Krush 5.17 後楽園ホール:KANA、逆転勝ちで王座防衛。篠原悠人、スーパー・ライト級王座挑戦権獲得
MARTIAL WORLD PRESENTS GYM VILLAGE
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Krush.88
2018年5月17日(木) 後楽園ホール
レポート&写真:井原芳徳
第9試合 メインイベント Krush女子フライ級(-50kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○KANA(K-1ジム・シルバーウルフ/王者/50.0kg)
×キム・タウンゼント [タウンセンド/Kim Townsend](オーストラリア/ダブルダース・オーストラリア/挑戦者、ムエタイWKN 50.5kg・IKBF 50kg・WMC 50.8kg 53kg豪州王者、WMC 52kg オセアニア王者/49.8kg)
4R 判定3-0 (芹沢10-9/梅木10-9/山根10-9)
3R 判定0-1 (芹沢28-29/梅木28-28/山根28-28)
※KANAが初防衛
KANAは3月21日のK-1さいたまスーパーアリーナ大会 K’FESTAの唯一の女子戦で、ポリナ・ペトゥホーヴァ(ロシア)からハイキックでダウンを奪って判定勝ち。一夜明け会見で「倒しきれなかったので、悔しさが残った一戦でした」と話すと、宮田充K-1プロデューサーが今大会での防衛戦をKANAに提案し快諾。試合2日後には防衛戦を行うことが発表された。
挑戦者に選ばれたタウンゼントは12年8月のシュートボクシングGirls S-cup 2012 世界トーナメント一回戦でRENAに判定負けしたが、その後もコンスタントに試合を重ね、ムエタイ系のタイトルを多数獲得。現在29歳で31戦23勝(2KO)8敗と好戦績を残している。
なお、Krushでは今大会から階級制がK-1 WORLD GP JAPANに合わせる形で統一されるようになった。(関連記事:Krushの階級制をK-1に合わせ統一。Krush.88 5.17 後楽園大会から変更)
1R、KANAが最初から圧力をかけ、右ロー、左ボディ等を当てるが、タウンゼントが回って距離を取りながらミドルを当て続け、中盤過ぎ、下がりながらも右ストレートを当ててダウンを奪取する。記者採点は8-10でタウンゼント。
2Rに入ると、KANAが当て続けていた右ローが効き目を発揮し、タウンゼントはコーナーを背負ってパンチをもらう時間が長くなる。KANAが主導権を奪い、記者採点は10-9でKANA。
3Rもその流れで、KANAが2Rよりもヒットを増やし、コーナーに詰めて右フック、右ボディを再三当ててタウンゼントを圧倒する。だがタウンゼントもムエタイ式で前蹴りを出し続けてKANAの攻撃を寸断。終盤にはKANAが右ハイも当て追い詰めるが、ダウンは奪えない。記者採点は10-9でKANA。合計28-28でドロー。ジャッジも2者がドローとつけ延長に突入する。
延長RもKANAが再三タウンゼントをコーナーに詰め、右ボディ、右フック等を当て続け圧倒。だが経験豊富なタウンゼントも打たれ強く、前蹴りで攻撃を寸断し、時折右ストレートを当て返し、勝負をあきらめない。記者採点は10-9でKANA。KANAが公約通り倒しきれなかったものの、はっきり差をつけ王座防衛に成功した。
再びベルトを巻いたKANAは、時折泣き声になりつつ「有言実行ができなかったのが心残りです。しっかりチャンピオンの仕事できるよう頑張ります。応援ありがとうございました」とアピール。バックステージでは「ダウンはタイミングを合わせられた感じで、効いていなかったけど、ドンピシャでした。やりたい距離に入ろうと思ったら足で止められる巧さがあって、なかなか思うように戦えなかったです」と振り返り、出場の決まっている8月18日の名古屋国際会議場大会に関しては「しっかり倒さなきゃ後は無いと思うので、倒します」と宣言した。(表彰式では俳優の岩城滉一さんがプレゼンターを務めた。)
第8試合 セミファイナル Krushスーパー・ライト級(-65kg)次期挑戦者決定戦 3分3R(延長1R)
○篠原悠人(DURGA/64.9kg)
×FUMIYA(ポゴナ・クラブジム/65.0kg)
2R 1’51” KO (左フック)
中澤純がベルトを持つこの階級で、4選手による次期挑戦者決定トーナメントが3月10日の大会でスタート。篠原は細越貴己に判定勝ちし、FUMIYAは中村広輝とのダウンの応酬の末に3RバックハンドブローでKO勝ちし、決勝に駒を進めた。両者は昨年10月のKHAOSの関東と関西の対抗戦の大将戦で対戦し、篠原が3R右フックでKO勝ちしている。
1R、FUMIYAが前に詰めてボディ、顔面へのパンチ、回転系の蹴り技等を放つが、篠原は回ってかわしながら左右のストレートを的確にヒット。だがまだはっきりした差はなく、記者採点は10-10。
2Rも同じように篠原が的確にパンチを当て続けると、FUMIYAはダメージが溜まって来た様子。それでもFUMIYAはコーナーに篠原を詰め、右アッパーを連打して少し篠原をひるませたが、パンチの打ち合いの展開で篠原がカウンターの左フックをクリーンヒットしダウンを奪取。FUMIYAは立ったものの足元がふらついており、再び左フックをもらって真後ろに下がってひるむと、豊永レフェリーがKOを宣告した。
リングサイド席で試合を見ていた中澤もリングに上がり、篠原は「去年、中澤選手に負けてから全勝で来ました。リベンジを兼ねて挑戦したいです」、中澤は「篠原選手が1年前よりたくましくなっていて良かったです。強くなったから防衛戦も頑張れそうです。(1年前の対戦の後)篠原選手のお母さんと仲良くなったんですけど、また敵になります。次、応援お願いします」と話した。
第7試合 スーパー・バンタム級(-55kg) 3分3R(延長1R)
×桝本“ゴリ”翔也(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
○大岩翔大(チームYMC栃木)
判定0-3 (梅木26-29/岡田27-30/豊永26-30)
桝本は2月大会で江川優生に勝利後の一夜明け会見で「減量が楽になったので、下の階級を狙ってみるのもいいですね」と話し、さっそく下の階級での試合が組まれた。大岩は12月のK-1の軍司泰斗戦で敗れて以来の試合だ。
1R、両者サウスポーに構え、ローキックの応酬となるが、大岩の左ローが効き目を発揮し、桝本の足取りが悪くなる。記者採点は9-10で大岩。
2R、大岩は心理的に優位に立ったか?中盤、左フックでダウンを奪取に成功。桝本もローやボディを返すが、終盤にも大岩が左フックでダウンを奪い、差を広げる。記者採点は7-10で大岩。
3R、桝本が苦しみながらも前に出てパンチを振るうが、大岩も随所でボディの連打等を返し続ける。終了間際に桝本がパンチのヒットを増やすが、大岩は耐えきり終了。記者採点は10-10。合計26-30で大岩。大岩が大差の判定勝ちを果たした。
第6試合 スーパー・フェザー級(-60kg) 3分3R(延長1R)
○大岩龍矢(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
×友尊(TEAM K/元NJKF王者)
3R 0’35” KO (右フック)
大岩は3月のK-1スーパー・フェザー級王座決定トーナメントのリザーブファイトで横山巧に判定勝ちして以来の試合。友尊はプロボクシングに転向後、昨年8月のKrushで6年ぶりにキックに復帰したが、覇家斗に3RにKO負けしている。
1R、友尊はサウスポーに構えてジャブを振って距離を取り続け、大岩も攻めあぐねていたが、終盤に左ハイをヒット。すると友尊も巻き返そうと前に出て来たが、大岩の右フックが当たるように。記者採点は10-9で大岩。
2Rに入ると、大岩のボディ狙いの右ミドル、三日月、ストレートのヒットが増える。友尊は頻繁にローブローのアピールをするが、大半はボディに当たっているように見える。記者採点は10-9で大岩。
3R、劣勢の友尊が前に出てコーナーに詰め、パンチとテンカオで一気に攻めるが、大岩は右に回ってかわして右フックをクリーンヒット。ダウンした友尊は立ち上がったが足元がフラついており、芹沢レフェリーがストップした。
大岩はセコンドの武尊と抱き合って喜ぶと、マイクを持ち「(8月の)名古屋大会、やりたい相手がいます。皇治選手、武尊とやる前にやってください。絶対盛り上がると思います」とアピールした。
第5試合 スーパー・ライト級(-65kg) 3分3R(延長1R)
×寺崎直樹(Booch Beat/元王者)
○松下大紀(NPO JEFA)
1R 2’15” KO (右フック)
寺崎は14年7月にHIROYAを1R KOしKrushスーパー・ライト級(-65kg)王座を獲得したが、15年1月のNOMANとの初防衛戦で判定負けし王座陥落。同年10月の佐々木大蔵戦でも判定負けし、16年3月のK-1の「-65kg日本代表決定トーナメント」でHIROYAにリベンジを許し3連敗に。「K-1で負けて、やり尽くした感じがあった」というが、日本体育協会等が主催する「スポーツ笑顔の教室」という全国の小中学生への特別授業の教師=夢先生の活動を続けるうちに、「先生として言葉だけじゃなく背中で何を伝えられるかを考えるようになり、選手をやれる間はやろうと思い、またやることに決めました」という。
復帰戦の相手・松下は1月に細越貴己に判定負けして4連敗中だが、3月のカード発表会見で寺崎は「僕もチャンピオンになる前、6試合ぐらい1回も勝てない時期があったんですよ。あきらめずにやっていたらチャンピオンになれたんで、松下選手にも続けていれば絶対いいことがあるので、そういう思いでぶつかって欲しいです」と、“夢先生”らしく22歳の若者・松下にエールを送っていた。
両者の再生がテーマとなったこの一戦だが、松下が今の第一線のシビアさを示す内容に。1R開始すぐから長身の松下が上体を細かく動かしながら、左ジャブをヒット。寺崎は早くも鼻血を出す。その後も松下のスピードに対応しきれていない様子だ。しかし寺崎は右フックをヒットさせ、松下をコーナーに詰めチャンス。だがパンチの打ち合いになると、松下の右フックがカウンターでクリーンヒットし、寺崎はダウンする。寺崎は鼻血が激しくなり、立ち上がってからも果敢に前に出たものの、松下のカウンターの右フックが再び炸裂し再びダウンすると、鼻血を大量に吹き出す寺崎を見て豊永レフェリーがストップした。試合前はガンを飛ばした松下だが、試合後は寺崎と握手し頭を下げ、感謝の気持ちを伝えた。
第4試合 ライト級(-62.5kg) 3分3R(延長1R)
○大沢文也(TANG TANG FIGHT CLUB)
דバズーカ”巧樹(菅原道場)
判定3-0 (梅木29-27/岡田30-28/豊永30-28)
試合前のにらみ合いから沸かせた両者。1R、バズーカが圧力をかけ、スイッチしながら左ミドルを当て、大沢も回って距離を取りながら時折スイッチ。大沢は慎重に見えたが、中盤、低いガードから左フックを放つとクリーンヒットしバズーカがダウンする。記者採点は10-8で大沢。
バズーカはダメージは小さく、ダウンの後は持ち直し、2Rも中央よりに構え、右ローや左ミドルやバックブローを放つ。だがクリーンヒットは乏しく、大沢も手数が落ち、均衡状態に。記者採点は10-10。
3Rもバズーカが若干手数が上で、右膝を効かせるが、終盤に体力を温存した大沢が左ボディを連打し、五分の印象に戻し終了。記者採点は10-10。合計30-28で大沢。大沢が1Rのダウン分を守り切る形で判定勝ちした。
第3試合 ヘビー級 3分3R(延長1R)
×愛鷹 亮(力道場静岡/Bigbangヘビー級王者/99.9kg)
○杉本 仁(K-1ジム・シルバーウルフ/91.4kg)
3R 2’21” KO (右ハイキック)
1R、杉本が右ロー主体で左の前蹴りも駆使して主導権を握り、終盤には左ハイでぐらつかせる。記者採点は9-10で杉本。
2R、愛鷹が1Rから当てていた右ローが少しずつ効いてきた模様で、終盤に差し掛かり、愛鷹が左ボディも強打してからのパンチラッシュで杉本を度々ふらつかせ反撃する。記者採点は10-9で愛鷹。
3R、インターバルをまたいで杉本は回復すると、愛鷹は杉本を詰め切れなくなり、ヒットが減る。すると杉本が終盤に差し掛かり、コーナーに詰めると、右ハイをクリーンヒット。愛鷹は大の字で倒れ、杉本が見事逆転KO勝ちを果たした。
第2試合 スーパー・フェザー級(-60kg) 3分3R(延長1R)
○里見柚己(K-1 GYM横浜infinity)
×川口拓真(K-1ジム総本部チームペガサス)
判定2-0 (伊藤30-27/豊永28-28/山根29-28)
里見は2月大会で小澤海斗の左ミドル一発で1R KO負け。減量苦もあり、1階級を上げての再起戦となる。
1R、サウスポーの里見が左ミドルを狙うが、川口は右ボディフックを当てて、何度かコーナーに詰めたり背中を向けさせたりしてチャンスを作る。里見も左フックや飛び膝を返すが、少し劣勢か。記者採点は10-10。9-10で川口か迷うところだった。
2Rも似たような構図が続くが、終盤、これまで里見が度々出していた左の飛び膝がクリーンヒットし、川口はダウン。川口は右頬を腫らす。記者採点は10-8で里見。
3R、川口はボディ狙いのパンチを序盤から当てると、里見は後退を続け、川口がパンチ主体で前に出続け終始攻勢に。記者採点は9-10で川口。合計29-28で里見。ジャッジ2者が里見を支持して勝利したが、苦しいスーパー・フェザー級初戦となった。
第1試合 ウェルター級(-67.5kg) 3分3R(延長1R)
×峯山竜哉(ウィラサクレック・フェアテックス西川口)
○瑠久(K-1 GYM横浜infinity/K-1甲子園’17 -65kg準優勝)
判定0-3 (山根28-30/梅木28-29/豊永28-30)
プレリミナリーファイト第3試合 フェザー級(-57.5kg) 3分3R
×渡辺 武(Booch Beat)
○安達元貴(K-1ジム・シルバーウルフ)
判定0-3 (山崎28-29/芹沢28-29/岡田28-29)
プレリミナリーファイト第2試合 ライト級(-62.5kg) 3分3R
×佐野純平(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
○鈴木孝司(K-1ジム蒲田チームキングス)
3R 2’57” KO (右膝蹴り)
プレリミナリーファイト第1試合 スーパー・フェザー級(-60.0kg) 3分3R
×谷中蒼空(ドージョー☆シャカリキ)
○向井貫太(ウィラサクレック・フェアテックス三ノ輪)
1R 2’15” KO (右ストレート)