とも体格差はほぼ無いように見える。両者サウスポーに構え、圧力をかけるクンナムイサーンに対し、名高が右の前蹴りで距離を取りつつ、自分の左ミドル、ストレート等を当て続ける。クンナムイサーンが右ミドルを蹴れば、足をつかんで自分の左ミドルを当てたり、崩しを決め、早くも主導権を握る。
2R、名高は開始すぐから攻撃の手数を上げ、左ミドル、ロー、ストレート、ボディストレート等を当て続ける。攻撃のバリエーション、散らし、コンビネーションも多様で、技術の高さを印象付ける。
3Rも同様で、名高がパンチと蹴りを度々当て優勢。クンナムイサーンはローを嫌い、途中までオーソドックスで戦うが、打開できない。とはいえインターバル中はセコンドと笑顔で話す余裕があり、ダメージ自体はさほど無い様子だ。
4R、名高はこれまでよりも動きを速くして手数を上げ、度々左ロー、ストレート、ボディストレート等をヒット。クンナムイサーンは防戦一方だが、体格差もあってか、ダウンするほどのダメージは負っていない様子だ。
とはいえ、名高は既に2~4Rのポイントを確実に取っている。派手なKO・一本勝ちが好まれる日本のプロ格闘技と違い、本場タイのムエタイはギャンブルの対象のため、判定でいいから確実に勝つことがファンからは求められる。そのため今回のように5Rに入る時点で点差の大きい場合、倒しに行ってカウンターのパンチや肘をもらって逆転負けするリスクを取ることは求められない。5Rは防御に徹する“流し”モードに入ることがタイの試合ではよくあり、本場のムエタイマナーに忠実なエイワスポーツジム所属の名高も、このシチュエーションでの5Rは完全に流すことに。名高はリングの中を回り続け、圧をかけるクンナムイサーンも勝てないと判断して無理に行かず、両者ともマススパーのように軽く手足を出すだけで終了する。エイワの中川夏生会長は「(このポイント大差の状況で倒しに)行ったら、弱い者いじめになってしまい、僕たちのやっているムエタイを否定することになるので、行かないように指示しました」と試合後に説明していた。実質4Rで倒せなかった時点で終わっていた試合で、名高が順当にジャッジ3者から支持され判定勝ちした。
チャンピオンベルトを巻き、マイクを持った名高は「今回KOで倒したかったんですけど、重い階級で結果を残せたので、これも応援してくれる方のおかげです。反省点もたくさん見つかったので、次の試合に向けより強くなった姿を見せたいです」と話し、大晦日への言及は控えた。
バックステージで名高は「攻撃が当たっても倒せないのはショックでした。ムエタイでは攻めていても、ミドルをもらうのは良くないので、攻めている時もしっかりディフェンスしないといけないと思いました」と、攻守共に反省の弁。55kgの試合はまだ早いと思ったか尋ねると「正直早いかなって思いました。55kgでも当たれば倒せるかなって思ったんですけどね」「まだ53kgでも減量がキツくないです。少しずつ体は大きくなっているので、まずは53でアジャストし、55を目指したいです」と話した。
大晦日の那須川天心と武尊のビッグマッチについて、RIZINの榊原信行代表は交渉中であることを理由にノーコメントを貫いているが、1カ月を切り、タイムリミットは刻一刻と迫っている。武尊戦が実現しなかった場合の天心の相手として、ファンからは名高を望む声も少なくなく、本人も過去に意欲を示していた。名高は「そのことは考えていなかったです。年末どうなるかわからない状況なんですけど、今回は良くなかったですね」と話しつつ、天心と55kg契約で戦うことを想定しているか聞かれると「強い選手とどう戦うかはいつも想定するのでそこは意識します」と答えた。天心を巡る状況に水を差さないよう配慮し、自分の今日の約55kgでの仕上がりも考慮し、控え目な言い回しで、リング上でアピールしなかったのもそのせいだと思われるが、まだ天心戦への意欲は捨てていない様子。「ダメージは無いのですぐ練習できます」とも話しており、いずれにせよ大晦日の大舞台に向けて備えるつもりだ。
第5試合 セミファイナル WPMFインターナショナル・スーパーミドル級(76.2kg)王者決定戦 3分5R
○柿沼 慶(ポゴナ・クラブジム/BOMスーパーウェルター級王者、WMCインターコンチネンタル・スーパーウェルター級王者)
×プーパンレック(タイ)
1R 2’51” KO (右ストレート)
※柿沼が王者に
1R、体格で勝る柿沼が開始すぐから圧力をかけ続け、度々右ストレートをヒット。プーパンレックはクリーンヒットは免れるも、少しずつダメージが溜まると、終了間際に柿沼が圧力を強め、右ストレートを連続でヒット。プーパンレックはうつぶせでダウンすると動かず、レフェリーがストップした。
マイクを持った柿沼は「正直、今回で引退しようと考えていたんですけど。あと一回だけやるかどうかは考えて…。たぶんやらないと思うんですけど」と迷える心境を口にし「とりあえず休憩するんで、ポゴナ・クラブの応援をお願いします」と話した。
第4試合 WMCインターコンチネンタル・ミドル級王者決定戦 3分5R
×クリスチャン・ジョセフ(米国/尚武会/IMCインターコンチネンタル・ミドル級王者)
○MIKE JOE(BATTLE FIELD/TEAM J.S.A/Bigbangスーパーウェルター級王者)
5R 2’19” KO (右ボディフック)
※JOEが王者に
1R、両者とも距離を取りつつ、ストレートやジャブ等のパンチ主体の攻防。JOEは崩しも時折決める。2Rに入ると両者手数を上げる中で、JOEが右ボディを効かせてからの右ストレートや、左インロー等を的確に当て優位に。
3RもJOEが自在にパンチを当てつつ、首相撲になれば再三右肘を当て、ジョセフを苦しめる。4Rは何発もパンチ、肘を当て、ジョセフの額を切り裂き、2度ドクターチェックが入るが続行する。5Rもパンチと肘で圧倒すると、最後は右ボディの連打でマットに沈めた。
第3試合 WPMFインターナショナル・ライト級王者決定戦 3分5R
○レンタ・ウォーワンチャイ(ウォーワンチャイ・プロモーション/WMCインターコンチネンタル同級王者)
×リク・シッソー(トースームエタイシンジム/スック・ワンキントーン同級王者、元WMC日本スーパーフェザー級王者)
判定3-0 (49-46/49-47/49-46)
※レンタが王者に
9月のBOMで晃希に1R KO勝ちしWMCインターコンチネンタル・ライト級王者になったレンタと、10月にスック・ワンキントーン同級王者になったリクが、WPMFインターナショナル同級王座を争った。
1R、蹴りの応酬の後、早速首相撲の展開が繰り返されると、レンタが左の縦肘でダウンを奪う。2Rはリクも持ち直すが、レンタが組んでの攻防主体で優位を維持。5Rはリクも肘でレンタの頬を切り裂き巻き返したが、レンタが逃げ切り判定勝ちした。
第2試合 54kg契約 3分3R(延長1R)
○佐藤九里虎(FAITH/WMC日本スーパーフライ級王者)
×高坂侑弥(エイワスポーツジム/元TENKAICHIフライ級王者)
判定2-0 (29-28/29-29/29-28)
第1試合 フェザー級 3分3R
×TAKAYOSHI(東京町田金子ジム)
○山元剣心(FAITH)
1R KO
第1部
第8試合 メインイベント BOMミドル級タイトルマッチ 3分5R
×喜多村誠(ホライズン・キックボクシングジム/王者、元新日本同級王者)※初防衛戦
○J(TSK japan/挑戦者、WMCインターコンチネンタル同級王者)
判定0-3 (47-49/48-49/48-49)
※Jが王者に
第7試合 ONE Championship提供試合 ONEムエタイルール ストロー級(56.7kg) 3分3R
△鳩[あつむ](TSK japan/WMCインターコンチネンタル・バンタム級王者、ムエタイオープン・スーパーバンタム級王者、元WMC日本バンタム級王者)
△GANG-G(ゴリラジム)
判定0-1 (29-30/29-29/29-29)
第6試合 BOMウェルター級王者決定戦 3分5R
○高橋幸光(TSK japan/WMC日本スーパーライト級王者、元J-NETWORK&MA日本ライト級王者)
×水落洋祐(エイワスポーツジム/元WPMF世界暫定ライト級王者、元WPMF&WBCムエタイ日本同級王者、元REBELS-MUAYTHAIスーパーライト級王者、元REBELS 65kg級王者)
4R KO (左ハイキック)
※高橋が王者に
第5試合 BOM女子ピン級(45.53kg)王者決定戦 2分5R
×MIREY(HIDE GYM/WMC日本女子&J-GIRLSピン級王者)
○奥脇奈々(エイワスポーツジム/Bigbang女子45kg王者)
判定0-3 (48-49/48-49/48-49)
※奥脇が王者に
第4試合 BOMスーパーライト級王座挑戦者決定戦 3分3R(延長1R)
×KJヒロシ(Y’ZD GYM沖縄/WMC日本スーパーライト級1位)
○久保政哉(PHOENIX)※Monolithから所属変更
判定0-2 (28-30/29-29/29-30)
第3試合 59.5kg契約 3分3R
×真吾(レンジャージム)
○拳太(MSJキックボクシングジム)
2R TKO
第2試合 フェザー級 3分3R
○しょーい(湘南格闘クラブ)
×宮城五政(SRKムエタイジム)
3R TKO
第1試合 スーパーフライ級 3分3R
○吏亜夢(ZERO)
×希羅(MSJキックボクシングジム)
判定