Krush 12.16 後楽園ホール:島野浩太朗、大岩龍矢との延長戦制しスーパー・フェザー級王座初防衛。スーパー・バンタム級王座決定T決勝は玖村将史×軍司泰斗に
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レポート&写真:井原芳徳
第9試合 メインイベント Krushスーパー・フェザー級(60kg)タイトルマッチ 3分3R(延長1R)
○島野浩太朗(菅原道場/王者)
×大岩龍矢(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/挑戦者)
4R 判定3-0 (畑中10-9/山崎10-9/山根10-9)
3R 判定0-0 (畑中29-29/山崎29-29/山根29-29)
※島野が初防衛
島野は6月大会で王者・郷州征宜に判定勝ち。2011年から上がり続けたKrushで、2度目の挑戦で初のベルト奪取を果たした。
対する大岩は昨年11月に朝久泰央に敗れたが、今年に入って闘士、横山巧、友尊、山本真弘相手に4連勝中、2連続KO勝ち中だ。8月の名古屋大会で真弘を倒すと「近いうちタイトルマッチお願いします」とアピールし、その希望通りとなった。大岩は16年8月の名古屋大会で当時のフェザー級王者の小澤海斗に挑戦し延長判定負けを喫し、今回が2度目のタイトル挑戦となる。
1R、セコンドの武尊の指示を聞きながら、大岩が積極的に前に出て、右ローを当て続けた後、右のロングフックを当てるように。島野も右ローを返すが、後手に回る状況が続いて印象が悪い。記者採点は9-10で大岩。
2Rも大岩が圧力をかけるが、島野は攻撃を当てさせず、次第に左ボディ、右ローを返すように。終盤、バッティングで島野が左まぶたから出血しドクターチェックが入るが、傷口は浅い様子だ。記者採点は10-9で島野。
3R、開始すぐから両者とも積極的にパンチを振るい、次第にヒット数を上げたのが島野。左ボディ、右アッパーの強打で場内を沸かせる。だが大岩も終盤には声援を背にしてパンチのヒットを増やし挽回する。記者採点は10-9で島野にするか迷ったが10-10。合計29-29。ジャッジ3者も同様だ。
延長Rも島野優位の流れは変わらず。左の膝、左ボディフックをボディを時折り当てつつ、顔面にもパンチを当て続ける。大岩は島野のノンストップのラッシュに防戦一方だ。
記者採点もジャッジ3者も島野を支持し、島野の判定勝ち。初防衛に成功した島野は、菅原会長と対戦相手の大岩に感謝の言葉を述べ、「この世界にいる以上、目標は世界のトップと拳を交えることです」とアピールした。
バックステージで島野は「このKrushの(スーパー・フェザー級の)ベルトは卜部弘嵩選手以外、防衛した選手がいないので、どれだけ防衛が難しいかを感じて過ごしてきました。自分は器用じゃないですけど、今日よりも明日という気持ちで、精進して次の戦いに向けて最高の準備をし、最高のジムのみんなと戦うことをモチベーションにしたいです」と話した。
敗れた大岩は「自分の反省点しかないです。やりたいことが何もできませんでした。最近はKO勝ちが続いて、右にこだわり過ぎました。この差が本当に大きいと思います」と話した。
第8試合 セミファイナル 第6代Krushスーパー・バンタム級(55kg)王座決定トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○玖村将史(K-1ジム五反田チームキングス)
×ビクトー・サラビア(米国/ムエタイ・アメリカジム)
4R 判定3-0 (畑中10-9/山根10-9/山崎10-9)
3R 判定1-1 (畑中29-28/山根28-29/山崎29-29)
寺戸伸近が返上した同王座を争うトーナメントには8選手が参加し、9月30日と10月28日の後楽園大会で一回戦2試合ずつが行われ、サラビアは桝本“ゴリ”翔也を延長戦の末に下し、玖村将史は大岩翔大を1R KOし、初戦を突破した。
1R、玖村が左ジャブを見せつつ、左ボディ、右ストレート等を当て、ある程度攻め込んだら飛び膝も絡め攻勢を印象付ける。サラビアも時折パンチの連打を返すが、流れが長く続かない。
2Rも玖村が左ジャブを活かしつつ、左右のハイ、左前蹴りも放つ。だがなかなかクリーンヒットにはつながらず、終了間際にサラビアが左右のフックを連続でクリーンヒットしてぐらつかせ、最後の最後に好印象を残す。
3Rもサラビアが左右のパンチを当てて優勢が続く。玖村はハイキックでのカウンターを狙い続け、不発が続くと、終盤にはパンチ戦に切り替え、左右のストレートや左ボディを当てて反撃する。
記者採点は1Rが玖村、2Rサラビア、3R玖村で28-29で玖村。ジャッジは三者三様で延長へ。サラビアは詰めようとするが、玖村は左の前蹴りでストップを続け、右ハイに時折つなぐ。サラビアもフックを振り回すが、どちらも明確なヒットが乏しいまま試合を終える。記者採点は前蹴りを当て続けた玖村。ジャッジ3者も同様で、サラビアも負けの宣告にうなずいて納得していた。
第7試合 第6代Krushスーパー・バンタム級(55kg)王座決定トーナメント準決勝 3分3R(延長1R)
○軍司泰斗(K-1ジム総本部チームペガサス/元Krushバンタム級(53kg)王者、K-1甲子園2016 -55kg優勝)
×椿原龍矢(月心会チーム侍/K-1甲子園2017 -55kg優勝)
4R 判定2-1 山崎10-9/梅木10-9/畑中9-10)
3R 判定0-0 (山崎29-29/梅木29-29/畑中30-30)
9月のトーナメント一回戦で軍司は森坂陸に判定勝ちし、椿原は亀本勇翔を2R KOしている。軍司と椿原は過去3度対戦している。最近では2016年のK-1甲子園決勝で軍司が勝利したが、17年5月のKHAOSでの再戦では椿原が判定勝ちしている。
1R、中盤まで椿原が圧力をかけ、終盤は軍司がかけ返し、お互いパンチ主体の攻防。ボディ、顔面にパンチを当てるが、まだどちらも崩れない。椿原は右ローも鋭い。
2Rは椿原が終始積極的に攻める展開。ヒット自体は多くないが、左ハイ、左ボディ、左ストレート、右ロー、右膝等で印象を残す。軍司も終盤に差し掛かって手数を上げて当てるものの、後手という印象だ。
3Rも椿原が左ハイ、右ロー、左ボディを当て、やや優位に試合を運ぶ。だが終盤、軍司にようやく火が付き、椿原を詰めて左右のボディのヒットを増やし、好印象を残すように。
記者採点は2Rが椿原、3Rが軍司で合計29-29。ジャッジ3者もドローとつけ延長へ。椿原が圧力をかけ、やや積極的に攻撃を出すが、クリーンヒットにはつながらない。このラウンドも終盤、軍司が左ボディのヒットを増やすと、椿原は少し表情が曇り、時計を気にするように。椿原も攻撃を返すが、軍司がパンチの連打で詰める場面も作って、やや優位で終える。記者採点は軍司。僅差のためジャッジは割れたが、ジャッジ2者が軍司を支持し、苦しみながらも決勝に駒を進めた。
決勝は軍司対玖村に決まり、2月16日後楽園大会での対戦する。軍司は「この前と同じような結果で申し訳ないです。玖村選手は強くて、パンチの選手なので、しっかり練習して最高の試合がしたいです」、玖村は「しょっぱい試合してしまってすみませんでした。次はしっかり練習してKOしてチャンピオンになりたいです」とコメントした。
第6試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○郷州征宜(K-1ジム総本部チームペガサス/元Krush王者)
×山本直樹(優弥道場)
4R 判定3-0 (鶴和10-9/梅木10-9/畑中10-9)
3R 判定0-1 (鶴和28-29/梅木28-28/畑中28-28)
郷州は3月のK-1スーパー・フェザー級王座決定トーナメント一回戦はデニス・ウォーシックに勝利したものの、準決勝の武尊戦でKO負け。6月のKrush王座の初防衛戦で島野に判定負けし、9月のK-1でもスアレック・ルークカムイに判定負けし、3連敗中と苦しんでいる。
山本は3月のKrush王座挑戦者決定戦で島野にKO負けしたが、7月のワン・ジュンユー戦で延長判定勝ちし、10月28日のKrushでは友尊に1R KO勝ち。1か月半という比較的短い間隔で、元王者との試合が用意された。
1R、郷州が右ストレート、右テンカオで先手を取るが、次第に山本も左右のミドルを返すようになり、終盤、郷州のパンチのタイミングで山本が左ハイをクリーンヒットしてダウンを奪う。
2R、回復した郷州は、開始すぐからラッシュを仕掛け、少しずつ右ストレートのヒットを増やして攻勢に。山本は下がり、攻撃を返せない。
3Rも郷州はノンストップのパンチラッシュで山本を追い詰める。山本も必死に耐え、時折右ハイ、バックハンドブローを返すが、郷州は止まらない。場内はメインイベント並みの大歓声に包まれる。
ジャッジは順当に2者が28-28とつけて延長に突入する。郷州が攻め続ける流れは変わらず、山本はバックハンドブロー、右ハイを出すが空振りが続く。判定は郷州。山本は敗れはしたが死闘を繰り広げたため、観客から拍手を浴びてリングを降りた。
第5試合 スーパー・ウェルター級(70kg) 3分3R(延長1R)
○神保克哉(K-1ジム目黒TEAM TIGER)
×平塚洋二郎(チーム・タイガーホーク/大道塾仙南支部/J-NETWORK王者、空道全日本重量級2013優勝)
2R 2’53” KO (パンチ連打)
ジョーダン・ピケオーが絶対王者として君臨するスーパー・ウェルター級。神保は5月のKHAOSで和島大海にKO負けを喫したが、9月15日の中国のGLORY OF HEROESではジャオ・チュンヤンに判定勝ちしている。
平塚はKrush初参戦。大道塾の師範代で、Krushの前身・全日本キックの元王者・船木鷹虎氏の元でキックを習い、キック戦績は6戦4勝(1KO)2敗。昨年、J-NETWORKのミドル級新人王となり、今年10月20日には笹谷淳を1R KOしJ-NETWORKスーパーウエルター級王者となったばかりだ。
1R、サウスポーの平塚に、神保が圧力をかけ続けるが、お互い慎重。時折パンチが交錯するが、まだクリーンヒットは無い。
2Rになると、神保のボディと顔面狙いのパンチが少しずつ増え攻勢に。平塚は鼻血を出し、ドクターチェックを受ける。再開したが流れは変わらず、神保がパンチのラッシュからの右ハイでダウンを奪う。平塚は鼻血で顔が染まり、最後は神保がパンチラッシュで再びダウンさせたところでレフェリーがストップした。
特攻服を羽織ってマイクを持った神保は「品川区から来ました。足立区じゃないんで。そろそろベルト取りたいんで。お願いします」と、武居由樹を真似つつ王座挑戦をアピールした。
第4試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R(延長1R)
○西京佑馬(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST/K-1甲子園2016 -60kg優勝)
×アリ・ザリンファー[Ali Zarinfar](イラン/ウィラサクレック・フェアテックス・イラン/WPMF日本王者)
1R 0’28” KO (左ストレート)
西京兄弟の弟・佑馬は4月のレオナ・ペタス戦でプロ4戦目にして初黒星を喫したが、6月の横山巧戦では延長判定勝ちしている。現在高3で、初の国際戦だったが、
ザリンファーは10戦9勝(3KO)1敗の26歳。10月21日のウィラサクレックジム主催のM-ONE新宿フェイス大会でのWPMF日本スーパーフェザー級王座決定戦で、堀口貴博に106秒でTKO勝ち。大会を訪れていた宮田充K-1プロデューサーの目に留まり、Krush初参戦が決まった。9月のK-1クルーザー級王座決定トーナメントで優勝したシナ・カリミアンと同門で、日本で練習しているという。
1R、開始すぐからザリンファーがラッシュを仕掛け、右の膝、右のストレートを当てて来るが、佑馬は回って距離を取る。それでもザリンファーが右膝を当てて来たが、佑馬はかわすと、左ストレートを2連続でヒット。ダウンしたザリンファーは立ち上がるもフラついており、梅木レフェリーがストップした。
第3試合 スーパー・バンタム級(55kg) 3分3R(延長1R)
×桝本“ゴリ”翔也(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)
○森坂 陸(エスジム)
判定0-3 (29-30/29-30/29-30)
今大会ではスーパー・バンタム級王座決定トーナメント準決勝2試合が行われたが、10月までの一回戦で桝本はビクトー・サラビアに延長判定負け、森坂は軍司泰斗に判定負けしており、お互いに再起をかけて激突する。
1R、桝本が圧力をかけ続け、時折スイッチしながら左ボディ主体で攻めるが、森坂も回ってかわしつつ、蹴りから右ストレートにつなげる攻撃と時折決めて応戦する。終了間際、桝本が左ストレートをクリーンヒットし森坂をのけぞらせ好印象を残す。
2R、桝本が右ロー、左ボディを度々強打し、優勢をキープする。森坂も時折右ストレートやミドルを当てるが、桝本の勢いを止められない。
3R、森坂が少しずつ左フック、左ミドル、左ボディのヒットを増やし挽回。だが終了間際に桝本も左ストレートで森坂をぐらつかせ、難しい状況にする。
記者採点は2Rが桝本、3Rが森坂でドロー。ジャッジは3者とも森坂を支持し、森坂の勝利が告げられると、連敗を3で止めた森坂は涙を流して喜んだ。
第2試合 女子アトム級(45kg) 2分3R(延長1R)
○C-ZUKA(T-GYM/元ミネルヴァ・アトム級王者)
×福原 優(K-1 GYM EBISU FREE HAWK)
判定3-0 (30-28/30-27/30-28)
松下えみが10月25日に女子アトム級王座を返上し、冒頭2試合は今後の王座戦線を占う戦いに。1R、C-ZUKAがリーチの差を活かした伸びのある右ミドルを当て続け主導権。2Rは左右のミドル、右ストレートを当て続け福原を圧倒。福原は鼻血を出す。3RもC-ZUKAが何発も蹴りとパンチを当て続け完勝した。
第1試合 女子アトム級(45kg) 2分3R(延長1R)
○高梨knuckle美穂(Y’ZD GYM)
×MOE(若獅子会館/第19回K-1チャレンジ女子Bクラス -45kg優勝)※高橋萌 改め
判定3-0 (30-28/29-28/30-27)
高梨は9月1日のKHAOSで福原を右ストレートでKOし、王座挑戦者候補として松下に提示されていた選手だ。MOEは2002年8月13日生まれの16歳・高校1年生。ジュニア時代から活躍し、第19回K-1チャレンジ女子Bクラス-45kg優勝の実績があり、K-1甲子園の大会で組まれたワンマッチでも勝利している。プロ1戦1勝。
1R、MOEが回って距離を取りながら、左ジャブを巧く当てて、高梨の攻撃を封じていたが、2Rに入ると少しずつ高梨の右ミドル、左ジャブ、右ストレートが当たり出し、終盤にMOEの右ローのタイミングで右ストレートを当ててダウンを奪う。MOEは鼻血を出し苦しそう。3Rは倒しきれなかったものの、高梨がパンチとミドルでやや優位をキープし判定勝ちした。
プレリミナリーファイト第3試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
×山浦力也(北斗会館浅科道場/K-1甲子園2018 -60kg優勝)
○斗麗[とうま](WIZARDキックボクシングジム)※田辺斗麗 改め
判定0-325-28/25-28/25-28)
両者プロデビュー戦。K-1甲子園で優勝したばかりの山浦は18歳。斗麗は16歳で京都出身で、大阪出身の皇治からのプッシュでKrush参戦が決まった。
1R、斗麗がサウスポーからの左ハイ、左ストレート、左膝を当て、パンチの連打で追い詰め、右フックでダウンを奪取。山浦もパンチを当てていたが、大応援団を背にした斗麗に押され続ける。斗麗が3Rに左フックで再びダウンを奪ったが、直後に山浦もコーナーに詰めてのパンチの連打でダウンを奪い返し、底力を発揮。プレリミナリーとしては異例の盛り上がりとなった。
プレリミナリーファイト第2試合 スーパー・フェザー級(60kg) 3分3R
○久保一馬(FIGHT CLUB 428)
×勇治(ネクサスジム/TRIBELATEライト級王者)
判定2-1 (30-29/29-30/30-29)
プレリミナリーファイト第1試合 フェザー級(57.5kg) 3分3R
○安達元貴(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)
×勝輝[まさき](K-1ジム・ウルフ TEAM ASTER)
判定2-0 (28-28/29-28/29-28)